
10月末ごろから、左手に妙な感覚があった。親指と人差し指のつけ根が作る三角形のエリアに少ししびれがある。大きな絆創膏を1枚貼っているような違和感。そして数日で左手首に力が入らなくなってきた。
左手に持ったコップに水を入れていくと、ある程度重くなったところで手首がカクンと手前に曲がってコップを取り落としそうになる。牛乳パックは持ち上げられない。手首を手前に曲げると持てるが、その姿勢ではコップに注ぐことができない。ポテチの袋を開けられない。手を洗って水を払おうとしても、左手だけすばやく振ることができない。キーボードに左手を置くと指のつけ根がまっすぐになってしまい入力しづらい。生活の細かいところで左手首を使っていると実感する。
なぜこんなことになったのか、見当がつかない。今後ずっとこのままだったらどうしよう。1週間ほどそのままだったので整形外科へ行った。上の写真はそのとき撮ったレントゲン。特に異常はないとのこと。こちらの説明が悪いのか、先生に症状がうまく伝わらず先生は首をひねっていた。とりあえず痛み止めが出た。次の診察は2週間後。
- ノイロトロピン錠4単位(一般名:ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液錠4単位)1回2錠朝夕食後14日分
- このお薬は、痛みを抑えるお薬です。
2週間で悪くはならなかったがよくもならなかった。左手を「うらめしや」のポーズにしてから、手首を反り返らせて掌底のポーズにするのにとても時間がかかる。これを先生にプレゼンしたところ「なるほど、橈骨神経麻痺かもしれませんね」と言われた。腕枕で寝るなど腕の神経を圧迫すると、一時的にこうなることがあるそうだ。そういえばパソコン椅子に座っていて、ひじ掛けと自分の胴体の間に左腕を挟むことが最近多かった。これが原因かも。
症状に名前がつくとほっとする。「MRIを撮影してきてください」と駅前のクリニックを指定された。CTスキャンやMRIを専門に行っているところだそうだ。この日の薬の処方は前回のノイロトロピンに加えて、麻痺やしびれに効くという薬。
- メコバラミン錠500μg「NP」(一般名:メコバラミン錠0.5mg)1回1錠1日3錠毎食後14日分
- ビタミンB12の製剤で、末梢の神経障害による手足の痛みやしびれを改善する薬です。神経に働き、神経の保護や機能の維持に効果を示します。
この診察からMRIの日までは1週間。毎日薬を飲んでいたらその効果か、それとも時間が経ってきたからか、左手首に力が入るようになってきた。コップに水を入れていって、手首がカクンとなる水面が日ごとに高くなってくる。これはいいぞ。MRIの前日にはかなりよくなっていて、これはもうMRIを撮る必要もないのではと思わないでもなかったが自己判断は危険だ。ちゃんと撮りに行きます。
MRIを撮影するクリニックは駅前のよく知っているビルにあった。ここにそういうのが入っているとは知らなかった。受付し、ロッカーで着替える。いろいろ注意書きがあって、ベルトや腕時計はもちろん外すし、カラーコンタクトやヒートテックもダメだとあった。そうなんだ。上半身は金属のない服だったので診察着は最初ズボンだけ渡されたが、ヒートテックを着ていると話すと上下とも着替えることになった。
短い診察のあと、ことあるごとに名前と金属について確認されつつMRIへ。横になり、左腕の写真を撮るので少し右に寄った。ヘッドホンを装着してMRIの中へ入っていく。検査が始まるとゴゴゴゴゴ、ガガガガガ、グググググ、いろいろな騒音を聞かされた。目をつぶって半分うつらうつらしつつ、検査時間は多分20分くらい。MRIは無事に終わった。検査結果は数日後にCD-Rで渡され、それを持って整形外科へ。
整形外科の先生は「その後どうですか」抜きに「MRIを見てみると特に悪いところはないようで、今後どうするかですが」みたいな話を始めるので、「実はこの2週間でかなりよくなりまして」と言うと「お、そうですか」と声が明るくなった。うらめしやから掌底のポーズへ手首を反らせるのも、右手とほとんど変わらない勢いでできる。手の甲のしびれはまだ少し残っているが、3週間後にもう一度見せて問題がなければ治療終了でいいでしょうとなった。薬はなし。
ということで3週間後の昨日、整形外科へ行ってきた。「どうですか具合は」「もうすっかりよくなりました」「皮膚のしびれは」「ほぼなくなってます」。またなにかあったら診察に来てください、となって、治療は最後にはあっさりと終わった。
橈骨神経麻痺が短期間で治るものでよかった。症状が強く出ているときは、一生手首に力が入らないままだったらと何度も考えた。パーキンソン病とかギラン・バレー症候群を想像することもあった。健康のありがたみはなくなりかけたときに痛感するものだ。