某スポーツ新聞社から、昨日逮捕された女優が映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」に出演していたことについて電話取材を受けました。「天国の太宰はどう思いますかね」というくだらない質問があったので、「太宰は天国にいるとは限らないでしょう」と答えておきました。記事にはならないと思います。
初版道
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引退した日本近代文学初版本の元コレクターが、古本と史実に基づく近代作家関連の話を中心につぶやきます。
Joined March 2015
- 「太宰治は不倫ばかりして人妻と心中までしたのに、なぜ小説が教科書に載っているのですか」と質問が来ました。「作品に罪はないという考えでしょう」と答える前に、正確を期して知人の教科書調査官に確認したところ「作家の人格や行動歴は調査の対象ではありません」と。間違いではなかったようです。
- 長年、高校で国語を教えている知人によれば、かつては『山月記』の授業の前に中島敦を知っている生徒はほとんどいなかったそうです。しかし近年は、『山月記』の授業を楽しみに待つ生徒が各クラスに必ずいるとのこと。漫画・ゲームをきっかけに近代文学に慣れ親しむ実例として、興味深いと思います。
- 某テレビ局の報道部から「古本屋の現状を知りたいので、今、危ない所を教えてほしい」と聞かれたので、「それは神保町のA書店の主人でしょう。今も昔も危ないですよ」と答えたら、「そういう危ないではなくて」と説明し始めたので黙って電話を切りました。「無礼者!」と言ってから切るべきでした。
- 小学校3年生の時、夏休みの自由研究で「覚えやすい麻雀の点数計算法」という苦心の作を提出したら、中身を読みもせず「子どもが書くものではありません」と突き返されました。「賭け麻雀の必勝法」ではないのに。それ以来「自由」研究とは名ばかりの「不自由」研究は大嫌いです。私憤でゴメンナサイ。
- 都内の有名ホテルで「偲ぶ会」(原則招待状なし)を開くにあたり、故人と全く無関係の人が飲食目当てに来るとの情報があり、万全の態勢を取っていたところ、予想以上に多数来場。ホテルによればほとんど「常連」とのことで、首尾よくシャットアウトしましたが、世の中にはこういう常連もいるのですね。
- 太宰治と1度だけ話をしたという94歳の女性に会いました。「太宰と話したことがある。」彼のファンにとって、これほどのパワーワードはないでしょう。ちなみに太宰は「大きくて、はにかみ屋で澄んだ目と優しい声をしているハンサムなひと」だったとのこと。まさに今、私たちが抱くイメージ通りですね。
- 知人の老コレクターが亡くなられました。遺言状に「宮沢賢治とともに天国に行きたいから『春と修羅』を棺に入れてほしいけれど、初版本を燃やすわけにはいかないので復刻本を入れるように」とあったそうです。泣きました。
- 岸部四郎さんはその昔、夏目漱石や永井荷風の初版本を熱心に蒐めるコレクターでした。神保町で何度か話しましたが、「初版本いいよね」が口癖で、「初版本からは時代の雰囲気が伝わってくるんだよね」と。背が高くて、飾らない人柄で、優しい笑顔が忘れられません。心よりご冥福をお祈りいたします。
- フォロワーの学生さんから「ゼミの先生が女子だけに深夜のオンライン面談を求め困っています。大学に訴えたけれど対応してくれません」と相談が(事実確認済)。先生がゼミでここを紹介したと聞き調べたらフォロワーでした(面識なし)。都内の私立大学教員で身に覚えのある方は止めた方がよいと思います。
- 昭和50年2月14日、中学生の男の子が図書室で「斜陽」を読んでいると、机の上にチョコレートの箱が置かれ、見上げると同じクラスの女の子の恥ずかしそうな顔が。彼は天にも昇る心地でした。告白はまだだけれど、彼女が大好きだったからです。あれから43年。女の子は今朝もチョコレートをくれました。
- 三島由紀夫の「僕は太宰さんの文学はきらひなんです」は有名ですが、太宰が亡くなった年に「太宰が何故死んだかといふ問題だが、民衆にうつかり白い歯を見せてしまつたので、民衆が寄つてたかつて可愛がつて殺してしまつたんだと僕は思ふんだ」と語っているのはご存知でしょうか。意味は不明です。
- 森鷗外の最高傑作と評する人も多い(私もその一人)史伝『渋江抽斎』の自筆原稿の一部が発見されました。没後100年での出現はまさに奇跡。数多くの推敲の跡もうかがえます。文京区から依頼を受け、鑑定書と評価書を書くことができて光栄でした。10月に同区立森鷗外記念館で特別公開予定です。
- 12歳の芥川龍之介と中原中也の習字です。芥川の16文字と中也の14文字の内、8文字が同じで嬉しくなります。芥川が、後年忌み嫌った「龍之助」と署名しているところにもご注目ください。





