2026年1月18日日曜日

Reyvision - The Sound Cage

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Label: Reyvision
Catalog#: 787 REY VIS
Format: Vinyl, LP, Album
Country: US
Released: 1987
DISCOGS

A1 Drum Overture To Djuba
A2 The Pineal Eye
A3 The Open Abyss
B1 Conversations
B2 Pinnae
B3 Orphealic Innosence

サンフランシスコの伝説的アンビエント・レーベルSilentの中核ユニットPGRに在籍していたKen Reyvision。彼が自主制作盤として残したワンオフ・プロジェクトによる唯一のアルバム。録音にはレーベル主宰のKim Casconeをはじめ、Dine Forbate、Paul Trent Adams、Alley MarcelといったPGRの主要メンバーが参加しています。
A面「The Other Acts」は、宗教儀式を思わせる重厚なフロアドラム、不穏に歪められたフルート、金属的なドローン、モジュレーテッド・ベースなどを駆使した、ダークで輪郭の定まらない音響工作。B面「Pianos And Thinking」では一転して、Dine Forbateのピアノが中心となり、反復するフレーズが洞窟のような深い残響の中へと消えてゆく、メランコリックなアンビエントが展開されます。全編を通して、夜や孤独、夢の淵といったイメージを喚起する極めてオブスキュアな内容です。

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2026年1月16日金曜日

Karel Arbus & Eiji Takamatsu - Mizugumi


西オーストラリア出身で1990年代後半から岐阜県で大工として働くカレル・アーバス。日本人の両親のもとハワイに生まれ、軽井沢にある叔父の温泉宿を手伝うために移住したエイジ・タカマツ。二人は2008年、長野のバーで偶然出会い、John BarryやKlaus Schulzeといった共通の音楽的嗜好を通じて意気投合。それがデュオ・プロジェクトとしての活動に繋がっていったとのことです。
この「Mizugumi」は、2017年に発表された1stアルバム「Some Backland Plaza」の収録曲。制作時期を考えると日本の環境音楽やニューエイジからの影響も推察されますが、直接的な引用ではなくエッセンスとして取り入れ、それを独自の美しいクワイエット・ミュージックへと昇華させています。現在聴くことができる彼らの音源は、2枚のアルバムとCantoma「Kasoto」のリミックスのみですが、いずれも素晴らしい出来栄え。長い目で見守りながら、今後のリリースを楽しみに待ちたいと思います。

[related]
Interview / Karel Arbus and Eiji Takamatsu – Ban Ban Ton Ton (October 18, 2017)
https://banbantonton.com/2017/10/18/interview-karel-arbus-and-eiji-takamatsu/
Mizugumi (Max Essa Extended Mix)
https://jansenjardin.bandcamp.com/album/mizugumi-max-essa-extended-mix

2026年1月14日水曜日

Shaun Rigney - Wetland

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Label: Terra Australia Records
Catalog#: TACD0010
Format: CD, Album
Country: Australia
Released: 1995

1 Wetland I 16:16
2 Wetland II 21:18
3 Wetland III 21:01

メルボルン出身の作曲家/ギター奏者Shaun Rigney(ショーン・リグニー)が、Terra Australiaの自然環境シリーズの一環で制作したサウンドスケープ作品。舞台はオーストラリア・ビクトリア州に広がる湿地帯。現地で録音された30種を超える州固有種のカエルの鳴き声や自然の営みに、ぽつりぽつりと配される素朴なギターの調べと、ごく淡く漂う電子音。楽器と自然音がいずれも主役になることはなく、すべてが溶け合い、ひと続きの抽象的な風景として提示されていて、聴き進めていると、眠りに落ちる直前の半覚醒状態のようなぼんやりと心地よいリスニング感覚を覚えます。主にギター協奏曲や室内楽作品などクラシック寄りのフィールドで活動する作者ですが、本作はアンビエント・プロデューサーとしての編集能力が色濃く表れた秀作だと思います。

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2026年1月12日月曜日

Robert Haigh - Written On Water

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Label: Crouton
Catalog#: crou042
Format: CD, Album
Country: US
Released: 2008
DISCOGS

1 Over Land 4:13
2 Interior Device 2:40
3 Written On Water 6:26
4 Ten Form 5:33
5 Persistence Of Memory 4:13
6 New Harmony 4:39
7 Eight Form 5:15
8 Orbits 5:37
9 Untitled 3:12

海底に沈んだ家具への鎮魂歌、もしくは青白い鬼火のミニマリズム。レタープレスされた手製の白いジャケット、四方の角を紙の額縁で留められた海のカラー写真がとても美しく、「はかなく消える/忘れられてしまう」という意味のタイトルも、音の世界観をよく表していると思います。Robert Haigh(ロバート・ヘイ)は、FoteやSema名義での実験ノイズ作、Omni Trio名義でのドラムンベース作など、多彩な音楽性をもつイギリス出身の作曲家/ピアニスト。活動の主軸には本作のような、サティやドビュッシーに影響を受けたうつろなピアノ作品があります。往年のミニマル作曲家を思わせる冷ややかで淡々としたミニマルピアノ#1「Over Land」から始まり、曇り硝子や薄汚れた鏡越しに眺めるような不鮮明な影像を描く#5「Persistence Of Memory」や#6「New Harmony」が秀逸で、アンビエントの古典としての静かな風格を漂わせています。

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました

2026年1月10日土曜日

TIME 1 Produced by PARLIAMENT

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Label: E-License
Catalog#: EF-2003-01
Format: CD, Compilation
Country: Japan
Released: 2003

1 Hajime Yoshizawa - I Am With You (Radio Edit) 3:51
2 Hajime Yoshizawa - Secret Flight (Original Mix) 4:59
3 Electric Sheep - Green 6:51
4 Electric Sheep - Naked Noon 6:36
5 Cosmic Village - Starseed 4:50
6 Sleep Walker - Elina 5:01
7 Cosmic Village - Earth Rise 3:51
8 Cosmic Village - Aquasphere 4:58

フィリップ・モリス社のタバコブランド「パーラメント」のプロモーション用として制作された非売品コンピレーション・アルバム。選曲・監修は音楽プロダクションExtra Freedomが手がけています。
収録内容は、Kyoto Jazz Massiveで知られる沖野修也と、ピアニスト吉澤はじめの両氏が関わる複数のプロジェクト、および吉澤氏のソロ楽曲で構成。「アメリカン・ブルー」を基調とするパッケージで、パーラメントが掲げる「洗練された大人のリラックスタイム」というブランドイメージと寄り添うように、全体はフューチャージャズ/ラウンジ系の落ち着いたグルーヴで統一されています。なかでも印象深いのが、シェリー酒ブランドTio Pepeのレーベルから12インチレコードで限定リリースされたクロスオーバー#3「Green」と、都市の孤独感をたたえたジャジーなディープハウス#4「Naked Noon」。CDでは本作以外で聴くことができない、Electric Sheep名義による2曲の流れがとてもよく、交互に繰り返し聴きたくなります。パーラメントからは本作のほかに「Quiet Voyage」というコンピレーションも制作されていますが、そちらは女性ジャズヴォーカル曲からセレクトされたものでした。

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2026年1月8日木曜日

Simon Stockhausen - Floating Free

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Label: UBM Records
Catalog#: UBM 1141
Format: CD, Album
Country: Germany
Released: 1992

1 Floating Free 6:13
2 Snail Groove 5:20
3 Approaching Mars 7:30
4 Good Morning 8:35
5 Feeling Home 8:14
6 Volcano 7:34
7 One World 6:47

現代音楽の巨匠を父に持つドイツ出身の作曲家/サウンドデザイナーSimon Stockhausen(ジーモン・シュトックハウゼン)が、ベルリンのライブラリーレーベルUBM Recordsのために書き下ろしたソロワークス。ケルンのStudio Cornetにて録音。コンポジションからマルチ・インストゥルメンタリストとしての演奏に至るまで全てを作者自身が手がけています。
浮遊感のあるシンセサイザーのレイヤーを基調に、抑制を効かせたリズムセクション、フレットレスベースや生楽器のモチーフが織り込まれてゆくニューエイジ/アンビエント作品。ジャケットに写る地平線のイメージに近い牧歌的なオープニングトラック「Floating Free」が特に印象的ですが、全体を通しては、未知の領域を探索するようなスペーシーでミステリアスな空気感が強調されていて、曲ごとに趣の異なるイマジナリーな風景を描き出しています。
現在は「Research」「Technology」「Space Travel」「Futuristic」といったカテゴリーのもと、Universal Production Musicのカタログとして管理。個人的には本作を知ったのがコロナ禍直前ということもあり、聴いていると当時の色々なことが思い出される1枚です。

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2026年1月7日水曜日

The I-Rails - Panharmonium

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Label: Primal Rhythm Music
Catalog#: -
Format: Cassette, Album
Country: US
Released: 1990

A1 Around The World 3:48
A2 Disconnected 3:11
A3 Lucifer, Paul & John 3:47
A4 Willingness 3:51
A5 Two Feet In Front Of Me 4:04
A6 The Light Of The Sun 3:40
B1 Real Time 2:40
B2 Fallen 2:16
B3 Behold 3:19
B4 In The End 5:03
B5 Where I Am 4:17
B6 Courage, Etc. 6:02
B7 Anything In Space 4:13

80年代後期にカリフォルニア州オックスナード/ヴェンチュラ周辺のローカルシーンで活動した3人組オルタナティヴ・ロックバンドThe I-Rails(アイ・レイルズ)。作品は一貫して自主制作カセットで発表してきた彼らにとって、本作は活動末期に制作された4作目にあたるアルバム。メロディ志向のUSインディーの流れを汲む瑞々しいボーカルハーモニーと、ジャングリーなギターサウンドを核としたアンサンブル。疾走感あふれるパワーポップから、スローダウンした切なく内省的な楽曲まで、ウェットなヴォーカルスタイルを含めて、その全体的な感触は後年のGin Blossomsを彷彿とさせます。
当時のメジャー作品に引けを取らない内容ですが、シーンの過密さゆえか商業的な成功には恵まれず、本作を最後にバンドは解散。その後、フロントマンのChris O'ConnorはPrimitive Radio Gods名義でソロ活動を開始。1996年にはB. B. Kingをサンプリングしたシングル「Standing Outside a Broken Phone Booth with Money in My Hand」を全米ヒットさせ、現在まで同名プロジェクトを率いて活動を続けています。

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2026年1月5日月曜日

Brian Eno - 2/2



その水の名前は 雲。雲は地上にこがれて。その水の名前は 雨。初夏のやわらかい雨になる。その水の名前は 川。歓びの声をあげて流れる。川は大地を潤し、水は音もなく吸いあげられる。草に。木に。その水の名前は 花。一斉に咲き乱れる、高原の桜。ツツジ。その花びらを剥げば。私は水。あらゆる草や木とともに、めぐる水に足を浸している。あらゆる生き物とともに、私はめぐる水の名前のひとつ。その名前の水は 海。無数の流れはただひとつの大きな水となり。たゆたう光の中、空にこがれる。その水の名前は 雲。

St.GIGAアーカイヴ「Time of water A」より。Brian Eno「2/2」と、寮美千子によるヴォイス「水の名前」。(※放送時の朗読を聞き起こしたため、作者ご自身が公開されているテキストとは一部表現が異なっているようです。)音の潮流はその後、小久保隆「森の目覚め」、Morgan Fisher「Shinesound #1」、小久保隆「水の城」、吉村弘「Time Forest」と連なっていきます。St.GIGAは、遙か遠くに存在する誰か——あるいは自分自身の——足音に、目を閉じて耳を澄ますような感受性を必要とする人々にとって、心の拠り所として聴かれていたのかもしれません。

2026年1月4日日曜日

Oriental Homeward - Camland

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Label: Ryoondo-Tea
Catalog#: DES018
Format: CD, Album
Country: Japan
Released: 2004

1 Soft Rime 4:50
2 Over Spray 5:27
3 Summer Moon 1:28
4 Winter Moon 1:39
5 Eolie 4:20
6 Stella Di Mare 7:20
7 For Sure 1:40
8 Wintertime Pulse 3:59
9 Time Rag 5:48
10 Fanfan 6:04
11 Time Rag (Firo Remix) 5:35

温泉や茶の湯といった日本伝統の美意識を通して電子音楽の可能性を追求する、京都の名門レーベル・涼音堂茶舗より。桑原美樹によるソロプロジェクトOriental Homeward(オリエンタル・ホームワード)のデビューアルバム。湧水や雪解け水が静かに集まり、川から海へ、そして雨雲となって再び地へと還る。そんな水のめぐりを想起させる、清冽で瑞々しい音像に満ちたイマジナリーな作品。
90年代に隆盛したアンビエント・カルチャーが形骸化し、ニューエイジという言葉とともに否定的に語られがちであった2000年代半ば。テクノ文脈に連なる繊細な電子音響意匠と、環境音楽の空間性・機能性とを結び直して再定義するような、ポジティヴな眼差しを感じさせる1枚です。小さな空想世界を顕微鏡で覗き込んだようなアートワークも、本作の世界観にしっくりとなじんでいます。プロデュースはsnoweffectの石川貴史。マスタリングはPsysExの糸魚健一。ボーナストラックとしてFiroによるリミックスを収録。

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2026年1月3日土曜日

Morgan Fisher - Water Music

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Label: Cherry Red
Catalog#: CDMRED178
Format: CD, Album
Country: UK
Released: 2000

1 Water In The City 6:34
2 Ice Melting 7:41
3 The Great Lakes 11:41
4 After The Rain 6:26
5 We Are All Water 13:24
6 Breathing Rain 5:56
7 On The Brink 8:22
8 We Are All Water (Oceanic Remix) 9:12

元ロックグループのメンバーという出自を持ちながら、早い時期から「アンビエント/環境」をめぐる多様な文脈に深く関わってきたイギリス出身の鍵盤奏者/プロデューサーMorgan Fisher(モーガン・フィッシャー)。環境音楽の黎明期にLol Coxhillと共同制作した「Slow Music」をはじめ、サティ作品を独自に解釈した「Inside Satie」、英国実験音楽家による1分間の小品を集成したコンセプトアルバム「Miniatures」、さらには環境ビデオや鈴木大拙記録映画の音楽、自然療法書籍の付属CDに至るまで、その活動は多岐にわたっています。
本作は、1980年代半ばに日本に移住したFisherが、自身のハンドメイド・スタジオで録音し、Veetdharm名義で発表したオリジナルアルバム「Water Music」収録の4曲に、ボーナストラックやリミックスを加えてアートワークを新装した拡張再発盤。テープ・ディレイを駆使して幾重にも重ねられたシンセサイザーのレイヤーと、リリカルなピアノの即興演奏。春の雪解け、鏡のように静まり返った湖面、都市に降る雨。小さなしずくの滴りから果てしない海原まで、移ろいゆく水のさまざまな表情を、潤いに満ちたサウンドで描き出した「水アンビエント」の名作です。
電子楽器の蒐集家としても知られるFisherは、2004年以降、長年にわたり「モーガンのオルガン」と題した月例ソロ演奏会を開催。希少なヴィンテージ・キーボードを多数用いた独自の演奏活動を、現在も続けています。

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※旧ログ整理のため一部リライトして再投稿しました