40代が成長するためには。
40代になってしばらく立ちますが、ふと立ち止まって「成長とは何か?」と考えることが増えました。
20代の頃は、何もわからないなりに必死に目の前のことをこなしていました。30代では、キャリアを積み上げることに集中し、技術を磨き、実績を重ねてきました。しかし40代になると、違う種類の問いが浮かび上がります。単に技術を磨くだけでは不安や満足感のなさ、「人として」どう成長していくかという、より深い問いです。
正直、このフェーズになると、成長することの難しさも実感します。経験を重ねると、自分のやり方が固まり、新しいことに挑戦する勇気が減っていく。若い頃のような勢いはなく、変化への抵抗も大きくなる。
「このままでいいのか?」という問いと、「でも今更変われるのか?」という不安が交錯します。
私はプロダクトデザイナーとして働いていますが、この記事では肩書にとらわれず、人として成長するために必要なことを考えてみたいと思います。
幸い、成長に関する学術研究は数多く存在し、それらと自身の実践的な経験を照らし合わせることで、いくつかの示唆が見えてきました。
成長を支える学術的基盤
成長に関する心理学の研究から、いくつかの重要な視点が見えてきます。
まず、人間には3つの基本的な心理的欲求があります。有能感(自分ができるという感覚)、関係性(他者とのつながり)、自律性(自分で決めているという感覚)です。これらの欲求が満たされることで、成長や幸福感が促進されます。

また、成長は一人で達成するものではなく、他者の支援や協働によって実現するという視点も重要です。自ら主体的に取り組む姿勢と、他者との関係性の両方が不可欠なのです。
では、具体的にどのような要素が成長を支えるのでしょうか。
成長に必要な5つの要素
これまでの個人と経験値も踏まえて、重要な、これからの「成長」に必要な要素を洗い出してみました。
1.コーチャビリティがあること
コーチャビリティとは、フィードバックを素直に受け入れ、それを実践する力のことです。他者の支援や指導は成長に不可欠ですが、フィードバックを受け入れる姿勢がなければ、どれだけ優れたアドバイスも効果を発揮しません。
正直に言えば、経験を積むほどフィードバックを受け入れるのは難しくなります。「自分のやり方がある」という自負、「今更指摘されても」という抵抗感、そして何より「指摘される=否定される」という恐れが邪魔をします。若手に指摘されると、つい「いや、それは...」と言い訳を始めてしまう自分がいます。
だからこそ意識的にコーチャビリティを高める必要があります。フィードバックを求める際に何を知りたいのかを明確にし、受け取った意見を人格否定ではなく成長の糧と捉えること。「指摘してくれてありがとう」と言える自分でいることが、成長し続けられるために必要だと考えます。
2. 自分の機嫌をとれること
自己の感情を認識し適切に管理する能力は、成長に大きく影響します。機嫌が悪い状態では、新しいことを学ぶ余裕も、他者と協働する柔軟性も失われてしまいます。
イライラしているとき、疲れているとき、不安なとき。こういう状態で誰かに何かを指摘されたら、つい攻撃的に返してしまう。あるいは、新しいことにチャレンジする気力が湧かず、「今はそれどころじゃない」と先延ばしにしてしまう。結果として、成長のチャンスを自ら手放してしまうのです。
経験を重ねると、自分の感情のパターンが見えてきます。どういう状況でストレスを感じるのか、どうすれば気分を立て直せるのか。この自己理解が成長を支えます。
自分の機嫌をとるとは、感情を無理に抑え込むことではありません。疲れていれば休む、モヤモヤしていれば言語化する、気分転換が必要なら散歩する。こうした小さな自己調整の積み重ねが、長期的な成長につながります。
3. 悔しさをバネに行動できること
外的な報酬ではなく内面から湧き出る動機こそが、持続的な成長の推進力となります。その動機の源泉の一つが「悔しさ」です。
過去の失敗やコンプレックスは、単なるネガティブなものではありません。「もっと上手くなりたい」「見返したい」という強いエネルギーに変えることができます。
ただし、悔しさをバネにするには、それを建設的な方向に向ける必要があります。悔しさが自己嫌悪や他者への攻撃に向かえば、成長どころか破壊につながります。大切なのは、悔しさを「次はこうしよう」という具体的な行動に変換することです。失敗を分析し、改善点を明確にし、一歩を踏み出す。
この繰り返しが、ネガティブな感情を成長の燃料に変えていきます。
4. 他己承認と自己承認を意識できること
精神的健康度は他者からの承認(他己承認)と自己承認のバランスに影響されます。どちらか一方だけに偏ると、成長は不安定になります。
若い頃は、私も他者からの評価を強く求めていました。「認められたい」「評価されたい」という気持ちが、行動の原動力でした。
しかし、他人の評価ばかりを気にしていると、評価されない仕事は手を抜くようになり、批判されると必要以上に落ち込む。他者の評価に振り回され、自分の軸を見失っていました。
逆に、経験を積んで自信がつくと、今度は自己承認だけに閉じこもりがちです。「自分はこれでいい」と客観的な視点を失い、独りよがりになってしまう。周囲からの指摘を「わかってない」と切り捨ててしまう。
信頼できる人からのフィードバックを定期的に求めつつ、自分自身の小さな成長や努力も認める習慣を持つことです。「今日はこれができた」という自己承認と、「この部分を改善してほしい」という他己承認を、両方受け入れる柔軟性が成長を支えます。
5. 人を大切にできること
他者とのつながりは成長に不可欠です。そのつながりの質を決めるのが、人を大切にする姿勢です。
忙しいとき、つい人を雑に扱ってしまうことがあります。後輩の相談を「今忙しいから後で」と何度も先延ばしにする。同僚のアイデアを「それは違う」と頭ごなしに否定する。部下の失敗に「何やってるんだ」とため息をつく。こうした小さな積み重ねが、信頼関係を壊し、結果として自分の成長機会も失わせます。
人を大切にするとは、相手の時間を尊重すること、相手の意見に耳を傾けること、相手の成長を心から願うことです。そして、自分が困った時に助けを求められる関係性を日頃から育てておくことです。
一方的に奪うだけでは関係は続きませんし、一方的に与えるだけでも疲弊します。健全な相互関係の中でこそ、成長は持続します。
これらの要素が相互に作用する
5つの要素は独立しているわけではなく、相互に影響し合っています。
人を大切にする姿勢があるからこそ、コーチャビリティが高まります。信頼関係があれば、厳しいフィードバックも素直に受け入れられます。また、自分の機嫌をとれるからこそ、悔しさを建設的に活用できます。感情が安定していなければ、ネガティブな感情は破壊的な方向に向かってしまいます。
5つの要素は互いに支え合い、強化し合う関係にあります。一つだけを伸ばすのではなく、全体のバランスを意識することが、持続的な成長につながります。
経験を重ねることで変わる成長の質
成長の質は、経験を重ねることで変化していきます。経験の蓄積は理論の理解を深め、学びの質を変えていきます。若い頃は「量」を追い求めがちですが、経験を積むと「質」や「深度」に目が向くようになります。
以前学んだ理論を、実際の経験と照らし合わせて理解し直すことができます。抽象的だった概念が、具体的な経験と結びついて腹落ちする瞬間があります。また、教えることで自分の理解がさらに深まるという経験もします。教える側もまた、教えられる側から学ぶのです。私は最近デザイナー向けメンターをやっていますが、教える過程において、学ばせてもらうことが多々あります。
経験という土台があるからこそ、学びは深く、応用範囲は広がります。成長は、広さではなく深さ、速さではなく確かさを追求するものへと変化していきます。
成長に終わりはない
成長に終わりはありません。何歳になっても、人は変わり続けることができます。
正直に言えば、この記事を書きながら、自分自身がどれだけ実践できているか不安になります。フィードバックを素直に受け入れられているか?自分の機嫌をちゃんととれているか?人を大切にできているか?完璧にできている要素は一つもありません。
でも、それで良いと思っています。大切なのは、完璧を目指すことではなく、日々の小さな実践を続けることです。
一人で抱え込む必要はありません。成長は他者との関わりの中で実現するもので、信頼できる人に相談し、助けを求め、共に歩む仲間を見つけることが重要です。
あなたは今、どう成長したいですか?あるいは、どの要素が今の自分に最も必要でしょうか?
その問いに向き合うことから、新しい成長が始まります。
もし、キャリアやスキルの成長に悩まれている方は、ぜひ一度お話を聞かせてください。私のメンタープランでは、こうした成長の視点を実務に落とし込み、具体的なアドバイスを提供しています。一緒に、あなたの成長戦略を考えていきましょう。
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