
東洋美術学校にて、5日間にわたる産学連携授業を実施しました。
長年モリサワと産学連携プロジェクトを実施している東洋美術学校は、日頃から文字やタイポグラフィを大切にした教育に取り組まれています。また、本年度からMorisawa Fonts 教育機関プラン包括ライセンスをご導入いただいたことにより、どの専攻でも在学生全員に豊富なフォントを使える環境を整備されました。
今回のテーマは「デザインを専攻していない学生に、モリサワフォントを“知って・使ってみたい”と思ってもらうための提案」です。
本プログラムでは、テーマ設計に加え、初日の講義と最終日の講評を当社が担当しました。制作期間を含めた5日間を通して、学生の皆さんがフォントと向き合い、考えた内容を提案形式で発表いただきました。
■1日目:フォントを見る目を養うための基礎講義
初日は、文字やフォントの基本についての講義からスタートしました。
普段フォントは「なんとなく雰囲気で選ぶ」ことも多い存在ですが、本授業ではその一歩先へ進み、フォントの特徴や特性、制作背景や役割を理解したうえで「意図して選ぶ」ための視点をお伝えしました。
また後半では発展編として、これから学生が制作する機会の多いポートフォリオを題材に、レイアウトや組版の基礎についてもお伝えしました。文字の大きさや行間、余白といった基本的な設計によって伝わり方が大きく変わることを紹介し、実践的に理解する機会としました。
■2〜4日目:制作期間
2日目から4日目にかけては、チームごとに分かれて制作に取り組んでいただきました。
フォントの価値を言語化し、ターゲットや利用シーンを設定したうえで、プロモーションや体験のアイデアを考える課題に取り組んでいただきました。学生ならではの視点から、多様な発想が生まれていたようです。
■5日目:発表と講評
最終日は、各チームにプレゼンテーションをしていただきました。
スライドやモックアップを用いながら、アイデアだけでなく体験の流れや利用シーンまで設計された提案が多く見られ、短期間とは思えない完成度の高さが印象的でした。
講評では、「フォントの価値が伝えられるようなアイデアか」「実際に使ってみたいと思わせられるか」という観点を中心にコメントを行いました。フォントを単に紹介するだけでなく、いかにして「自分ごと」として感じてもらうかが、提案の質を左右する重要なポイントであることが改めて浮き彫りになりました。
■その後:モリサワ社内での審査
授業終了後、提出された提案についてはモリサワ社内にて審査を行いました。
今回の審査では、「フォントの価値や便利さ」を感じてもらえるか、「フォントを使ってみたい」と思わせられるかという2つの視点を軸に評価しています。
■受賞作品紹介
最優秀賞:「フォント×性格診断サイト」

診断結果としてフォントを提示することで、フォントに対する興味や愛着を自然に生み出し、「自分に合うフォント」という形で体験できる設計を高く評価しました。大学生の間で親しまれている性格診断から着想を得た点も含め、フォントを「自分ごと化」する導線が非常に明確で、今回の課題の目的に最も合致した提案でした。
優秀賞:「名刺制作ワークショップ」

フォント選びを自己表現と結びつけ、学生同士のコミュニケーションの中で活用する提案は、実際の学生生活にも取り入れやすく、「使ってみたい」という気持ちにつながる設計である点を評価しました。
そのほかにも、学生ならではの多様な視点からの提案を多くいただきました。

推し活とフォントを掛け合わせた体験型の展示企画や、SNSでの拡散を狙ったキャンペーンなど、ターゲットの行動や文化に着目したアプローチが印象的でした。
また、フォントの特徴に着目したカードゲームの提案や、トレンドを取り入れたWebサービスの企画など、フォントの特性から発想を広げているチームも見られました。
全体として、フォントを単なるデザイン要素ではなく、体験やコミュニケーションの中で活用しようとする視点が多く見られ、学生の柔軟な発想と可能性を感じる結果となりました。
■フォントを活かす教育環境と、その可能性
今回の授業を通して印象的だったのは、学生の皆さんがフォントを「使うもの」として主体的に捉え、発想を広げていた点です。
その背景には、東洋美術学校様がモリサワフォントを導入し、日常的にフォントに触れられる環境があることも大きいと感じています。実際に使える環境があるからこそ、フォントを自分の表現として捉え、試行錯誤しながら活用する力が育まれているのではないかと感じました。
フォントは、レポートやプレゼン資料、SNSなど、日常のさまざまな場面で使われている身近なものです。
だからこそ、その価値や使い方を意識することで、表現の質は大きく変わります。今回のような取り組みは、そうした気づきを実践的に得られる機会であり、当社にとっても多くの学びがある産学連携となりました。
■おわりに
モリサワでは、文字やフォントを大切にした表現教育に取り組む学校との連携を重視しています。フォントは単なる素材ではなく、伝わり方や印象を左右する重要な要素であり、その価値を理解し活用する力は、これからのクリエイティブにおいてますます重要になると考えています。
今後も、フォントの活用に取り組む学校を支援しながら、文字の可能性を広げる活動を続けてまいります。
今回の授業レポートが、学生の皆さんにとって新たな発見や学びにつながれば幸いです。
東洋美術学校のみなさま、ありがとうございました!
▼ 東洋美術学校様による授業レポートもあわせてご覧ください。

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