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当社を取り巻く事業環境と今後の成長戦略について|株式会社ケイブ
「ゲーム業界は伸びない」は本当か? ケイブが見据える世界市場と独自の強みこんにちは。株式会社ケイブのIR担当です。 今回の決算説明動画では、代表取締役の高橋より、当社を取り巻くゲーム業界の環境や今後の成長に向けた考え方についてご説明しましたので、その内容について、ご紹介いたします。 「ゲーム業界は、もう伸びない」という声を耳にすることがあります。しかし、ゲーム市場全体を一括りに捉えるのではなく、それぞれの市場の特徴や成長領域に目を向けることが重要です。 今回は、世界のゲーム市場の動向や日本のコンテンツ産業を取り巻く環境、そして当社が今後どのような強みを生かして成長を目指していくのかについてお伝えします。 1. 成長を続ける世界のゲーム市場ゲーム市場は、スマートフォン向けゲームと、PC・家庭用ゲーム機向けゲームに大きく分けられます。それぞれ市場の特徴や成長の方向性は異なります。 世界のゲーム市場は現在、約30兆円規模に達しており、その約半分をスマートフォン向けゲームが占めています。当社としても、引き続きスマートフォン向けゲームに注力してまいります。 一方、近年成長が見られるのがPC・コンソール市場です。市場規模は数年で約11兆円から約13兆円へと拡大しており、ゲーム業界のトレンドはコンシューマー市場です。 また、ゲームの海外展開を取り巻く環境も大きく変化しています。 Steamをはじめとするデジタルプラットフォームの普及により、日本で開発したゲームを世界中のプレイヤーに直接届けることが可能になりました。従来のように国ごとに商品を輸送し、店舗に並べる必要性も大きく減少しています。 こうした流通環境の変化は、日本のゲーム会社にとって、世界市場へ挑戦する機会を広げるものと考えています。 2. 日本のコンテンツ産業を後押しする国の取り組みゲーム市場の成長を後押しする動きは、民間企業だけにとどまりません。国も日本のコンテンツ産業の海外展開を重要な成長戦略の一つとして位置付けています。 日本のコンテンツ産業の海外売上は現在6兆円弱となっており、経済産業省は2033年に20兆円へ拡大する目標を掲げています。 これは日本の自動車輸出額に匹敵する規模です。 アニメやゲーム、音楽など、日本が持つコンテンツの魅力を世界に発信し、自動車産業に並ぶ基幹産業へと成長させていくことが、国の目指す方向性となっています。 市場の拡大に加え、国による支援も進むなか、海外市場は日本のコンテンツ企業にとって大きな成長機会となっています。 3. ケイブが追求する「ケイブにしかつくれない面白さ」こうした市場環境のなかで、当社が大切にしているのは「ケイブにしかつくれない面白さ」です。 当社は、弾幕シューティングゲームの開発を通じて、独自のゲーム性を追求してきました。 画面いっぱいに広がる弾幕を前に、最初は「避けられるのか」と感じても、プレイを重ねるうちに「避けられた」という達成感や快感に変わっていく。 気づけば「もう1回」とボタンを押しています。 こうした弾幕シューティングで培った独自性を生み出す力や開発のノウハウを、さまざまな作品へと生かしていきます。 プレイヤーが触れた瞬間に驚きを感じるゲーム性、思わず誰かに話したくなるキャラクター、何度でも戻りたくなる世界観。 「ケイブがつくると、こんなに面白くなる」と感じていただける作品を、一つずつ増やしていくことを目指しています。 4. 挑戦と規律を両立した事業運営新たな成長機会に挑戦するうえで、当社が重視しているのが、挑戦と規律の両立です。 新しい取り組みについては、まず小さく市場に投入し、お客様の反応を確かめながら、改善を重ねていきます。そのなかで手応えのあるものを見極め、成長につなげていきます。 足下の事業を着実に運営しながら、新たな可能性にも挑戦します。 5. ゲームから広がるIPの可能性ゲームの持つ可能性は、ゲームそのものにとどまりません。 人気IPのように、ゲームを起点として、カード、アニメ、映画、グッズなど、さまざまな分野へ展開することで、世代を超えて長く愛されるコンテンツへと成長する可能性があります。 当社としても、何年経っても多くの方に愛される作品を育てていきたいと考えています。 その出発点として、プレイヤーに「面白い!」と感じていただけるゲームを生み出します。 おわりにゲーム業界は成長しないのではなく、成長する領域が変化しています。 世界市場の拡大やデジタル流通環境の進化、日本のコンテンツ産業に対する国の後押しなど、当社を取り巻く環境には新たな成長機会が広がっています。 その最前線で世界の「もう1回」を創造します。 株主・投資家の皆様には、当社の挑戦が育っていく楽しみを、そしてプレイヤーの皆様には、次の作品との出会いを楽しみにしていただければと思います。 決算補足資料・決算説明およびQ&A動画はこちら詳細な資料はケイブIRサイトにて公開しております。 2027年 5月期 第1四半期 決算補足資料 2027年 5月期第1四半期 決算説明資料及び事前質問に対する回答 2027年 5月期 第1四半期 決算説明及びQ&A動画 コーポレートサイト・サービス URLリンクケイブの各種サイト・サービスへは以下よりアクセスしてください。 ケイブ URL:https://www.cave.co.jp/ 公式X:@cavegames 公式YouTube:https://www.youtube.com/@CAVEOfficialCh ゴシックは魔法乙女 ~さっさと契約しなさい!~ URL:https://gomaotsu.jp/ 公式X:@mahouotome_info 11周年特設ページ:https://promo.ghm.cave.co.jp/11th_anniversary/ 東方幻想エクリプス URL:https://gensoueclipse.jp/ 公式X:@gensoueclipse でらゲー URL:https://www.dxg.jp/ キングダム 乱 -天下統一への道- URL:https://www.kingdomran.jp/ 公式X:@KingdomRan サクセスプラス URL:https://sucplus.co.jp/ 公式X:@sucplus777 今後も、ケイブは機関投資家、個人投資家などあらゆる投資家の皆様に、フェアディスクロージャーを重視した取り組みとして、適宜適切な情報をお届けするとともに、より多くの皆様に当社をご理解いただく機会の創出を目指して、IR活動の活性化を図ってまいります。 引き続き、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

2027年度5月期 第1四半期 決算 公開のお知らせ|株式会社ケイブIR情報
こんにちは、ケイブのIR担当です。 2026年10月14日に、2027年5月期 第1四半期の決算発表を行いましたので、主なポイントをご紹介いたします。 決算説明資料、決算説明およびQ&A動画は、IRサイトで公開しております。 2027年5月期 第1四半期 決算のポイントこれまでの振り返り当社の株価は、業績の変動や業績予想の非開示が続いたことなどを背景に下落し、9月30日時点の今期予想PERは3.7倍と、情報通信業の中央値である14.3倍を大きく下回る水準となっております。 当社では、この背景の一つとして、業績の見通しにくさによるディスカウントが大きな要因の1つであると分析しております。 一方、7月の通期決算で今期の業績予想を開示した際には株価が上昇しており、株主・投資家の皆様に業績の見通しをお示しすることの重要性を、あらためて認識しております。 収益の予見性を高める取り組み当社は、収益の予見性を高めるため、以下の4つの取り組みを進めております。 通期業績予想の開示 今期より、期初に通期業績予想を開示しています。 事業ポートフォリオの整理 不採算タイトルの整理を完了し、業績の変動要因を前期に集約。今後は、中長期的に安定した業績が見込めるタイトルへ経営資源を集中。 AI活用による生産性の向上 専門家チームを組成し、AI活用プロジェクトを始動。業績への効果は、これから表れてきます。 事業管理体制の強化 事業管理チームを発足し、事業投資の審査を厳格化することで、リスク管理を強化。 2027年5月第1四半期 業績2027年5月期第1四半期の売上高は26億8,700万円となり、前年同期比2.3%の増収となりました。営業利益は5億5,500万円、経常利益は9億800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億5,900万円となり、いずれも前年同期の損失から黒字に転換しました。 大型IPとのコラボレーションやキャンペーン施策が奏功したことに加え、固定費の大幅な削減や外部課金決済の割合が増加したことで、営業利益は第1四半期として過去最高を記録しました。 第1四半期の業績進捗率通期業績予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.6%、営業利益が38.3%、経常利益が58.6%、親会社株主に帰属する四半期純利益が55.0%となり、順調に進捗しております。 一方、売上高については、コラボ施策やキャンペーン等による増収幅の不確実性が高いことから、業績予想の修正については、第2四半期以降の進捗を踏まえて適宜検討してまいります。 経済産業省「IP360」に採択経済産業省が所管するコンテンツ産業に関する補助金「IP360」において、当社が開発を進める新作ゲームが「海外展開支援」区分に採択されました。これにより、グローバル市場でのサービス展開のさらなる充実を目指します。 連結貸借対照表(BS)サマリ第1四半期末の総資産は90億4,600万円となりました。負債は長期未払金の減少などにより、前期末から10億300万円減少し、47億5,800万円となりました。 純資産は利益の計上により6億4,200万円増加し、42億8,700万円となり、自己資本比率は前期末比8.2ポイント改善し、35.5%となりました。また、現預金は前期末から3億2,800万円増加して55億8,900万円となり、財務基盤の改善が進んでおります。 EBITDAの四半期推移EBITDAは前年同期比10億9,600万円増加し、5億8,600万円となりました。 経常利益の四半期推移経常利益は9億800万円となり、四半期として過去最高を記録しました。 親会社株主に帰属する純利益の四半期推移 親会社株主に帰属する四半期純利益は6億5,900万円となり、でらゲー社買収後の第1四半期として最大の利益となりました。 決算補足資料・決算説明およびQ&A動画はこちら詳細な資料はケイブIRサイトにて公開しております。 2027年 5月期 第1四半期 決算補足資料 2027年5月期 第1四半期 決算説明資料及び事前質問に対する回答 2027年 5月期 第1四半期 決算説明及びQ&A動画 コーポレートサイト・サービス URLリンクケイブの各種サイト・サービスへは以下よりアクセスしてください。 ケイブ URL:https://www.cave.co.jp/ 公式X:@cavegames 公式Youtube:https://www.youtube.com/@CAVEOfficialCh ゴシックは魔法乙女 ~さっさと契約しなさい!~ URL:https://gomaotsu.jp/ 公式X:@mahouotome_info 11周年特設ページ:https://promo.ghm.cave.co.jp/11th_anniversary/ 東方幻想エクリプス URL:https://gensoueclipse.jp/ 公式X:@gensoueclipse でらゲー URL:https://www.dxg.jp/ キングダム 乱 -天下統一への道- URL:https://www.kingdomran.jp/ 公式X:@KingdomRan サクセスプラス URL:https://sucplus.co.jp/ 公式X:@sucplus777 今後も、ケイブは機関投資家、個人投資家などあらゆる投資家の皆様に、フェアディスクロージャーを重視した取り組みとして、適宜適切な情報をお届けするとともに、より多くの皆様に当社をご理解いただく機会の創出を目指して、IR活動の活性化を図ってまいります。 引き続き、ご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

【IR Monthly Report】2026年10月
みなさま、こんにちは!スパイダープラスIRチームの石田です。 スパイダープラス株式会社の1カ月分振り返る【IR Monthly Report】、 2026年10月号です! 【決算説明会の開催決定】元リリースはこちら11月12日(木)にFY2026.Q3の決算発表、同日19時から決算説明会の開催を予定しております。 どなたでもご参加いただけますので、みなさまのご参加をお待ちしております。 事前質問の受付も開始しています。 https://forms.gle/2BHo3BtssCBPNKS46 【次世代育成プロジェクト「みらプロ」事例公開】福島で実施した、建設業の未来を担う人材を育成する「未来人材プロジェクト」について、記事が掲載されました。 三浦電気工事様、勿来工業高校、当社の三社連携による、建設DX体験授業の様子が紹介されています。 東北で初事例 未来の"つくる人"を在学中から支える「未来人材プロジェクト」について記事掲載のお知らせ | スパイダープラス株式会社スパイダープラス株式会社は、2026年9月30日に福島県立勿来工業高等学校(福島県いわき市)で、三浦電気工事株式会社(福島spiderplus.co.jp 以上、スパイダープラスの1ヶ月分を振り返る【IR Monthly Report】の2026年10月号でした。 今月12日(11月12日)のFY2026.Q3決算発表と、同日19時からの決算説明会を予定しております。決算説明会では多くの皆様にご参加いただけることを、心よりお待ちしております! 引き続きスパイダープラスのIR note、よろしくお願いいたします。 *【IR Monthly Report】に関する注意事項 本記事は、情報提供のみを目的として作成しています。本記事は、日本、米国、その他の地域における有価証券の販売の勧誘や購入の勧誘を目的としたものではありませんのでご留意ください。

ユナイテッドアローズ 月次売上概況(速報)-2026年10月
概況10月は全社売上高前期比100.7%、小売+ネット通販既存店売上高前期比97.7%となりました。 主要都市で観測史上最も遅い夏日を記録するなど気温の高い日が続き、冬物アウターを中心とした重衣料の動きが鈍く、小売+ネット通販既存店売上は前年同月を下回りました。 なお、当月は前年同月に比べて休日が1日多く、小売+ネット通販既存店売上高前期比に対して1.5pt程度のプラス影響があったと推測されます。 速報数値には収益認識基準変更の影響は含まれておりません。収益認識基準変更の影響は確報値に反映され、速報値から数ポイント程度下がります。 2026年9月の確報値では、速報値に対して全社売上が2.3pt、小売+ネット通販既存店売上が2.4ptのマイナスとなっています。 アイテム動向冬物の動きは遅かったものの、シャツ、ニットなどの秋物需要は堅調に推移しています。 メンズ ヒットアイテムウィメンズ ヒットアイテム投資家からいただいた主なご質問Q.小売、ネット通販ともに前年の売上を下回っている要因は? 前年は10月中旬以降の気温低下に伴い冬物の売上が大きく伸長しましたが、今年は高温が続き冬物需要の引きあがりが遅れました。その結果、小売・ネット通販ともに前年実績を下回りました。一方で秋物販売は堅調に推移し、前年を上回っています。 Q.インバウンドの売上動向は? 全体実績が苦戦するなか、インバウンド売上は前年比107.3%と引き続き前年を上回って推移しました。単体売上に占める構成比は4.5%です。動向は継続しており、中国からのお客様による売上は前年を下回りましたが、その他地域のお客様による売上拡大がこれを補い、全体として成長を続けています。 詳細は、当社IRサイトをご覧ください。 月次売上概況 | IR情報 | TABAYA ホールディングス 企業サイト(TABAYA HOLDINGS)TABAYA ホールディングス(TABAYA HOLDINGS)の企業サイトです。月次売上概況を掲載しています。www.tabaya-holdings.co.jp
編集部のイチオシ記事
グッドパッチのメンバーが執筆したnoteや、グッドパッチに言及されている記事の中で、編集部が「これだ!」と思ったものを集めました。

AI時代だからこそ「人間力」を掲げる。グッドパッチが280人でバリューを問い直した1年間
グッドパッチは2026年に創業15周年を迎え、コーポレートサイトとブランド表現をリニューアルしました。 同時に、全社員の価値観・行動指針である「コアバリュー」を再策定しました。私たちがバリューを策定するのは、2018年以来、2回目です。今までも大切にしてきたカルチャーを引き継ぎながら、新たに6つのバリューが生まれました。 この記事では、バリューを問い直した背景とプロセス、そして新しいバリューの内容をご紹介します。 なぜ今、自分たちのバリューを問い直すのか2026年、グッドパッチは創業15年を迎えました。 2020年にデザイン会社として初の上場を経て、組織は大きくなり、働く社員の経歴もより多様になりました。 何より大きな外部環境の変化として、AIが現れました。 生成AIによって、それなりに整ったアウトプットやプロトタイプ、合理的な答えは、誰でもすぐに出せる時代になりました。 「AIがデザインする時代に、デザイン会社の未来はどうなるのか」 多くのデザイナーは、こうした感情に直面したのではないでしょうか。 グッドパッチが組織とカルチャーの崩壊を経て、5つのバリューを策定したのは2018年のことです。市場の前提がAIによって変わり続ける中で、8年前の価値観を掲げたまま、これからも成長し続けることができるのかーー。今回のバリュー問い直しは、そんな問いから始まりました。 カオスな時代に、グッドパッチが次のステージへ進むための挑戦として、カルチャーの問い直しを始めたのです。 15期目を迎える前に、さまざまな問い直しを宣言した、グッドパッチ代表土屋の当時の心境はこちらのnoteでご覧いただけます。 8年前と同じ問いに、もう一度向き合うかつてグッドパッチは、組織の急激な拡大と成長の過程で、カルチャーの崩壊と再構築を経験しました。 2018年にバリューを再構築した際は、全社員をオフィスに集め、ワークショップで次のような問いを投げかけました。 Vision / Missionを達成するために、維持するべきことは何か? 変えなければならないことは? 新しく取り入れるべきことは? 今回、私たちはこれとまったく同じ問いを、現在の全社員に投げかけることにしました。 8年前と同じ問いに、いまのグッドパッチはどう答えるのか。その差分にこそ、自分たちの成長のためのヒントが詰まっていると考えたのです。 1,000件を超える全社員の声から見えたこと有志社員によるバリュー策定チームを組成し、全社アンケートから始まり、社内ヒアリング、そして全部署でのワークショップを実施。 「知らないところで知らないうちに決まっていた」という事態にならないよう、社員一人ひとりが自分の考えを言語化した上でチームと議論し、全部署それぞれの見解をまとめてもらいました。 集まった声は、1,000件を超えました。 新たに取り入れたい要素は 「人間力」が最多だった 最初に実施した個人単位のアンケートでは、誠実さ、利他、リスペクトといった「人としてのあり方」に言及する意見は、多くはありませんでした。 しかし、チームのワークショップで対話を重ねるうちに、「人間力こそ意識的に磨くべき」という声が、どんどん大きくなっていきました。 一人で考えている時には埋もれていた価値観が、誰かと対話することで「やっぱりこれが大事だよね」と発掘され、新しいバリューを生むきっかけになりました。 「Whyから考える」は、議論を重ねるほど強くなった 最も多くの社員が「これからも維持したい」と答えたのは、「Whyから考える」という姿勢でした。 理由はどのチームもほとんど同じでした。「AIが手段を代替する時代では、本質やビジョン、Whyを見つける工程こそ人にしかできないから」というものです。 問い直して生まれた6つのバリュー全社員の声と、経営陣・有志メンバーによる議論を経て、6つのバリューが生まれました。 問い直しを経て生まれた6つのバリュー01 Drive with Why|Whyで動かす 人の心を動かし、事業を前に進めるためには、共感できるWhyが必要だ。なぜ、いま目の前にある仕事に取り組んでいるのか?目的は?信念は?意義は?ストーリーは?表面に見えている依頼や課題に応えるだけで終わらず、その奥に埋もれた、まだ言葉になっていない価値を掘り起こそう。強いWhyは、自分を動かし、チームを動かし、事業を動かす。 02 Go Beyond|領域を超えよう ひとつの領域にとどまらず、異なる領域が混じり合うことで新たな価値が生まれる。越えるのは、職種や会社の枠だけではない。昨日までのやり方や成功体験、そして時代の変化そのものだ。変化の最前線に立ち、領域を超え続けることで成長しよう。より大きなインパクトのある仕事をするために。 03 Commit as One Team|ワンチームでコミットしよう 高い当事者意識を持つプロフェッショナルがひとつのチームになることで、世の中にインパクトを残す仕事ができる。クライアント、パートナー、そしてグッドパッチもチームだ。一人ひとりがチームに当事者意識を持ち、課題を自分ごと化して向き合うことで、代替されない信頼関係や価値が生まれる。誰かが動いてくれることを待つのではなく、主体的に貢献しよう。偉大な事業は、偉大なチームから生まれる。 04 Craft the Wow|こだわりと遊び心でWowを生み出す Wowを生むために、こだわりと遊び心を持とう。平均点のアウトプット、合理的な答えは、誰でもすぐに出せる時代になった。多くの人が気づかない本質を掘り当て、誰も思いつかないような角度から、痛快な第三案を提案することを目指そう。つくることを超えて、価値を残すことを目的にしよう。人の感動は、期待や想像を超えた先にある。 05 Design as Business|良いデザインで良いビジネスを作る デザインの力を証明するためには、ビジネスによい影響をもたらすことが必要だ。グッドパッチのデザインは、ビジネスを支えるだけではなく、変革をリードするものでなければならない。アウトプットで終わらず、事業成果と未来へ続く資産を残そう。社会におけるデザインの価値を高めるために。 06 Lead with Humanity|人間力でリードする AIが合理的な答えを出す時代には、人として信頼され、愛される力が必要だ。不確実で正解のない状況でも、人と向き合い自分の意志で判断し、コトを前に進める。非合理な選択を、正解にするためにアクションし続ける。自分の不完全さや失敗を、勇気を持ってオープンにする。「他の人ではなく、あなたと働きたい」と思わせるような人間力と、トンガリを極めよう。 6つのバリューを、日々の業務レベルで行動に落とし込むための「Do's and Don'ts」も言語化し直しました。 全文は、グッドパッチの採用サイトでご覧いただけます。 グッドパッチのバリュー(価値観)|Goodpatch グッドパッチ採用サイトグッドパッチのバリュー(価値観)について、詳しくご説明しています。careers.goodpatch.com AI時代にあえて「人間力」を掲げる理由グッドパッチは、全社・全職種がAIをフル活用し、自分たちの業務や組織の変革に取り組み続けています。 グッドパッチ経営陣のAI変革|Goodpatch | 株式会社グッドパッチ|noteグッドパッチの経営陣が、AIで業務や組織を変革した事例を集めました。全社へのAI導入にはじまり、採用、労務、経営企画、IRnote.com だからこそ、新たなバリューとして「人間力」を掲げました。「Lead with Humanity 人間力でリードする」は、いわばAI時代の逆張りのバリューです。 「人間力」という言葉は、人によって受け取り方が異なります。実際、社内で議論したときにも、解釈が分かれました。 私たちが定義する「人間力」とは、ただ人当たりがいいことや、コミュニケーション能力が高いことを指すものではありません。 グッドパッチが考える人間力とは、正解がないカオスな状況でも、判断を他人やAIに委ねず、実行までをやり抜くこと。 失敗や葛藤といった、人間らしい不完全さをオープンにする勇気を持つこと。 「他の誰でもなく、あなたとだから仕事がしたい」と思わせるような持ち味があること。 仕組みの構築はAIに任せ、グッドパッチのメンバーは、人として選ばれ、愛されるために、人間力を磨こう。新しいバリュー「Lead with Humanity 人間力でリードする」には、そんな想いを込めました。 バリューを本当の意味での文化に昇華するバリューは、策定してからが本番です。絵に描いた餅で終わらないよう、デザイン会社らしいやり方で、自分たちの文化をより強いものにしていく予定です。 バリューを体現した行動が積み重なって、カルチャーになる。そしてカルチャーそのものが、AI時代にグッドパッチが選ばれ、愛され続ける理由になると信じています。 今回のアップデートに込めた思いをつづった、CHRO 井出のnoteもぜひご覧ください。 遠回りに見えても、全員を巻き込んで価値観を問い直し、言葉にしていく。 それが、かつて行動指針の浸透失敗や、組織崩壊を経験したグッドパッチが学んだことでした。 今回のバリュー問い直しも、日々の業務がある中で、メンバーがグッドパッチの未来を本気で考え、言葉にしてくれました。新しい6つのバリューは、全社員の声の積み重ねからできています。 グッドパッチは、人間力で選ばれるデザインカンパニーとして、愛される体験のサービスやブランド、ビジネスを生み出すことに取り組んでいきます。 そのために、新たな仲間の募集も引き続き全方位で続けています。 グッドパッチに興味を持ってくれた方は、ぜひ採用サイトからご連絡ください。カオスを楽しみながら、一緒に未来をつくっていきましょう! Values|グッドパッチ採用サイト Vision / Mission / Values|グッドパッチ

AI時代の”カオス”を、共に乗りこなす。15周年を迎えるデザイン会社と挑んだ総力戦— 株式会社グッドパッチ様 | Behind the Voltage #Vol.04
Project OverviewOverview 株式会社グッドパッチ様の、設立15周年・上場5年という節目に合わせたブランディングプロジェクトです。ブランド戦略・デザイン戦略・コピー企画から、固定ページ60ページ以上の大規模コーポレートサイト、15周年記念サイト、15周年映像、15周年ミニゲーム、そして、キャラクターデザインまでを一貫して担当しました。 依頼の起点はコーポレートサイトのリニューアルでした。しかし我々は要件に留まらず「このリニューアルを通じて新たな最高到達点を見出しませんか」という提案からプロジェクトを始めています。結果として生まれたのは、コーポレートコンセプト『Design to envision』と、15周年コンセプト『Charge, Chaos』という2つの言葉でした。 Client 株式会社グッドパッチ様は、2011年創業のデザイン会社です。デザイン会社として初めて上場を果たし、表層のスタイリングにとどまらず、プロダクト・新規事業開発、経営戦略、組織開発のデザインまでを手がけてきました。2026年9月に設立15周年、そして上場5年を迎えます。 Challenge コーポレートサイトのリニューアル。ただし節目のタイミングであり、上場前から長く使われてきたコンセプト『Design to empower』をどう扱うかという論点が背後にありました。加えて、AIによる産業構造の変革がデザイン業界を直撃していた時期でもあります。サイトを新しくすることではなく、この時代にグッドパッチ様が何を掲げるのかを定めることが、本質的な課題でした。 要件はサイトリニューアル。それでも「WHY」から始めた2週間で4回のヒアリング・提案お問い合わせをいただいたのは2025年12月頃。2026年9月に設立15周年と上場5年を迎えるという大切なタイミングに、「今勢いのある制作会社」としてファンテックを選出いただき、商談に至っています。商談の始まりは、グッドパッチ様のサイトにも掲げられている「WHYの奥にある強い想い」を探るところからでした。 グッドパッチ様旧コーポレートサイトより引用要件を確認するだけでは終わらせず、なぜ今リニューアルをするのか、これまでの創業ストーリーはどうだったのか、それを経て今何を課題と捉えているのか。一見サイトリニューアルには関係ないように思われる問いかもしれません。 しかし深層にある本質、根源となるものを見定めないと、真に良いプロジェクトにはなりません。特にWHYを重要視するグッドパッチ様であれば尚更だと考え、熱量を注いでヒアリングを重ねました。 提案までの2週間で、合計4回のヒアリング兼ご提案を実施しています。オフィスが目の前にあったことから、すべて対面で伺いました。 依頼の枠を超えて、「新たな最高到達点」を提案する このプロジェクトの依頼は、紛れもなく「コーポレートサイトリニューアル」でした。しかし我々は、このコーポレートサイトリニューアルを通じて「新たな最高到達点を見出しましょう」と、デザインの枠を超える提案をさせていただいています。 初回ご提案の時のプレゼン資料のスライド要件をそのまま受け取ることは、短期的には効率的です。しかしファンテックのブランディングにおいては、その要件自体が本当に解くべき課題なのか、本質は別のところにあるんじゃないかと疑うところから始めています。 後日の会食で、代表の土屋社長に選定理由として挙げていただいたのは次の点でした。 要件をそのまま受け取り提案をするのではなく、何回も足を運び、自分たちが大切にしている「WHY」をヒアリングして提案をしてくれたこと。提案内容にも高い熱量を感じたこと。 新入社員研修に参加するところから、プロジェクトは始まったプロジェクトの実質的なスタートは、2026年1月の新入社員研修への参加でした。上場企業としてデザイン業界を牽引してきた大先輩であり、学ぶべきことが多いと感じながら参加させていただきました。 研修の中で、これまでのグッドパッチ様の変遷、そしてVision・Mission・Valuesについて深く理解していきました。ブランドの言葉をつくる側が、その会社が社員に何をどう語っているかを知らないままでは、掲げる言葉に説得力が生まれないと考えたためです。 3~4ヶ月、100ページ超。莫大な情報量と時間を費やしたコンセプト設計 企画戦略を組む際は、風呂敷を大きく広げて、あらゆる視点からグッドパッチ様の分析を行いました。 これまでの歩みと今取るべき戦略、現状の営業戦略、マーケティング戦略、カルチャー、これまでの周年コンセプト、そして今の時代背景を踏まえて15周年で掲げるべきテーマの考察。こうした検討を経て、キーコンセプトを導き出しています。 期間にして3~4ヶ月。コンセプトが固まる前までの資料は100ページを超えました。 膨大な情報整理とコンセプト提案までの工程膨大な情報整理の中からコンセプトを導くことで、「なんとなくこれがいい」での意思決定を避け、プロジェクトメンバー全員の同意を得た上で力強くプロジェクトを進める礎ができました。 「Design to empower」を超える新コンセプト上場前から長く使われてきた『Design to empower』。組織に既に浸透しているコンセプトを変更するのは、かなり難易度の高いお題でした。 旧サイトのファーストビュー数多の案を出す中で光ったのが「Envision」というワードです。Envisionとは、「まだ存在しないものを、心の中に見えている状態にすること」。 新コンセプト『Design to envision』この言葉を選んだ背景には、AI時代という文脈がありました。 AI時代に民主化されるものと、されないもの 「Empowerment」、つまり前進するための武器をつくることは、これから民主化されていきます。ツールは行き渡り、誰もが力を持てるようになる。 一方でAIにできないのは、「どんな未来が望ましいか」を望むことです。 15周年総会で代表の土屋さんが発表していたスライドの内容グッドパッチ様は従来、表層のスタイリングとしてのデザインではなく、深層のWHYからデザインすることを続けてきました。そして今やデザインの提供幅は、組織開発や新規事業開発、経営戦略など、顧客の未来自体をデザインする領域にまで至っています。 こういった本質的な意味でのデザインを提供してきた強みは、AI時代だからこそ光っていきます。 未来を望む仕事が、グッドパッチ様の仕事なのだと。 その意味合いとして『Design to envision』を提案しました。 15周年のテーマに「カオス」を選んだ理由次に検討されたのが”15周年”のコンセプトです。我々が提案させていただいたのは、『Charge, Chaos』。 15周年コンセプト『Charge, Chaos』15周年を迎えるにあたって、一番大きな社会現象は「AIによる産業構造の変革」でした。デザイン業界にとってはネガティブな話題が続き、事業環境の厳しさが語られる状況にありました。 そんな中、グッドパッチ様の社内では、土屋社長による「Claude Code大号令」が発令されていました。 詳細は別途公開される記事をお読みいただきたいところですが、組織全体でこれだけAIの活用が浸透している例は、ファンテックがこれまで見てきた中でも稀でした。 こういった新しいことへの素早いチャレンジ、AI時代というカオスを楽しむ姿。そして振り返れば、創業から数多のカオスを乗り越えて今があります。グッドパッチ様は、常に巨大な波に挑み続け、カオスを力に変え、楽しみながら乗りこなしてきた組織です。 そこで「充填する」「蓄える」、つまり「力に変える」を意味し、同時にサーフィン用語で「巨大な波に挑む」を意味する「Charge」を起用しました。 自らカオスをつくった制作フェーズ初期の制作要件は、コーポレートサイト、15周年サイト、そして15周年映像でした。 そこに加えて、より良いアウトプットを生み出すため、キャラクター制作や15周年サイトに組み込む映像など、普段のファンテックの制作体制に見合わない追加制作を自主提案しています。 当然ですが、結果として、制作チームにおいても自らカオスをつくり出すことになりました。 制作中のチームの様相はまさにカオティックでしたが、私たちもこのカオスを乗りこなすことで、大きな何かを手に入れたかったのかもしれません。全力でコミットし、メンバーのほぼ全員が稼働して取り組んだ一大プロジェクトとなりました。 コーポレートサイト|60ページ規模を、完全AIエージェント実装で 固定ページ60ページほどの規模のサイトリニューアルを、フルAIエージェント実装(AIエージェントがコードを書き進める形での実装体制)で構築しました。 デザインに2~3ヶ月、実装に3ヶ月ほどの制作配分です。他のクリエイティブと同時進行しながらの、ファンテックとしては大規模なプロジェクトでした。 KV(キービジュアル)の演出では、次のメッセージを具現化しました。 当初作成したコンセプトデモ映像 プロジェクトの根っことなるWHY、そのさらに奥にある本質的な価値を発見するためには、何層にもまたがる奥深い深層レイヤーまで、あらゆる角度の視点で見定め、発掘していく。発掘した本質的な価値は感情的なもの、想いである。 まさにグッドパッチ様がプロジェクトに取り組む姿勢、大切にしていることを表現しています。速い動作のアニメーションでありながら、奥深い想いが反映された意味性のあるアニメーションになるよう心がけました。 コーポレートサイトのベースデザインはシンプルに、大袈裟な演出はマイナスし、細かな動きに配慮しています。 デザイン会社といえばクリエイティビティに尖っていく会社も多くありますが、グッドパッチ様は多くのエンタープライズ企業とビジネス変革のプロジェクトを進める「上場デザイン会社」です。そのキャラクターを捉え、クリエイティブブティック的な見え方に寄りすぎないよう、シンプルさや愛嬌とのバランスを取りました。 その上で、キャラクターを要所で登場させ、キャッチーな演出を取り入れ、「合理だけでは捉えきれない、心を揺さぶられるもの、非合理なことに挑む姿勢」も表現しています。 15周年サイト|1ページに詰め込んだ、カオスを楽しむ仕掛け 1ページ+ギャラリーページというコンパクトな構成ですが、数サイト分の演出を入れ込んだ作品です。こちらもフルAIエージェント実装です。 『Charge, Chaos』のテーマにふさわしく、キービジュアルからカオス全開。このAI時代というカオスを楽しむ姿勢を描き切りました。 社員さん自作のアプリギャラリー 社員さん自作のアプリ・サービスギャラリートップビューからメッセージへと続き、キラーコンテンツとして置いたのは、グッドパッチ様の社員の皆様がClaudeを用いて自作したAIアプリのギャラリーです。実際に制作された200件以上のアプリケーションの中から、有志で公開希望をいただいた40名ほどの作品を展示しています。 15周年を振り返るミニゲーム 公式キャラクター「ぱっちー」と15周年を振り返るクイズゲームもう一つの目玉コンテンツは「Goodpatch’s 15-Years Chaos Journey」です。 このコンテンツも、素材も実装もファンテックの非エンジニアメンバーがAIを用いて制作しました。AI時代というカオスを楽しみつくす姿勢を、とことんAIで表現しています。 グッドパッチ様の15年間で起きたディープな内容をクイズにしていますので、ぜひキャラクターの「ぱっちー」とお楽しみください。 まだまだ、目白押し演出・コンテンツがたくさん! キービジュアルはキャラクターの手で捲り上げられたり、可愛いキャラクターアニメーションも満載。コンテンツ面では後術するコンセプトムービーはもちろん、貴重な対談映像コンテンツも掲載されます。 目白押し演出やコンテンツが満載すぎる15周年サイト。1ページサイトとは思えない手数で作り込んでいます。 アセット生成には相当量のAI活用をしていたりしますが、体験の質を上げるために人の手でテスト・再生成を繰り返し、クオリティを上げています。 とにかく手数勝負のカオスな表現。ファンテックチームも本当に楽しみながら、このカオスな制作を乗り切りました。 15周年映像|「そのまま説明してしまう」という結論 15周年のコンセプトである『Charge, Chaos』を感覚的に感じられるコンセプトムービーにしたく、AI時代というカオスの波をプレイフルに乗りこなしていく、疾走感のある映像を目指しました。 前述の通り、『Charge』には二つの意味を込めています。一つはサーフィン用語としての「巨大な波にひるまずに挑む」、つまりAI時代というカオスに臆せず立ち向かっていく挑戦的な意味。もう一つは「過去のカオスな出来事の数々も、それを乗り越えるたびに力に変えてきた」という、蓄えるという意味です。 15周年サイトでは前者が色濃く出ている一方で、映像ではサーフィン用語としての『Charge』をより前に出すために、これまでグッドパッチ様が歩んできた過去の歴史を振り返っています。 しかし普通に過去を振り返っても面白くありません。 「面白さ」と「事実や時系列の正確さ」の板挟みの中で、抽象化と具体化を何度も行き来して構成を練り直しました。一見するとスマートに見える「なるほどね」と言えるような演出も数々考えましたが、どうにも小賢しく感じ、「グッドパッチ様がこれまで歩んできた15年間はもっと泥臭く、カオスで、タフだったはず」とあれこれ試行錯誤した結果、最後にたどり着いたのは「もうそのまま説明しちゃえ!」でした。 AI時代を乗りこなすデザイン会社として、AIを使える箇所ではあえて「分かりやすい」くらいに積極的に利用しています。 特にナレーションでAIを採用するという選択は、周年映像のような企業VP(企業が制作するプロモーション映像)ではまず採用されないであろうもので、これがプレイフルさとカオスを助長してくれたと考えています。 明るくカオスなビジュアルと疾走感のあるテンポで過去を振り返り、これからのグッドパッチ様のAI時代に対する姿勢を見せる「楽しいカオス」を映像全体で表現しました。 キャラクター|「見つける」から「届ける」へ変えた尻尾の風船 「キャラ作りたいんですよね」という一言から、キャラクターデザインもご提案しました。 15周年を機に生まれたグッドパッチ公式キャラクター「ぱっちー」新しいモノやコトが好きで、興味が湧くものが見つかると体が勝手に動いてしまうような多動性を感じるキャラクター「ぱっちー」です。 ただアクティブなだけではなく、失敗することはあっても常に前向きで信頼感の持てるパートナー。そんなムードを感じられるビジュアルを目指しました。 動くと可愛さがどんどん増すぱっちー。着ぐるみなので着せ替えもできちゃいます。 ちなみに、尻尾の風船は「新しい価値」を届けるための装置です。 新しい価値を見つけると光るハートの風船、ちぎって手渡しできる。当初はゴーグルなど、「見つける」ことに紐づいたモチーフで考えていました。グッドパッチ様が大切にしている「まだ誰も気付いていない価値に光をあてる」という考え方を投影するためです。 しかし途中で「価値を見つけるだけではなく、デザインというフィルタを通じて見つけた価値を届けることにグッドパッチ様らしさがある」と考え直し、見つけた価値を届けるというテーマ性を持つモチーフとしてハートの風船を採用しました。 AI時代のカオスを、共に乗りこなす前述の通りカオスな制作でしたが、「このカオスをグッドパッチ様と一緒に乗り越えることで、ファンテックも数段強いクリエイティブ会社になれる」そう確信してやり切りました。 AI時代真っ只中でのリニューアルということで、今回の制作はサイトからゲーム、映像に至るまで、AI駆動を前提に組み立てています。ただし、人の熱量、作り込み、磨き込みは徹底し、AIに全てを委ねないハイブリッド型で。AI時代の最前線を駆け抜けるグッドパッチ様にふさわしい構築方法になったと感じています。 (AIを活用した制作工程の詳細は、別途クリエイターの記事としてまとめる予定ですのでお楽しみに!) 実は、ファンテックのAI活用がこれだけ進んだ理由の大きな一つに、今回のグッドパッチ様とのプロジェクトがあります。土屋社長をはじめとする皆様がAIを本気で活用し、楽しみ、前進する姿を目の当たりにし、ファンテックも本気でAIに向き合う取り組みを進められました。 デザイン業界に激震を与えたAI時代というカオスを、共に乗りこなす。人の力でAIを使いこなし、人の熱量で心揺さぶるプロジェクトを推進していく。そういった根っこの部分から共鳴し、互いが熱量高く取り組むことができたプロジェクトだったと思います。改めて、ありがとうございました! Project Informationクライアント: 株式会社グッドパッチ様 プロジェクト期間: 2026年1月〜2026年8月末 制作物: ブランド戦略・デザイン戦略・コピー企画 コーポレートサイト制作(固定ページ60ページ以上) 15周年サイト制作 15周年ゲーム制作 15周年映像制作 キャラクター制作 CreditClient Goodpatch Inc. Output Goodpatch コーポレートサイト https://goodpatch.com/ Goodpatch 15th Anniversary Site https://goodpatch.com/15th Goodpatch 15th Anniversary Concept Video https://youtu.be/x5_8l0iUP8Y?si=b7nSfU73x0KChwZu Team FunTech 戦略・コンセプト開発フェーズ Strategic Planning / Concept Design OHTA Yoshitaka MATSUMOTO Kensuke Creative / Art Direction OHTA Yoshitaka コーポレートサイト制作 Creative / Art Direction OHTA Yoshitaka Concept Copy Writing OHTA Yoshitaka Design / Motion Design MORIYA Futo Frontend Development / Motion Design HASHIMOTO Takuma JOKURA Roku 3D Modeling Terence De Vries Quality Assurance TANAKA Yuki 15周年サイト制作 Creative / Art Direction OHTA Yoshitaka Concept Copy Writing MATSUMOTO Kensuke Design / Motion Design KARIYA Yuya Frontend Development / Motion Design HASHIMOTO Takuma 15周年サイト内ミニゲーム制作 Creative / Game Design OHTA Yoshitaka Game Asset Design KARIYA Yuya Development OHTA Yoshitaka 15周年コンセプトムービー Creative / Art Direction MATSUMOTO Kensuke OHTA Yoshitaka Design KARIYA Yuya Video Production KONDO Naoyuki キャラクターデザイン Creative / Art Direction MATSUMOTO Kensuke Character Design HORINO Junpei 3D Modeling Luis Antonio Bermúdez González ファンテックにご興味のある方へサービス内容や実績はコーポレートサイトや公式Xからご覧いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。 コーポレートサイトはこちら FunTech inc. | Creativity is “ROMAN”FunTech(ファンテック)は、「クリエイティブをひたすらに“楽しむ”」飽く無き好奇心・経験を通じた超属人的メソッドと、www.funtech.inc ファンテックをより深く知るならこちらもチェック :コーポレートアイデンティティ特設サイト FUNTECH BRAND IDENTITY設立10周年を機に刷新したFunTechの新たなコーポレート・アイデンティティ。Vision・3つのWay・ロゴに込めた「ci.funtech.inc ファンテックでは今絶賛採用も強化中です! 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ひとりで、Claude Codeを使ってスナックの顧客管理アプリを作りきった話
スナック向けのアプリを作ってみたこんなアプリ作ったんだけど、もうあなたたちのボトルを探す手間ないのよ これは、金沢市のスナック「Smile Store」のママあゆさんが、常連のお客さんに向かってちょっと得意げに言っていた言葉です。 その「アプリ」はSmile Storeの顧客管理アプリのことです。 5月、私はあゆさんのお店向けに、新規のお客さんも、これまでのお客さんも、その場でさっと情報を確認できるアプリを納品し、実際に使ってもらえるようになりました。 自分のつくったものが、現場で誰かの自慢になっているのは結構嬉しいものです。 私は現在サービスデザイナーとして活動していますが、コードは書いたことがありません。 正確には、新卒研修でC言語をやったことはあるのですが、作業スピードはいつも最下位クラスでした。 なんなら、UIデザインも、ほとんどできません。Figmaも3時間くらい練習したことはありますが、それっきりです。 どちらかというと私は、営業・企画・PM・UXデザインに関わってきた人間です。 そんな私が、Smile Storeのためのアプリを、ママへのヒアリングから始まり、コンセプト定義、画面のデザイン、動くアプリの実装、リリースまで全部ひとりでやりきってみました。(途中でエンジニアの方からアドバイスもいただきました) ただ、AIに「いい感じにつくって」と丸投げしたわけではありません。 むしろ逆で、誰のための、何のためのアプリなのかを定義して、情報設計をして、画面の構造を考えてからAIにデザインしてもらいました。いわゆる「上流」を整理してからClaude Designに依頼したら、ほぼ完全に意図したUIが出力され、手戻りは防げました。 この記事では、私が実際に何をしたのかを、つまずいたところも含めて、すべて紹介していきます。 きれいな成功談ではありません。迷ったこと、やり直したこと、大きな学びなど、できるだけ正直に書きます。 正直なところ、リリース後に致命的なミスもしています。 それでも、ひとりのデザイナーである程度はできました。 「私にもできるかもしれない、やってみよう」と思えるきっかけになればうれしいです。 あの人、誰だっけ?はじまりは、あゆさんからの相談でした。 あゆさんは、金沢市でスナック「Smile Store」を営みながら、バンド活動も続けている方です。接客のキャリアは長く、お店ではいわゆるベテランのママさんです。 Smile Storeの店内イメージ、ピンク系で統一されていて明るい雰囲気なお店ですそんなあゆさんから、「お客さんの情報を、もっとちゃんと残せるようにしたい」という話をもらったのが、今回のきっかけでした。 スナックという場所は、ほんとうに「人」で成り立っています。 誰がどのボトルをキープしているのか。どんな話題で盛り上がるのか。逆に、どんな話には触れないほうがいいのか。 そういう細かな記憶の積み重ねが、「またあの店に行きたい」という気持ちにつながっています。 ところが、その大事な情報は、お店のあちこちに散らばっていました。 会計は紙の伝票で切り、ボトルキープは棚のボトルに手書きの名札を貼って管理する。お客さんの好みやエピソードは、あゆさんの頭の中。 つまり、デジタルに残っている情報は、ほとんどありませんでした。 そんななかで、唯一の例外がClaudeでした。あゆさんは営業を終えた明け方、その日のできごとを打ち込んで、日次のサマリーとして残していました。(これを2年前からやっているので、大分すごいと思いますが……) とはいえ、それらの情報はつながっていません。伝票と、頭の中と、Claudeのログ。どこに何があるのかは、あゆさんにしかわかりません。 そこに、もうひとつの変化が重なりました。 半年ほど前、あゆさんは2軒目のお店「Smile Store B面」を開きました。そして、業界未経験のスタッフ、かほさんを雇いました。 すると、情報の「かたより」が、はっきりと形になって現れました。 片方には、長年の記憶をたっぷり持つベテランのあゆさん。もう片方には、ほとんど知識がないまま接客に立つスタッフのかほさん。 しかも2つのお店は別の場所にあるので、隣で見ながら覚える、いわゆるOJTも成立しづらい状況でした。 あゆさんは「自分が休みのときでも、お店のことが気になっちゃう」と話していました。 これはきっと、ベテランの頭の中を新人に引き継ぐための仕組みづくりなのだろうな〜と思っていましたが、 「この前来たお客さん、誰だっけって、私でもなるのよ」 とあゆさんも言っていました。考えてみれば当たり前のことで、どれだけ経験があっても、人の記憶には限りがあります。 ちなみに、見た目のイメージは初回の擦り合わせの時点で、StitchやGemini Canvasでその場でイメージを作って、「ボトルキープとか、確かにいいよね〜」みたいに方向性は確認していました。 Google Stichでどんなアプリにしていきたいか その場でイメージを擦り合わせこのように初期の粗いプロトタイプをその場で作ってみせながら、どうやって2人の課題を解決するアプリを作っていこうか考えてみました。 誰のための、何を解決したいか「誰のためのアプリか」がはっきりしないまま機能の話を始めても、たぶんうまくいきません。 そう思って、私はまずあゆさんとかほさんの2人が毎日どんなふうに働いていて、どこで困っているのかをひたすら聞くことから始めました。 最初に聞いたのは、あゆさんの1日です。 夜の19時ごろに家を出てお店へ向かい、21時に開店。深夜はずっと接客とスタッフへの目配りの連続で、お客さんが減って落ち着くのはもう明け方です。 おもしろかったのは、その明け方の使い方でした。 ひと息ついたタイミングで、あゆさんはその日のできごとをClaudeに打ち込み、日次のサマリーとして残していました。誰に言われたわけでもなく、自分なりの整理の習慣として。 ただ、話を聞いていくと、あゆさんはいくつもの悩みを抱えていました。 いちばん大きいのは、2店舗になって単純に業務が倍になったことです。 「自分がいないと回らない」という不安がいつもあって、休みの日でもお店のことが気になってしまう。鍵や電気の消し忘れが心配で、つい電話で確認してしまうとも話していました。 引き継ぎについても、正直やり方がわからない、と。 長く一人でお店を回してきたので、「何をどう渡せばいいのか」の型がそもそもない。それどころか、自分の頭の中にある情報のどれが価値あるものなのか、本人も整理しきれていませんでした。 そして、あゆさんはパソコンがとても苦手です。(Google Meetの画面共有で毎回詰まってますw) スマホでClaudeを使うのが精一杯で、複雑な操作が必要なものはたぶん使ってもらえません。ここは、このあとの設計の大きな制約になりました。 次に、かほさんです。 かほさんは30代で、スナック業界は未経験。半年前のB面オープンに合わせて入った新しいスタッフです。あゆさんの人柄に惹かれて、この仕事を選んだ方でした。 かほさんの悩みは、あゆさんとはまったく逆向きでした。 常連さんの顔も名前も好みもわからない。触れてはいけない話題、いわゆる「地雷」も知らない。毎回、はじめましてのような接客になってしまう。 しかも、かほさんが任されているB面と、あゆさんがいるA面は別の場所です。 お店は隣同士なのですが、お互い営業中なのであゆさんの接客を横で見て覚える、いわゆるOJTの時間がほとんど取れません。困っても毎回あゆさんを呼ぶのは気が引けるし、失敗してお店やあゆさんに迷惑をかけたくない。そんな遠慮も重なっていました。 いちばん情報を持っているはずのあゆさんも、「あの人、誰だっけ」となる瞬間がある。かほさんはもちろん、あゆさん自身も必要なときに必要な情報へたどり着けていない。 このアプリは、あゆさんとかほさん2人の情報の非対称を前提とした設計が必要だなと思いました。 体験の方向性を決める2人の悩みから、どのようなアプリにしていくか、価値を考えていきました。 体験のコアは3つの軸に分けて整理していきました。 ひとつめは「引き出す」。「あの人、誰だっけ」と思ったその瞬間に、目の前のお客さんが誰なのかをすぐ思い出せること。まずここが何より大事だと考えました。 ふたつめは「記録する」。接客中に新しいお客さんが入ってきても、どんな特徴の人かをその場で残せること。お客さんの記憶がいちばん鮮明なのは営業中だけなので、アプリを開いた瞬間にすぐ書ける速さが要ります。 みっつめは「共有する」。書いて貯めるだけで終わらせず、もうひとりにも渡せること。あゆさんがしていた対応が、かほさんの対応としても再現されることも重要です。 これら3つの軸を、アプリをつくるうえでの土台にしようと決めました。 3つの体験の軸バリュープロポジションキャンバスで 提供価値とプロダクトのフィット具合を整理まず、目の前のお客さんをすぐに思い出せる。だからその人に合った会話ができて、お客さんは「自分のことを覚えていてくれた」と感じます。そう感じた人は、また会いに来てくれます。 来てくれる人が増えれば、お店は新しいお客さん頼みにならず、安定して回るようになります。 そうなれば、あゆさんがその場にいなくても、かほさんだけでお店が成り立ちます。 最初にあゆさんが抱えていた「自分がいないと回らない」という重さも、少しずつ軽くなっていきます。 情報を設計する体験の方向性が決まったので、次は情報設計の段階です。 決めたコア体験を具体的なUIに落とし込むために、まずはユーザーがどんな場面でどんなふうにアプリを使うのかを「ユーザーストーリーマッピング」として整理し、必要な機能を洗い出していきました。 ユーザーストーリーマッピングで 機能洗い出しとMVP決めそのなかで、最初のリリース(MVP)に何を入れるかも決めていきました。引き出す・記録する・共有するという3つの柱のコア体験を成り立たせるために、最小限どんな価値が要るのか。その問いに照らして、必要な機能を見きわめていきました。 次に、このユーザーストーリーマッピングから、アプリが扱う「もの(オブジェクト)」と、それが持つ情報(プロパティ)を抜き出して、オブジェクトモデルを作っていきました。 このアプリの主役は、2つです。「顧客」と「対応履歴」。 ひとつめの「顧客」は、お客さん一人分の情報をまとめたもの。顔写真・ボトル・カラオケ・好みやNGのタグが、すべてここにぶら下がります。このアプリの出発点は「あの人、誰だっけ」をなくすこと。目の前のお客さんをパッと引き出せる「顧客」こそ、いちばんの中心に置きました。 ふたつめの「対応履歴」は、誰が・いつ・どんな対応をしたかを時系列で積んでいくもの。これをかほさんが読むことで「あゆさんはどんな対応をしたのか」がわかり、「どんな対応がベストか」をあゆさんからアドバイスしてもらえる。そんな知識の共有が可能になります。 ユーザーストーリーからオブジェクトとプロパティをAIに作ってもらう最後に、言葉を揃えました。いわゆる「ユビキタス言語」の整理です。 ユビキタス言語というのは、場面や担当が違っても同じものを同じ言葉で呼べるように、そろえておく共通の用語集のことです。これがないと、同じものが人や場所によって違う名前で呼ばれ、認識がだんだんズレていきます。 実際、ひとつのものにいくつも呼び名がありました。たとえば「メモる」。あゆさんが営業中に、お客さんの気づきをパッと一行で書き留めることです。この同じものを、設計では「クイックメモ」、コードのなかではQuickMemo、画面のボタンでは「メモ」と呼びます。 そこで、同じものは同じ行に並べた一覧表にまとめました。 そして、この対応表を生成AIへのルールとして渡しておくことで、UIに表示される言葉のブレをなくすことができました。 Claude Designでアイデアを形にする情報設計が終わって、いよいよ画面の見た目を起こす段階に入りました。 Stitchで初回MTGのときにイメージレベルでは擦り合わせていましたが、ここまでくると体験価値も情報設計も終わっているため、それに即した指示をClaude Designに依頼するだけです。Claude Designはデザインシステムを定義してからデザインを制作してくれるため、一貫性のあるデザインとクオリティの高いUIを出してくれます。Anthropicが新たにリリースしたばかりのサービスだったので、ちょうど使ってみたいと思っていました。 だからClaude Designへの指示は、雰囲気ではなく具体になりました。顧客一覧には顔写真とこの項目を並べる、対応履歴は新しい順に積む、ボタンの名前はこう、など。具体で指示を出すようにしました。 実際にClaude Designへ渡したプロンプトを、まるごと載せておきます。 ### プロジェクト概要「SmileStore」は、街にある小さなスナック(夜のバー)の**オーナーとスタッフが使う顧客管理 Web アプリ**。2 店舗経営。オーナーが長年培ってきた「常連客のことを覚えている」という接客の質を、業界未経験のスタッフにも同じように発揮してもらうことが目的。**中心的な課題**: 接客中に「あの人、誰だっけ」となった時、名前や話題を思い出せずに会話が止まってしまう。これを 5 秒以内に解消し、お客さんに「自分のことを覚えていてくれた」と感じてもらうことで、リピート率を上げる。**一行で表すと**:> 「あの人、誰だっけ」をなくす。営業中、止まらず会話が続く。オーナーもスタッフも、お客さんを "知ってる人" として迎えられる。---### ユーザー(2 人のペルソナ)本アプリの利用者は、**オーナーの ayu さん**と**現スタッフ 1 名**の 2 人。#### オーナー ayu さん- **年齢**: 49 歳- **経歴**: スナック経営の長期ベテラン。半年前に 2 店舗目(B 面)を開店、初めてスタッフを雇用- **本業**: スナック経営- **PC スキル**: ★☆☆☆☆(PC は苦手、**スマホのみ操作**)- **拠点**: A 面(1 店舗目)を中心に運営- **営業時間**: 19時に外出、21時営業開始、明け方 5時に営業終了。明け方の落ち着いた時間に情報を入力する習慣- **現状の行動**: 外部のメモツールに**日次サマリー**(顧客情報・売上・来店傾向等)を入力している- **特徴**: - 長年の経験で常連客の顔・好みを覚えているが、**自分自身も**「あの人誰だっけ」となる瞬間がある - 「特徴キーワード」(例: 赤いネクタイの人、ゴルフの話をした人)や**顔写真**で思い出す- **ペイン**: - 記憶と時間のジレンマ: 営業中は忙しくて書けない、営業後は覚えていない - 2 店舗化でオペレーション負荷が 2 倍、心理的負担が極めて大きい - 引き継ぎたいが、**引き継ぎ方がわからない**(PC 苦手、入力の手間を避けたい)- **動機**: - 自分がいなくてもスタッフだけで回る状態を作りたい - ただし、休みの日でも店を気にしてしまう不安がある - 新規顧客の獲得、リピート率の向上#### 現スタッフ- **年齢**: 30 代- **経歴**: スナック業界**未経験**、本業として入社(アルバイトではない)- **入社動機**: ayu さんの人柄に惹かれて、スナックが好きで- **拠点**: **B 面(2 店舗目)に常駐、ほぼ一人で営業**- **物理的距離**: B 面は A 面のドアを開けた目の前の向かい(徒歩数秒)だが、お互い営業中で行き来は気軽ではない- **PC スキル**: ★★☆☆☆(スマホは普通に使える)- **ペイン**: - 常連の顔・名前・好みがわからない、毎回初対面のような対応になる - 地雷(NG 話題・過去トラブル)を知らない - **別店舗常駐で OJT の機会がない**(ayu さんの接客を見て学べない) - 向かいにいる ayu さんをわざわざ呼ぶのが気が引ける - 接客中に顧客識別で一瞬詰まると会話が止まり、不自然になる - 失敗したら店・ayu さんに迷惑という恐れ- **動機**: - 常連を名前と好みで迎えられる自信 - ayu さんの接客を再現できるようになりたい#### 呼び名のルール- オーナー = **「ayu さん」**- 従業員 = **「スタッフ」**- 顧客 = UI 表示では **「お客さん」**- 1 店舗目・2 店舗目 = **「A 面 / B 面」**(カセットテープのように対等なペア呼称)- 顧客 1 名分の情報 = **「ノート」**(医療用語の「カルテ」は使わない)---### UX コンセプトの 3 軸本アプリは **3 つの軸**で顧客情報の循環を作る。この循環自体が体験価値:``` A 引き出す ⇄ B 記録する → C 共有する → A 引き出す(循環)```#### 軸 A: 引き出す**本質的なニーズ**: 今、目の前のお客さんをすぐに引き出したい**キー満足要因**: 会話が止まらない/お客さんに「覚えていてくれた」と感じてもらえる#### 軸 B: 記録する**本質的なニーズ**: 今この瞬間の気づきを、消える前に書き留めたい(自分・未来の仲間のために)**キー満足要因**: 書けなかった後悔がない/書いた瞬間に肩の荷が下りる#### 軸 C: 共有する**本質的なニーズ**: ayu さんがしていた対応を、スタッフも同じようにできる形で伝わってほしい**キー満足要因**: ayu さんと同じ対応ができた手応え/一人では辿り着けなかった接客ができる---### 主要機能(8 つ)1. **特徴キーワード検索**: 「赤いネクタイ」「ゴルフの話」等の自由語で顧客を引き出す2. **写真サムネ顧客一覧**: 顔写真のグリッドで顧客を識別 + 属性フィルタチップで絞り込み3. **直接入力モード**: 顧客名を選択 → ボトル/カラオケ/属性を**選択肢タップで追加**(キーボード入力最小)4. **クイックメモ**: 営業中、顧客特定せず 1〜2 タップで気づきを保存。**任意で顧客紐付け**も可能5. **振り分け画面**: 営業後、未紐付けメモを既存顧客に追加 or 新規顧客として登録6. **顧客ノート**: 基本情報・ボトル・カラオケ・対応履歴・顔写真・属性を1枚にまとめた画面。**対応履歴タイムラインが核心**7. **顔写真撮影**: 同意取得済みの顧客の顔写真を撮影8. **属性フィールド**: 年代・性別・職業・初来店日を蓄積(将来の分析のための布石、MVP では画面化しない)---### データ構造(HTML モックアップの参考)**Customer(顧客)のプロパティ**:- 名前(任意、不明なら空欄可)- ふりがな(任意)- 特徴名(名前がわからない場合の代替表示、例: 「赤ネクタイの人」)- 年代(20代 / 30代 / 40代 / 50代 / 60代+)- 性別(男性 / 女性 / その他 / 未回答)- 職業(自由記述 + カテゴリ)- 初来店日- 主な来店店舗(A 面 / B 面 / 両方)- 顔写真(複数可、うち 1 枚を主画像)- ボトルキープ(複数可)- カラオケ履歴(複数可)- 対応履歴(時系列、複数)- タグ(好み / 地雷 / NG / 豆知識 の 4 カテゴリ)**InteractionRecord(対応履歴)** — 軸 C の核心:- 書き手(ayu or スタッフ)- 発生日時(実際に対応した時刻)- 種別タグ(挨拶 / 話題 / 〆の言葉 / トラブル / ボトル追加 等、任意)- 本文(短文自由記述)- ayu からのコメント(スタッフが書いた履歴に対するフィードバック、任意)**QuickMemo(クイックメモ)**:- 書き手- 顧客(任意、null なら未紐付け状態)- 本文(短文自由記述)- 種別タグ(ボトル / カラオケ / 会話 / 新規客 / トラブル 等)- ステータス(未紐付け / 紐付け済み)**BottleKeep(ボトル)**:- 銘柄(例: 山崎 12 年、白州、響、獺祭)- 残量(**5 段階: 100 / 75 / 50 / 25 / 0**)- 開封日**Tag(タグ)**:- カテゴリ(likes 好み / flags 地雷 / dislikes NG / trivia 豆知識)- 名前(例: 「ゴルフ」「政治の話 NG」「娘さん受験中」)---### 作ってほしい画面(10 画面)以下 10 画面を作成してください。各画面は **390px 幅のモバイルフレーム**内に収める。各画面上部に画面タイトル(「ログイン」「ホーム」等)を明示。---#### 1. ログイン画面- アプリのブランド名・タグラインを上部に表示- メールアドレス入力欄- パスワード入力欄- 「ログイン」ボタン#### 2. ホーム画面(顧客一覧)- 上部: 検索バー(タップで画面 3 へ遷移するイメージ)- 検索バー下: **属性フィルタチップ**(横スクロール可) - 「全員」(デフォルト選択)「男性」「女性」「30代」「40代」「50代」「会社員」「常連」「新規」等 - タップで絞り込み、複数選択で AND 条件- 中央: **顧客サムネグリッド(3 列)** - 各カード: 顔写真 + 名前 + 年代・特徴(例: 「42 / ゴルフ」)- 右下: **+ メモ**の Floating Action Button(クイックメモ起動、画面 6 へ)- 下部: ボトムナビゲーション(ホーム / 振り分け / 設定)#### 3. 顧客検索画面(特徴キーワード)- 上部: 自由語入力の検索バー- プレースホルダ例: 「赤いネクタイ」「ゴルフの話」「先週来店」- 検索結果: 顔サムネ + 名前 + 属性のリスト表示- 該当なしの場合: **「新規登録」を提案するカード**- 各結果をタップで顧客ノート(画面 4)へ遷移#### 4. 顧客ノート詳細(最重要画面、C6)- **上部ヘッダー**: - 顔写真(大)+ 名前 + 属性(42 歳・男性・会社員・常連)+ 来店店舗- **中央上**: ボトルキープ - 銘柄(例: 山崎 12 年) - **残量バー**(5 段階: 100/75/50/25/0 を視覚化)- **中央**: タグ - 好み(緑系)、地雷(赤系)、豆知識(中立色)を色分け - 例: 「ゴルフ好き」「政治の話 NG」「娘さん受験中」- **中央**: カラオケ履歴(最近の 3 曲)- **下部**: **対応履歴タイムライン**(核心) - 時系列、最新が上 - 各行: **書き手アバター + 名前(ayu / スタッフ)+ 発生日時 + 本文** - ayu のコメントが付いている場合は子要素としてネスト表示- **最下部**: - 「対応を追加」ボタン(Bottom Sheet 起動、画面 8 へ) - 「ノートを編集」ボタン(画面 5 へ)#### 5. ノート編集・項目追加画面- 既存顧客を選択した状態- 追加可能な項目リスト: - **ボトル**(銘柄選択肢 + 残量選択) - **カラオケ**(曲名自由記述) - **好み**(既存タグサジェスト + 新規タグ) - **地雷**(同上) - **属性**(年代・性別・職業・初来店日を選択肢タップで) - **顔写真**(「写真を撮る」でカメラ起動)- 各項目に「+ 追加」ボタン- 入力後「保存」で即反映#### 6. クイックメモ入力(Bottom Sheet)- 画面下部からスライドアップする Bottom Sheet 形式- **メモ本文入力欄**(短文自由記述、1〜3 行)- **「顧客を選ぶ(任意)」ボタン**: - タップで顧客検索 UI が開き、選択すると紐付け保存 - スキップすると未紐付けメモとして保存- **種別タグ選択**(チップ形式、複数可): - 「会話」「ボトル」「カラオケ」「新規客」「トラブル」- 「保存」ボタン- 紐付け済みメモは**対応履歴に直接追加**、未紐付けメモは**振り分け画面へ**#### 7. 振り分け画面- 上部: 未紐付けメモの件数バッジ- **未紐付けメモ一覧**(時系列): - 各カード: メモ本文 + 種別タグ + 書いた時刻 + 書き手- 各メモをタップ → 「このメモを誰に紐付ける?」のアクションシート - 選択肢 1: **既存顧客を選ぶ**(検索 UI) - 選択肢 2: **新規顧客として登録**(次のフォームへ)- **新規登録フォーム**: - 名前(任意) - **特徴名**(名前不明の場合の代替、例: 「赤ネクタイの人」) - 属性(年代・性別を選択肢タップ) - 「保存」で顧客作成 + メモを対応履歴化#### 8. 対応履歴追記(スタッフ用、Bottom Sheet)- 顧客ノート画面(4)から「対応を追加」ボタンで起動- 画面下部からスライドアップ- 対応対象の顧客名を上部に表示- **本文入力欄**(短文自由記述)- 種別タグ選択(任意)- 「保存」で対応履歴タイムラインに追加#### 9. 今日の対応履歴一覧(ayu 用)- 上部: 日付 + スタッフの対応件数表示- **スタッフが書いた対応履歴を時系列で一覧**- 各履歴行: - 顧客名(タップでその顧客のノートへ) - 書いたスタッフ名 - 発生日時 - 本文 - **「コメント」ボタン** → ayu のフィードバックコメントを追記(スタッフ側にも表示される)#### 10. 設定・アカウント発行- 自分のプロフィール表示(名前、役割: オーナー / スタッフ)- **ayu のみ表示**: 「新しいスタッフを招待」ボタン - タップで招待リンク発行 - リンクを表示(コピーボタン付き)- ログアウトボタン---### 機能的要求(画面共通)- **タップ中心の操作**: キーボード入力は最小限、選択肢タップ・チップ・ドロップダウンを優先- **ボトムナビゲーション**: 全画面で下部に配置(ログイン画面除く)- **画面遷移**: ネイティブアプリのような一方向遷移(戻る操作は画面上部のアイコン)- **空状態の表示**: データがない時も画面が「何もない空白」にならないよう、「まだ何もない。さっそく書いてみよう」等のメッセージを表示---### MVP のスコープ(やらないこと)以下の機能は**絶対に実装しない**(別のタイミングで検討する):- ❌ **音声入力 UI**: 情報のブレが出るためアプリには持たない(外部 IME で代用)- ❌ **営業前ブリーフィング画面**(「今日来そうな常連」等): スナックは予約制ではないため来客予測不可- ❌ **分析・可視化画面**(グラフ・ダッシュボード・リピート率可視化): MVP では属性データの**蓄積のみ**- ❌ **スタッフ接客ログの監視画面**: 監視寄りでコア体験から外れる- ❌ **閉店手順チェックリスト**(鍵・電気): オペレーション系、別問題- ❌ **AI 自動振り分け**(日次サマリーを AI が顧客単位に自動分類): 誤判定を避けるため、人手で振り分ける---### サンプルデータ(試作の視覚的厚みを出すため、必ず使用してください)#### 顧客 5 名| 名前 | 属性 | ボトル | 特徴 ||---|---|---|---|| 山田 健一 | 42 歳・男・会社員・常連 | 山崎 12 年(残 50) | ゴルフ好き、トランプ好き || 佐藤 明美 | 55 歳・女・自営業・常連 | 白州(残 75) | 演歌、美空ひばり好き || 鈴木 陽太 | 38 歳・男・会社員・新規 | なし | 接待用途、初来店 || 赤ネクタイの人 | 40 代・男・特徴名仮登録・常連 | 響(残 25) | 名前未確認、赤いネクタイ || 田中 ひろみ | 48 歳・女・主婦・常連 | 獺祭(残 50) | ayu の古くからの友人、娘受験中 |#### 対応履歴の例(時系列、新しいものが上)- **2026-04-18 23:00 ayu**: 山田さんとゴルフ大会の話で盛り上げた。来月結果を聞く予定- **2026-04-18 21:30 スタッフ**: 田中さん、いつもの獺祭。娘さんの受験の話になった - **ayu コメント**: 合格結果はまだ聞いてないかも、次回確認して- **2026-04-17 23:45 スタッフ**: 赤ネクタイの人が久しぶりに来店、響のボトル残量減る- **2026-04-15 22:30 スタッフ**: 佐藤さんが美空ひばり「川の流れのように」を熱唱- **2026-04-10 21:15 ayu**: 鈴木さんが初来店。接待用途、会社関係の話は避けるとよい#### クイックメモの例(未紐付け 3 件 + 紐付け済み 1 件)- **未紐付け(時刻 22:05)**: 新規の女性 2 人組、白州ハイボール、名古屋出張中- **未紐付け(時刻 23:20)**: 「赤い」常連、機嫌悪そうだった。政治の話でスタッフヒヤリ- **未紐付け(時刻 00:30)**: 佐藤さん、カラオケで船村徹 2 曲- **紐付け済み(22:30 → 田中さん)**: 娘さんの受験の話---### 評価基準1. ✅ 10 画面すべて含まれている(ログイン〜設定)2. ✅ モバイル幅 390px で破綻せず表示される3. ✅ 顧客ノート(画面 4)に**対応履歴タイムライン**があり、書き手(ayu / スタッフ)と発生日時が明示されている4. ✅ ayu のコメントが子要素としてネスト表示されている5. ✅ クイックメモ(画面 6)に「顧客を選ぶ(任意)」機能がある6. ✅ 振り分け画面(画面 7)で「特徴名」による仮登録ができる7. ✅ 属性フィールド(年代・性別・職業)が**選択肢 UI**(フリーテキストではない)8. ✅ 属性フィルタチップ(画面 2)で複数条件 AND 絞り込みが表現されている9. ✅ ボトル残量が 5 段階(100/75/50/25/0)で表現されている10. ✅ タグが 4 カテゴリ(好み/地雷/NG/豆知識)で色分けされている11. ✅ 5 名のサンプルデータで視覚的厚みがある12. ✅ 音声入力 UI・分析画面・営業前ブリーフィングが含まれていない--- 出てきたデザインそのものが、想像以上でした。 まず、画面が体験の流れにちゃんと沿っていました。ユーザーストーリーマッピングで「どの場面で何をするか」を整理してあったので、意図通りのUIが出てきました。 しかもClaude Designは最初にデザインシステムを組み立ててから各画面を作るので、色や余白や部品(コンポーネント)の形は画面をまたいでもそろっていました。 Claude Designで作ったデザインシステム細かいところまで見てくれていたのも驚きでした。データがまだ何もない画面に何を出すか「空の状態」などのUIスタックの見せ方まで考えられていました。プロンプトに書いたあゆさんの人物像も、ちゃんとくんでくれていたようです。 UXライティングも、ちょうどあゆさんが使いそうな塩梅の言葉が選ばれていました。 初回からかなりクオリティが高かったので、残りはClaude Codeに引き継いで実装していくことにしました。 作ったデザインが想定通りだったので、 この後の工程はClaudeCodeに引き継ぐことにしたClaude Codeに実装を任せるとはいえ、冒頭に書いたとおり私はコードが書けません。だからといって、ひとつのAIに「これ全部作って」と渡すやり方もとりませんでした。長くて複雑な仕事をひと息にやらせると、途中の判断が雑になっても気づけないからです。 代わりに、役割を分けた4体のエージェントの流れ作業を組みました。組み方は、Anthropicが公式ブログで公開しているHarness design for long-running application developmentというエージェント設計を参考にしています。 Planner:何を作るかを仕様書に起こす係 Critic:その仕様書を「本当にこれでいいか」と批判的にレビューする係 Generator:仕様書をもとにコードを実装する係 Evaluator:できたものを実際に操作して合格・不合格を判定する係 Plannerが仕様書を書くと、まずCriticがダメ出しをします。問題があればPlannerに差し戻し。仕様が承認されて、はじめてGeneratorが実装に入ります。 できあがった画面はEvaluatorが検証します。Playwrightというブラウザの自動操作ツールで実際にボタンを押し、仕様書に書いた受け入れ基準をひとつずつ確かめて、不合格なら理由つきでGeneratorに差し戻します。 とくにCriticは自分で足した係です。実装に入る前の仕様の段階で「本当にこれでいいか」を厳しく見てほしかったからです。 さらに、4体全員に同じドキュメントを読み込ませることにしました。さきほどのユビキタスや、ペルソナ・ユーザーストーリー・オブジェクトモデル・デザインのルールなどを読み込ませることで、方針がズレません。 実装はスプリントという小さな単位に区切って、1スプリントずつこの流れを回しました。スプリントは5回程度を回してくれますが、実装完了まで30分程度、それなりにトークンも消費しました。それでも一発目で精度の高い実装ができるのでおすすめです。 データをどこに置くか迷う個人情報をどこに置くかがいちばんの悩みどころでした。 最初は、ちゃんとしたバックエンドを用意しなきゃと思っていました。SupabaseのようなサービスやVercelの有料プランなのか?と。ただ、そもそも知識がないので何から選んでいいかわからない状態でした。 そこで、エンジニアの方に相談したら別のやり方を教えてくれました。あゆさん自身のGoogleドライブに、JSONファイルとして置けばいい、と。これは自分ではまったく思いつかなかった方法でした。 ファイルの共有先を決まった人だけに絞って利用するようにし、さらにBasic認証を入れたり、検索にも引っかからないようにしました。 フィードバックからたくさんの気づきと勉強になった完璧ではないですが、まずは使ってもらうことにしました。あゆさんとかほさんに実際の接客で触ってもらい、フィードバックをもらって改善点を抽出していきます。 いちばんこたえたのは、「立ち上げに時間がかかって、営業中にメモすら取れない」という声でした。 私がいちばん大事にしていたのは、開いた瞬間にお客さんを確認できて、新しいお客さんの特徴をその場でメモれることでした。なのに肝心の起動が遅くて、その「すぐ」が成り立っていませんでした。いちばん大事な体験なのに、そもそもでつまずいていました。 原因は、アプリの渡し方にありました。 最初は「ホーム画面に追加」して使ってもらっていたのですが、これがよくありませんでした。ホーム画面から開くと、ひとつの独立したアプリのように立ち上がります。このアプリはビルドをしない作りで、開くたびに部品をネットから読み込んで、その場で組み立て直します。さらにホーム画面のアプリは、Safariとは保存場所が別で、しばらく使わないと読み込み済みのデータも消えやすくなります。だから毎回、ゼロから重い読み込みが走っていました。 ホーム画面に追加するのをやめて、ブラウザのブックマークから普通に開いてもらうようにしました。それだけで解決することができました。 ほかにもありました。テスト設計は正直AIに任せきりにしていたので、見落としたバグが残っていました。とはいえ、あゆさんがたくさん声を上げてくれたおかげで、ひとつずつ直していけました。 あゆさんからのありがたいフィードバックその1あゆさんからのありがたいフィードバックその2もうひとつ大きかったのは、私自身の業務理解の浅さです。 たとえば、領収書の宛名です。毎回「お宛名は」と何度も聞くのは失礼で、かといって忘れてしまうこともあります。これが割とペインだったようです。これまでは名刺をもらうか、頭の中に覚えておくしかなかったそうです。だから、宛名を残しておける欄を足しました。 ボトルの銘柄もそうでした。お店に置いてある銘柄は決まっているのですが、お客さんによっては個別に仕入れることもあるそうです。そこで、銘柄を自分で足せるようにしました。 会社員の方も多いので、勤務先や仕事の内容がわかるとどんな人かを思い出しやすくなります。そういう欄も加えました。 たくさんのフィードバックをいただく中で、AIに任せすぎるといけない部分や、ヒアリングでは気付けない部分がたくさんわかったので、色々と勉強になりました。 AIスロップを防ぐことの重要性今回いちばん実感したのは、プロトタイプを作る速さでした。 思いついたものが、すぐ形になります。しかもClaude Designのように、質の高いものが出てきます。アウトプットのスピードは、本当に別次元になっています。 ただ、作れるようになったからこそ、立ち止まって考えたこともあります。 プロトタイプは、答えそのものではありません。ユーザーが何をやりたいのかを、一緒にさぐるための手段です。少なくとも今回の私は、そう捉えていました。 すぐに、たくさん作れてしまいます。そこに落とし穴があります。 これまでなら最小限の価値(MVP)を作って確かめていたところに、いきなり機能が盛りだくさんのものが出てきます。だからこそ、出てきたものへ「これで何がうれしいんだっけ」「そもそも、なぜこれをやりたいんだっけ」と問いを向けられるかが大事になります。 今回も、Stitchでざっとイメージを出して、「ボトルキープとかほしい」というあゆさんの反応を引き出しました。やりたいことをさぐる材料としては使えます。 すぐ作れるプロトタイプは、デザインプロセスでいう「探索(ディスカバー)」に効く道具なのだと思います。(もちろんケースバイケースで、あくまで今回のアプリではそう感じています。) 出所:https://goodpatch.com/blog/design-process-knowledgeそして、いちばん大事なのはその先でした。 出てきたものから、本当は誰のどんな課題に、どんな価値を届けるべきなのか。このプロセスが欠かせません。ここをとばしたまま、ただプロトタイプを磨き続けてしまうと、いわゆる"AIスロップ"になってしまいます。使われないプロダクトです。むしろ、フィードバックする人や受け取る人の負担になって、トータルではかえって非効率になってしまいます。そもそも要らなかった、という話にもなりかねません。 この「課題定義の甘さ」は、あとから「仕様負債」として効いてきます。 この記事の中で、今回私が感じたことを見事に言語化してくれている箇所を抜粋します。 Before生成AI時代:スケートボードしか作れないという制約が、「移動とは何か」を問い続けることを強制していました。削らざるを得ないから、「ユーザーが本当に求めている価値は何か」を問わざるを得ませんでした。仕様負債は生まれにくかった——制約が、仕様を深めるフィルターとして機能していたからです。 After生成AI時代:最初からエンジンが作れるようになりました。しかしエンジンの設計だけは後戻りできません。「どんな道を走る車なのか」——つまり「顧客のどんな課題を解決するか」という問いのシャープさが、そのままデータ設計の精度に直結し、プロダクトの成長限界を決めるようになりました。 MVPにおける「実装スコープの絞り込み」の重要性は相対的に下がりました。代わりに、課題定義の精度が、かつてない重要性を持つようになりました。そしてその課題定義の甘さは、仕様負債という形で、プロダクトの未来に埋め込まれていきます。 だからこそ、これからますます問われるものがあります。「何を作るか」を決める力です。(以前からずっと言われていたことですが、今回改めて実感しました……) 作ること自体は、もう当たり前になりつつあります。AIは、決まったことを形にするのは得意です。でも、その「決める」ところ(ユーザーインタビュー等で紐解いて、課題と価値を言葉にする作業)はやはり人がやるしかありません。 今回、それを身をもって体感できたことが、いちばんの収穫でした。 コードも書けない、UIも得意じゃない私でもなんとかここまで作れました。(たぶんUIデザイナーが見たら改善点もっとあるはずですが……) でも、今回やってみたからこそ「何を作るかを徹底的に考え抜いた時間」だったと、いま振り返って思います。 お二人の課題や何がコアの体験価値なんだろう?と、夜中に駅前のベンチに座って3時間Claude Codeと徹底的に対話した日を思い出します(笑)

AIが速く作れる時代に、デザイナーはなにを問うか
「速さ」の先に浮かんだ問いClaude Code を使いはじめてから、ある感覚を抱くようになった。 指示を出すと、もうコードが動いている。修正を伝えると、もう反映されている。 速い、とは思う。 でも同時に、「あれ、これ僕が作ったのかな」という感覚が、少しずつ浮かぶようになっていた。 最初はちょっとした違和感だった。 でも、使えば使うほど、その感覚が言葉になりはじめた。 AIツールの話をするとき、「どう指示するか」「プロンプトをどう書くか」が話題になることが多い。それは確かに重要だと思っている。 でも最近、もっと手前にある問いが気になるようになった。 「何のために、誰のために、何を作るのか」を、 どこまで人間が持ち続けているか。 同じ感覚を、ファシリテーターとして場を設計するときにも覚える。 参加者に何かを「気づいてほしい」と思いながら場を設計しているのに、AIが出してくれたプログラムの枠組みをそのまま使うと、なんとなく空洞になる。 文脈が、抜けているから、だと思っている。 その違和感の正体について、ちょっと考えてみたいと思います。 awareness design|アウェアネスデザイン|意思決定が生まれる組織を設計するAwareness Design(アウェアネスデザイン)は、関係性の構造から組織の意思決定を整えるデザイン支援です。対話のawareness-design.net 「作れちゃう」からこそ問われることAI が設計の大半を担えるようになってから、3つのことが起きやすくなっている気がしている。 1つ目は、主体感の希薄化。 AIが「こうしましょう」と提案を出し続けると、「自分がどうしたいのか」よりも「AIが言ったことを選ぶ」という感覚が少しずつ強くなる。気づかないうちに、判断者ではなく承認者に変わっていく。 Claude Code でコードを書いてもらっているとき、何度かそれを感じた。自分が「こう作りたい」という意図を持って指示しているのか、AIが「こうできます」という提案に乗っているのか。 その境界が、スピードが上がるほどぼんやりしていく。 2つ目は、AIへの同調が構造的に起きやすくなること。 AIは基本的に、依頼者が喜びそうな回答を出そうとする傾向がある。「もっといい案はないか?」と聞けば、さらに改善案を出してくれる。 でも、そのサイクルを繰り返すほど、「自分が本当に求めているもの」ではなく「AIが出せる範囲」で考えるようになっていく。 AIが出してくれる答えに寄り添うほど、自分が本来問いたかったことが薄れていく感じ、と言えばいいかもしれない。 3つ目は、仮説の自己確認化。 「こういう方向でどうか」と投げかければ、AIはその方向を肯定する素材を集めてくれる。なんとなく「やっぱりそうだよね」という確信が強まるけれど、それは仮説が正しかったのではなく、確認するための設問がそういう答えを引き寄せていた、ということでもある。 AI in Design Report 2026 によれば、デザイナーの85%がAIコーディングツールやアプリビルダーを業務で使うようになった。 一方、「AIの成果物に完全な所有権を感じる」と答えたのは40%にとどまり、「自分の仕事とAIの出力を切り離すのが難しい」と感じている人も一定数いるという(Designer Fund, 2026)。 速さが上がるほど、この3つは静かに進んでいく。 UX界隈でも、同じ問題意識を持つ研究者がいる。 「デザインプロセスのコストが高いことには、意味があった」という見方だ。 手を動かすのが面倒くさいから、立ち止まって考える。試作品を作るのに時間がかかるから、つくる前に丁寧に問いを立てる。 「面倒さ」という摩擦が、プロセスの丁寧さを担保していた。 作れちゃうからこそ、何を問うのかが、より問われるようになった、と感じている。 文脈を読むことが、なぜ出発点なのか「でも、プロンプトをうまく書けばいいのでは?」という話になることがある。 確かに、AIへの指示の質は重要だと思っている。どう問うかによって、AIが出す答えの解像度は大きく変わる。 でも問いを立てる前に、もっと先にあるものがある。 ユーザーの文脈を、どれだけ読んでいるか。 たとえば「使いやすくしてほしい」という依頼があったとする。AIは瞬時に改善案を出せる。 でも「使いやすさ」が誰にとっての、どんな場面における、どんな意味を持つ体験なのかを理解していなければ、その改善案は的外れになりうる。 ユーザーの文脈には、「いま何に困っているか」だけでなく、「その人が何を大切にしているか」「この状況でどんな感情を抱いているか」「周りとどんな関係性の中に置かれているか」が埋まっている。 ファシリテーターとして感じるのも、同じことだ。 参加者の「課題」を聞いて、ワークショップのプログラムを組もうとするとき、AIはすぐに「こんな構成はどうでしょう」と出してくれる。でも、そのプログラムが「この人たちの今の状態」に合っているかどうかは、別の話だ。 先週まで別のプロジェクトで疲弊していた。 上司との関係が複雑で、本音が言いにくい空気がある。そういう文脈が読み取れていないと、いくらプログラムが整っていても、場は動かない。 従来のUXデザインでも、文脈は重視されてきた。ただ、その多くは「使いやすくするための制約条件」として捉えられていた気がする。 「この人はこういう状況だから、こういう設計にしよう」という使われ方。 でも今、もっと深いところが問われているんじゃないかと思うようになった。 文脈を「制約条件」ではなく、「その人の人間性の可能性が埋まっている場」として読むこと。 「この人は何を大切にしているか」 「この体験に何を期待しているか」 「どんな場面で躊躇するか」。 そういう問いを持ちながら話を聞くことが、文脈を「場」として読むことだと思っている。 「この人はどんな状態になりたいか」 「この体験を通じて、何に気づいてほしいか」は、その先にある問いだ。 ユーザーの意味づけを理解してから初めて、何をどう設計するかが見えてくる。AIが出す答えをそのまま要件定義に持ち込むのではなく、文脈の理解を先に置く。 その順序が、大事なんじゃないかと思っている。 「気づいてほしいこと」に創造性が宿るファシリテーターとして場を設計するとき、僕は必ずひとつの問いを持つようにしている。 「この参加者に、この場を通じて、何に気づいてほしいか。」 これは「何を教えるか」ではなく、「何を感じ取ってほしいか」という問いだ。 たとえば、チームで問題を議論するワークショップを設計するとき。 「問題の原因を特定する」というアウトカムは設定できる。 でも、「この人たちに、実は自分たちが同じ願いを持っていることに気づいてほしい」という問いを持つのは、また別の設計になる。 前者はAIでもプログラムを組み立てられる。後者は、参加者の文脈を深く読んだうえで、設計者が創造的に立てる問いだ。 UXデザインに置き換えると、これは「どんな体験を通じて、ユーザーに何に気づいてほしいか」という問いになる。 この問いの構造を、言葉として整理してくれた研究者がいる。 千葉工業大学の安藤昌也氏が示す「作り手の願い」の3層だ。 「作り手の願い」の3層 Be(なってほしい姿):最終的に「〜な人になってほしい」。ユーザーに保ち続けてほしい、人間性の仮説としての願い Become(気づきの願い):このサービスを使い続けることで「〜に気づいてほしい」。今の文脈から少し離れた視点を、ユーザーに持ってほしいという設計 Do/Have(解決の願い):このサービスを通じて「〜ができるようにする」。ユーザーの現在の課題を、利他的な気持ちで解決したいという想い 安藤昌也(千葉工業大学)HCD-Net 2026 をもとに作成この3層を下から読んでいくと、AIが担える範囲が見えてくる。 Do/Have の多くは、AIも担える。でも Become の問い、「この文脈の中で、この人たちに何に気づいてほしいか」を創造的に立てるのは、人間の仕事だと思っている。 ファシリでいえば、「この場を通じて、参加者の関係性がどう変わってほしいか」という問いがそれにあたる。 その問いは、参加者の文脈を深く読み、そこにある可能性を想像してはじめて立てられる。Becomeに、設計者の創造性が宿る。 「なってほしい姿」を手放さないことその上に、もうひとつの問いがある。 「最終的に、このユーザーには、どんな状態になってほしいか。」 ファシリテーターとして場を設計するとき、この問いを「Be」として持ち続けることが、長い場の軸になると感じている。 1日かけたワークショップがある。セッションごとにアウトカムが変わっていく。議論が脇道に逸れることもある。 でも、「この人たちが、この場を経て、どんな状態で帰ってほしいか」という問いを持ち続けていると、判断の基準がぶれない。 UXデザインでも同じだと思っている。機能改善ひとつひとつには目的がある。 でも、「このサービスを使い続けることで、このユーザーは最終的にどんな人になってほしいか」という問いは、設計全体を貫く軸になりえる。 安藤氏が示した例がある。 全自動調理鍋のユーザーが投稿した言葉に、こんなものがあった。 「調理中に子どもたちとお風呂に入れる」。 機能の意味は「手軽においしく作れる」だった。 でも実際のユーザーが気づいた価値は、「料理を任せることで、大切な人との時間を取り戻せる」という関係性だった。 設計者がもし「子どもと一緒にいられる人でいてほしい」という Be を持っていれば、「使い続けてよかった」と思える体験設計につながる。 AIに委ねられるのは、Do/Have の多くと Become の素材集めまで。 でも、Be を問い続けることは、人間が手放してはいけないと思っている。 それは「デザイナーの好み」でも「ファシリテーターのエゴ」でもない。 ユーザーや参加者の文脈を深く読んだうえで持つ、責任としての問いだ。 文脈から始まり、Becomeに創造性を置き、Beを問い続ける。この順序が、AI時代のデザイナーやファシリテーターに求められることじゃないかと、最近思っている。 これが Awareness Design の問いでもあるここまで話してきたことは、僕が Awareness Design と呼ぶ考え方の核心でもある。 Awareness Design は、「意思決定が生まれる状態をデザインする」という考え方だ。解決策を与えるのではなく、「気づきが生まれる状態そのもの」をデザインする。 AI がさまざまな解決策を提案できるようになった今、むしろこの問いは重要になっている気がしている。 解決策は、AIがどんどん出してくれる。でも、「この人に、この文脈で、何に気づいてほしいか」という問いを立てること自体は、設計者が先に持っている必要がある。 Awareness Design の視点からいえば、先に Be を問うことが設計の出発点になる。 「この人はどんな状態になってほしいか(Be)」があってはじめて、 「そこに向かうためにどんな気づきが必要か(Become)」が見えてくる。Becomeが見えてはじめて、「今何を解決すべきか(Do/Have)」の設計が意味を持つ。 逆からやってしまうことが多い気がしている。 課題から始めて、解決策を考えて、「これでいいか」とAIに確認する。そのサイクルの中で、Beはいつまでも問われないまま進んでいく。 「解決する」より「気づきが生まれる状態を作る」こと。 AIが速く作れる時代だからこそ、この問いは手放してはいけないと思っている。UXデザイナーとして、ファシリテーターとして、マネージャーとして。 「この人たちに最終的にどうなってほしいか」という問いを持ち続けること。それが、今の時代に設計者に求められることのひとつじゃないか、と感じている。 おわりにAIが速く作れるようになったのは、僕にとっても本当にありがたいことだ。 速さのおかげで、試せる量が増えた。考えをすぐ形にできるようになった。 でも、その速さの中で薄れていく何かを感じたとき、「その何かは何か」という問いを持ち続けることが大事なんじゃないかと思うようになった。 文脈を読み、Become に創造性を置き、Be を問い続ける。この3つは、AIが代わりにやってくれるものではない。 同業者に問いを投げてみたい。 あなたは今、「この人に、最終的にどうなってほしいか」という問いを持っていますか? その問いを持ち続けることが、AI時代のデザイナーやファシリテーターにとっての、ひとつの責任だと思っています。 こんな問いを持ちながら、ワークショップや場づくりを一緒に考えたい方、AI時代のデザインやファシリテーションをテーマに話してほしいという場があれば、ぜひお声がけいただけたら嬉しいです。プロフィールからご連絡ください。 awareness design|アウェアネスデザイン|意思決定が生まれる組織を設計するAwareness Design(アウェアネスデザイン)は、関係性の構造から組織の意思決定を整えるデザイン支援です。対話のawareness-design.net 参考資料: 安藤昌也「作れちゃう時代の"願う"UXデザイン〜見えていない関係性に人間性の可能性を見出す」HCD-Net, 2026年6月25日 AI in Design Report 2026, Designer Fund × Foundation Capital(stateofaidesign.com) Awareness Design(awareness-design.net)
グッドパッチ経営陣のAI変革
グッドパッチの経営陣が、AIで業務や組織を変革した事例を集めました。全社へのAI導入にはじまり、採用、労務、経営企画、IRなどさまざまな領域での取り組みをご紹介します。

AI時代のキャリア形成—軸を持ちながら、道は歩きながら選ぶ
大卒で大企業に入社したころ、キャリアの道筋は今よりずっと描きやすかったと思います。 入社5年目の先輩、入社10年目の上司が身近にいて、彼らの仕事や役割を見れば、少し先の自分の姿を想像できました。 そこへたどり着くために必要なスキルや経験も、わかりやすく見えていました。 ところが今は、AIによって仕事の進め方が変わるだけでなく、職種という単位でさえ、数年後にどうなっているのか見通しにくくなっています。 他方で、労働人口の減少を背景に、70歳近くまで働くことも視野に入る。 働く期間は長くなる一方、仕事を取り巻く環境は大きく変わり続けています。 一寸先もわからない環境で、中長期のキャリアを描くことは、以前よりずっと難しくなったと言えます。 山頂を決めるより、道を選び続けるキャリアには、山頂を定めて「山を登る」考え方と、目の前の流れや出会いの中で進路を探す「川下り」の考え方があります。 かつては、若いうちは川下りで経験を広げ、30代ごろから山を決め、40代以降に登るという段階的なキャリア観も語られてきました。 けれど今は、年代で探索期と目標追求期を分けにくくなっています。 働く間ずっと川下りをしながら、必要なときに山を見つけ直す。 行き先を固定しないことは、意思を持たずに流されることではありません。 変化の中で自分の進む方向を選び直すことです。 変わる道の中で、自分の軸を探るキャリアの「ありたい姿」を肩書きや職種だけで考えず、 自分は何に心を動かされるのか、 誰にどんな価値を届けたいのかも見つめたいと思います。 ここでは、その原動力を「価値源泉」と呼びます。 すぐに言葉にできなくても、経験や出会いを通じて探り続けることができます。 私自身、最初から人事を志していたわけではありません。 新卒で配属された工場人事で、女性リーダーの育成プロジェクトを立ち上げました。 別の工場から異動してきた参加者が、研修や対話を通じて人とのつながりを得て、新しい土地で生きていく希望を感じたことを、私はインタビューで語っています。 参加者の言葉に心を動かされ、自分の仕事が誰かの「働く希望」につながるかもしれないと感じたことが、人事の仕事に価値を見出すきっかけになりました。 振り返ると、私の原動力には、一人ひとりが自分の可能性を発揮し、 いきいきと働くことを支えたいという思いがあります。 最初に決めた目標に一直線に進む中で見つけたというより、目の前の仕事や出会いから少しずつ形になってきました。 この価値源泉は、AIによって仕事のあり方が大きく変わろうとも、あまりブレません。 そうしたブレない軸は、AI時代だからこそ必要なようにも感じます。 偶然を機会に変える5つの行動クランボルツ教授らの「計画された偶発性理論」は、予期しない出来事をキャリアの機会や学びにつなげる考え方です。 Mitchell、Levin、Krumboltzが1999年に発表した論文では、探索的な行動を通じて予想外の機会に出会うことが重視されています。 また、偶然を活かすための5つのスキルは、性格の分類というより、日々の行動の手がかりとして捉えられます。 関心を持って試し、失敗から学び、必要なら考えを変える。 可能性を見つけ、不確実さが残る中で一歩を踏み出す。 この循環が、予期せぬ出来事を次の選択につなげます。 仕事だけで人生を測らないサニー・ハンセンの「統合的人生計画」は、仕事や家族、学び、人生の意味や社会とのつながりなどを含め、人生を意味ある全体として考えます。 変化する仕事の文脈、多様性と包摂、個人や組織の変化も視野に入れた考え方です。 キャリアの選択では、仕事で担う役割に加え、誰と過ごしたいか、何を学びたいか、どんな社会に関わりたいかも考えたい。 仕事上の成功が、人生全体で望む日々と一致するとは限らないからです。 計画された偶発性理論は、不確実な中で機会を見つけ、活かす行動を示します。 ハンセンの視点は、仕事を人生全体の中で捉え直す助けになります。 そして「価値源泉をコンパスにする」というのは、これらを重ねた私自身の見立てです。 軸は深く、道はしなやかに自分の価値源泉を持つ。まだ分からなければ探り続ける。 その軸を頼りに人生全体を見渡しながら、スキルや経験、役割やルートは変化に合わせて更新する。 AI時代には、目指していた山がなくなったり、突然、別の山が現れたりすることも当たり前に起こります。 どの山を目指すのが正しいのかさえ、分からなくなることがある。 だからこそ、山頂への最短距離を進む山登りではなく、自分の価値源泉を軸に、景色や出会いを確かめながら道を選ぶトレッキングのようなキャリア形成が合っているのかもしれません。

年間58件の「今どうなっている?」をなくした、AIによる従業員体験の進化
来週までに保育園に就労証明書を出さなければいけない。 「システムで申請はしたけど、労務の○○さんに届いてるかな?」 「提出日に間に合うかな?」 「心配だからDMして状況聞いてみようかな。。。」 そんな体験された方もいるのではないでしょうか。 今回は、グッドパッチの労務メンバーがSlack Bot「ロオウム」を使って、そんな「待つ間の不安」を減らした取り組みを紹介します。 よくあるQA Botのように、社員からの質問に答える仕組みではありません。申請後の状態を、こちらから知らせる仕組みです。 労務書類の受付からお届けまでを「ロオウム」がつなぐ就労証明書などの書類は、提出先の期限が迫っていることもあります。申請後に受付連絡がないと、社員は「申請できているのか」「いつ受け取れるのか」が分からず、不安から労務メンバーに問い合わせをします。 その問い合わせ件数は、 なんと年間58件もありました。 また、労務側も、社員から個別に連絡をもらって初めて申請に気づき、受付や完成の案内が遅れてしまうことがありました。 そこで導入したのが、Slack Bot「ロオウム」です。社員がWFシステムで書類を申請すると、受付から完成、受け取り方法の案内までをロオウムがつなぎます。 ロオウムのSlackアイコン社員から見た流れは、次のとおりです。 WFシステムで申請すると、5〜10分ほどで「受け付けました」とDMが届きます。 書類が完成すると、労務メンバーが台帳に書類URLを記入し、「完成通知」にチェックをすると、ロオウムが自動で完成DMを送ります。 受け取り方法に応じて、案内が分かれます。データ共有の場合は確認リンクを、郵送の場合は原本を当日発送する旨をDMで知らせます。 ロオウムの流れ完了通知のサンプル社員は申請後、受付の確認や受け取り方法の問い合わせをせずに、次の案内を待てるようになりました。 裏側では、申請・台帳・通知を連携ロオウムは、書類そのものを作るBotではありません。書類の作成は労務メンバーが行い、受付や完成の連絡、受け取り案内を自動で届けます。 裏側では、WFシステム、Zapier、Googleスプレッドシート、GAS、Slackを連携させています。 WFシステムへの申請をZapierが受け取り、項目ごとに整理して台帳へ記録します。 申請者名をもとにメールアドレスを照合します。 GASが台帳を定期的に確認し、受付連絡がまだの申請者へSlack DMを送ります。 労務メンバーが書類を作成し、台帳にURLを記入して「完成通知」にチェックすると、完成DMが送られます。 受付から完成までの状況は台帳に残り、労務側も進捗や対応漏れを確認できます。 作業フロー図情報の転記や通知の実行は、ZapierとGASによる自動化です。生成AIが日々の申請情報を判断したり、書類を作成したりしているわけではありません。仕組みの設計・実装にはClaudeを活用しました。 一方、運用時の情報整理や通知はZapierとGASが担い、書類作成や例外対応、送信前の確認は労務メンバーが行います。 この役割分担によって、人が毎回台帳を見回ったり、同じ受付連絡を個別に送ったりする負担を減らしながら、社員には状況が届くようにしました。 年間58件あった個別連絡が、導入後は例外1件にロオウム導入前の1年間に、Slackで受けた書類発行依頼は58件でした。月平均では約4.8件です。 導入後83日間に、同じ経路で労務へ直接届いた依頼は1件でした。WFシステムに必要な書式がなく、労務担当者へ連絡があった例外ケースです。 導入前の月平均を83日間に換算すると、約13件の依頼が見込まれます。 今回の集計が示しているのは、Slackで個別に受ける問い合わせが減ったことです。 社員の不安を直接測定したものではありませんが、受付や完成の状況を自動で知らせることで、社員が状況を確認しなくても進捗を把握しやすい仕組みにはなった、と言えると思っています。 結果効率化の先に、社員から見える体験をつくるロオウムの取り組みで変えたのは、労務側の作業だけではありません。 申請後に何も連絡がない時間を減らし、社員が自分の手続きの状況を把握できるようにしました。 AIや自動化に任せるのは、情報の整理や台帳への転記、定型通知の実行です。人は書類の作成、例外への対応、最終確認を担います。繰り返しの作業を仕組みに任せることで、人が判断や個別の相談に向き合える余地も生まれます。 人事のAI活用を考えるとき、まず「どの業務にAIを使うか」だけでなく、こんな問いから始めてもよさそうです。 この業務を変えることで、社員のどんな体験が変わるのか? 社員が持つ不の解消につながるか? 労務の効率化を、人事側の時間削減だけで終わらせない。社員から見える案内や安心感まで設計することが、今回の取り組みで大切にしたことです。

AIとマネージャーでつくる、仕事の中で人が育つ仕組み
人事面談を終えた後、私はトランスクリプトをAIに読み込ませ、自分自身の問いかけや深掘りの質にフィードバックを返す仕組みをつくりました。 振り返りたいのは面談相手ではなく、私の関わり方です。 きっかけは、面談を重ねるたびに残るこんな問いでした。 相手の話を十分に深掘りできたか。 話の核心に近づく問いを投げられたか。 本人が自分の経験を違う角度から見るきっかけをつくれたか。 自分の感覚だけで面談の質を振り返るには限界があります。 AIが示した気づきをもとに、次の面談で問いかけを変え、また振り返る。 この記事では、このような成長に資する循環を日々の仕事にどう組み込み、マネージャーがどう支えるかを考えます。 AIで面談の関わり方をどう振り返るか以下は、実際の面談についてAIから受け取ったフィードバックの一部を、公開用に再構成した例です。 「傾聴・理解確認」について Good 本人が仕事上の経験について話した後、そう感じた場面や背景を具体的に尋ねた。本人の受け止めと、その背景にある事実を分けて理解しようとしている。 More 要約の直後に「今の理解で違うところはありますか」と置き、面談者の解釈を修正する時間を確保するとよい。 この仕組みでは、面談者の関わり方を次の8項目で振り返ります。 目的・場づくり 傾聴・理解確認 深掘り 質問品質・中立性 構成・時間配分 事実・解釈の分離 合意・クロージング 状態把握の正確さ(面談者が本人の受け止めを確かめられたか) この振り返りを、私一人の実践で終わらせたくありません。 人事面談は、人事チームのメンバーが幅広く分担して行っています。 それぞれが良かった問いや深掘りしきれなかった場面から学べたら、チーム全体で面談の質を高められるはずです。 ただ、仕組みを渡すだけで全員が振り返りを続けられるわけではありません。 メンバーは日々の業務は忙しく、面談が終われば次の仕事が待っています。 成長のために新しい活動を積み上げるより、普段の仕事の流れの中で、無理なく振り返りと次の挑戦がつながる状態をつくりたいと考えています。 そのつなぎ役になるのがマネージャーであり、AIはメンバーとマネージャーの双方を支える存在だと考えています。 振り返りたいのは、面談だけではない対話の質が成果を左右する場面は、面談以外にもあります。 例えば、合意形成を目的とする会議を進行したメンバーがいたとします。 参加者それぞれの視点から意見を引き出せたか。異なる意見や懸念を扱ったうえで結論に向かえたか。 決まったことと次のアクションは明確だったか。 会議の記録があれば、その会議の目的と進行役の役割に照らして振り返れます。 AIは、発言の偏りや、確認されないまま残った論点を見つける助けになります。 ただし、参加者が本当に納得したかどうかを、会議録だけから判定することはできません。 AIの所見は結論ではなく、進行した本人が自分の関わり方を見直すための材料です。 資料作成や情報整理など、一人で進める作業をAIが支える場面が増えるほど、人と人との間で意見を引き出し、違いを扱い、納得して前に進むための力は、相対的に重要になると思います。 だからこそ、対話や合意形成を「場数を踏めば上達するもの」として放置したくありません。 振り返った後、次の仕事で何を試すかここで手がかりになるのが、コルブの経験学習サイクルです。 経験からの学びを、4つの段階で捉えます。 経験学習サイクルAIは記録を整理し、一人では見落としやすい振り返りの視点を示せます。 「あの場面で結論を急いでいなかったか」 「別の問いなら何を聞けたか」 と考える材料をつくり、次に試す問いの案も出せるでしょう。 しかし、レポートを読んで「なるほど」と思うだけでは、サイクルは回りません。 次の会議で意見を聞く順番を変えてみる。 次の面談では、助言する前にもう一つ問いを重ねてみる。 試した結果をまた振り返る。 前の経験が、次の仕事での行動を変えることが大切です。 フィードバックは、渡せば使われるわけではない私は自分から面談の質を高めたいと思い、AIのフィードバックを求めています。 しかし、誰もが積極的に自分へのフィードバックを欲しているわけではありません。 的確な所見であっても、忙しさの中で読まれなかったり、自分への評価だと感じて距離を置いたりすることはあり得ます。 607の効果量を対象としたKlugerとDeNisiによる1996年のメタ分析では、フィードバック介入は平均的にパフォーマンスを改善した一方、3分の1超の介入では低下が見られました。 著者らは、注意が仕事上の課題から「自分自身の評価」へ向かうほど、効果が弱まる可能性を示しています。 これはAIを使った面談や会議の振り返りを直接調べた研究ではありません。それでも、良いフィードバックを作ることと、本人がそれを次の行動に生かすことは違うと考えるうえで、重要な示唆があります。 マネージャーが、気づきと次の挑戦をつなぐ人事チームでこの仕組みを広げる上で、AIのレポートを各自に渡して終わりにはしたくありません。 マネージャーが、本人の受け止めを聞き、次に何を試すかを一緒に考えることが必要です。 例えば会議の進行についてAIが「一部の参加者の意見を十分に聞けていなかった可能性」を示したとします。 そこで「もっと意見を引き出すべきだった」と告げるだけでは、次の行動は見えません。 「その場では、何を優先して進めていた?」 「発言が少なかった人に、聞いてみたかったことはある?」 「次の会議では、どこで一度立ち止まってみる?」 そうした対話を通じて本人が試したいことを決め、次の機会につなげる。 うまくいかなければ、また一緒に振り返る。 マネージャーが担うのは、AIが見つけた所見を伝えること以上に、本人が学びを自分のものにし、仕事で試せるよう支えることだと思います。 また、マネージャー自身も、メンバーへの問いかけや働きかけをAIと一緒に考えられます。 さらに、対話の後には、自分の問いが相手の考えを深めたか、伝え方が行動につながるものだったかについて、AIからフィードバックを得ることもできます。 対話を準備し、実際に働きかけ、振り返り、次の対話で試す。 経験学習サイクルは、メンバーの成長支援だけでなく、マネージャー自身のマネジメントにも適用できるのです。指導経験やコーチングの技術に自信がなくても、日々の対話を通じて関わり方を磨いていけます。 成長の主役は、仕事に挑む本人です。その人の次の一歩に責任を持って関わるマネージャーを、AIが支える。 そんな成長のサイクルを、日々の仕事の中に組み込んでいくことで、会社全体を学習する組織に変えていきたいと思っています。

AIでM&Aの候補先を探したら、知っている会社しか出てこなかった話。上場デザイン会社の「M&A AI分業の設計図」を公開
こんにちは。グッドパッチで執行役員をしている坂口(ぐっさん)です。社長室と事業開発本部と管理部を見ています。 #AgenticManagement シリーズ、今回はM&Aです。 最初に白状します。今回は、うまくいかなかった話から始めます。 「AIでM&Aのソーシングを効率化」。こういう記事、最近よく見かけますよね。私も信じました。信じて、手を動かしました。それなりの時間をかけて、仕組みもつくりました。 結果から言えば、渡せませんでした。正確に言うと、ソーシングの中でも、新しい候補を「探す」仕事が、渡せなかった。 ただ、渡せなかったからこそ、見えたものがあります。 先に結論だけ書いておきます。AIが公開情報から作る候補リストは、誰が作っても、ほとんど同じものになります。差がつくのは、リストの前と後でした。「どこを探すか」を決めること。そして、会いに行って対話を重ねる、泥臭い工程です。 なぜそう言えるのか。逆に、何は渡せたのか。同じことを試そうとしている誰かの遠回りが、少しでも減ればいい。そう思って、全部書きます。 私を含めて2人とAIの、M&AチームグッドパッチのM&Aチームは、2人です。 M&A担当のメンバーが1名。そして、社長室と管理部を兼務している私。大きな専門部隊はありません。 ソーシングはずっと続けてきていて、いまのロングリスト(候補企業の一覧)は約800社。そこから毎月40社ほどをピックアップし、事業内容や業績を確かめながら、アプローチする会社を検討しています。仲介会社から届くノンネームシート(社名を伏せた案件の概要書)も、年間でおよそ300件あります。 2人で、800社のリストと、年300件の案件。 なぜ、そこまでやるのか。グッドパッチにとって、M&Aは目的ではなく手段だからです。 私たちのミッションは「デザインの力を証明する」こと。そのためには、UI/UXデザインの会社という枠を、自分たちで越えていかなければいけません。戦略、開発、マーケティング、組織。デザインが価値を出せる場所は、自分たちの足だけで広げるには広すぎるんです。 そのために、成長戦略の柱のひとつにM&Aを置いています。決算説明資料でも、「M&Aによる非連続なビジネス拡大」を中期の方針として掲げています。M&Aで仲間になってくれたスタジオディテイルズ、Layermate、そしてBand。パートナー企業との合弁から始まったピープルアンドデザイン。形は違っても、どれも「デザインの力が届く領域を広げる」ための挑戦だと思っています。 つまりM&Aは、会社の成長の速度を決める仕事です。 だから、AIに渡せる仕事は全部渡したかった。人の時間を、人にしかできない仕事に使いたかった。そう腹をくくって、全工程でAIを試しました。 M&A AI分業マップM&Aの仕事は、大きく6つの工程に分かれます。買収候補を探す「ソーシング」。候補を絞り込む「スクリーニング」。買う前に相手の会社を詳しく調べる「DD(デューデリジェンス)」。会社の値段を見積もる「バリュエーション」。条件を詰めて契約を結ぶ「契約・交渉」。そして、買ったあとに組織や業務をひとつにしていく「PMI」です。 M&A AI分業マップ:6工程で、人とAIがそれぞれ担った仕事結果が、この図です。後半の工程は、かなり渡せました。渡せなかったのは、いちばん最初。入口にあたる「探す」仕事でした。 渡せなかった仕事:探す私たちのソーシングには、入口が2つあります。ひとつは、自分たちでテーマを決めて会社を探し、会いに行く入口。もうひとつは、仲介会社から届く案件を見る入口です。 渡せなかったのは、ひとつ目でした。 まず、AIにロングリストを作らせました。それらしい会社が、それらしい理由つきで、きれいに並びます。見た目は、立派なリストでした。 条件を変えました。切り口も変えました。何度も試しました。網を広げれば、まだ知らない会社が見つかるはずだ。そう信じていたからです。 ところが、です。 並んだ社名のほとんどは、もう知っている会社でした。 初めて見る会社は、数社あったかどうか。成果と呼べるのは、そのくらいでした。 正直に言えば、悔しかったです。 ただ、理由ははっきりしていました。AIが探せるのは、人が「ここを探して」と決めた範囲の中だけなんです。しかも、その範囲にある公開情報は、誰にでも見えています。同じテーマで、同じように聞けば、誰が作っても、だいたい同じリストが出てくる。 私たちはこの3年半、ずっとソーシングを続けてきました。テーマを決めて、候補を洗い出して、業績を確かめて、会いに行く。泥臭い繰り返しです。毎月の40社は、AIが見つけてきた会社ではありません。3年半かけて積み上げてきたリストを、人の手で更新し続けている結果です。だから、いまのテーマの中では、AIが出す会社と、私たちがすでに知っている会社が、ほとんど重なってしまった。 釣りにたとえると、分かりやすいかもしれません。 AIは、高性能な魚群探知機のようなものです。どこに魚がいるかを、一瞬で教えてくれます。でも私たちは、同じ池に3年半通い続けてきました。どこにどんな魚がいるかは、もうだいたい知っているんです。探知機が教えてくれたのは、すでに知っている魚の居場所でした。 AIの性能が足りなかったわけではありません。探知機は、渡された池の中を探すのが仕事です。どの池に行くかは、探知機には決められない。それだけのことだと思っています。 もちろん、池には新しい魚も生まれます。新しい会社は、毎年生まれていますから。テーマを変えて別の池に行けば、探知機はきっと大活躍します。ただ、どの池に行くかまでは、探知機は決めてくれません。 今の私たちの進め方は、とても人間的です。 まずテーマを決めます。M&A担当のメンバーが、候補をピックアップします。狙いたい先については、企業信用調査データベースと外部の財務データサービスから、業績データを人の手で取得します。AIに任せているのは、そのデータの分析だけです。そのうえで私とすり合わせて、最後は経営で「会いに行くか」を決めます。 どこを探すか⇨どの情報を重視するか⇨会いに行くか。この3つは、人に残りました。 これからAIでソーシングを始める方へここまで読んで、「うちはこれから始めるから、事情が違う」と思った方に、いちばん伝えたいことがあります。 たしかに、ソーシングをこれから始める会社には、AIはものすごく効きます。ゼロから、私たちの3年分の蓄積に近いところまで、一気に進めます。ただ、そのリストは、あなただけのものではありません。 あなたがAIで作ったロングリストは、競合も持っているはずです。同じ公開情報を、同じようなAIが、同じような条件で探すのですから。あなたのリストの1行目にいる会社は、他社のリストの1行目にもいる。そう考えておいたほうが、たぶん正しい。 リストが一瞬で手に入るようになった今、差がつく場所は、リストの外に移りました。 ひとつは、どの池に行くか。競合と同じ池を探知機で探しても、同じ魚が映るだけです。「どんな会社と一緒になりたいか」を自分たちの言葉で書けているかどうかで、探しに行く池そのものが変わります。 もうひとつは、会いに行くか。リストに社名が並んでも、それだけでは何も起きません。実際に会いに行って、話を聞いて、断られて、また会いに行く。泥臭くて、時間のかかる工程です。AIはここに、ほとんど手を貸せません。そして相手の会社から見て、あなたを「他社のリストの1行」と分けてくれるのは、この対話の積み重ねだけです。 探知機は速いので、渡された池はすぐに探し終わります。速ければ速いほど、「次はどの池に行くか」「誰に会いに行くか」を決める番が、早く回ってくる。私たちは3年半かけてその壁に着きましたが、AIから始める会社なら、もっと早く着くはずです。壁そのものは、誰の前にもあります。 だから、ひとつだけ。探知機を買う前に、池を決めてください。それさえあれば、AIは驚くほど働いてくれます。逆に、それがないまま探知機を回すと、それらしい会社が並ぶだけで、どれにも会いに行けません。 渡しかけている仕事:届いた案件を捌くもうひとつの入口、仲介会社から届く案件についても書いておきます。 届いた案件の、どれを見て、どれを見送るか。この判断、放っておくと個人の勘に寄っていくんですよね。そこで、判断の基準を言葉にしました。足切りの条件、5つの観点でのスコア、チェックリスト、過去に検討した案件との比較。この4つです。この基準をAIに持たせて、実際の案件で数回試しました。 手応えはありました。見送るべき理由が、早い段階で見えるようになったからです。 ただ、正直に言えば、まだ日常の仕事には組み込めていません。届いた案件の多くは、今も人の目で一件ずつ見ています。 それでも、試して分かったことがあります。AIは、基準さえ言葉にすれば、最初のふるい分けと論点の整理を速くしてくれる。でも、何を基準にするか、最後にどう判断するかは、人の仕事でした。 渡せた仕事①:デューデリジェンスの「読む」ここからは、渡せた仕事の話です。 まずはDD(デューデリジェンス。買収前に相手の会社を詳しく調べる工程)から。 ビジネスDDでは、市場や競合の整理、事業構造の読み解き、論点のたたき台づくりに使っています。 財務・税務・法務・労務のDDは、これまでどおり外部の専門家にお願いしています。AIに任せているのは、専門家から届いた報告書を横断して「読み直す」ことです。 DDの報告書って、分厚いじゃないですか。もちろん、全部読みます。ただ、とにかく時間がかかるんですよね。しかも、数人のチームで何百ページも読んでいると、大事な論点を見落としていないか、報告書同士のつながりを読み違えていないか。そこが、ずっと不安でした。 そこで、自分たちで読んだうえで、報告書をAIにも読ませます。報告書同士で食い違っている箇所はないか。複数の報告書を並べて初めて見えてくる論点はないか。もう一段深く聞くべき点はどこか。それを洗い出してもらいます。人の目とAIの目で、二重に確かめるイメージです。読む時間が短くなったぶん、「この論点をどう判断するか」を考える時間が増えました。 もちろん、預かった資料をAIに読ませるときは、入力した内容が学習に使われない環境で行い、秘密保持契約の範囲を確認したうえで進めています。 これは、専門家をAIに置き換える話ではありません。専門家に「次に何を聞くか」を、AIと一緒に考えている。そういう使い方です。人数の少ない買い手ほど、これは効くと思っています。 渡せた仕事②:バリュエーションの「計算する」いちばん変化が大きかったのは、バリュエーションです。 バリュエーションと一言で言っても、やることは多岐にわたります。相手の会社から開示を受けたデータを分析する。売上や利益を左右する変数を見つけて、動かしてみる。相手の計画をうのみにせず、自分たちなりの事業計画を組み直す。そのうえで、ようやく評価額を試算します。 この一連の作業には相応の時間がかかっていました。前提を変えて何パターンも検証しようとすると、なおさらです。今は、前提を変えた複数のパターンを、短い時間で並べて比べられるようになりました。 ただ、速くなったこと自体は、実は本題ではないんです。 パターンをいくつも試す余裕が、以前はありませんでした。だから、出てきた数字を前提にして話を進めることが多かった。今は、何通りもの数字が短時間で並びます。すると、考えることが変わりました。 「どの前提を信じるか」。 ここに、時間を使えるようになりました。 やってみて気づいたことがあります。この作業は、工程そのものに、買い手の独自性が出るんです。どのデータに目をつけるか。どの変数を動かすか。計画のどこを疑うか。その選び方に、「自分たちはこの会社の何に価値を見ているのか」が表れます。計算はAIに渡せても、この選び方は渡せない。むしろ、計算を渡したことで、ここに自分たちらしさがあると分かりました。 AIが出すのはパターンまでです。前提を置き、価格を決めるのは人です。最終的な価格の妥当性は、外部の専門家による算定も踏まえて、取締役会で判断しています。 渡せた仕事③:契約と交渉の「備える」契約と交渉でも、AIに助けられました。 株式譲渡契約書(SPA)をはじめ、M&Aの契約書は長くて、一語の違いが効いてきます。ドラフトをAIに読ませて、気になる条項や、こちらに不利になりうる書きぶりを洗い出してもらう。そのうえで、専門家と詰めていきます。 交渉の前には、論点の整理にも使っています。相手にとって大事なことは何か。こちらが譲れることと、譲れないことは何か。話の順番をどう組むか。頭の中だけで回していた準備を、AIと一緒に言葉にしておく。すると、当日は相手の話を聞くことに集中できるんですよね。 ただ、交渉のテーブルに座るのは人です。相手の表情を見て、何を言い、何を言わないかを決める。ここは、AIには渡していません。 PMIでは、整理係としてPMI(買収後に組織や業務をひとつにしていく工程)での使い方は、まだ軽めです。100日プランをAIで回す、というところまでは行っていません。統合のTODOを洗い出して整理し、抜け漏れを管理する。今は、そういう整理係として働いてもらっています。 統合は、結局のところ人に会う仕事です。新しく仲間になってくれた人たちと、顔を合わせて話す。ここは、渡すつもりがありません。 M&Aに残ったのは、決める仕事だった全工程にAIを入れてみて、人に残った仕事は3つでした。 どこを探すか。探知機は、渡された池の中しか探せません。新しい会社は生まれ続けますし、テーマを変えれば池も変わります。どの池に行くかを決めるのは、人の仕事です。いま私たちは、探す場所そのものを見直しています。 何を信じるか。どのデータを信じるか。どの前提を信じるか。パターンが増えるほど、この判断は重くなります。 会いに行くか。最後は、相手の会社の扉を叩くかどうか。ここに、覚悟が要ります。 経営企画編では「問いを立てる仕事が残った」と書きました。法務編では「線を引く仕事が残った」と書きました。 M&Aに残ったのは、決める仕事でした。 AIに渡せなかったことを、今は失敗だと思っていません。渡そうとしたから、自分たちの仕事がどこにあるのかが見えた。私はそう思っています。 みなさんの会社では、どの仕事が渡せて、どの仕事が渡せなかったでしょうか。うまくいかなかった話こそ、ぜひ聞かせてください。 お問い合わせ・ご相談はこちらへ。 X:https://x.com/tomo19831112 グッドパッチ:https://goodpatch.com/contact
Advent Calendar 2022
メンバーが執筆した、2022年のアドベントカレンダー記事のまとめです。テーマは真面目なものから柔らかいものまで、デザインやエンジニアリングに関するものなら何でも。メンバーの興味関心や普段考えていること垣間見えるかも。

経営者も顧客視点を忘れないためのクライアントインタビューのすゝめ
毎年恒例のGoodpatch Design Advent Calendar2022の最終日を担当しておりますグッドパッチ土屋です。 今年は僕がグッドパッチの経営者として行っている重要な仕事の一つである「CEOのクライアントインタビュー」について書こうと思います。 グッドパッチのメイン事業であるデザインパートナー事業は、これまで数多くの企業をご支援させていただき、UIデザインから始まった提供価値は、オフライン・オンライン体験を接続するプロダクト開発、事業構想から新規事業立ち上げ、ブランドデザイン、デザイン組織支援など、あらゆる領域に広げ、クライアントの事業成長にコミットしています。 グッドパッチでは、クライアントワークでそれぞれのチームが得た学びや経験を社内でシェアし、組織の力とする活動が頻繁に行われています。CEOのクライアントインタビューはその活動の一つです。 CEOのクライアントインタビューとは?CEOのクライアントインタビューとは、その名の通りプロジェクト終了後に代表の僕がクライアント担当者にインタビューを実施。ユーザー(クライアント)から率直にフィードバックをもらい、今後のクライアントワークの顧客満足度を向上に繋げる取り組みです。 直接クライアントにプロジェクトに対するインタビューを行い、それを映像に残し、書き起こしもして、全社員に公開しています。 目的としては、顧客の声を元に今後のサービス改善に活かす事と、顧客が現場でどんな価値を感じてくれているかの肌感をしっかり理解するためにやっています。 僕は組織が100人を越えたあたりから個別の案件に関わったり口を出したりすることはほとんどなくなり、事業は完全に担当の役員とGMに任せています。営業段階もプロジェクトの進行プロセスにも僕が出てくる事はほとんどありません。(最近は事業の状況で出てくる事が増えてますがw) ただ、このクライアントインタビューは社長である僕が顧客視点と現場感を失わないための重要な仕事として3年半以上続けている施策です。 全社にこんな感じで共有していますなぜクライアントインタビューを始めたのかこのクライアントインタビューを始めたキッカケがあります。数年前にある金融機関向けの講演会に呼ばれた時に、UXの重要性を行員のマネジメント層の方々に語る内容で、そこにいた方々に「皆さんここ最近顧客(ユーザー)の声を直接聞きに行ったことはありますか?それをしないと顧客目線でのサービスなんて作れませんよ」と語った事がありました。 それを言いながら、僕は「あれ、そういえば最近現場から離れてて顧客の声を直接聞きに行った覚えないな。。やばい。。」と自分で話した言葉が盛大なブーメランとして僕に突き刺さりました。 ユーザー体験をデザインする会社の社長が、顧客の声に直接触れてないのやばいでしょ・・とそこからすぐにこのクライアントインタビューの実施を始めたのでした。 どんな風にインタビューを行っているのか今はリモートなのでZoomで時間をもらっているのですが、コロナ前は直接オフィスに伺いインタビューをしていました。 クライアントからするとプロジェクトに一切関わっていないパートナー先の社長がいきなりインタビューをさせて欲しいと連絡が来るので多少びっくりすると思います。笑 まず、インタビューの目的をクライアントに伝えます。そこで必ず伝えるのは、 ・あくまでフィードバックをいただき今後の仕事の改善に活かしたい事 ・メンバー個別のフィードバックは基本的に人事評価には影響しない事 あくまで今後の仕事の改善に活かしたいだけなので、メンバー個別のフィードバックも人事評価上プラスの影響はあれどマイナスの影響は出ないようにするので、忖度せずに率直な意見を聞かせて欲しいという事を最初にクライアントに伝えてインタビューをスタートします。 どんな事を聞く?いつも僕が聞いている内容の一部をご紹介します ・元々顧客が持っていた課題感、プロジェクト組成の背景 グッドパッチにお問い合わせ、もしくはサービス内容に興味をもったクライアントがどんな課題を持っていたのか、社内ではなく外部のパートナーに依頼することになった経緯をまず聞きます。先方の顕在化している課題がなんだったのか、背景を知ることは今後のマーケティング施策に活かせるインプットになります。 多くのケースは知見のあるデザイナーがいない、社内のリソースがない、外部の視点を入れてブラッシュアップしたい、もしくは顧客が見えてない課題を特定したいなどが出てきます。 ・グッドパッチをパートナーとして選んだ決め手 多くのケースでクライアントは複数の競合に同時に問い合わせをしている事が多いので、ここでどんな競合に当たっていたのか、そんな中でなぜグッドパッチを選んでくれたのかを聞きます。ここで営業時にどんなポイントが刺さるのかが見えてきますね グッドパッチを選んだ決め手の一部意外と驚かれるのが「グッドパッチのプロセス・ノウハウを持って行って良い」という点。デザインパーナー事業のミッションは、クライアントの事業成長に貢献することです。そのため、アウトプットの納品という単発的な支援だけではなく、考え方・ノウハウ・プロセスなど、デザインの文化がクライアント組織に根付き、デザインの力で継続的に価値を生み出し自走する組織を増やすため、ノウハウは惜しみなく提供しています。 最終的に内製化したいクライアントもこれなら自社にデザイナーがいても、グッドパッチと一緒にやりたいと思える部分です。 ・グッドパッチに何を期待をしていたか ・期待と違った部分 (期待値より良かった点、期待値に届かなかった点) プロジェクトの前のグッドパッチに対する認知及び期待値がプロジェクトを通して、しっかりと期待値通りのアウトプットを出せたのか、期待値以上のものが出せたのか、経営者としては最も知りたいところです。 ここも漠然と聞くのではなく、プロジェクトのフェーズごとにモチベーショングラフを書いてもらい、フェーズ毎でどんな期待値のズレや価値を感じたのかを聞いていくのがポイントです。 インタビュー前に記入してもらっているモチベーショングラフインタビューを通して期待以上だった部分の一部・グッドパッチとの仕事で今後に活かせそうな事はあるか グッドパッチは一緒に仕事をしたクライアントの組織にプロセスなりデザインの資産なり、マインドセットなり、何かしらのお土産を置いていくことを大切にしています。少なくない金額をデザインに投資していただいているので、数値的成果だけではなく、組織やチームの何かしらインストールすることを価値の一つとしておいているので、そこを聞くようにしています。 ・総合評価(足りない点を埋めるとしたら) 最後にいつも総合満足度を100点満点で聞いています。いわゆるNPSみたいなものですね。毎回満足度を聞いて、足りない点を埋めるとしたらどんな部分を改善したら良いかを聞いています。 過去最高点は120点、しかし忖度なしにフィードバックを伺っているので、過去一番低い点数は30点をつけられたクライアントもいます。ほぼクレームに近い内容だと思います。それも全て社内にオープンにしています。正直、厳しい意見をいただく事は非常に有り難く、そういったプロジェクトから学び今後の仕事の改善をしていくことが最も重要だと思っています。 ちなみに過去の満足度の平均点は82.52点でした。(80点を越えてて内心ホッとしていますw) UXリサーチの実施前に確認する21の心得|Goodpatch Blog グッドパッチブログ「明日はユーザーインタビューだ…!うまくできるかな。緊張してきた…。」UXリサーチは、限られた時間の中でなるべく多くの有益goodpatch.com クライアントインタビューの副次的効果このクライアントインタビューは、現状働いているメンバー達にとって、他のプロジェクトの進め方を参考参考にできる部分もあれば、改めて顧客が感じている価値に気付けるというのもメリットです。様々な事業の顧客の声に触れれるので非常にパターン認知が捗ります。 あとは、良かったのは中途で入社してきたメンバー達が、このインタビューを見ることで、グッドパッチでうまくいったプロジェクト、課題の会ったプロジェクトを見て、プロジェクトの進め方やクライアントとのコミュニケーションの仕方を学ぶ良い材料になります。新入社員のオンボーディングにも役立つというのは最初はそこまで想像していませんでした。 経営者は顧客視点が薄れていくこれは常々思っていることですが、経営者は会社が成長すると現場の顧客の顔がどんどん見えなくなっていきます。どんな経営者も最初は現場の顧客課題に近いところにいて、自ら顧客課題の解決に向けたサービスやソリューションの改善を推進し、陣頭指揮を取っていたはずです。 しかし、会社が大きくなると経営会議に顧客やユーザーニーズの話題が出づらくなっていきます。組織の課題、事業計画、ファイナンス、様々な経営イシューが経営者には降りかかります。経営者は顧客に近い現場の課題は基本的に下のメンバーに任せることになり、結果として、経営会議には顧客の話があまり出てこなくなります。 顧客のニーズは常に変わらないという事はありません。普遍ニーズはあれど、時代が変わるとユーザーニーズも基本変化します。そうなると、経営者は昔の顧客像とニーズからアップデートができず、いつの間にか変わっていくユーザーニーズを捉えきれず、どんどん顧客課題がズレて行ってしまうということが起こり得ます。これはかなりあるあるだと思っています。 やはり、経営者こそ現場の顧客課題の解像度を高く保つために、顧客との対話の機会を持ち続ける事が重要だと思います。 やはり答えは常に顧客の声に触れれる現場の前線にあるものだと思います。 会社が大きくなっても、クライアントインタビューをやり続けれる経営者はなかなかいないからこそ、僕はやり続けたいなと思っています。 余談ですが、顧客ニーズの変化を現場で一番最初に感じ取り、経営にエスカレーションするべきなのはデザイナーであって欲しいとも思います。経営会議にデザイン領域の役員であるCDO、CXOを入れる意味は経営会議に顧客のニーズの変化などのイシューを上程することにあると僕は思います。 経営イシューとして顧客価値の議論がデザイナー主導で行われる様になっていくと良いですね。そのためにはデザイナー自身が他の経営課題にも意見を持てるように知識をアップデートしないといけないですが。経営の議論に正面から入っていけるデザイナーを日本に増やしたいですね。 グッドパッチは企業のデザインパートナーとして、忖度せずに経営課題に切り込んでいきますので、ぜひご相談ください! 最近作ったサービスサイトはこちらから https://design-partnership.goodpatch.com/ デザインの力でビジネスを前進させる|グッドパッチデザインパートナーシップサービスやプロダクトのUX/UI・ブランド・事業戦略のデザインパートナーとして並走。企業が抱える課題を明確にしビジネスに貢design-partnership.goodpatch.com あなたのやりたいことはデザインかもしれないGoodpatchに入社する人材は美大・芸大出身に限らず、総合大学出身、営業、事業開発、コンサルなど多岐に渡ります。 私たちのバリュー「Go beyond」を体現する、多様なデザイナーたちを紹介するムービー グッドパッチの採用情報はこちら Careers|Goodpatch グッドパッチGoodpatchの採用情報ページです。募集要項のほか、メンバーのインタビュー、働きやすさを支える制度などをご覧いただけまgoodpatch.com Goodpatch のアドベントカレンダーは現場のデザイナーが書く貴重なナレッジがいっぱい!ぜひ読んでください! 🎄🎄メリー・クリスマス🎄🎄 Goodpatch Design Advent Calendar 2022 adventar.org

ナレッジマネジメントを組織に定着させるための提案
この記事はGoodpatchアドベントカレンダー2022の23日目の記事です。 突然ですが、私は昨年「ナレッジマネジメント」領域の新規事業を立案し、リサーチや価値検証を行いました。結果としてはβ版を複数社に導入していただきながら行った価値検証を経てクローズという判断になってしまったものの、そのプロセスを通じて様々な組織におけるナレッジマネジメントの状況や課題感、そしてベストプラクティスまで多くの知見を得ることができました。 今回はそういった経験を土台として、これまで発信の主テーマにしていた「UXデザイン」や「サービスデザイン」の領域ではなく「ナレッジマネジメント」というテーマで記事を執筆することにしました。 この記事では、組織としてナレッジマネジメントを推進する時にどのような観点や考え方が必要なのかを紐解いていけたらと思います。 (組織の状況やカルチャー、事業形態などによっても最適なHOWは異なるため、今回はあくまで観点の整理と提案を主軸にまとめます) adventar.org ナレッジマネジメントにおける誤解と課題ナレッジマネジメントとは? そもそもナレッジマネジメントという言葉を聞いたことがない方や、実際どのような考え方なのかわからないという方も多いと思います。 ナレッジマネジメントの一般的な定義を見ると、知識(ナレッジ)を活用して経営を管理する手法として語られることが多く、その目的としては「業務の属人化を防ぐこと」や「業務効率化・生産性向上」が主に挙げられています。 以下は実際にナレッジマネジメントを推進している企業に対してリサーチした、ナレッジマネジメントの目的を整理した図です。 ナレッジマネジメントの目的分類また、ナレッジマネジメントの有名なフレームワークとして、野中郁次郎先生と竹内弘高先生が提唱されたSECIモデル(下図)がありますが、組織にそのまま適用するにはやや抽象度が高く、実践するためには現代の組織特性を加味し自社のカルチャーや既存の仕組みに合わせた形で解釈し直しながら、戦略的な側面と運用的な側面の両面からギャップを埋める必要があります。 しかし、これらを埋めるためにどのような観点や仕組みが必要か具体的にイメージできる人は多くないのではないでしょうか? SECIモデルその背景には、そもそもナレッジマネジメントに対する誤解があると考えています。 ナレッジマネジメントに対する誤解 市場にはナレッジマネジメントを謳うサービスは多々ありますが、そのほとんどがドキュメント管理や社内FAQのツールとなっています。 実際多くの組織で、ナレッジマネジメントに対して「ドキュメント化すること」という認識が強く、ドキュメント共有ツールをとりあえず導入してもそこに溜まるのは「ミーティングの議事録」や「日報」「組織制度に関わる情報」が大半を占めてしまい、業務に関する体系的な知識や実践知はほとんど溜まっていないという話もよく聞きます。 要するに、ドキュメンテーション(情報マネジメント)=ナレッジマネジメントという誤解が一般的な認識となってしまっており、その結果再利用性の低いフローな情報と本来再利用性を持って組織に普及させるべきナレッジの区別がつかず、何が組織において有効なナレッジなのかが戦略的に定義・蓄積できていない状況が多く存在します。 DIKW pyramid(データ、情報、知識、知恵)また、ナレッジマネジメントを行っている組織の取り組みを調べると、ミーティングなどでその場限りの“ナレッジシェア”はしているけれどその場に参加していない人への伝達(ナレッジのストック化・普及)はできていないという組織も多く、フロー型のナレッジシェアに留まってしまっていることもわかりました。 本来ナレッジマネジメントでは、ナレッジをドキュメント化するだけではなく、一人ひとりの経験の中に眠る知識を引き出す活動やそれを組織に普及・蓄積させながら発展させることも含む活動なため、より戦略的に組織の仕組みとして組み込むことが重要です。 ナレッジマネジメントの課題 ナレッジマネジメントの推進者の方々へ詳しいお話を聞いていくと、前述の通りいつの間にか「ドキュメント化すること」が目的になってしまい 「どんなナレッジをどんな目的で蓄積するのか/ナレッジを活用することでどんなアウトカムを組織として期待するのか」といったWHYの部分が組織で意思統一できていないという課題や悩みを抱えていることがわかりました。 以下は実際にリサーチを行った結果、各組織の中でどのような認識ギャップが実際にあったのかを示す一例です。(少し抽象化して記載しています) ▼ナレッジマネジメントについての認識 ・組織に流通する情報をドキュメント化することを指す ・業務のマニュアルや組織の制度などの情報を一元管理することを指す ・業務のアウトプットや中間成果物を共有することを指す ・同職種で互いにやっていることを口頭で共有することを指す など ▼ナレッジマネジメントの目的認識 ・情報の透明性 ・ドキュメント化の徹底 ・引き継ぎの効率化 ・メンバーの育成/教育の効率化 ・属人化を防ぐこと ・業務品質の向上と最低ラインの維持 ・目的がわからない/定義できていない など しかし、これらのズレを紐解いていくと十中八九「ナレッジマネジメントを組織で行う目的」や「ナレッジを共有・蓄積する目的」がそもそも曖昧だったり組織に浸透していないことが原因となって、実際何をするのかがバラけてしまったり組織的な仕組み化が行いづらい状況にあるという課題が見えてきました。 組織でナレッジマネジメントするための重要な2つの観点上記課題から、組織におけるナレッジマネジメントを推進する上で欠かせない二つの観点を提示したいと思います。 一つは個人を主体とする観点、もう一つは組織を主体とする観点です。 私はこの二つの観点が合わさることで初めてナレッジマネジメントを組織で行う土台ができると考えています。 1. 個人主体の経験学習サイクル 日々の業務を行っていると、目の前の仕事や課題解決に集中する必要があるため、言語化が習慣になっている人でない限り実践と経験の反復にどうしてもなってしまい、個人の中に暗黙的な知識が溜まり続けてしまいます。 特に完全なマニュアル化が難しい創造的な仕事をしているナレッジワーカーと呼ばれる職種では、これが続くと成果の出し方もどんどんと属人化し組織として成果を出す再現性が低下するため、事業運営上のリスクが高まってしまいます。 それを避けるためには、一般的な経験学習モデルを更に組織に適応して考え、個人の「経験」や「実践知」を他者との対話を通じてチームや組織へと開く活動が重要です。(SECIモデルでは共同化と呼ばれるプロセスに近いです) 個人主体の経験学習サイクルただし、対話の機会をメンバー一人ひとりの自主性に任せてしまうと、忙しい時やメンバーの性質によってこのプロセスが回らないことも多いため、後述の組織主体の活動により他者からの問いかけや対話を意図した仕組みや場の設計を行い、ある一定期間の個人の経験や実践から暗黙的になっている知識やベストプラクティスを引き出すことが効果的です。 一例ですが、ある組織ではマネージメントメンバーと一緒に業務の振り返りを行う場を定期的(月1回程)に設けそこでの気付きや実践知を社内へ記事として残していたり、周囲のメンバーの興味から能動的に勉強会のリクエストを行うことで個人の中にある知識を他のメンバーとのディスカッションを通して深掘りしていくアプローチをしている組織もありました。 勉強会は一方的なプレゼンテーション形式にしてしまうと、本人から見えている知見しか出てこないため、対話・ディスカッション形式をうまく組み込みながら他の視点から背景を紐解き気付きをお互いに得る場づくりがポイントです。 これらのアプローチによって、多角的な視点から実践と経験をした本人だけでは得られなかった気付きが得やすくなり、個人に閉じた経験が対話によって開かれ構造化・言語化されることで暗黙的な知識を他のメンバーに伝えやすくすることができます。 2. 組織主体のイネーブルメント活動 上記で記載した個人主体の経験学習サイクルをより行いやすくするためには、メンバーの経験学習の促進やサポートを目的とした組織的な仕組みを整え運営することも重要です。 しかし、実際にはナレッジマネジメントは経営の中でも「重要度は高いが緊急度が上がりづらい」イシューとして扱われていることが多く、ナレッジマネジメントを支える役割や仕組みを意図して設計できている組織はほとんどないのが実情です。 その上で、組織としての仕組みを整える際には、個人の経験学習の間をつなぐ形で「発見→移転→普及→適応」の4つのフェーズに分けた仕組みを組織的に構築し運営することで、個人の経験を組織へ還元しやすくすることができます。 組織主体のイネーブルメント活動それぞれのフェーズの説明は以下になります。 具体的なHOWは組織のカルチャーや特色によって千差万別なので、具体例はあくまで一例として捉えていただけると幸いです。 ▼発見 個人の経験と他者とのリフレクションをつなぎ、個人の中に眠る暗黙知を引き出すフェーズ 具体的には、1on1やチームでの定期的な経験の振り返り機会の創出や、経験を時系列で振り返りながら他者からの問いや視点を得て紐解いていくリフレクションの場の仕組みを組織としてサポートする活動です ▼移転 個人から引き出した知識や気づきを、他のケースにも応用できる知識へアップデートさせるフェーズ 他の事例や経験と併せて、より応用可能な知識へと発展させる活動。この活動を通して、個人の枠を超えて周囲のメンバーと対話することで知識を移転し、応用可能な知識へと発展させる可能性を組織として広げます ▼普及 応用可能な知識を様々な実践機会へ普及/転用させるフェーズ 職種や部署またはプロジェクトの枠を超えて転用可能なナレッジを、組織の中で横展開し成果の再現性を組織として高める活動です ▼適応 実践を通してさまざまなケースへの適応を繰り返しながら、業務プロセス自体へナレッジを実装するフェーズ 数多くのケースにナレッジを当てはめながら実践を繰り返すことで、様々なケースで扱えるナレッジに進化させたり、それを業務プロセスに埋め込むことでわざわざナレッジを参照しにいかなくてもナレッジが活用できる状態を生む活動です 個人の意思や行動に頼る形で経験学習のサイクルをまわすこともできますが、組織がスケールしていくとどうしてもばらつきが出てしまいます。 そのため、個人では成し遂げられない成果を得るために、組織としてナレッジマネジメントに対するイネーブルメント活動(メンバーの活動をサポートし円滑にする活動)を強化し仕組みとして組織に実装することが重要です。 ナレッジマネジメントを組織に定着させるための提案個人と組織という大きな二つの観点を、更に組織の戦略やカルチャーと接続させ組織にナレッジマネジメントを実装・定着させるために発展させる考え方を提案したいと思っています。 それをここでは 「ナレッジマネジメントイネーブルメントサイクル」と称したオリジナルメソッドを下敷きに、組織でナレッジマネジメントを行う土台としてどのような仕組みが有効なのかというポイントを紐解いていきたいと思います。 ナレッジマネジメントイネーブルメントサイクル1. 戦略に紐づいた「ナレッジテーマ」を設定 ドキュメント共有ツールを導入しメンバーから自然発生的なナレッジが出てくるのを待つだけでは、組織としてナレッジをマネジメントできているとは言えません。 そこで、企業や事業の戦略や課題から未来を見据えて蓄積・流通させることでレバレッジが効く「ナレッジテーマ」を設定し、テーマに沿ったナレッジをメンバーの実践や経験の中から発見しやすくする仕組みや場づくりをすることで、戦略的に組織における有効なナレッジを蓄積することができます。 組織の戦略や課題からテーマを設定し、戦略的に有効なナレッジを発見・蓄積する一方、事業活動の中で未来を見据えたテーマ設定を行うことは難しいことも多いため、テーマは会社からのトップダウンで策定するだけでなく、実践者であるメンバーやチームとの対話の中から抽出された興味や関心の高い探求領域、そして組織や事業における課題も加味して設定すると、メンバーからのナレッジ抽出や発見がより促進されやすくなります。 ナレッジは目的達成のための知見とも言えるため、どんな課題にアプローチすることで組織としての成果を上げやすくなるかを捉えることが暗黙知を引き出すトリガーにもなります。 余談ですが、個人的にMIMIGURIさんのアドベントカレンダーに「テーマ」が設定されているのを見て唸りました。(さすがです) 投稿されている記事もとても幅広い知見や想いが詰まった記事が多くとても参考になりますので、ぜひご覧になってみてください。 2. 「称賛」を基点としてナレッジを普及させる 良いナレッジが何かという評価を個人に委ねるだけでは、発信者との関わりや記事タイトルのキーワード、入社タイミングなどによって組織全体に行き渡らないことも。 そこで組織としてナレッジを称賛する仕組みと称賛の基準を作り、称賛→普及→蓄積の流れを作ることで、事業や組織の壁を越えて良いナレッジを普及することが可能になります。 称賛を基点として良いナレッジの普及・蓄積の流れをつくる例えばある会社では、評価のタイミングで各マネジメントメンバーがメンバーとやったことを振り返りその中から良いナレッジを選出し、選出されたナレッジを資料化・記事化して全社で表彰するナレッジを厳選。そして表彰とセットでそのナレッジを全社に対して本人に共有してもらう機会を作り、ナレッジを共有した際の資料や動画を全社員がいつでもアクセス可能な場所へ展開し蓄積。 更に他部署に転用できるナレッジの場合、事業部長やマネジメントクラスの責務として、それを業務活用しアウトカムを得ることにつなげているという話もありました。 ここで重要なのは、称賛を先に行い、結果として蓄積される仕組みを作ったという点です。 称賛がトリガーとなり、全社共有という機会に向けてナレッジがよりわかりやすく磨かれ、結果として共有されたものが蓄積・転用されていくサイクルを組織として仕組み化できれば、特に成果に直結するようなナレッジや自社にこれまでなかったナレッジを見落とすことなく組織として活用できるようになるのではないでしょうか。 もちろん会社によってはナレッジの記事化や資料化を全社員に先に行ってもらい、そこから称賛へ繋げるところもありましたが、社風によっては実行が難しいカルチャーもあると思います。 そのため、強い動機としてナレッジを出さないと評価が下がるなどのトップダウンでの意思決定ができる会社以外は、やはり称賛というトリガーからナレッジが厳選され普及していく仕組みを作ることがおすすめです。 3. 誰が何を知っているのかわかる状態をつくる とはいえ、ドキュメント化されたナレッジは組織全体の知識のうち12%ほどしかないというデータもありますし、メンバー間で対話する場をいくら設計しても全員が参加できるわけではありません。 私がナレッジマネジメントの事業化を進めていた上でたどり着いたのは、上記メソッドの仕組みの部分だけではなく、誰が何を知っているのかわかる状態を作り知識の流通経路を繋げること抜きにナレッジマネジメントを組織に実装することは不可能という事実です。 当然ですが、ナレッジの源泉は「人」です。 アウトプットやプロセスが記載されたドキュメントだけが存在していても、それがどのような背景・シーンで有効なのか/どのような意図を持って実行をしたのかという知識がないと全く役に立たないですし、その背景や意図を一番よく知っているのはそのナレッジを生み出した「人」たちです。 また、人によって知っているナレッジがばらつくのは当然なので、自分で0から探すのではなく、周囲のメンバーに聞けば「ナレッジ」または「知識を持った人」にすぐに辿り着ける状態を組織としてつくることが、組織全体の業務効率や生産性を高めます。 そのためナレッジをドキュメント化するだけではなく、(前職なども含め)誰がどんな経験をしてきたのか/誰がどんな知識に対して詳しいか/誰と誰がどのような仕事を一緒に経験したのかという「WHO KNOWS WHAT」と呼ばれる暗黙的な人に関する情報を見える化したり、組織施策として人のつながりに投資する(コラボレーションウェブの強化)施策を積極的に行うことで、誰が何を知っているのかが簡単にわかり知識が人を介して自然と流通するようになります。 ただ、誰が何を知っているかわかる状態にすると知見者に質問や相談が集中すると言う懸念の声も数多く聞きましたが、個人的な意見を言うと質問や相談が生まれない状態より「健全な状態」だと思うので、まずは健全な状態にした上で質問や相談が集中する個人には暗黙知が溜まっているとみなし、個別の勉強会やドキュメント化に対するインセンティブ設計を組織として行い、賞賛や評価(金銭的な報酬含む)をセットで還元していくことで知見がさらに流通する環境を作れるのではと考えます。 昨今転職は当たり前に行われ、知見を持った実践者の多くが中途入社または外部パートナー・業務委託として様々な企業に参画しています。 ただ、そういったメンバーのこれまでの経験や知見を効果的に引き出せる仕組みを持つ組織は数えるほどしかありません。 そのため、契約形態を問わずメンバー一人ひとりの経験や知識を引き出すことは、組織や事業に対しても有効であり大きな優位性になり得る要素の一つになると考えています。 さいごに結論として、ナレッジマネジメントを支える「組織の仕組み」と「人のつながり」で一人ひとりの中に眠る知識を引き出し、戦略的に組織に流通・蓄積・活用することこそが、ナレッジマネジメントの本質だと私は考えます。 少し固い話が多くなってしまいましたが、この記事で語っている観点や方法論の対象範囲は必ずしも全社的な取り組みだけを指すわけではありません。 まずは所属するチームや部署のようなサイズにこの考え方を適用し、手が届く範囲で小さくナレッジマネジメントを始めてみるのはいかがでしょうか? この記事がナレッジマネジメントを組織実装しようと奮闘している方々の力に少しでもなれば幸いです。 それでは良いお年を! おまけ 私がナレッジマネジメントの事業立ち上げをしていた際にインプットしたナレッジマネジメントや人のつながりに関連する書籍をまとめましたので、以下の記事もぜひご覧ください。 また、もしナレッジマネジメントの組織実装や定着にお困りの経営者・マネジメントの方や上記課題や状況に思い当たるところがある推進者の方がいらっしゃいましたら、この記事に記載しきれなかった部分も含めコンサルティングのような形でお仕事をお受けすることも可能ですのでお気軽にご相談ください。

UIデザイナーのマネジメント施策 at Goodpatch 【初公開!ぜんぶ見せます】
こんにちは。 GoodpatchでUIデザイナーのマネジメントをしています。栃尾です。 Goodpatch Design Advent Calendar 2022の21日目は、なかなか外に向けて発信できていないGoodpatchのUIデザインチームについてや、UIデザイナーのマネジメントに関する取り組みについてお話できればと思います。 ※マネージャーになる前のお話や栃尾についてはこちらをご覧ください。 この記事のサマリー ・GoodpatchのUIデザイナー、UIデザインチームとは? ・Goodpatchに入ったらどんな成長の仕組みがあるの?キャリアは? ・マネジメントにおいて大切にしていることは? ・これからGoodpatchのUIデザインチームが目指そうとしている世界は? など、少しでも今のGoodpatchの雰囲気が伝わればいいなと思い、やってきたことやこれからやりたいことを紹介していきます。Tipsというよりは個人のやってきたことの話になるので「Goodpatchって今はこんな感じなんだなぁ」と気軽に読んでいただけると嬉しいです。「プレイヤーかマネージャーか?」と、キャリアを悩んでいるデザイナーの方にも届いたらいいなと思っています。 GoodpatchのUIデザインチームについて事例:SUNTORY+(サントリープラス)GoodpatchのUIデザイナーは、戦略フェーズから表層まで一貫した形でユーザーの目にふれる部分のアウトプットに責任を持つ役割を担っています。プロジェクトにおけるUIデザイン、Webデザイン領域の推進だけでなく、顧客やユーザーの課題を解決するためのソリューションの検討、コンセプト立案などの上流からも入り込めるため、実はとても幅広い役割を持つ職種かもしれません。 その他にも、多くのサービスに携わらせていただいています。事例一覧はこちらそんなGoodpatchでは約25人ほどのUIデザイナーが所属しており、私を含む2人体制でチームを統括しています。(2022.12.21 現在) 一緒にマネジメントを行う蔡 漢翔(サイ・カンショウ)はデザインマネージャーとして組織まわりの責任を、私はクリエイティブディレクターとしてUIデザイナーが携わる全てのクリエイティブの責任を持つ、といった役割分担をしています。それぞれの責任範囲を明確にすることによって、より組織を大きくドライブしていくための体制を作っています。 UIデザインチームではプロジェクトの領域ごとにチームがありますまた強いチームへの変革を促すために、UIデザインチームの中にはプロジェクト特化のチームも存在しています。少数精鋭でデザインレビューの実施やナレッジの循環を行うことによって、品質の高いデザインを生み出しやすくするためです。 詳しいお話はカジュアル面談の中でできればと思いますので、ぜひ気軽にお問合せください 🍵 UIデザインチームとしての方針さて、そんなチームでUIデザイナーのマネージャーは何をするのか。 私はマネージャーは「メンバーを管理する人」…ではなく「組織をドライブしていくための成果を出すために、与えられたリソースで何が出来るか、その価値を最大化する手段を考えて実行する役割を持つ人」だと考えています。 もちろん手段の中にはメンバーの育成や成長できる仕組みづくり、楽しく過ごせる環境を作る役割も入っていると思いますが、あくまでそれはマネジメントの一部でしかありません。 やはり第一にあるのは会社のビジョンにある「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」をどう体現していくのかを考え実行すること。これは私がマネジメントを始めた時からずっと大切にしている軸になります。 今回はその中でも3つ、私が取り組んできたことについてご紹介できればと思います。 ①クオリティマネジメントと独自価値の追求 ②UIデザイナーとしての基礎・応用・考え方を学べる環境の整備 ③自律駆動型組織になるためのチームマネジメント ①クオリティマネジメントと独自価値の追求 プロジェクトのアウトプットを品質高く導くだけでなく、そのサービスが優位性をもつためには何が必要なのかをメンバーと一緒に考える…。私がクリエイティブディレクターとして特に力を入れている仕事の1つです。 先日公開をさせていただいたハカルテの事例を用いながら少しお話できればと思います。 ハカルテ|Work|Goodpatch グッドパッチ「ハカルテ」は、株式会社DUMSCOと京都大学医学部附属病院産科婦人科で共同研究・開発されている婦人科がんヘルスケアアプリgoodpatch.com 現在、Goodpatchのクライアントワークでは品質管理の目的で必ずクオリティマネージャー(通称QM)がアサインされます。本プロジェクトではそのQMを担当しました。 習慣化を促したり、愛着の湧くデザインを生み出すためにはどうすればいいのか、限られた時間での最大限の魅力的品質の追求をメンバーと共に併走します。ちなみに、今回のQMとしてのゴールは以下を定めていました。 開発スピードを落とさず、MVPを作り切る。ただし、ユーザーにとって特に良い体験にしたい画面やモードにはMVPの段階からビジュアル表現にも力を入れる。 デザインのBefore/After。カラーの再設計やビジュアル表現の変更を実施QMの多くはトップダウンで指示を出すのではなく、メンバーがプロジェクトに入り込みすぎて見落としている観点に気づくきっかけを与えたり、第三者目線で感じたさらなるユーザー目線をデザインにプラスしていきます。 今回はより毎日使いたくなるような魅力的なデザインにするため、このアプリの表現や世界観が参考になりそうだね、カラーはこう設計するとやりたい方向に近づけそうだね、といったコーチング的なコミュニケーションと改善をメンバーと密に行うことでさらなる品質の向上を目指しました。 アプリ以外のタッチポイントでも一貫した世界観を担保しましたメンバーからのアイディアを実現させていくのもQMの仕事です。本プロジェクトでは「毎日開くトリガーになるよう、日替わりでイラストを見せていきたい」というアイディアがメンバーからあがってきたので、外部パートナーの選定、イラストをさらに魅力的に見せるためにどうすればいいかも細かくフィードバックして一緒に作り込んでいきました。 ハカルテの可愛いイラストは児玉 千尋さんにお願いしましたやはり良いものを作るにあたっては、デザイナー同士のスキルを掛け合わせたり、素早く作って壊すことが大事になってくると思っています。このようにチームの案件をメンバーと共により良い方向性に導くのがQM(クオリティーマネージャー)の仕事です。 ※アートディレクターとして方向性を示す役割を担ったりすることもありますがケースバイケースです。 余談)ちなみに最近はプロジェクト以外での品質向上も頑張っており、少しずつ実を結んできているのが嬉しいです。 Goodpatch https://t.co/5zpqRZW1Ahも取り上げていただいています。ありがとうございます! 社内クリエイティブの責任者になってからアイキャッチやバナーなどの品質もちゃんと高めていこう!とメンバーと一緒に仕組みを作って回している中だったので嬉しいです。近日ブログで取り組みを紹介します✨ https://t.co/61onp62omU pic.twitter.com/3TbhbQD2bf — Tochio (@tochio193) November 17, 2022 ②UIデザイナーとしての基礎・応用・考え方を学べる環境の整備 Goodpatchのスキル開発の考え方UIデザイナーとしての基礎・応用・考え方を学べる環境の整備もマネジメントの仕事です。先輩から学び、先輩もまた後輩から学べるような、互いが成長し合える関係性をサポートします。 新卒研修では、ソフトウェアの基礎や表現力をどう学び磨いていくのかを座学と実践方式でしっかりと学ぶことができます。 ブログ:Goodpatch新卒UIデザイン研修の設計—ソフトウェアデザイン概論と基礎理論—新卒研修、と名はついていますがもちろん中途入社の方でも受けられるような研修内容になっています。 その他にもムードボードの作り方やFigmaファイルの運用方法、UIデザイナー向けのエンジニア研修など、知れば知るほど奥が深いTipsを体系的に学ぶことができるワークショップなども用意しています。 また「案件に入った際にUIデザイナーに相談したい!他の人の意見を聞きたい!」などのお悩みを気軽にできるような仕組みも導入しました。 Zoomでお悩み相談をしているところをパシャリ📸 UIデザイナーのお悩みを解決!「ちょっときいてー」の取り組み|Goodpatch Blog グッドパッチブログGoodpatchのUIデザイナーが所属するUser Interface Design Unitでは「ちょっときいてー」とgoodpatch.com リモートワークだとなかなか相談しづらい部分もあると思うのですが、GoodpatchではZoomとStrapで気軽に相談できる仕組みがあります。そこで話した内容は社内のドキュメントで誰でも見返すことができるので、案件以外でも学ぶことができる環境を用意しています。 GoodpatchってUIの知識がたくさんないと入れないんでしょ…と応募を悩んでいるそこのあなた!大丈夫です。研修を用意しているので安心して扉を叩いてみてください。大事なのはデザインへの熱い気持ちです✊ ③自律駆動型組織になるためのチームマネジメント 最後に。マネジメント論寄りのお話になるのですが、UIデザインチームのパフォーマンスを最大化するために何が必要なのかを考えた時、真っ先に出た答えが自律駆動型チームの追求でした。 右図の関係が理想。 マネージャーはビジョンを掲げ、メンバーから相談があった時に併走支援を行う上司から言われたことをただやるのと、ビジョンに対して自ら考えて実行するのとでは全く違う結果になります。UIデザインチームが今まで以上に自律駆動型の組織になるための仕組みづくりも私の仕事です。 メンバーが自ら目標を設定し、学び、失敗し、成長できる環境づくりを日々考えています。そうすることで、よりメンバーが楽しく自律的にプロジェクトに向き合うことができると考えているからです。 自社サービスStrapで作成している実際のキャリアシートの一部そこで私のチームでは、メンバー1人ひとりにあわせたキャリアをデザインをするようにしています。独自にカスタマイズしたキャリアシートを書いてもらい、どんなデザイナーになりたいのか、どんな言葉をかけられたらモチベーションが保てるのかをしっかり理解するようにしています。 この内容をもとに育成プランを立て、メンバーとの関わり方を日々考えています。 ちなみに私のGoodpatchでの経歴はこんな感じ マネジメントもプレイヤーもどっちもやりたいので全部やってます🔥目標設計 Notionで管理している目標設計の一部をチラ見せまた2名体制のマネジメントになってから、目標を新たに設計し直すこともしました。定性と定量をしっかりと言語化するだけでなく、メンバーとディスカッションを何度も密に行うことでよりビジョンの理解を促します。目標は作ることが大事なのではなく何度も口に出したり、目に入る部分におくのが重要だと考えています。 これをもとにメンバーは自ら目標をたてコミット宣言をしてもらい、必要なサポートがあれば全力で対応しています。 この施策は特にうまくいっており、現在は各メンバーが自律的にビジョンに対してできることをプロジェクト内外かかわらず提案してくれたり、日々取り組んでくれています。 デザイナー発!社内クリエイティブを管理する仕組み作り|Goodpatch Blog グッドパッチブログGoodpatchでは社内業務として発生する 「バナーやブログのアイキャッチの制作」 をUIデザイナーgoodpatch.com UIデザインチームには素晴らしいメンバーがたくさん揃っており、本当に毎日メンバーに助けられて生きているなぁと感じています。いつもありがとうございます。 最後に。これからUIデザインチームが挑戦したいことUIデザインチームは守破離の守をとても大事にしてきました。しかし、ビジョンである「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」ための、ターニングポイントがもう寸前まできていると私は考えています。守を大事にしながら、破と離も同時にやっていかねばなりません。 なので最後に、私や蔡がこれからメンバーと共にチャレンジしていきたいと考えていることについてお話させてください。 見た瞬間・触れた瞬間に人を魅了するデザインの模索 事例:ハカルテ今までのUIデザインは「当たり前に使いやすい」ことがまずは求められてきました。しかし、さまざまなデジタルプロダクトであふれる現在は、使いやすいサービスでなければユーザーから選ばれ続けることが難しくなっています。また、ガイドラインなども発展したことで、私たちは一定の品質を担保したUIをデザインしやすい環境にあると思います。 その中でサービスとしての優位性を出すためには、使いやすいことは当たり前の上で「応援したい、使い続けたい」と思うユーザーの心に寄り添うデザインが求められるようになってきていると思います。 Goodpatchが得意とするユーザーの困っていることにソリューションを提供するような課題解決型のデザインも引き続き行っていくと同時に、人々の感情を揺さぶる、あるいはブランドの価値が伝わるビジュアル表現をもっともっとやっていきたいです。 クリエイティブジャンプで業界の常識を塗り替える 引用:みんなの銀行ビジュアルとソフトウェアデザインにおける未来のプロジェクト・インターフェイスに向けたデザインの模索もしていきたいです。 TikTokの縦スクロール、TinderのスワイプUI…そしてみんなの銀行のような、全く新しい銀行アプリの在り方の提示。どれもはじめてみた時のあの感動がいまだに私は忘れられません。いちデザイナーとしてこのデザインをクライアントに提案できるのか?そんなことも考えました。憧れと同時に悔しさを感じたのを覚えています。 だからこそ、GoodpatchのUIデザインチームも今までは当たり前じゃなかったけど、当たり前を変えれるようなデザインの模索をしていきたいと思っています。 そして2年~3年後、世の中の主流となるインターフェースをGoodpatchから生み出していきたいと考えています。 ユーザーのタッチポイントを横断する体験デザイン 事例:SUNTORY+(サントリープラス)上記はGoodpatchを作り上げてきたWebサービス、モバイルアプリケーションの破と離になりますが、さらにその先の挑戦として一つのプロダクトを起点にしながら、印刷物、店舗設計、接客、電子看板などのさまざまなユーザーのタッチポイントを一貫してデザインしていきたいです。Goodpatchが一貫してさまざまなタッチポイントをデザインすることで、クライアントの持つ本来の価値をさらにユーザーへ伝えることができると信じているからです。 今やってる領域でも、まだまだ突き詰められることはたくさんある ・現状の業務フローを効率化させ仕事の現場を変革できるプロダクトの創出 ・デザインシステムなどのデザイン資産の創出 ・グロースフェーズに併走し、UIに紐づいた指標を著しく向上させる施策提案 など、クライアントのため、これからの世の中のために、Goodpatchができることはまだまだたくさんあると思っています。そのためにはビジョンに共感してくださり、そして一緒に取り組みたいと思ってくださる仲間の力が必要です。 hrmos.co【Design Div】UIデザイナー株式会社グッドパッチ東京都渋谷区 ほか0箇所フルタイム募集要項をみる そんなGoodpatchでは一緒に働くUIデザイナーを募集しています。 この記事を読んで少しでも興味が湧いた方は、ぜひご連絡ください!

そのデザインシステムは投資対効果をもたらしますか?
2022年現在、ユーザーインタフェースのデザインやその開発について語る上で「デザインシステム」はどのような組織においても話題に上がるトピックではないでしょうか。 かく言う私もデザインシステムに強い関心を持っており、業務にてデザインシステムの構築・維持に取り組んでいる他、過去には私が魅力的だと思うデザインシステムを紹介するブログ記事を執筆しました。 グッドパッチエンジニアが選ぶ、推しデザインシステム10選|Goodpatch Blog グッドパッチブログデザインシステムとは、ソフトウェアやグラフィックなどにおけるデザインの原則や指針と、それらを実現するための仕組みの集合体でgoodpatch.com 0. デザインシステムの導入における障壁昨今はデザインシステムを構築した事例や構築の方法論の共有も盛んとなっており、その強い話題性が起因して新たなデザインシステムが続々と誕生しています。話題になっているから・便利だから・品質を上げてくれるから・ユーザー体験が向上するからなど、導入の理由は組織・プロダクトに応じて多岐に渡ると思います。 上記の理由に加え、デザインシステムを構築する前に立ち止まって考えたいポイントが「投資対効果」です。 プロダクトに応じてデザインシステムの規模は可変する物ですが、規模の大小に関わらず導入・構築・維持にはコストを要します。業務にてデザインシステムを構築する際には、たとえ有志による取り組みであったとしてもそこに作業者の存在があり、その作業者に対価が支払われる以上は利益をもたらさないと損失が発生します。そして「デザインシステムは作って終わりじゃない」という考え方があるように、デザインシステムは構築するだけではなくプロダクトの成長に応じて維持と改善を行う必要があることからも、継続的にコストを必要とする存在です。 そこで私を含めたデザインシステムの構築・維持に取り組んでいる全ての方に尋ねたいのが「そのデザインシステムは投資対効果をもたらしますか?」という問いです。 デザインシステム導入の初段階は構築に大幅な工数を要しますが、その一方でプロジェクトに対して十分に価値を発揮することができない期間が発生してしまいます。デザインシステムはこのコストであり続ける期間を通過し、損益分岐点を超えて利益をもたらす存在になるのでしょうか。 逸話の一つに、本来は未来への投資をした方が多くの利益を得られるのにその投資を疎かにしてコストを払い続ける様子を、「木こり」と「研ぐ必要があるボロボロの斧」の関係性に見立てた「木こりのジレンマ」という話があります。 今日、数多のデザイナーやエンジニアがデザインシステムを研いでいます。しかしデザインシステムは本当に研ぐべき斧のような存在なのでしょうか。 また、デザインシステムのもう一つの問題は、デザイナーにとっては魅力的な価値を持っているものの、往々にしてその価値が経営者には伝わりづらいという点です。 デザインシステムの有用性が証明されても経営者への訴求が不十分である場合は、予算承認が得られずに導入に向けて取り組むことそのものが困難となってしまうでしょう。そのため経営者にデザインシステムの価値を適切に共有して納得してもらうことは、デザインシステムを導入する上で避けて通ることはできません。 本記事では前述した「デザイナーにとってデザインシステムの価値を経営者に訴求することはなぜ困難であるのか」と「デザインシステムは本当に投資対効果をもたらすソリューションであるのか」の2点の問題を対象に私自身の実例や事例を交えて考察をします。 ReDesigner Design Data Book 2022を公開しました🎊 今年も100社にご協力いただき、デザイン投資や採用トレンドについてまとめました! 🗨️9割がデザイン投資効果を実感 🗨️副業・フリーランスなど様々な雇用形態での働き方の受け入れが加速 ダウンロードはこちら👇https://t.co/36kYazOzyU pic.twitter.com/zbi6ugchL5 — ReDesigner (@ReDesigner_jp) November 10, 2022 ※2019年と比べるとデザインそのものへの投資額は増加の傾向にあり、デザインの投資に効果を感じている企業は33%増えています。(ReDesigner Design Data Book 2022より) 1. デザインシステムの価値訴求はなぜ難しいのかはじめに、「デザイナーにとってデザインシステムの価値を経営者に訴求することはなぜ困難であるのか」という問題について考えてみましょう。 私たちが訴求している価値とは デザインシステムの価値は既にあらゆる媒体にて発信されており、その多くには「一貫性の向上」「ユーザー体験の向上」「実装速度の安定化」といった項目が列挙されています。これらはデザインシステムを導入することによって間違いなく恩恵を受けられる要素です。一方でこれらは私たちの視点によって列挙したデザイナー本位の価値という側面もあります。 デザインシステムの価値訴求が困難な物となっている要因の一つには、私たちデザイナーがそのような価値を一方的に訴求しているという背景があります。私たちがデザインシステムを適切に導入するためには、経営者にとっての価値を彼らと同じ視点で伝える必要があります。 経営者にとっての価値とは 経営者は特に以下のようなポイントを注視している傾向にあります。 投資対効果 (ROI) を見込むことはできるのか デザインシステムが存在しない場合と存在する場合のパフォーマンスに優位な差はあるか デザインシステムという抽象的な存在に取り組むのではなく機能の追加や負債の解消などの具体的な課題に取り組む方が利益に繋がるのではないか これらの観点に共通するのは「投資と効果の差」「デザインシステムが存在する場合としない場合のパフォーマンスの差」「プロダクトへの直接的なコミットとデザインシステムを用いた間接的なコミットのそれぞれの利益の差」など、2つの項目を比較した際の差分に対して視点が向けられているという点です。 そして経営者にとっての価値とは、デザインシステムが持つ優位性によって現在・将来の組織課題が解決できることにあります。 私たちの視点は普段からデザインシステムによって受けられる効果に対して向いてしまいますが、経営者に価値を訴求するためには「デザインシステムの優位性と組織課題を解決する手段としての親和性」について伝える必要があります。 2. デザインシステムは投資対効果をもたらすソリューションなのか続いて、この記事の本題とも言える「デザインシステムは本当に投資対効果をもたらすソリューションであるのか」という問題について考えてみましょう。本章ではデザインシステムの優位性を示すために、前章にて提示した経営者が重きを置く以下の観点について考察を行います。 投資対効果 (ROI) を見込むことはできるのか デザインシステムが存在しない場合と存在する場合のパフォーマンスに優位な差はあるか デザインシステムという抽象的な存在に取り組むのではなく機能の追加や負債の解消などの具体的な課題に取り組む方が利益に繋がるのではないか ケース1: 数値から効果を測る まずはデザインシステム (コンポーネントの再利用) によってどれだけ作業効率が上がるのかについて検証します。作業効率の計算にはKnapsackが提供しているDesign System ROI Calculatorの公式を使用します。 Design System ROI Calculator | KnapsackProject your team's expected Design System ROI by calculatingwww.knapsack.cloud ・・・ 削減された工数の計算式 デザインシステムを使わない純粋な工数 = (デザイン工数 + 開発工数 + 保守工数) * コンポーネントの適応回数 デザインシステムを使用した場合の工数 (デザインシステムの構築に要する工数も含む) = (デザイン工数 + 開発工数 + 保守工数) + ((デザインのキャッチアップ工数 + 開発のキャッチアップ工数) * コンポーネントの適応回数) デザインシステムによって削減された工数 = デザインシステムを使わない純粋な工数 - デザインシステムを使用した場合の工数 Design System ROI Calculator | Knapsack より削減された工数の計算例 ※数値はDesign System ROI Calculatorのサンプルを使用 デザインシステムを使わない純粋な工数: 4,200時間 = (デザイン: 40時間 + 開発: 80時間 + 保守: 20時間) * コンポーネントの適応回数: 30回 デザインシステムを使用した場合の工数: 620時間 (デザインシステムの構築に要する工数も含む) = (デザイン: 60時間 + 開発: 120時間 + 保守: 80時間) + ((デザインのキャッチアップ: 4時間 + 開発のキャッチアップ: 12時間) * コンポーネントの適応回数: 30回) デザインシステムによって削減された工数: 3,580時間 (85%) = デザインシステムを使わない純粋な工数: 4,200時間 - デザインシステムを使用した場合の工数: 620時間 Design System ROI Calculator | Knapsack より削減された工数の計算式この算出例に基づくとデザインシステムによって3,580時間もの工数を削減できる可能性があることが分かります。パーセンテージに置き換えると従来の工数の85%もの時間に相当します。この数値だけでもデザインシステムに優位な効果があることを強く証明することができます。 続いて、削減することができた工数を元に「投資対効果 (ROI) 」も算出します。算出には同様にDesign System ROI Calculatorの公式を使用します。 ・・・ 投資対効果の計算式 投資対効果 = 従業員一人当たりの平均的なコスト * デザインシステムの利用者数 * 削減される予想工数 (%) Design System ROI Calculator | Knapsack より投資対効果の計算例 ※年間の投資対効果を算出 投資対効果: 81,600,000円 = 従業員一人当たりの平均的なコスト: 9,600,000円 * デザインシステムの利用者数: 10人 * 削減される予想工数: 85% Design System ROI Calculator | Knapsack より投資対効果の計算式この算出例に基づくとデザインシステムによって81,600,000円もの投資対効果が得られることが分かります。約8000万もの削減効果が存在する可能性があるということは、デザインシステムの有益性を更に証明してくれる材料になるのではないでしょうか。 また、これらはデザイン・開発・保守のみに焦点を当てた数値であることから、オンボーディング・QA・コミュニケーションなどのここには含まれていない項目の効果も含めるとよりデザインシステムがもたらす効果の大きさを実感することができるでしょう。 そしてデザインシステムの真の魅力とは、削減することができたコストを用いて本質的な課題に取り組むことでプロダクトを更にアップデートできることにあります。 さまざまな組織における削減されうる工数や投資対効果は本章にて紹介したDesign System ROI Calculatorを使用して簡単にシミュレートできます。算出した数値は経営者にデザインシステムの価値を示すための強力な材料になるため、ぜひ一度ご自身の組織にもたらす効果を測定してみると良いでしょう。 ケース2: Figmaの実験から効果を測る ケース1では計算式を元にデザインシステムの効果を検証しました。ケース2ではFigmaが行った実験の事例を元にデザインシステムの有用性を考察します。 実験に使用されたサンプルのUI (Measuring the value of design systemsより)Figmaは「適切に維持されたデザインシステムがデザイナーの時間をどれだけ削減できるのか」を定量化するための実験を実施しました。実験は以下のプロセスで行われました。 被験者に2件のUIデザインのタスクを与える タスクはいずれも同じ時間で終えられるものを用意 一方のタスクはデザインシステムを用いて実施し、もう一つのタスクは古いデザインデータを用いて実施する 被験者のバイアスを排除するためにタスクを行う順番は被験者ごとに入れ替える 各タスクを完了するのにかかった時間を測定する 実験に使用されたサンプルのデザインシステム (Measuring the value of design systemsより)実験の結果、被験者はデザインシステムを使用することで、デザインシステムを使えない場合よりも34%も早くタスクを終えられることがわかりました。 この実験結果を踏まえると、例えばデザインチームが7名で構成されており、デザインをするための工数が一人あたり一週間に20時間であるならばチームの総デザイン工数は140時間となります。そしてデザインシステムを使わずにデザインを行う場合の作業工数も単純に140時間分となります。 一方でデザインシステムを用いてデザインを行う場合は同じ140時間でも34%も多くの作業を遂行できるため、212時間相当の成果を生み出すことができます。これは毎週3.5人のデザイナーをチームに追加することと同等の効果があることを意味します。 この実験によってデザインシステムが存在しない場合と存在する場合におけるパフォーマンスに優位な差があることを示すことができます。また、デザインシステムはチームの生産性を向上させるためのソリューションとして効果的であることも同様に示すことができます。 ケース3: Sparkboxの実験から効果を測る ケース3ではSparkboxが行った実験の事例を元にデザインシステムの有用性を考察します。 Sparkboxは「デザインシステムはより良いプロダクトをより速く実装するのに役立つ」という仮説を検証するための実験を実施しました。実験は以下のプロセスで行われました。 フォームのUIデザインを用意する UIはIBMのCarbon Design Systemをベースに設計されています 8名のエンジニアが一方のフォームはデザインシステムを使用せずに実装し、もう一方のフォームはCarbon Design Systemを使用して実装を行う フォームの実装に要した時間を比較する Form – Carbon Design Systemより実験の結果、被験者はデザインシステムを使用することで、デザインシステムを使えない場合よりも47%も早く実装を終えられることが分かりました。デザインシステムを使用しない場合の中央値は4.2 時間、デザインシステムを使用した場合の中央値は2時間でした。 デザインシステムを使用した場合の作業時間にはエンジニアがデザインシステムをキャッチアップする時間も含まれていることから、習熟度が向上して学習時間を排除できた場合には更にパフォーマンスが向上する余地があります。 The Value of Design Systems Study: Developer Efficiency and Design Consistencyよりまた、8名のエンジニアのうちデザインシステムを使用しない場合にデザインファイルと一致するレイアウトを実装することができたのは1名だけだったことが分かりました。あわせて、5名のエンジニアがデザインシステムを使用することでデザインファイルとの一致度が高いレイアウトの実装をすることができるようになったことも分かりました。 加えてこの実験では5名のエンジニアが実装したフォームがデザインシステムを使用していない場合よりもアクセシビリティの評価値が同等かそれを上回ったことも判明しています。 この実験の結果からもデザインシステムが存在しない場合と存在する場合におけるパフォーマンスに優位な差があることを示すことができます。また、レイアウトに乖離が存在することやアクセシビリティが低いことは将来に渡って負債になりうる項目です。デザインシステムはそれらの項目の品質を補完し、負債を未然に解消してくれる存在であることをこの実験で示すことができます。 本章では3つのケースを用いて「投資と効果の差」「デザインシステムが存在する場合としない場合のパフォーマンスの差」「プロダクトへの直接的なコミットとデザインシステムを用いた間接的なコミットのそれぞれの利益の差」など、2つの項目を比較した際に優位な差が存在するかについて考察を行いました。 結果、下記のようにデザインシステムの優位性を定量的に示すことができたことからも、デザインシステムは投資対効果を持つソリューションであると言うことができるでしょう。 デザインシステムに投資対効果 (ROI) が存在すること デザインシステムが存在しない場合と存在する場合のパフォーマンスに優位な差があること 機能の追加や負債の解消などの具体的な課題ではなくデザインシステムという抽象的な存在に取り組むことが将来的な利益をもたらすこと これらの定量観点が含まれた優位性は経営者と同じ視点でデザインシステムについて語るための恰好の材料です。これらの価値を適切に訴求してデザインシステムを導入し、より本質的な課題に取り組むことができる環境をデザインしましょう。 デザインシステムは様々な理由で作られますが、UIを美しく保つためだけに作られることはほとんどありません。デザインシステムは少なくとも2つの領域にて価値を生み出すことができます。チームに対しては、より合理的で予測可能なプロセスを構築することでデザインとエンジニアリングの時間を短縮することができます。ユーザー体験に対しては、UIの一貫性と予測可能性を担保し、デザイナーやエンジニアがより高次のタスクに集中できるようにすることで、ユーザー体験全体の質を向上させることができます。 Selling a Design System at Your Companyより意訳3. デザインシステムの導入のために私たちができること最後に、本章ではデザインシステムを導入するための訴求活動にて取り組むべきポイントについて紹介します。 ステップ1: 課題の定義 デザインシステムに限らず、全ての取り組みは「課題」から始まります。どのような素晴らしいソリューションも組織における解決したい課題との親和性が薄いと無価値な物となってしまうためです。そのため、デザインシステムに取り組むためにまずは組織課題の発見と設定を行う必要があります。 WeWorkへジョイン時に最初に開いたアプリはSketchではなくGoogle Docsでした。まず課題を明確に言葉や文章で表現する必要がありました。具体的にです。どこが故障しているのか?自分だけでなく、チーム全体にとって最大の痛みはどこなのか?デザインシステムは孤立して存在するだけではなく、全員の課題を解決する必要があります。共通の痛みを見つけるのです。 Selling a Design System at Your Companyより意訳課題は以下の2種類に分類できます。 発見型の課題 過去の事象と現在のあるべき姿との間のギャップを元に発見する課題 生産性に影響する 設定型の課題 現在の状態と未来のあるべき姿との間のギャップを元に設定する課題 付加価値に影響する 2種類の課題また、それぞれの課題の例は以下の通りです。 発見型の課題の例 UIごとの一貫性がない影響でテストやQAの効率が悪化している アサイン歴が長いメンバーが離脱して生産性が低下した 設定型の課題の例 これからプロダクトが増えるため、デザイン・実装の工数が膨らむ メンバーを増員する予定だが、オンボーディングやコミュニケーションコストが更に肥大化してしまう デザインシステムはこの2種類の課題に対してアプローチを行う必要があります。課題を2種類に分類することで、まずは発見型の課題へ早急に取り組むことで生産性を向上させ、並行して設定型の課題に長期的に取り組むことで発生しうる課題を防ぎながら付加価値を付与することができるようになります。 ステップ2: 投資対効果の算出 前章の「ケース1: 数値から効果を測る」にて紹介した数式を活用しながら投資対効果を算出します。 もし算出時点で有志のメンバーによってデザインシステムが一部分でも構築されている場合は、現時点でのデザインシステムの採用数や既にどのくらいの効果を創出しているか算出すると良いでしょう。 デザインシステムがどのくらいのメンバーと製品に対して採用されているかという情報はデザインシステムの有用性や影響度を計測する上で非常に重要な指標です。価値訴求の際には投資対効果に加えて、デザインシステムを活用しているメンバーの人数やデザインシステムのカバレッジも提示しましょう。 ステップ3: ロードマップの策定 続いてデザインシステムが将来に渡ってどのように維持・運用をされながら組織へ効果をもたらすのかを示すためにロードマップとマイルストーンを策定します。 ロードマップでは、デザインシステムがどの時期にどのような状態を実現するのか (アウトカム) を可視化します。そのため、どれだけ高い解像度の状態目標を策定できるかが重要です。この「状態」とは「課題が解決されている様子」と言い換えることができます。このことから、ステップ1で紹介した2種類の課題が具体的に定義されていることもロードマップの策定に必要な要素です。 また、ロードマップには「デザインシステムの内容」を網羅的に記述しないことを意識します。原則・コンポーネント・デザイントークンなどのデザインシステムの内容はあくまでも「目指すべき状態を実現するための方法(How)」でしかありません。 特に現在の状態と未来のあるべき姿との間のギャップを元に設定する課題を解決するためには未来に発生しうるニーズを探索することから始める必要があるため、解決手段は決め打ちをするのではなく仮説検証を行いながら柔軟に変化させられる必要があります。 ステップ4: 導入のための訴求 最後にこれまでのステップにて用意した材料を用いて導入のために提案活動を行います。 課題 定量的な指標(ケーススタディとROI) 効果的な計画(ロードマップとマイルストーン) 定量的指標によって客観的にデザインシステムの優位性を提示しながら、デザインシステムが将来に渡ってどのようなマイルストーンで組織課題を解決して効果をもたらすのかについて示す必要があります。 これらの3つの観点が接続することで初めてデザインシステムの価値を証明することができます。 まとめ本記事では「デザインシステムの価値を経営者に訴求することはなぜ困難であるのか」と「デザインシステムは本当に投資対効果をもたらすソリューションであるのか」の2点の問題に対する考察を行い、デザインシステムを組織に導入するための方法を紹介しました。 デザインシステムに関するトピックは依然として強い話題がありますが、これは一過性のあるムーブメントではありません。デザインシステムは組織課題を継続的に解決するための最適なソリューションであり、そこには明確な投資対効果が存在します。 現在はデザイナーが適切に価値を提示できていないが故にデザインシステムは多くのケースにおいてデザイナーやエンジニアに閉じた取り組みとなってしまっています。一方で私たちはデザインシステムの価値を様々なロールのメンバーと同じ視点・言葉で伝達することで、組織全体でデザインシステムに取り組む環境を創り出すことができます。 「木こりのジレンマ」の逸話で例えるならば、デザインシステムはチーム全員で研ぐべき斧であるのです。デザインシステムを研ぐことで生まれた効果によって私たちは更に本質的な価値に向き合うことができるようになります。 一方でデザインシステムの価値訴求をする行為自体には、組織の課題を直接的に解決する効果はありません。デザインシステムの価値は導入後に生まれる効果にこそ宿ります。 この記事がみなさんの組織へのデザインシステムの導入を後押しし、デザインシステムの効果によってみなさんがより本質的な課題に向き合えるようになることを願っています。 「そのデザインシステムは投資対効果をもたらしますか?」は Goodpatch Advent Calendar 2022 16日目の記事です。 参考にさせていただいた記事 Selling a Design System at Your CompanyFinding common pain, articulating value and selling the visiouxdesign.cc Measuring the value of design systemsThe data science team at Figma set out to find out just how mwww.figma.com The Value of Design Systems Study: Developer Efficiency and Design ConsistencyWe tested the ROI of design systems and found that they incresparkbox.com
Goodpatch IR note
株主・投資家の方々に向けて、「グッドパッチのストーリー」や「業績の背景」、「中長期的な展望」などを、より丁寧に、わかりやすくお伝えします。数字では伝わりきらない“らしさ”を届けていきます!

2026年8月期3Q決算を発表しました!
こんにちは、グッドパッチIR担当です。 グッドパッチは7月15日に2026年8月期第3四半期の決算発表を行いました。 この記事では、決算のポイントと、その後のグッドパッチの動きをお伝えします! 2026年8月期第3四半期決算のサマリー売上高(顧客のデザイン投資額):スポット案件の反動減と季節性により減収 営業利益(デザインの付加価値額):人件費増加とAI活用への先行投資により減益 全社KPI:有効商談数が前年同期比30.5%増、顧客社数は過去最高を更新 決算概要売上高は前年同期比7.1%減の12億69百万円、営業利益は前年同期比62.6%減の67百万円となりました。 売上高は前年同期比7.1%減となりました。4-5月は案件数が減少する季節性に加え、前年同期に受注したCM制作やサイトリニューアル等のスポット案件が終了・縮小した反動により、3Q単期は減収となりました。 営業利益は前年同期比62.6%減少しました。人員増加に伴う人件費の増加に加え、マーケティング施策やAI活用への投資を継続したことにより、営業利益率は3Q単期で5.3%となりました。 全社KPI 月額平均顧客単価は前年同期比で減少したものの、「顧客社数」は前年同期比1.6%増と過去最高を更新、「有効商談数」も前年同期比30.5%増と年間計画を上回るペースで進捗しており、営業体制の再編とマーケティング施策の強化の効果が継続的に表れています。 月額平均顧客単価は前年同期比7.9%減、顧客社数は1.6%増加しています。デザイナー数は前年同期比で18名増加しました。 営業体制の再編とマーケティング施策の強化が進んだことで、有効商談数は前年同期比30.5%増と年間計画を上回るペースで進捗しています。 費用構成の推移 人件費や認知獲得に向けた広告宣伝費に加え、AI活用推進に伴う支払手数料の増加により、総費用は前年同期比1.3%増加しました。 通期業績予想に対する進捗状況 売上高・経常利益・当期純利益は計画に沿って進捗していますが、営業利益は先行投資により計画をやや下回る水準です。現時点で業績予想の修正を要する状況にはないため、通期業績予想は据え置いています。 連結貸借対照表 BSについては大きな変動はありません。引き続き30億円以上の流動資産を保有し、自己資本比率も86.2%と高水準を維持しており、今後のM&Aや事業投資に向けた十分な資金を確保しています。 デザインパートナー事業デザインパートナー事業の売上高と営業利益 デザインパートナー事業は、グッドパッチのメイン事業であり、全体売上の約9割を占めています。「装飾」としてのデザインではなく、戦略レイヤーから一貫してビジネスをデザインすることで、ビジネスの各局面での難題を打開するサービスを提供しています。 主力事業であるデザインパートナー事業の売上高は前年同期比6.2%減の11億77百万円、営業利益は前年同期比48.4%減の94百万円となりました。 売上高は前年同期比6.2%減となりました。前年同期に受注したCM制作やサイトリニューアル等のスポット案件が終了・縮小した反動により減収となりました。加えて、営業利益は前年同期比48.4%減少しました。AI活用推進に伴う支払手数料の増加や人件費の増加が主因であり、前年同期を下回る結果となりました。 デザインパートナー事業のKPI 月額平均顧客単価は前年同期比で減少したものの、顧客社数は営業体制の強化とマーケティング投資の効果により前年同期比で成長しています。 デザイン人員数(四半期) 社内デザイン組織は前年同期比18名増、前四半期比でも5名増加しました。 稼働デザイナー数も226名(前四半期比+9名)と、人員の拡充と稼働の両面で順調に推移しています。 デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業の売上高と営業利益 デザインプラットフォーム事業は、デザイン人材特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」やオンラインホワイトボードツール「Strap」などの自社サービス・プロダクトを提供しています。 ReDesignerは変動が比較的大きい事業です。2Qは好調に推移しましたが、3Qはその反動により売上が減少したため、営業利益も前年同期を下回る結果となりました。 FY2026 3Q TOPICS「AI駆動デザイン&開発ソリューション」AI駆動デザイン&開発ソリューションとは 7月15日にリリースした「AI駆動デザイン&開発ソリューション」についてご紹介します。「作って終わり」で終わらせず、その先にある企業競争力の向上をAI駆動でのデザイン・開発・内製化によって支援するソリューションです。企業のAI活用度合いや組織体制、プロジェクトのフェーズに併せて、AI駆動開発環境の構築からPoC実行、プロダクト開発、内製化までを一貫して支援し、支援終了後も企業自身がAI駆動でプロダクト開発を継続できる環境とノウハウを残すことを目指しています。 「AI駆動デザイン&開発ソリューション」について、こちらのプレスリリースで詳しく解説しています。併せてご覧ください! グッドパッチ、「AI駆動デザイン&開発ソリューション」を提供開始|News|Goodpatch グッドパッチ株式会社グッドパッチ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:土屋尚史、以下「グッドパッチ」)は、企業のAI駆動開発を支援するgoodpatch.com AI駆動デザイン&開発ソリューション・背景 AIツールの普及により「作る」という工程は民主化され、デザインに限らずプロダクト開発全体にもAIの活用が広がっています。従来はPoCサイクルに数週間かかっていた開発が、AIエージェントの活用により数日単位へ短縮され、エンジニア不在でも自然言語の指示だけでプロトタイプが完成するなど、開発プロセス全体のあり方が根本から変わりつつあります。 一方で、多くの企業がAI活用に取り組んでいるものの、AIで成果を創出できている「先進企業」はわずか5.0%にとどまり(BCG調査)、41.3%の企業が「専門人材・ノウハウ不足」を課題として挙げています(帝国データバンク調査)。 AI駆動デザイン&開発ソリューション・組織浸透における4つの壁 成果を創出できている企業が少ない要因として、AI活用やAIツールの導入には組織浸透における4つの壁が存在すると当社は考えています。 部分活用にとどまる:一部の部署・担当者だけがAIを活用し、全社に広がらない 組織変革が進まない:ツールを入れても業務プロセスが変わらなければ、本質的な変革にはならない エンジニアだけでは限界がある:開発部門がAIを活用しても、デザイン・事業・経営が連動しなければ事業全体の成長スピードは加速しない AI活用への心理的ハードル:「使いこなせない」「仕事を奪われる」という不安から現場への定着が進まない AI駆動デザイン&開発ソリューション・当社の強みと取組事例 当社は今年に入りClaude Codeを全社導入し、現在は全社員がClaude Codeを活用しています。約300名規模で全社員がAIを活用している企業は、当社が把握する限り多くないと認識しています。また、AIデザインツール「Layermate」、オンラインホワイトボードツール「Strap」、採用AIエージェント「HRmony AI」など、AIを取り込んだプロダクトも自社開発しています。 さらに、AI専門組織「Gp-AX Studio(Goodpatch AI Experience Studio)」を設立し、全社員がClaude Codeを活用してアプリケーションの構築からサーバーデプロイまで実施。組織全体でAIの実践知を蓄積しており、社内のナレッジ記事は507件(2026年7月1日時点)に達しています。 AI駆動デザイン&開発ソリューション・AI活用を導く支援プラン 組織のフェーズや課題に応じて、監修型、PoC実行、本番実装支援の3つのプランを用意しています。 AI駆動デザイン&開発ソリューション・支援の進め方及び成果イメージ Plan2(PoC実行支援)では、単一の仮説に集中し、迅速に検証。デモ作成から判断資料まで最短で実施します。ある企業の事例では、新規AI機能のPoC開発において社内技術レベルが追いつかず停滞し、経営会議まで残り6週間という制約がありましたが、グッドパッチチームがAI駆動でプロトタイプを実装し1つのシナリオに集中して検証を実施。従来比2倍速でデモが完成し、経営会議でGo判断を獲得、翌月には本番実装支援(Plan3)へスムーズに移行しました。 こうした価値を多くの企業に提供し、ソリューション事業の成長を通じて、プロジェクト受託以外の収益源確保を目指していきます。 「AI駆動デザイン&開発ソリューション」の詳細は、こちらをご覧ください。 本ソリューションに関するお問い合わせやご相談は、コーポレートサイトのお問い合わせフォームより受け付けています。 資料ダウンロード AI駆動デザイン・開発ソリューション|Goodpatch グッドパッチデザインパートナーシップ グッドパッチがデザインと開発のプロセスにAIを組み込み、開発組織全体での「AI駆動デザイン・AI駆動開発」の定着を早期に実design-partnership.goodpatch.com 今後の成長戦略目指す方向性 「AI Driven Design Company」をテーマとして掲げ、「デザイン×AI」の領域でさまざまな取り組みを推進しています。今期は、社内でのAI活用やAIソリューションの提供など、具体的な取り組みを着実に進めることができました。こうした取り組みを来期以降の事業成長につなげ、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。 戦略方針 既存事業においてAIの活用を一層進めるとともに、中長期的にはAIを軸とした事業の立ち上げも視野に入れ、クライアントワークに依存しない収益源の創出を通じて、ビジネスモデル及び収益構造の多角化を図っていきます。 中長期ロードマップ 長期的には収益モデルの多角化を実現することを全体の方向性としており、この1年は既存領域の収益拡大とビジネスモデルの拡張を積極的に進めていく考えです。 営業強化 昨年から引き続き注力し、有効商談数の大幅な増加に示される通り、マーケティングとインサイドセールスへの投資が実を結んでいます。今期は最も成果が出ている領域と捉えており、来期も営業人員を増やしていく考えです。 営業部門の人材:21名(FY2025末)→25名(FY2026末計画) デザインパートナー事業の広告費:54百万円(FY2025)→93百万円(FY2026) FY2026有効商談数目標:579件(前年比+53件、+10.1%) 正社員デザイナー組織規模拡大 採用は継続していますが、採用基準については見直しを進めています。従来のスキルや経験に加え、AIを使いこなす力や環境変化への柔軟性、人間性をより重視しています。AIの普及に伴い人員配置や組織のあり方に関する議論が広がっていますが、当社としては今後の成長に必要な人材の採用を引き続き進めていきます。 正社員デザイナー:149名(FY2025)→180名(FY2026計画、YoYで+31名) Anywhere稼働デザイナー数:50名(FY2025 4Q末)→85名(FY2026 4Q末目標) 領域の拡張 これまでと同様に、「経営戦略・デザイン経営」「人的資本経営」「DX戦略」「コーポレートブランド戦略」の4領域の拡張を進めていきます。 AI取り組み事例 1QにM&Aを実施したAIデザインツール「Layermate」をはじめ、AI関連のさまざまな施策を着実に推進しています。AI専門組織「Gp-AX Studio」を立ち上げ、グッドパッチグループとして「デザイン×AI」領域の事業基盤を強化しています。 M&A戦略 ソーシングは継続的に行っており、当社とのシナジーが見込め、参画により成長が期待できる案件を厳選して検討しています。個別案件の有無・進捗につきましては、開示すべき事実が生じた際に適時に開示していきます。 デザインの可能性 当社は、2030年以降のグロース市場の上場維持基準である時価総額100億円の達成にとどまらず、早期に時価総額200億円以上の達成を目指しています。 各種開示資料はこちら2026年第3四半期決算に関連する開示資料はこちらです。併せてご覧ください。 2026年8月期 第3四半期決算説明資料 2026年8月期 第3四半期決算説明会書き起こし 2026年8月期 第3四半期決算説明会Q&A書き起こし 今後のIRスケジュール直近のIRイベントは以下の通りです。10月15日には2026年8月期通期の個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会を実施予定ですので、ぜひご参加ください! 2026年10月15日 個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会 IRカレンダーはこちら 編集後記最後までお読みいただき、ありがとうございます。 本記事を通じて、グッドパッチへの理解を深めていただけるとうれしく思います。 IR担当としては、今後も投資家の皆さまやグッドパッチに関心をお持ちの皆さまに、決算の数字の背景にある「なぜ」をわかりやすくお伝えしていきたいと考えています。 「こんな企画をやってほしい」「この部分について詳しく知りたい」といったご要望がありましたら、ぜひコメント欄やIRお問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください! IR問い合わせ窓口はこちら 本noteには、当社の業績見通しや経営目標など、将来に関する記述が含まれています。これらは公開日時点で入手可能な情報と一定の仮定に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。実際の業績は、様々な要因により本noteの記載と大きく異なる可能性があります。なお、当社以外の会社に関する情報は、一般に公知の情報に依拠しています。

2026年8月期2Q決算を発表しました!
こんにちは、グッドパッチIR担当です。 グッドパッチは4月14日に2026年8月期第2四半期の決算発表を行いました。 この記事では、決算のポイントと、その後のグッドパッチの動きをお伝えします! 2026年8月期第2四半期決算のサマリ―売上高(顧客のデザイン投資額):四半期ベースで過去最高を更新 営業利益(デザインの付加価値額):185百万円と前年同期比マイナス 全社KPI:有効商談数が前年同期比約26%増と過去最高を更新 決算概要売上高は前年同期比で1.1億円増加し、四半期ベースで過去最高を更新しました。営業利益は成長投資の継続により前年同期比で減少となりました。 売上高は前年同期比9.4%増となりました。デザイナーの稼働率向上と既存顧客からの新規案件受注に加え、AI関連案件の増加が追い風となり、四半期ベースで過去最高を更新しました 営業利益は前年同期比7.9%減少しました。人件費・マーケティング・新規事業への積極投資によるものであり、営業利益率は2Q単体で13.5%、上期累計でも10%水準を維持しています 全社KPI 全てのKPIが前年同期比で改善しました。特に「有効商談数」は前年同期比約26%増と過去最高を更新しており、マーケティング・インサイドセールス体制の強化が結果として表れ始めています。 月額平均顧客単価は前年同期比2.3%増、顧客社数は5.5%増加しています。デザイナー数は前年同期比で10名増加しました マーケティング体制の整備とインサイドセールスの組織化が進んだことで、有効商談数は前年同期比約26%増と過去最高を更新しました 費用構成の推移 開発案件に伴う業務委託費の増加に加え、人件費・広告宣伝費を中心とした成長投資の積み増しにより、総費用は前年同期比12.7%増加しました。 通期業績予想に対する進捗状況 売上高・営業利益の進捗率はいずれも通期予想の50%未満ですが、期初計画に沿った推移です。経常利益・当期純利益については達成トレンドにあります。 連結貸借対照表 現預金および有価証券を合わせた現金同等物は約35億円と、引き続き健全なBSを維持しています。この資金を活用し、今後はM&Aや成長投資を積極的に進めていく方針です。 デザインパートナー事業デザインパートナー事業の売上高と営業利益 デザインパートナー事業は、グッドパッチのメイン事業であり、全体売上の約9割を占めています。「装飾」としてのデザインではなく、戦略レイヤーから一貫してビジネスをデザインすることで、ビジネスの各局面での難題を打開するサービスを提供しています デザインパートナー事業の売上高は順調に拡大しており、営業利益は将来成長に向けた戦略的投資フェーズにあります。 昨年4Qおよび今期1Qは若干低調でしたが、2Qで成長トレンドに回帰し、売上高は前年同期比6.3%増となりました。人件費・マーケティング施策への成長投資により営業利益は一時的に減少しているものの、投資の効果が売上に反映されてきている状況です。 デザインパートナー事業のKPI 月額平均顧客単価は大型プロジェクトの獲得により前年同期比2.3%増加しました。顧客社数は営業体制の安定化とマーケティング施策の強化が奏功し、過去最高を更新しています。 デザイン人員数(四半期) 採用強化の結果、前四半期比で社内稼働デザイナーが6名増加し、安定的な稼働体制を構築しています フルリモートデザイン組織「Goodpatch Anywhere」の人材も含めたデザイナー総数は、前年同期比46名増加しており、稼働率は前年同期比105〜110%水準で改善しています デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業の売上高と営業利益 デザインプラットフォーム事業は、デザイン人材特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」やオンラインホワイトボードツール「Strap」などの自社サービス・プロダクトを提供しています。 ReDesignerが1Q(前四半期)比で回復しており、利益創出が出来る状態になっています。 FY2026 2Q TOPICS 「Agentic UX領域支援」AIエージェントとは 今期から「AI Driven Design Company」をテーマとして掲げ、AI領域への投資を進めています。 昨年は「AIエージェント元年」と呼ばれていましたが、今年に入り普及が本格化してきました。AIエージェントとは「何をしたいか」を伝えるだけで、AIが自律的に動いてゴールを達成するものです。 AIエージェント時代のUXデザインの変化 従来のUXデザインは「人が画面を操作してゴールに向かう」という発想で、どう操作するかの設計が中心でした。 AIエージェント時代のUX設計「Agentic UX」は「AI が自律的に実行する」という発想で、「どう操作するか(How)」よりも「何をしたいか(What)」を伝える設計が重要になります。 AIエージェント導入の課題 AIエージェントを導入しようとする多くの企業でパイロットプロジェクトが失敗しており、その本質的な問題は「人間が信頼できる体験になっていない」こと、すなわち「体験設計の課題」です。 グッドパッチはこれを15年間取り組んできた体験設計の領域と捉え、AIエージェント時代の設計プロセスに組み込んだ支援を提供していきます。 AIエージェント導入支援における当社の強み 当社が15年間培ってきた「設計意図」「環境設計」「信頼構築」の知見が、AIエージェント支援においても転用できると考えています。 「Agentic UX」について、こちらのブログで詳しく解説しています。併せてご覧ください! AIエージェント時代のプロダクト作りの基礎知識「Agentic UX」とは?|Goodpatch Blog グッドパッチブログ昨今のAI技術の急速な進化により、ビジネスにおけるデザインのあり方が変化しています。AIが自律的にタスクをこなす「AIエーgoodpatch.com AIに関する当社の取り組みの事例 AI専門組織の設立とAIデザインツール開発の「Layermate」子会社化に加え、3月には「Claude Codeを使ってアプリケーションを構築しデプロイまで完遂する」取り組みを事業部門所属の全社員向けに実施しました。 全社員が実際にClaude Codeでアプリを構築・デプロイする体験を通じて、200以上のアプリとナレッジ300件が蓄積されました(詳細は以下をご覧ください)。これにより組織全体のAIリテラシー、AI活用度が大きく向上し、現在もAIによる業務改善や価値創造を加速させています この実績を活かし、他社のAI導入支援やAIプロダクトの開発支援など、「デザイン×AI」による課題解決や価値創出に伴走してまいります 今後の成長戦略目指す方向性 「AI Driven Design Company」をテーマとして掲げ、AI領域への投資を進めています。 戦略方針 今期はAI領域を重点的に強化し、AIを活用した価値提供領域の拡張を進めるとともに、「デザイン×AI」でビジネスを変革し、新たな体験価値を創出します。 既存事業においてAI活用を一層進めていきます 中長期的にはAIを軸とした事業部の立ち上げも視野に入れ、クライアントワークに依存しない収益源の創出を進めることで、ビジネスモデル・収益構造の多角化を図ります 中長期ロードマップ 今期は、既存領域の拡張を積極的に進めます 長期的には、収益モデルの多角化の実現を全体の方向性としています 営業強化 営業人員の積極的な採用により、営業体制を増強しています マーケティング投資を通じて、有効商談の創出を進めています 正社員デザイナー組織規模拡大 社内デザイン組織の強化を進めるとともに、Goodpatch Anywhere人材も活用し、フリーランスと両軸で人材を獲得・活用します。 成長領域 引き続きデザインを軸に事業戦略・組織・テクノロジー・ブランドの4領域へのソリューションを拡張していきます。AIの活用を通じて、コーポレートブランディングを含む領域の強化も図っていく方針です。 M&A戦略 当社が直接関与し、事業シナジーが見込まれる案件に絞って、M&Aに取り組んでいます。Layermate買収後もソーシングは継続しており、今後も積極的にM&Aを検討していく方針です。 デザインの可能性 グロース市場の上場維持基準である時価総額100億円の達成にとどまらず、早期に時価総額200億円の達成を目指しています。 さらに2030年に向けては、複数の事業創出を通じて時価総額200億円・300億円と段階的な成長を実現していきます。 各種開示資料はこちら2026年2Q決算に関連する開示資料はこちらです。合わせてご覧ください。 2026年8月期 第2四半期決算説明資料 2026年8月期 第2四半期決算説明会書き起こし 2026年8月期 第2四半期決算説明会Q&A書き起こし 今後のIRスケジュール直近のIRイベントは以下の通りです。7月15日には2026年8月期第3四半期の個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会を実施予定ですので、ぜひご参加ください! 2026年7月15日 個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会 IRカレンダーはこちら 編集後記最後までお読みいただき、ありがとうございます。 本記事を通じて、グッドパッチへの理解を深めていただけるとうれしく思います。 IR担当としては、今後も投資家の皆さまやグッドパッチに関心をお持ちの皆さまに、決算の数字の背景にある「なぜ」をわかりやすくお伝えしていきたいと考えています。 「こんな企画をやってほしい」「この部分について詳しく知りたい」といったご要望がありましたら、ぜひコメント欄やIRお問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください! IR問い合わせ窓口はこちら

2026年8月期1Q決算を発表しました!
こんにちは、グッドパッチIR担当です。 グッドパッチは1月14日に2026年8月期第1四半期の決算発表を行いました。 このnoteでは、決算に関するポイントをお伝えします! 2026年8月期第1四半期決算のサマリ―売上高(顧客のデザイン投資額):概ね前年同期比と同水準 営業利益(デザインの付加価値額):77百万円と前年同期比マイナス 全社KPI:顧客社数が増加し、有効商談数は過去最高を記録 決算概要売上高は概ね前年同期と同水準、営業利益は前年同期比で減少となりました。 売上高は前年同期比と同水準で、過去最高売上となった前年と同様の滑り出しとなりました。また、マーケティング施策や展示会への投資を強化したことで、先行指標である有効商談数は過去最高を記録しました 営業利益は、人材採用やM&Aなど新規事業への投資を実施したことにより前年同期比で減少しましたが、2Qに向けた仕込みは計画通りに着々と実行しています 全社KPI 「月額平均顧客単価」は前期同期比でほぼ横ばい、「顧客社数」は増加しました。また「有効商談数」については過去最高となりました。 月額平均顧客単価は前年同期並みの水準で推移しており、大型案件・エンタープライズ領域への取り組みに引き続き注力しています 営業体制の強化とマーケティング施策の推進により、有効商談数は過去最高となりました! 費用構成の推移 オンライン・オフラインを組み合わせたマーケティング施策を強化、積極的な人材採用により、費用が前年同期比で4%増加しました 通期業績予想に対する進捗状況 売上高は通期業績予想に対し21.5%と計画通りに進捗しています 利益進捗も想定内のため通期業績予想は据え置き、2Q以降でキャッチアップを図ります 連結貸借対照表 前四半期から大きな変動はなく、高い自己資本比率を維持しています M&Aに機動的に対応できるよう、継続的にソーシングを行っています デザインパートナー事業デザインパートナー事業の売上高と営業利益 デザインパートナー事業は、グッドパッチのメイン事業であり、全体売上の9割以上を占めています。「装飾」としてのデザインではなく、戦略レイヤーから一貫してビジネスをデザインすることで、ビジネスの各局面での難題を打開するサービスを提供しています デザインパートナー事業の売上高は、前四半期とほぼ同水準を維持し、前年同期比で成長しています。 生成AIプロダクト開発やブランディング案件などの獲得により、売上高は1.3%成長しました。一方、営業利益は成長投資により一時的に減少しましたが、事業としては引き続き利益を創出できる状況にあります。 デザインパートナー事業のKPI 月額平均顧客単価は前年同期の水準を維持しており、顧客社数は前年からのプロジェクト継続が順調で過去最高水準を維持しています。 デザイン人員数(四半期) 1Qでの稼働デザイナー数は211名、2Qには過去最高の稼働デザイナー数を見込んでいます。 積極的な採用を進めた結果、前四半期比で稼働デザイナーが12名増加し稼働率が上がっています 引き続き採用を強化していく方針です 有効商談数(四半期) 有効商談数は前年同期を上回り、過去最高を記録しました! 営業組織の強化、マーケティング施策の積極展開により、過去最高の有効商談数となりました デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業の売上高と営業利益 デザインプラットフォーム事業は、デザイナー人材紹介サービス「ReDesigner」やオンラインホワイトボードツール「Strap」などの自社サービス・プロダクトを提供しています。 売上高は、人材紹介事業の一時的な落ち込みにより減少しています。 ReDesignerは、ダイレクトリクルーティング事業が安定的に成長している一方で、人材紹介事業において月ずれが発生した影響により、1Qの売上高は減少しました 営業利益は、Layermateの買収を含む新規事業への先行投資を実施したことからマイナスとなりました FY2026 1Q TOPICSソフトバンク株式会社 ソフトバンク社の生成AIプロダクトデザインを、当社が伴走支援しています。本プロジェクトには当社から多くのデザイナーが参画しており、1年半にわたってプロダクト開発に取り組んでいます。 こうした生成AIプロダクト関連の支援事例は着実に増加しています。 佐久間宣行氏のオフィシャルHP テレビ東京から独立し、「NOBROCK TV」などを手がけるプロデューサーの佐久間宣行氏のオフィシャルHPを当社が作成し、その制作プロセスを、テレビ東京コミュニケーションズ社企画のYouTube番組で公開しました。 これらはSNS上で大きな話題となり、ポジティブなコメントが多数寄せられています。2026年1月8日までにオフィシャルHPは57万PVを記録しました。 本施策をきっかけとした商談獲得にもつながっており、中長期的な観点では認知度の向上やデザイン価値の啓蒙につながった、大成功のPR施策となりました。 今後の成長戦略目指す方向性 「AI Driven Design Company」をテーマとして掲げ、AI領域への投 資を進めています。 戦略方針 今期はAI領域を重点的に強化し、AIを活用した価値提供領域の拡張を進めるとともに、「デザイン×AI」でビジネスを変革し、新たな体験価値を創出します。 既存事業においてAI活用を一層進めていきます 中長期的にはAIを軸とした事業部の立ち上げも視野に入れ、クライアントワークに依存しない収益源の創出を進めることで、ビジネスモデル・収益構造の多角化を図ります 中長期ロードマップ この1年は既存領域の拡張を積極的に進めます 長期的には、収益モデルの多角化の実現を全体の方向性としています 営業強化 営業人員の積極的な採用により、営業体制を増強しています マーケティング投資を通じて、有効商談の創出を進めています 正社員デザーナー組織規模拡大 正社員組織の強化を進めるとともに、Anywhere人材も活用し、フリーランスと両軸で人材を獲得・活用します。 昨年と比較して採用力が向上しており、引きつづき積極的に採用を進めて正社員組織を強化します 柔軟な働き方を提供することで優秀なフリーランス人材を獲得し、デザイナー組織規模の拡大を進めていきます 成長領域 引き続きデザインを軸に事業戦略・組織・ テクノロジー・ブランドの4領域へのソリューションを拡張していきます。 AIの活用を通じて、コーポレートブランディングを含む領域の強化も図っていく方針です M&A戦略 当社が直接関与し、事業シナジーが見込まれる案件に絞って、M&Aに取り組んでいます Layermate買収後もソーシングは継続しており、今後も積極的にM&Aを検討していく方針です デザインの可能性 時価総額100億円の達成に留まらず、早期に時価総額200億の達成を目指しています。さらに、その先の2030年に向けては、複数の事業創出を通じて、時価総額200億円、300億円と段階的な成長を実現します。 各種開示資料はこちら2026年1Q決算に関連する開示資料については、以下の通りです。合わせてご確認いただけましたら幸いです。 2026年8月期 第1四半期決算説明資料 2026年8月期 第1四半期決算説明会書き起こし 2026年8月期 第1四半期決算説明会Q&A書き起こし 今後のIRスケジュール直近のIRイベントは以下の通りです。4月14日には2026年8月期第2四半期の個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会を実施予定ですので、ぜひご参加ください! 2026年4月14日 個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会 IRカレンダーはこちら 編集後記最後までお読みいただき、ありがとうございます。 本記事を通じて、少しでも当社への理解が深まりましたら幸いです。 2026年8月期1Qでは、事業の継続的な成長に向けて、マーケティングおよび人材獲得への投資を実施したことにより、営業利益は一時的に減少しています。一方で、設定した各KPIの強化を継続するとともに、営業人員体制の補強を行った結果、有効商談数は過去最高を更新しました。有効商談数の増加に加え、大型プロジェクトの継続が安定して進捗していることから、2Q以降において業績のキャッチアップを図ってまいります。 また、イベントへの出展や佐久間宣行氏のオフィシャルHP制作など、各種施策にも取り組んでおり、短期的には売上に直結しないものの、中長期的な売上成長には寄与するものと考えています。 IR担当としては、今後も投資家の皆さまやグッドパッチに関心をお持ちの皆さまに、IR情報をわかりやすくお伝えし、いただいたご意見を経営にしっかりと反映していきたいと考えています。 「こんな企画をやってほしい」「この部分について詳しく知りたい」といったご要望がありましたら、ぜひコメント欄やIRお問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください! IR問い合わせ窓口はこちら

2025年8月期通期決算を発表しました!
こんにちは、グッドパッチIR担当です。 グッドパッチは10月15日に2025年8月期通期の決算発表を行いました。 このnoteでは、決算に関するポイントをお伝えします! 2025年8月期通期決算のサマリ―売上高(顧客のデザイン投資額):初めて50億円を超え過去最高を記録しました 営業利益(デザインの付加価値額):前年比15倍、5.5億円超となりました 全社KPI:顧客社数、月額平均顧客単価ともに大きく増加しました 決算概要売上高は前年比30%近く成長し、営業利益は前年比15倍といずれも過去最高を更新しました。 売上高は、初めて50億円を超え過去最高を記録しました。大型プロジェクトの獲得・継続により、前年と比較して11.4億円、29%増加。苦戦した前年から一転して好調な着地となりました 営業利益は、売上拡大に伴い前年から5.2億円増加し、売上高と同じく過去最高を更新しました。営業利益率も前年から10.1ポイント上昇し11%を確保しています 全社KPI 「月額平均顧客単価」と「顧客社数」は、今期の年間計画を超える水準で着地した一方、「デザイナー数」と「有効商談数」については年間計画未達となりました。 システム開発などの大型プロジェクトを新規・継続的に受注したことにより、月額平均顧客単価は前年と比べて約10%増加しました。また、顧客社数は20%近く増加しました デザイナー数は前年と比べて減少しているため、来期以降も積極的な採用活動を継続します 有効商談数は計画未達であるものの、大型プロジェクトの受注に複数成功しており、売上は拡大しています 売上高と営業利益の推移(通期) 売上高は前年から11.4億円増、営業利益は前年から5.5億円増となりました。 売上高は過去3年間、成長が停滞していましたが、今年は10億円以上の積み上げに成功しています 営業利益についても低調に推移した前年から一転して過去最高を記録しました 好調な業績を受け、従業員還元を目的とした賞与を増額(前年比+100百万円) しました デザインパートナー事業ユニット別の売上高と営業利益 デザインパートナー事業はすべてのユニットで過去最高の売上高を更新し、営業利益も好調な結果となりました。 デザインパートナー事業は、Goodpatch(社内デザイン組織)/フルリモートデザイン組織 Goodpatch Anywhere(社外デザイン組織)/グループ会社 スタジオディテイルズ(子会社)の3ユニットで構成しているグッドパッチのメイン事業です。「装飾」としてのデザインではなく、戦略レイヤーから一貫してビジネスをデザインすることで、ビジネスの各局面での難題を打開するサービスを提供しています。 Goodpatch、Goodpatch Anywhere、スタジオディテイルズすべてのユニットで過去最高の売上高になりました 営業利益はGoodpatch Anywhere、スタジオディテイルズで過去最高となっています 4年前にグループ入りしたスタジオディテイルズはPMIの目途が立ち、利益創出が可能な状態となりました 連結貸借対照表 健全な財務体質を維持しており、いつでもM&Aに対応できるよう現預金を確保しています。 新規・既存事業への投資、M&Aの資金として現預金を27億円確保しています 自己資本比率は78.6%と高水準を維持しており、今期末より当社初の配当を開始しています デザインパートナー事業デザインパートナー事業の売上高と営業利益 デザインパートナー事業の売上高は、受注数の増加および大型プロジェクトの継続により、過去最高となる46.9億円、営業利益は6.1億円となりました。 売上は前年比30%以上成長し、営業利益も前年から4.8億円と大幅に増加しました システム開発などの大型プロジェクトを複数受注できたことが大きな要因です デザイン人員数(四半期) 四半期での稼働デザイナー数は199名、前年同期比で-3名となりましたが、効率的なプロジェクト進行により売上を伸ばしています。 次のキャリアを志向したメンバーの離職により、正社員デザイナー数が減少しましたが、稼働率を上げ、売上を伸ばすことができています デザイン人材はグッドパッチの価値創出の中核を担うため、継続して採用に注力しており、2026年第1四半期には合計12名の入社を予定しています 今後も積極的な採用を進めるとともに、Anywhere人材も活用していきます デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業の売上高と営業利益 デザインプラットフォーム事業は、デザイナー特化型キャリア支援サービス「ReDesigner」やオンラインホワイトボードツール「Strap」などの自社サービス・プロダクトを展開しています。 デザインプラットフォーム事業の売上高は42百万円増加の3.8億円となりました。営業損失は前年比39百万円の縮小と、大幅な赤字改善となりました。 メイン事業であるReDesignerの売上が着実に成長し、赤字幅が縮小しています ReDesignerは成長事業であると捉えており、来期に向けた投資を行っています 株主還元について当社初の配当を2025年8月期末より開始します。 一株あたり10円の配当を実施し、FY2026以降も株主の皆様へ安定的かつ継続的な利益還元を行います。 基準日:2025年8月31日 1株あたりの配当金(期末):10円*¹ 配当性向*²の目安:20~30% ※1 2025年8月に業績予想を修正し、好調な業績と配当性向20~30%を目安とする方針に基づき、7月に発表していた1株当たり配当金9円を10円に引き上げ、増配としました。 ※2 配当性向:1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益×100(%) FY2026通期業績予想売上高は前年比10.1%の成長、営業利益は事業投資を強化するため前年と同程度を見込んでいます。 ソリューション拡張とマーケティング強化により、売上高は前年に比べて10.1%増の56億円を見込んでいます 収益性を確保しつつ、新たな成長の柱となる事業への投資を強化します 売上前提KPI 売上成長に合わせ、有効商談数や月額平均顧客単価、顧客社数を引き上げています。 売上高10.1%の成長に合わせて、10%にあたる53件の商談数増加を計画しています FY2026成長戦略目指す方向性 AIによる市場の急激な変化に対応するため、「AI Driven Design Company」をFY2026年以降のテーマとして掲げます。 戦略方針 今期はAI領域を重点的に強化し、AIを活用した価値提供領域の拡張を進めるとともに、「デザイン×AI」でビジネスを変革し、新たな体験価値を創出します。 先日M&Aを行った「Layermate」や、自社開発の「HRmony AI」をはじめとしたAIプロダクト開発を強化します クライアントワークでも、AIの活用により支援ソリューションの幅を拡張します AI取り組み事例 チャットでUIを自動作成できるAIデザインツールを提供する「Layermate」のM&Aを行いました。 Layermateを社内で活用しつつ、機能開発を行うことで早期に事業化を図ります また、組織面でもAI専門組織を組成し、重点的に投資を行うことで、AI領域の拡大と事業基盤の強化に取り組んでいきます 営業強化 今期も引き続き営業強化に注力するとともに、マーケティング投資を行い、新規案件獲得と既存案件の拡張を進めます。 昨期は営業人員の退職が発生したことも踏まえ、引き続き、採用による営業体制の強化に取り組みます 有効商談数を増やすため、広告への投資額を増やし、体制・投資の両面を強化することで新規案件の獲得を目指します 正社員デザイナー組織規模拡大 正社員組織の強化を進めるとともに、Anywhere人材も活用し、フリーランスと両軸で人材を獲得・活用します。 引き続き正社員デザイナーの積極採用を行い、大型案件の受注が可能な体制を強化します 柔軟な働き方を提供することで優秀なフリーランス人材を獲得し、デザイナー組織規模の拡大を進めていきます デザインの可能性 今期は大きく成長し、グロース市場の基準である時価総額100億の達成が見えてきました。100億にとどまらず、時価総額200億の達成を目指して引き続き邁進します。 各種開示資料はこちら2025年通期決算に関連する開示資料については、以下の通りです。合わせてご確認いただけましたら幸いです。 2025年8月期 通期決算説明資料 2025年8月期 通期決算短信 2025年8月期 通期決算説明会書き起こし 2025年8月期 通期決算説明会Q&A書き起こし 今後のIRスケジュール直近のIRイベントは以下の通りです。11月26日には定時株主総会、1月14日には2026年8月期第一四半期の個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会を実施予定ですので、ぜひご参加ください! 2025年11月26日 定時株主総会 2026年1月14日 個人投資家向け・機関投資家向け決算説明会 IRカレンダーはこちら 編集後記最後までお読みいただき、ありがとうございます。 本記事を通じて、少しでも当社への理解を深めていただけましたら幸いです。 開発などの大型プロジェクトを複数受注した結果、2025年8月通期は過去最高の売上高と営業利益を達成し、特に売り上げは初めて50億円を突破しました。また、継続的に利益を生み出せる体制が整ったことから、当社初の配当を開始しました。 IR担当としては、今後も投資家の皆さまやグッドパッチに関心をお持ちの皆さまに、IR情報をわかりやすくお伝えし、いただいたご意見を経営にしっかりと反映していきたいと考えています。 「こんな企画をやってほしい」「この部分について詳しく知りたい」といったご要望がありましたら、ぜひコメント欄やIRお問い合わせ窓口までお気軽にご連絡ください! IR問い合わせ窓口はこちら
社長のつぶやき
弊社CEO土屋が公開した記事を集めたマガジンです。 土屋のアカウントはこちら:https://note.com/naofumit

グッドパッチを創業して15年経ちました
なんと僕が2011年9月1日にグッドパッチを創業してから15年も経ってしまいました。早すぎる。当時28歳になりたてだった僕は43歳のただのおっさんに、創業時に1歳だった娘は16歳のJKに。僕にとってはあっという間の15年でしたが、1人の人間が生まれて思春期に入るくらいの期間はあるということです。 流石に15年の節目で、会社としてもコーポレートサイトのリニューアルや15周年サイトや動画など色々やってきたので、何かしら書いておかないと思いブログを書こうと思います。 最近はAIによって、整理構造化された文章が溢れているので、逆に全く構造化されえていない、頭に出てきた言葉を書き記す感じの文章で読みにくいかもしれませんが、こんな周年の文章は自己満足なのでご了承ください。 15年前、2011年15年前というのは、振り返ると社会はどうなっていたかというと、東日本大震災で原発事故が起き、電力不足、リーマン・ショックの名残もまだある中で社会不安は強かったです。日経平均は年末終値8455円、為替はなんと最高値1ドル=75円まで行きました。信じられないですね。 僕がサンフランシスコにいる時に1ドル80円だったのはめちゃくちゃ助かりました。しかも、あの時はまだサンフランシスコの地価がそこまでだったので、1BedRoom(日本でいうと1LDKくらい)が$1500で12万くらいでした。ちなみに今は$3000〜4000とかなので、日本円で50~60万円です。恐ろしすぎます。 ちなみにスティーブ・ジョブズが亡くなったのも2011年でした。 一方で、2008年に日本でも発売開始したiPhoneがiPhone4あたりから本格的な普及期に入り、2010年に4%だったスマホ普及率も2011年には20%を越えてきました。 2011年にLINEも登場し、LINEのスタンプが出たあたりで一気に普及します。 SNSも震災でTwitterが一気に広まり、日本ではまだあまり使われていなかったFacebookが、映画ソーシャルネットワークをキッカケにIT業界の人から使われまじめ、そこからInstagramも一気に広まりという感じで新しいアプリやソーシャルメディアが大量に出てきたタイミングでした。 スマホ・ソーシャル・ソフトウェアが世界を再設計し始めた元年 マーク・アンドリーセンが「Software is eating the world(ソフトウェアが世界を飲み込む)」という有名なエッセイをWall Street Journalに寄稿したのも2011年の8月でした。 そんな時代のタイミングで僕はグッドパッチを創業しました。 色んな所で創業ストーリーを語っているので今更ではありますが、僕は15年前2011年3月10日東日本大震災の前日に日本を経ちサンフランシスコに渡って、そこで創業半年で社員数まだ10人のInstagramやコワーキングにいたUberなどの色んなスタートアップを見たことがグッドパッチの創業のキッカケになっています。 Like a Silicon ValleyGoodpatchの創業者土屋がサンフランシスコに行く前から起業後数年間(2010~2017年)を書き記したブログをまとめlikeasiliconvalley.com 社会的には不安な情勢でしたが、28歳の僕はスマホ普及のタイミングで色んな常識が塗り替わり、新しいサービスが毎日の様に出てくる、そんな状況にずっとワクワクしていました。 フィードフォースに間借りしてグッドパッチを創業あれから15年、2026年現在2026年は、イラン戦争勃発、世界的な急速なインフレ、日経平均は史上最高値7万円を突破、為替はなんと1ドル=160円。15年前との対比がやばすぎますw そして、LLMの登場からのAIエージェントの爆発的普及。 またしても社会が大きく変革するタイミングが来てしまっています。 僕が起業した15年前と構造的には良く似たポイントがあります。 近い世代の起業家と話すと多くの起業家が、ここまでの大きなインパクトはスマホ以来だなと言う言葉がでます。そして、いやスマホを越えるインパクトになる可能性が高いと言う人も多いです。 AIによって世界がまた再設計される そんなカオスなタイミングにまたしても立ち会うことになってしまいました。 15期に入るタイミングで全社に問い直しを宣言昨年、AIによる急速なマーケット環境の変化を感じていた僕は15周年という節目のタイミングを理由に色々なバイアスを見直す問い直しをやろうと全社メンバーに告知。この一年、顧客への提供価値、職種タイトル、VMV、評価基準などを問い直ししてきました。 社内で問い直しを宣言そして、2月に僕がClaude Codeを使い、たった1日であるアプリケーション作った事がグッドパッチにとっても大きな転機となりました。 その時に書いたnoteがこちらです。 Claude Codeを使い始めて、まだ半年しか経っていないのかと驚いてしまうくらいグッドパッチの多くの社員の仕事の進め方は変わりました。特に人事やバックオフィスなど今まで自分でソフトウェアを作ることなんて想像もしていなかったメンバーが今や当たり前のように業務効率化をするようなアプリケーションを自らAIを使って構築している、これは僕も想定以上のインパクトを感じています。 僕自身も、毎日のようにClaude CodeとCodexを使っていますが、僕自身が作ったアプリケーションが、グッドパッチの社内の業務にも深く入り込み、XでもポストしたHTMLホスティングのツールは僕が2日で作り、リリースから3ヶ月で社内で2000ものHTMLファイルがアップロードされ、メンバーの情報共有や議論には欠かせないツールとなっています。 このAIの急速な進化と、ビジネスへの影響に危機感を感じながらも、個人的にはこの半年は15年ぶりのワクワクを感じる期間でした。 カオスを乗りこなせ!15周年のコンセプト「Charge, Chaos」この15周年というタイミングでグッドパッチが掲げるコンセプトは 「Charge, Chaos」英語読みするとチャージ、ケイオス。そうカオスです。 サーフィン用語で「Charge」は 「大きく危険な波に、恐れず・全力で・コミットして挑む」という意味を持ちます。 「Chaos」は混沌や無秩序のような意味ですが、過去の秩序が崩壊して、新しい秩序が生まれる創造の余白期でもあります。 このAI時代は、今まで当たり前だったことが変わり、新しいニーズやチャンスが生まれてくる、まさにカオス期と言えます。 そんなChaosに恐れずに向かって乗りこなしていこう!という意味がこの「Charge,Chaos」に込められています。 こんな時代の転換点にいて、中には大きな不安を感じているデザイナーも多くいる中で、グッドパッチのメンバーたちにどういうメッセージを投げかけるか。 今回Webサイトのリニューアルを一緒にやっているパートナーのFunTechの太田さん松本さんと弊社のコミュニケーションデザインチームで議論して出てきたこのコンセプトは、混沌な時代に「カオスを乗りこなそう!」と前向きなメッセージをメンバーに投げかけれる良いコンセプトになったなと思っています。 15周年というタイミング、AI時代にグッドパッチとしてどんな戦略を取るのか。色んな事を考える半年間でした。 そして、なんやかんや、なんやかんやがあって出来上がったのが、このキャラクターです。 グッドパッチ公式キャラクター ぱっちー突然の公式キャラクター爆誕。 ぱっちーです。 脈絡がなさ過ぎて意味が不明だと思いますが、今回の15周年サイトやコーポレートサイトにもこの「ぱっちー」がめちゃくちゃ出てきます。 正直、BtoBの上場デザイン会社に公式キャラクターが必要なのかと問われると、合理性のある回答はできません。 でも、この1年で気づいたのです。 このAI時代は合理性のないことや脈絡がないことの方が価値があるなと。 良いんですよ。見てください。 かわいくないですか? ぱっちーひょっこりはんぱっちーしっぽは風船で飛びますハンバーガー好きなぱっちー※ IP化するかは決まってませんw コーポレートサイトと15周年企画コンテンツこのタイミングで久しぶりにコーポレートサイトのリニューアルと15周年の企画コンテンツを沢山用意しました。 Goodpatch | Prove the Power of DesignFrom UI/UX design to strategy, product development, brand crewww.goodpatch.com 自社のWebサイトは自分達では絶対にやらないことを僕は決めており(過去、社内で作って2年以上かかり大炎上したため)、昨年は採用サイトをベイジさん、コーポレートサイトをFunTechさんにパートナーとして関わっていただきました。 Charge, Chaos. | Goodpatch 15th Anniversary2026年9月1日、グッドパッチは創業15年を迎えました。多くの方々に応援してもらい、進化し続けて来れたことを感謝していまwww.goodpatch.com キャラクターも作り、動画も作り、社内メンバーもClaude Codeで自分たちのアプリを公開するギャラリーも作り、ゲームも作り、インタビューコンテンツも作り、正直やり過ぎです。 パートナーのFunTechさんも、この1週間は表で言えないくらいの働き方で、最後の最後までこだわっています。 全く持って合理的ではないし、この物量もこだわりも意味がわからないです。 でもね、このAI時代はここまでやる必要ある?という意味のわからない変態的なこだわりしか価値を持たないんですよ。 AIで誰でもモノ作れると思ったら、大間違いですよ。今回のサイトとかコンテンツ、AIで作れるかやってみてください。もちろん、AIを使ってる部分はありますが、AIだけではここまでやり切れないです。 このグッドパッチとFunTechの変態的こだわり見てやってください。 Chaos Talk 丸井グループ青井社長との対談 15周年という節目にこの数年は、市場に対しても期待されるような結果を出せず、もどかしい状態が続いていました。上場しながら事業を成長させていくことの難しさを痛感する毎日です。 コロナ以降も、マーケットの変化はありましたが、ここに来て過去最大級のビジネス環境の変化というタイミングで、我々がいるデザイン業界も揺れています。 企業側はジュニアデザイナーの採用を絞り、AIの浸透で不安に感じているデザイナーやフリーランスから正社員化するデザイナーも多いと聞きます。 正直、このまま上場しながらやり続けるのか?という問いはいつも自分の頭には出ていましたが、こんな時だからこそ、デザインという領域に貼りながら株式市場に出ている我々こそが、AI時代でのデザインの価値を証明し、新しいロールモデル、新しい価値創出モデルを提示しようと自分達を奮い立たせています。 変化のタイミングだからこそ、カオスのタイミングだからこそ、生まれる新しい余白を見つけてBetしていく。 もしかしたら、グッドパッチとしては5年後10年後のメインビジネスは変わっているかもしれませんが、それでも我々が持っているコアの想いは変わらないと思いますし、世の中で埋もれた価値を見つけて、顧客に伝わる価値に翻訳しデザインしていく。これをやり続けたいなと思っています。 こんなカオスな時代にチャージしていく、新しいビジネスを作っていく事に興味のあるカオス耐性のある方はぜひ一緒に働きましょう。うちはまだまだ人材募集してます。 15年前28歳で起業した時に、何の能力もなかった自分が15年も会社を続けれるとは思ってませんでした。ここまで、続けて来れたのもグッドパッチのメンバー、過去にグッドパッチに関わってくれた多くのアルムナイとクライアントの皆様、パートナーの皆様のおかげです。多大なる支援をいただき感謝しております。 このカオスな時代を共に乗り越えましょう! Charge, Chaos!! あなたのやりたいことはデザインかもしれない Goodpatch グッドパッチ採用サイトグッドパッチの力の源は、なんといっても「人」。多種多様なスペシャリストが共に働いています。あなたが働く選択肢の一つにグッドcareers.goodpatch.com

全社へのClaude Code大号令 — 1ヶ月で200個のアプリと300件のナレッジから見えたこと
実は3月の頭にグッドパッチの事業部所属のメンバー全員にClaude Codeを使って1アプリケーションを作ってデプロイまでやりなさいという大号令を出しました。 3月頭の全社ミーティングにて。MDは営業。※esaはグッドパッチのナレッジ投稿ツールです。この時はグッドパッチの社員達は僕がどこまで本気かは、捉え方はそれぞれでしたが、後に社内ではClaude Code大号令#CC令とハッシュタグが付き、グッドパッチ過去最大のムーブメントとなりました。 なぜこんな大号令を出したのかそれは2月上旬に僕自身がClaude Codeで昔会社で使っていた年間300万払っていたSaaSのクローンをたった1日で作れてしまった所からスタートしました。 昨日ClaudeCodeを使って昔、会社で年間300万のコストを払ってたSaasとほぼ同等機能のWebサービスがものの6~7時間で出来上がってしまった。自分自身でコードは全く書いていない。ちょっと認識のレベルをかなりアップデートする必要がある https://t.co/SzZuJoeQSY — 土屋尚史 / Goodpatch (@tsuchinao83) February 11, 2026 この時に僕が作ったサービスは現在グッドパッチのほぼ全ての社員が登録し、毎日使われるツールになりました。未だに僕が1人で開発し、この2か月で120コミットし、常に機能追加されています。 ここからClaude Codeにハマり、1か月で20個以上のアプリケーションを作り、僕自身は自ら作ったパーソナルAIエージェント「Roger」と共に楽しいClaude Codeライフを送っています。 この一連の体験の中で、確実にゲームが変わることを確信しました。 今までのソフトウェアプロダクトの作り方とは、大きく状況が変わることが見えたので、なるべく早いタイミングで全社員に理解させないといけないと思いました。 でも、Claude Codeは始めるまでのハードルが高いClaude Codeは本当にすごいツールですが、始めるまでのハードルがまあまあ高いのです。 ターミナルを開く。VS Codeをインストールする。GitHubアカウントを作る。Supabaseのプロジェクトを立ち上げる。Vercelにデプロイする。etc.. デザイナーや営業などの非エンジニアにとっては、かなりハードル高いです。 「興味はあるけど、なかなか手が動かない」状態の社員が大半でした。自然に広がるのを待っていたら、一部のアーリーアダプターだけが使って終わる。 だから、今回はトップダウンで大号令を出すことにしました。僕は普段はトップダウンはあまりやらないのですが、今回は流石に危機感もあったので絶対にやり切る覚悟で意思決定しました。 3月中という期限でしたが、やはりすぐにやる人やらない人も分かれるので、Claude Codeで毎日自動更新のesa(社内のイントラ記事)を作り、書いたメンバーの記事を自動収集し、誰が日時で書いたか書いていないかを自動チェックし、全員が書くまでマネージャーに追いかけてもらうまでやりました。 結果4月頭の全社会の資料結果:ナレッジ295記事。作った人185名。アプリケーション217個。 子会社とバックオフィス系メンバーを除く事業部社員のほぼ全員が、アプリを作り、esaに記事を書くところまで到達しました。アプリ開発記事に限れば約87%がデプロイまで到達しています(ノウハウ共有や分析記事など、デプロイを伴わない記事を含めると78%)。 たった1か月で約300件のClaude Code関連のナレッジの投稿が増えた事になります。 記事の97%に振り返りの記述があり、59%が失敗や苦労を正直に書いていました。単なる「やりました」報告ではなく、「やってみて何を感じたか」が185人分、生のデータとして残りました。 以下はClaudeCodeで分析したデータと気付きの一部です。 どんな職種が、どんなアプリを作ったか職種の内訳 職種ごとの記事数業務効率化が最多ですが、面白いのはその中身です。 「献立を考えるのがつらい」から作った献立管理アプリ。1歳の娘のアレルギー負荷試験を2タップで記録するツール。推しのニュースとイベントを一覧化するダッシュボード。冷蔵庫の食材から作れる料理を教えてくれるアプリ。コメダ珈琲で一緒にポモドーロタイマーを回せるリアルタイム同席アプリ。 壮大なものではなく、自分の生活の「小さな不便」を解決するものが圧倒的に多かったです。 これは後で触れます。 驚いたこと①:コード経験ゼロの86%がデプロイまで到達した最も衝撃的だったデータがこれです。 コーディング経験が全くない57人のうち49人が、動くアプリをインターネット上に公開するところまで到達しています。 「コードは1行も自分で書いていません。やったことは3つだけ:作りたいことを言葉で伝える、画面を見てフィードバックする、エラーメッセージをコピペする」— デザイナー 「ここまでできるとは思っていなかった。コードを一行も書かずにWebアプリができてしまった。すごい」— 営業 「6分後、60品目のサンプルデータ付きアプリが完成しました」— 営業 「0→1が、こんなに簡単にできていいんでしょうか。これ困ってるからググる時代から、自分で作る時代へ」— デザイナー 今までデプロイ経験のなかった非エンジニアがたった数時間でアプリを作ってデプロイできる。もちろん社内エンジニアのレクチャーもありますが、それでも少し前では考えられませんでした。 グッドパッチはクライアントのデジタルプロダクトを一緒に作る会社です。その社員の大多数が「自分で動くものを出荷する体験」を持ったことの意味は大きな変化です。 驚いたこと②:半数が「ただ作れること自体には価値がない」と気づいた295記事をAIで構造化分析し、10のテーマに分類しました。 最も多かったテーマは「自分の負から始めると強い」(52%)。半数以上が、自分自身の困りごとを起点にアプリを作っていました。先ほどの献立やアレルギー管理がまさにそれです。 そして僕が最も注目しているのが2番目、「何を作るかが問われる」に49%が到達していること。 ほぼ半数が、「作れるかどうか」ではなく「何を作るか」が勝負だと気づいたのです。 これは頭で理解するのと、体験して腹落ちするのでは全く重みが違います。自分でアプリを作り、デプロイし、「あ、本当に作れてしまうな」と実感した後にしか到達できない認識です。 「作ろうと思えばなんだって作れるこの時代ですが、逆を返せば私が作ろうと思わなければ何も生み出されることはない」— 営業 「『作ること』の価値ではなく『使われること』『成果につながること』をどうデザインするか」— デザイナー 「AIは"作る"を民主化するが、"選ばれる理由"までは生成しない」— PM デザイン会社にとって、この気づきは非常に重い。デザイン会社は「作ること」を売ってきた会社です。その「作ること」の価値が下がるとしたら、自分たちは何を売るのか。まず、この施策を自分の手でやらないと実感出来ない問いだと思います。 驚いたこと③:AIが「職業的アイデンティティの鏡」になった185人が同じツール、同じ期間、同じ会社で体験したのに、職種によって得た気づきが驚くほど違いました。 デザイナー — 「誇りと苦闘」が同時に生まれた デザイナーは最も感情的に複雑な体験をしていました。「誇りと苦闘」が32%の記事で同時に出現しています。 AIが出してくるものに対して「なんとなく違う」への感度が高い。でもそれを言葉にしてAIに伝えられない。このもどかしさがfrustration 39%(全職種最高)として表れている。 しかし同時に「デザイナーの価値はむしろ上がる」が44%。この矛盾が面白い。苦しんだからこそ、「自分にしかできないこと」が逆照射的に明確になった。 「バイブコーディングをしたいけど、バイブスだけではものづくりができないなと気づきました」— デザイナー 「『これでいいか』ではなく『これがいい』を追求できるのは、人間がやる仕事だと改めて感じた」— デザイナー エンジニア — 「自分が作ること」ではなく「全員が作れる仕組み」に目が向いた エンジニアの反応は他の職種と根本的に違いました。fear 0%。surprise 6%。感情的な動揺がほぼない。 代わりに「仕組み化・Skill化」が68%で、他職種の2〜3倍。そして60%が「チームのため」にアプリやツールを作っていました。自分用ではなく、組織のための基盤。 「ハーネスエンジニアリングは『良い開発プロセスをコードとドキュメントで表現する技術』。結果的に人間にとっても分かりやすいリポジトリになる」— エンジニア エンジニアは「全員が作れるようになった世界」を驚きではなく所与の前提として受け止め、その世界で自分は何をすべきかを即座に考え始めていた。 営業 — 「自分の業務課題」を起点に、素直に驚いた 営業の96%が「自分の困りごと」を起点にアプリを作っていました。これは全職種で断トツの数字です。そして43%が「自分のため」のアプリを作った。 提案書のタスク整理ツール、商談分析、スカウトリスト管理。明確な業務課題を持っていて、それを解決するものを素直に作り、素直に驚いていた。 「凝ったものを作らないといけないという思い込みから、まずやってみるへの転換」— 営業 「作れる能力よりも何を作りたいかの明確性が勝負を決める」— 営業 一方で「仕組み化」への言及は5%、「使い倒す≠思考を委ねる」は0%。体験の衝撃がまだ新鮮で、深い内省の段階には至っていない。だからこそ、次のフェーズで最も伸びしろが大きい職種でもあります。 PM — 「言語化の精度」が全てだと最初に見抜いた 「言語化力がボトルネック」54%。全職種で最高。 PMは要件定義が本業です。「曖昧な指示からは曖昧なアウトプットしか出ない」ことを日常的に体験している。だからこそ、AIへの指示精度の重要性を最初に見抜いた。 「バイブコーディングは『作れるか』を解く道具。本質は『何を作るか』を定義する人間のプロセスにある」— PM humor(ユーモア)も61%で最高。苦労を笑いに変えながら、本質を言い当てるPMらしさ。 人事 — ドメイン知識がそのままプロダクトになった 「業務への実践応用」36%。全職種で最高。pride(誇り)93%。 面談対策Skill、プリミティブジョブの自動化、オンボーディング支援ツール。人事は自分のドメイン知識をそのままプロダクトに変換していた。 技術的な挑戦より、「自分の専門領域の課題を自分で解決できた」ことへの誇りが強い。 「アプリ開発よりも日々の作業自動化の方が組織的インパクトが大きい」— 人事 なぜ職種で景色が違ったのか 面白いのは、全員が同じ体験をしたのに、それぞれが「自分の職業にとって最も大事なもの」を再発見していること。 デザイナーは「審美眼と意図」 エンジニアは「仕組みと品質基準」 営業は「自分の課題への解像度」 PMは「言語化力」 人事は「ドメイン知識の実践力」 AIは全員に同じ能力を与えました。でもそこから何を見出すかは、その人が何を大切にしてきたかで決まる。AIが「職業的アイデンティティの鏡」として機能したと言えます。 「作れる」の価値が消えた世界で、デザイナーとエンジニアはどう価値を出すのか49%が「作れること自体に価値がない」と気づいた。45%が「言語化力がボトルネック」にぶつかった。この2つのデータが示しているのは、「作る」から「判断する」への価値のシフトです。 デザイナーの価値 110人のデザイナーの44%が「デザイナーの価値はむしろ上がる」と結論づけています。ただし、価値の中身が変わる。 AIが出してくるものに対して「ここが違う」と指摘できるのは、積み重ねた審美眼を持つ人だけです。 「残念なデザインをみて『残念だ』と気づける人はまだ多くありません。わたしみたいに『わぁ、素敵なものができた!』ってなっちゃう人がたくさんいます」 「デザインとは『自分の確かさをいったん失う』ことから始まる。これは、学習データの延長線上で答えを出すAIには不可能な人間だけのプロセス」 「『これでいいか』ではなく『これがいい』を追求できるのは、人間がやる仕事だと改めて感じた」 デザイナーの役割は「作る人」から「何を作るか決め、品質を見極める人」に変わりつつある。AIは優秀な実行者ですが、「何を美しいと感じるか」「どんな体験を届けたいか」は人間にしか持てない。 エンジニアの価値 エンジニアの68%が「仕組み化」に言及しています。これは他職種の2〜3倍。 全員がアプリを作れるようになった世界で、エンジニアの価値は「自分が作ること」ではなくなる。代わりに、「全員が安全に、品質高く作れる環境を設計すること」に移っている。 「ハーネスエンジニアリングは『AIを管理する技術』というより『良い開発プロセスをコードとドキュメントで表現する技術』。結果的に人間にとっても分かりやすいリポジトリになる」 CLAUDE.md(AIの行動規範を定めるファイル)、Skill(再利用可能な指示セット)、セキュリティ設計、ハーネスエンジニアリング。これらは非エンジニアには設計できない。 共通するのは「言語化力」 デザイナーもエンジニアも、共通して問われているのは言語化力です。45%がボトルネックとして挙げたこの能力は、AIへの指示精度だけの話ではありません。 「整理されていないものは、AIにも伝えられない。自分の仕事が整理されていないから、AIに伝えられないのが本質」 自分が何を作りたいのか、なぜそう作るのか、ここが違うと感じるのはなぜか。これを言葉にできる精度が、AIとの協働の品質を決める。 グッドパッチがクライアントワークでやってきたことは、まさにこれです。「ユーザーが本当に求めているものは何か」を言語化し、形にするプロセス。AIとの協働で問われる力と、デザインプロセスで鍛えられてきた力が、同じものだったのです。 この施策はどんな意味があったのか185人が全員で同じ体験をしたことで、組織に3つの変化が起きています。 1. ドメイン知識を持つ人が自分で解決策を実装できる アプリを作れる人 = エンジニアだけ、ではなくなった。営業のデプロイ率96%、人事86%、マーケター91%。デザイナーも81%。「作る」が特定の職種の専門行為ではなくなりました。営業が営業用のツールを作り、リサーチャーがリサーチ用のAI分析ツールを作り、人事が面談対策Skillを作っている。「エンジニアに作ってもらう」のではなく、ドメイン知識を持つ人が自分で解決策を実装することができるようになりました。 2. 「何を作るか」に全員の意識がシフトした 49%が「作れること自体に価値がない」と気づいた。「デザインの力で良いものを作る」会社が、全員で「作れるの先にある価値」を考え始めている。これはグッドパッチにとって、ビジネスモデルの再定義に直結する認識変化です。 3. 共通言語と学び合いの文化が生まれた 「バイブコーディング」「CLAUDE.md」「Skill」「デプロイ」「ハーネスエンジニアリング」。職種を超えた共通言語が1ヶ月で組織に浸透し、esa投稿数はたった1か月で300件に。45%が言語化ボトルネックを体験したことで、「曖昧な指示では良いものが出ない」が共通認識になった。これはAIへの指示だけでなく、クライアントワークの要件定義、チーム内のフィードバック、すべてに波及しています。 AI時代でも良いモノづくりができる人とは最後に僕の意見です。 今回、グッドパッチの事業部メンバーほぼ全員がClaude Codeでアプリを作ってみた結果、分かったことがあります。デザイナーでも、「ん?」というモノしか出てこない人もいれば、営業でもこれは切り口が良いし、課題を捉えていてアプリもセンスを感じるという人もいました。 いくつかの共通点はあると思っていて、3つほど挙げると 1. 課題を捉える力が高く、「何を作るべきか」が明確な人 これは、AI時代関係なくという感じですが、普段からどういう視点で物事を見ているかというのが大事だなと思いました。課題や価値を正しく知覚できている人、課題を解決する方法が解像度高くイメージが湧く人、こういう人は「作れる力」が渡された時に、非常に精度の高いモノが出てきます。 現状、作る側の職種にいなくても、こういう時に本質的にPdMやデザイナーに向いているなと思える人材が見えます。 2. AIのポン出しに満足せず、クオリティに粘れる人 やはり、AIがある程度のクオリティのモノを出して来てしまいますが、そこで満足する人材と、そこから更に粘ってクオリティを上げていける人材に分かれます。 今後、AIポン出し系のプロダクトが世の中に溢れた時に、人の琴線に触れるモノづくりができる人というのは、他の人より圧倒的にこだわれる、粘れる人だと思います。 1と2はいわゆる審美眼ですね。 3. 選ばれる「自分だけの文脈とストーリー」を持っている人 これからの時代、AIによって魂の入っていないプロダクトが溢れます。人がモノを選ぶ時に、作った人が人間かどうか、どんな想いやストーリーでそれを作って来たか、歴史や文脈の積み重ねが大事になります。 先日noteに書いた記事で、Claude Codeで誰でもプロダクトを作れる時代の構造が呪術廻戦の死滅回游と似ている、という記事の中に近い話を書いています。 「AIで何でも作れる」は嘘です。正確には「AIで何でも"動くもの"は作れるが、価値があるものを作るには、自分だけの文脈が要る」。あなたの業界知識、日々感じている不満、特殊なドメイン経験——それが「術式」です。AIはそれを実装に変換する道具にすぎません。 いやー俺も自分の術式を理解せねば https://t.co/ck7Jf8vdNc pic.twitter.com/8I5E75bPRP — 土屋尚史 / Goodpatch (@tsuchinao83) April 6, 2026 noteにも転載しておきました (ここまで読んでくれた人ありがとうございます!) 全社員がAIでアプリを作る。言葉にすると簡単ですが、やってみると組織に想像以上の変化が起きます。 問われているのは「AIで何ができるか」ではなく、「何を作るか、なぜ作るか」を決められる組織かどうか。 まだまだ、ここからも大きな変化があると思っていますが、グッドパッチは常に変化の最前線にいようとメンバーに伝えています。今回の施策を実施した事で、今社会で起こっている変化に実感値を持って体験できたと思いますし、危機感も希望も同時に感じたのではないかなと思います。 これはClaude Codeを触らないと絶対に分からない感覚なので、これを組織全体に体験してもらったのは良かったです。 グッドパッチは今後AIによるエージェンティックな体験設計、Agentic UXの支援をより強化していきます。 もし、組織へのClaude Code導入やAIを使ったプロダクト開発などを考えている企業があればご相談乗ります。 こちらも、合わせてどうぞ

AI時代という「死滅回游」をどう生き残るか
注釈:Twitter(X)でバズったポストの転載です。 死滅回游の文字を間違えていたので直しました先日、アニメ第3期の配信が終わった呪術廻戦を見返していて、ふと思ったことがあります。 Claude Codeを使えば、コードが書けなくてもアプリが作れる。Codexに指示を出せば、素人でもそれなりのプロダクトが動く。この「誰でもモノが作れるようになった」状況—— これ、死滅回游やないか、、と 冗談じゃなく、構造的にかなり一致しているので、今日はその話をします。見ている方でこの業界にいる人は気付いていた人もいるかもしれませんが、呪術廻戦を見ていて死滅回游が訳わからなくて離脱した人も多いかなと思うので、伝わるように書いてみますね。 まず「死滅回游」とは何だったのか呪術廻戦という漫画に、死滅回游(デスゲーム)というエピソードがあります。 ざっくり言うと、千年以上生きてるヤバいやつ(羂索)が、日本中の一般人の脳を強制的に作り変えて「術式」——固有の超能力——に覚醒させ、サバイバルゲームに放り込むという話です。 ポイントは「呪力」ではなく「術式」だということ。呪力自体は誰でも微量に持っています。でも術式は違う。特定の能力を発動できる、いわば「固有スキル」です。羂索は真人の「無為転変」という能力を使って非術師の脳の構造そのものを術師の形に整えることで、この術式を強制的に目覚めさせました。 昨日までコンビニでバイトしてた人が、ある朝起きたら固有の超能力が使えるようになっている。でもルールも戦い方もわからないまま、歴戦の術師たちと同じフィールドに立たされる。 かなり理不尽な話なんですが、2026年の今、これとほぼ同じことが起きていませんか。 似ているポイント①:一般人への術式の強制付与死滅回游の発端は、羂索が一般人の脳を書き換え、術式に覚醒させたことです。当人が望んだかどうかは関係ない。ある日突然、特定の能力が使える状態になる。しかもその術式が何なのか、どう発動するのか、本人には説明がない。 AIコーディングエージェントも同じ構造です。Claude CodeやCodexが登場したことで、プログラミングの経験がなくても「プロダクトを作る力」が突然手に入りました。この力はかつてエンジニアだけが持っていたものです。 しかも羂索がやったのと同じで、与えられた側に選択権はありません。あなたが使わなくても、隣の人が使う。競合が使う。市場全体が「全員が術式を持っている」前提で動き始める。実質的な強制覚醒です。 似ているポイント②:覚醒しただけでは勝てない死滅回游の本当に残酷なところは、「術式を与えたこと」じゃありません。覚醒しただけでは全然勝てないことです。 術式を得ても、その発動条件がわからない。射程距離もわからない。そもそも自分の術式が何なのかすらわからない。一方で、羂索と契約して千年前から蘇った歴戦の術師たちが同じゲームにいる。覚醒したての素人と、何百年もの戦闘経験を持つ術師では、同じ「術式持ち」でも天と地ほどの差があります。 AI時代も完全にこれです。 Claude Codeで「動くもの」は確かに作れます。でも、ユーザー体験の設計、アーキテクチャの判断、そもそも何を作るべきかという問い——これらは、ツールが代わりにやってくれるわけじゃない。「動くプロトタイプ」と「人が使いたいプロダクト」の間には、死滅回游の結界くらい分厚い壁があります。 つまり、術式に覚醒することと、術式で戦えることは、まったくの別問題です。ここが一番似ているポイントだと思います。 似ているポイント③:ゲームマスターは個人の勝ち負けに興味がない羂索が死滅回游を仕掛けた目的は、プレイヤーの勝ち負けを楽しむことじゃありませんでした。彼の真の目的は、天元と人類を同化させ、人類全体を「進化」させることでした。死滅回游は、そのための壮大な慣らし運転です。泳者たちの殺し合いで呪力を練り上げ、結界を活性化し、同化の条件を整える。個々の参加者の生き死にはプロセスにすぎない。 これ、AIプラットフォーマーの構図とそっくりじゃないですか。 AnthropicもOpenAIも、僕たちが個々に何を作るかなんて正直どうでもいいはずです。彼らが本当に見ているのは、人間がAIをどう使って、どう適応して、どこで躓くかという全体の挙動。僕たちがClaude Codeで四苦八苦している一つひとつが、AIの進化を加速させるためのデータポイントになっている。 「いや、ツールを提供してくれてるんだからいいじゃないか」と思うかもしれません。もちろんそうです。羂索だって、術式自体はちゃんと与えてくれました。ただ、配る側と使う側では、見えている景色がまるで違うということは、自覚しておいたほうがいい。 似ているポイント④:ルールが途中で変わる死滅回游では、プレイヤーが100点を消費してゲームのルールを追加できるという仕組みがありました。実際に日車は「泳者はプレイヤー間でポイントの受け渡しができる」というルールを追加し、ゲームの構造自体を変えています。ゲームの最中にゲームのルール自体が書き変わる。 AI時代はこれがもっと極端です。 新しいモデルが毎月出る。API仕様が変わる。昨日まで使えた手法が今日は使えない。先月のベストプラクティスが今月の時代遅れになる。羂索が毎週ルールを書き換えてくるような状態が、すでに日常になっています。 じゃあ、何が違うのかここまで「似ている」話ばかりしてきましたが、実は違う部分にこそ希望があります。 最大の違いは、死滅回游はゼロサムだけど、AI時代はそうじゃないということです。 死滅回游では、得点するには他のプレイヤーを倒すしかない。誰かの勝利は誰かの死を意味する。でもAI時代は、全員が術式を手にしたことで、市場自体が膨張しています。 今まで「開発コストが見合わない」と放置されていた小さな課題。ニッチすぎて誰もプロダクトにしなかった不便。それらが突然、個人でも解けるようになった。戦場が増えているんです。だから「既存の強者に狩られる」のではなく、誰も手をつけていない戦場を見つけた者が勝つ。 これは大きな違いです。死滅回游は「強さ」のゲームですが、AI時代は「目の付けどころ」のゲームです。 もう一つの違い:死ぬわけじゃない(たぶん)死滅回游では、19日以内に得点しないと術式を剥奪される——つまり死にます。当たり前ですが、Claude Codeでしょぼいアプリを作っても死にはしません。 これは冗談で言っているんじゃなくて、失敗コストが限りなくゼロに近いというのは、構造的にものすごく重要な違いです。死滅回游の世界では慎重さが美徳ですが、AI時代では打席に立つ回数がすべてです。 100個作って1個当たればいい。しかも作るコストはほぼゼロ。死滅回游のプレイヤーが聞いたら泣いて羨ましがる環境です。 この「死滅回游」を、どう生き残るかさて、ここからが本題です。全員に術式が渡されたこの世界で、どうすれば生き残れるのか。呪術廻戦の登場人物たちの振る舞いから、わりと真面目にヒントが引き出せます。 自分の術式を理解する死滅回游で最初にやるべきことは、自分の術式の発動条件と性質を把握することでした。日車寛見は「裁判」という自分の術式の仕組みを素早く理解し、それを最大限に活かして100点を超える得点を叩き出しました。高羽史彦に至っては、自分の術式が「面白いと信じたことを現実にする」という破格のものだと途中まで気づいてすらいなかった。 AI時代でもまったく同じです。 「AIで何でも作れる」は嘘です。正確には「AIで何でも"動くもの"は作れるが、価値があるものを作るには、自分だけの文脈が要る」。あなたの業界知識、日々感じている不満、特殊なドメイン経験——それが「術式」です。AIはそれを実装に変換する道具にすぎません。 まず「自分の術式は何か」を知ること。これが最初の一歩です。 戦う場所を選ぶ先ほど書いた通り、これはゼロサムゲームじゃありません。GAFAがいるレッドオーシャンで正面からぶつかる必要はない。死滅回游で言えば、強い泳者が密集している結界を避けて、手薄なコロニーで確実に得点する戦略のほうが賢い。 あなたの業界、あなたの現場、あなたの半径5メートルにある課題。そこが、巨人たちが手を出さない「空いているコロニー」です。 「適応体質」を鍛えるルールが毎週変わる世界では、特定のツールに詳しいこと自体は価値になりません。今日のClaude Codeの使い方を極めても、3ヶ月後にはすべてが変わっている可能性がある。 死滅回游で生き残ったキャラクターに共通していたのは、特定の術式が強いことじゃなく、状況が変わっても対応できる地力を持っていたことです。AI時代の「地力」とは、課題を発見する力、それを言語化する力、変化を面白がれるメンタリティ。ツールの習熟度じゃありません。 実験の駒にならない最後に、一番大事なこと。 呪術廻戦で乙骨や日車が偉かったのは、死滅回游に参加しながらも、羂索の実験の駒にはならなかったことです。ゲームの構造を理解した上で、自分の目的のためにゲームを利用した。日車はルール追加で仲間の脱出経路を作り、乙骨は得点を味方に譲渡して全体の戦略を組み立てた。羂索が想定した「殺し合いで呪力を練り上げる」という筋書きに、彼らは乗らなかった。 AI時代も同じだと思います。プラットフォーマーが配ってくれた道具は使う。彼らが作ったエコシステムの中で動く。でも、「何を作り、何を目指すか」だけは、自分で決める。 全員に術式が渡された世界で、それでも「自分のゲーム」をプレイできるかどうか。それが、この時代の死滅回游を生き残る唯一の方法だと思います。 ----- 呪術廻戦は完結しました。でもこっちの死滅回游は、まだ総則すら出揃っていません。ゲームは続いています。自分の術式は何なのか。皆さんは気づいていますか? このAI時代の死滅回游で、五条先生のように一度は言ってみたいですね。 「大丈夫、僕、最強だから」 種明かし 昨日書いたこの記事ですが、非常に多くの人に読まれていますが、種明かしをすると、最初と最後のオチ以外はClaudeで書いてます。 もちろん、ある程度指示は出していますが、95%はAIが書いた文章です。もう分からないですね。 本当はこの画像オチにしたかったんですけどね笑 https://t.co/ck7Jf8vdNc pic.twitter.com/uQE1mxM126 — 土屋尚史 / Goodpatch (@tsuchinao83) April 6, 2026

佐久間さんHP作らせてください企画の裏側
またしてもこの季節が来てしまいました。 毎年、12月24日に徹夜でブログを書くというのが恒例行事となっておりまして、今年で8年目でございます。いや流石にしんどい。 今年も直前まで書くネタに迷いましたが、先週グッドパッチのPRで大きな反響があった「佐久間さんHP作らせてください」企画の裏側について、せっかくなので書いておこうと思います。 佐久間さんHP作らせてください企画とは皆さんご存知かもしれませんが、5年前にテレビ東京から独立してフリーとなりYouTube番組「ノブロックTV」やNetflixで大ヒット企画連発の時代の寵児佐久間宣行プロデューサー。その佐久間さんのHPをテレ東さんからの依頼でグッドパッチが作るという企画です。 企画ストーリーはぜひリリースに詳しく書いてあるので見てください。 グッドパッチが佐久間宣行オフィシャルHPをデザイン! ラランド・ニシダをデザイナーに迎え「佐久間宣行の連絡先不明問題」を解決!?|News|Goodpatch グッドパッチ株式会社グッドパッチ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:土屋尚史、証券コード:7351、以下「グッドパッチ」)は、株式会goodpatch.com まだ見てない方はまず動画を見てもらった方が早いかもです。 佐久間さんHP企画の反響正直、過去グッドパッチで行ったPR施策の中で一番のケタ違いの反響となりました。こちらの佐久間さんのツイートを見ていただけると分かるのですが テレビ東京を辞めて5年目。 なぜかテレビ東京(とグッドパッチ)が、佐久間宣行事務所のHPを作ってくれました。 マジで凄いです。なんだこれ。https://t.co/sRtnQYnhRn — 佐久間宣行 (@nobrock) December 18, 2025 まず、このツイートだけでも、 インプレッション1500万越え、いいね 2.7万 リポスト約3000、コメント 120件以上 ◯ YouTubeの動画は30万再生越え、コメント400件近く ◯佐久間さんHPは公開後2日で約50万PV ◯グッドパッチデザイナー栃尾のフォロワー 700以上増加 僕のツイートもかなりバズり、今までグッドパッチができなかった広い層にまで、今回の企画が届いたと思っています。 そして、驚いたのはSNSのツイートもYouTubeのコメントもほぼポジティブなコメントばかりで、もう少しマイナス意見もあるかなと思っていましたが、ネガティブ意見を見つけるのが難しいくらいの絶賛コメントばかりでした。 そして、一番想定外だったのが、佐久間さんHP企画以降1週間、グッドパッチの株価が上がった事です。笑 佐久間さんの影響力すごい。。w 佐久間さんHP企画の背景実は、この佐久間さん企画動き出しは今年の5月まで遡ります。昨期、グッドパッチは業績が良く通期の予算の上振れが見えている状態でした。 そこで僕からPRチームに動画関連の企画をやりたいと伝えて、そこから完全にたまたまですが弊社のPRチーム井上の身内がテレ東で働いている関係で、テレ東コミュニケーションズの町田さんとのMTGがセットされ、そこで町田さんが佐久間さんの後輩だという所に僕が食いつき、その後の提案で町田さんから提案されたいくつかの企画の一つが「佐久間さんHP作りませんか?」の企画でした。 町田さん企画書町田さんは過去にギャラクシー賞も取ったことのある優秀なディレクターですが、そのギャラクシー賞も実は「盛ラジオ」という企画で佐久間さんを出役としてMCで起用して賞を取っており、佐久間さんを使った企画では定評のある男です。 この時のグッドパッチ側(僕)の思いとしては、短期的な刈り取りマーケティング施策ではなく、6年前にやった左ききのエレンとのコラボのように、マーケットにある程度驚きを与えれるようなPR施策をやりたかったのと、20代の時からゴッドタンを見続け、ノブロックTVも初期から見ていて佐久間さんが大好きだったという理由で、この企画をGOしました。 デザイン会社グッドパッチが人気漫画「左ききのエレン」に登場。 UI/UXデザインの重要性と企業姿勢を伝えるオリジナルストーリー|News|Goodpatch グッドパッチ株式会社グッドパッチ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:土屋 尚史、以下グッドパッチ)が、人気漫画「左ききのエレン」(原goodpatch.com ただ、やはりこの企画の一番の懸念は、佐久間さんのために作ったホームページがデザインのクオリティによっては逆に炎上する可能性もあるということでした。 あと、その時点で佐久間さんにも会えてないので、どれくらい本気なのか、本当にこの企画を理解しているのかがお会いするまで分からなかった事です。 最終の企画書ここでラランド ニシダをキャスティングちなみにこのラランド ニシダさんのキャスティングは僕がお願いしました。ノブロックTVを見ている人ならおなじみのニシダですが、今回はグッドパッチ側のUXデザイナーとしてニシダをキャスティングするというのは僕のこだわりでした。 グッドパッチのデザイナーとしてなぜかニシダがいるという面白さもありますが、これの裏の意図は仮にホームページのデザインの出来が微妙だった場合にニシダがディレクションしたからという言い訳をしやすいようにというリスクヘッジもありました。笑 いざ撮影企画自体はOKを出してくれた佐久間さんも、当然忙しいのでそこから1回目の撮影が実際にできたのは8月末の事でした。 撮影は楽しく進み、動画を見てもらうと良いのですが、やはり佐久間さんとニシダさんのトーク力は当たり前ですが圧倒的でした。ほぼ事前に綿密な打ち合わせをせずに一発本番で撮ってます。 さすがの名コンビ唯一、ニシダさんの格好がスティーブ・ジョブズを意識したものですが、それへのツッコミを忘れて、ニシダさんフォルムではスティーブ・ジョブズだとほぼ分からない事くらいですかね。笑 グッドパッチUXデザイナーニシダへのカンペそして、このタイミングデザイナーとしてアサインされたのが、今回メインで大活躍する栃尾でした。ちなみにこの撮影の時点でほぼ企画自体もちゃんと理解しておらず、完全に僕の無茶振りアサインでした。笑 そしてHPのデザインへそして撮影後の9月以降、栃尾の地獄が始まります。 なんせ、1回しかクライアントにヒアリングせずにWebサイトを作るなんて、我々の普段の仕事ではあり得ないことです。 好みのデザインや、構成を決めるための優先順位など情報量が不足していて、あの撮影での時間だけでは普通ではとてもじゃないけど作れません。ここらへんのデザインの試行錯誤はまたどこかで栃尾が話すと思うので、詳細は割愛しますが、正直かなり大変でした。 初期のワイヤーフレームネタの没案最初に出したデザイン案はテレ東さんにやんわり「これでは佐久間さんは納得しない」と却下され、じゃあどういうデザインだったら良いのかクライアントに直接聞くこともできず、栃尾はデザインを進めるしかありませんでした。 正直、僕もかなり心配でした。なにせ佐久間さんの好みが分からない。テレ東の町田さんしか佐久間さんとコミュニケーション取れないので全て又聞きだし、良いデザインが作れる状況ではなかったかなと思います。 この時にデザインを却下していた町田さんは後に「佐久間さんを自分に憑依させていた」というイタコみたいな迷言を残しています。 当然、UXデザイナーであるはずのニシダもデザインに一切関わっていません。笑 何もしてないけど、かっこいいの作りたいニシダしかし、その状況で圧倒的に期待を越えてきたのが栃尾でした。 僕も11月にある程度完成してきたHPのデザインを見て、「あ、これはバズるかも」と思ったくらい良いデザインでした。 中身のコンテンツ面もクライアントである佐久間さんにヒアリングできない中、解像度を高めるためグッドパッチの社内にいる佐久間さんのオールナイトニッポンのヘビーリスナーである梅下に協力を仰ぎ、マニアしかわからない佐久間ネタをHPに盛り込み、情報がない中でも、メンバーの佐久間さんへの愛とコミットで想像の余白を埋めて行きました。 佐久間さんラジオのヘビーリスナーだけが伝わる名言集そして、12月頭に2回目の撮影をし、佐久間さんの反応は動画の通りという感じですが、この時点で今回の佐久間さん企画のバズリはある程度予想できるくらいのHPのデザインの出来と、佐久間さんの反応でした。 驚き過ぎて身を乗り出す佐久間さんそうして出来上がったサイトがこちら 佐久間宣行事務所オフィシャルサイト22年間テレビ東京で数々の番組を手がけ、現在はフリーとして活動する佐久間宣行。 本サイトでは、これまでに手がけてきた仕事やnob-sakuma.com 今回の佐久間さんHP企画の成功要因今回の佐久間さんHP作ってください企画は、グッドパッチのPR企画史上最も成功した企画になったと思いますが要因は ・佐久間さんという今時代のノリに乗っている男(時代と寝た男)のHP ・テレ東の後輩が困っているという課題を解決するという企画趣旨 ・動画を使って過程ストーリーも見せるというプロセスエコノミー的な部分 そして、一番の変数は 栃尾が作ったWebサイトのデザインとチューニングされた実装が世の中の期待値を越えたものだった これが最も大きな成功要因でしたね。 もうデザインがダメだったらこの企画は成立しなかったし、仮に動画を撮っていても無風もしくは、グッドパッチのデザイン、ダメだねで炎上という結果だったでしょう。佐久間さんのような有名人はコアファンが多いので、彼らの期待値を越えないと大炎上するリスクが非常に高かった案件と言えます。 そこの変数が大きすぎて、かなりリスクのある企画でしたが、栃尾を信じて任せて本当に良かったという結果になりました。 むしろ、そういうリスクを取ったからこそ、大きな反響があったとも言えるかもです。 栃尾だけじゃなく、リリースまでデザイン実装を頑張ってくれた多くのメンバーの努力が今回の大きな結果を生み出しています。今回の想定外の反響で多かったのは「Studioでこれが実装できるの?」「重そうなデザインなのに軽い」という反応でした。ここはリリースのギリギリまでチューニングしていました。一定、古い機種は切り捨てる必要はありましたが、できる限りのチューニングはしているはずです。 あとは、やはり今回の佐久間さん企画のキッカケを作り出し、諸々制作進行や調整をやってくれたグッドパッチPR井上と何より佐久間さんとの信頼関係があったテレ東町田さんがいたからこそ実現した企画でした。テレ東の原口さんも結婚式で忙しい中、色んな調整ありがとうございました。 やはりサイトの出来もそうですが、動画も見て感動して泣いてしまった人もいるくらいだったので、素晴らしい編集でしたね。テレビクオリティの凄さを感じました。俺のベビースターラーメンを流すあたりで僕も感動してしまいました。 こんな分析をしている人もいます。 すごいPR施策だ ・企画の意図を100%体現 ・企画の意図=グッドパッチのブランドとしての在り方やビジョンやAI Drivenな成長戦略の体現 ・等身大でヤラセ感のないプロセス ・120%の本気度で産み出したアウトプット ・ゆえに、佐久間さん自身も自ら発信したくなるような満足度… https://t.co/HztDUmQHrF pic.twitter.com/jAsGleYFeN — NS (@ns0217759196701) December 20, 2025 あとは佐久間さん自身が「デザイン凄い!」と本気で驚いてくれて しかも、ツイートを固定で貼ってくれるくらい気に入ってくれたのも大きいですね。 ちなみに中には当然ごちゃごちゃして使いづらいという声もありましたが、それも想定内で今回佐久間さんの事を理解してもらうサイトであり、コンバージョンを高めるためのサイトではないんですよね。サイトのデザインはどういう目的かが重要です。 アクセシビリティに関しても、全て対応は難しいのですが、できる限りの対応を絶賛取り組んでいます。 それにしても、ここまでの反響を呼んだ個人のホームページは過去なかったんじゃないでしょうか。阿部寛さんのHPとともに語り継がれるHPになりそうです。 佐久間さんの若かりし頃の隠しコンテンツもあります。笑 そんなんあるの俺知らないですよ(笑) なんで俺が知らないのよ https://t.co/CBPbO4SNU7 — 佐久間宣行 (@nobrock) December 18, 2025 ハートを揺さぶるデザインを体現したデザイン今回の佐久間さん企画は、グッドパッチに所属するメンバーもかなり勇気づけられた反響になりました。 今回、多くのSNSの反応で 「さすがグッドパッチ」とか「デザインの力を証明している」とか「Webデザインの価値を再定義してくれたような作品」とか「ワクワクする」 とか、ポジティブな意見を聞いて勇気をもらったのは我々グッドパッチのメンバーだと思います。 売上目標がとか、株価がとか色々あるんですが グッドパッチという会社が誇りを取り戻すのは こういう人々のハートを揺さぶるようなデザインやプロダクトを出して、社会の多くの人に良い影響を与えれたなと感じられる時なんですよね。 こうやってグッドパッチのメンバーが誇りを持てるようなデザインをしてくれた栃尾と手伝ってくれたメンバーに感謝と賛辞を送りたいです。 AI時代に評価されるデザインのヒント今回の企画で多くのコメントでついていたのは ・「これはAIではできないデザイン」 ・「これはAIには奪われない仕事」 という反応が沢山でているのも特徴的でした。 昨今、デザイナーの仕事がAIによって奪われるのではないかという話はいつもでますが、人は見た瞬間にこれはAIではできないという圧倒的な仕事を観た時に感動を覚えるんだというのが改めて理解できましたね。 佐久間さんHPの次の日にリリースしたグッドパッチの採用サイトは、逆にトップページからAIを使って人物を動かすという見せ方を取り入れ、これはこれで面白いと評判の声をいただいています。 https://careers.goodpatch.com/ 昨日公開したグッドパッチの採用サイト 各方面からハリーポッターみたいと声が上がってますが、静止画をAIで動かしてます。このタイミングでの公開なのでどんな風に遊び心を持ってAIをサイトに組み込むかを議論した結果この形に落ち着きました。 ハリーポッターは全然意識してませんでした笑 https://t.co/gnKWVRypvS pic.twitter.com/fEWEUhleYY — 土屋尚史 / Goodpatch (@tsuchinao83) December 20, 2025 ハリー・ポッターみたいという声がかなり上がっていますが、このデザインのポイントは 「今まで見たことが全く無い新しいビジュアル表現ではなく、過去どこかで見たことがあるから理解ができる。 でも、採用サイトでは見たことがない。プラスして明らかにAIで動かしているのが分かるという突っ込みポイントを残している」 という点です。 これは、このタイミングでうちがやらなければ、時間の問題で他でやられていた表現だと思います。多分、この後他社の採用サイトでかなりパクられることになりそうだなと思っています。 なので、ここからのデザインのトレンドは - 絶対にAIではできないと思わせれるクオリティとコンテンツの深堀り(オタクさ) - むしろAIを部分的に取り入れて、半歩先の見せ方をマーケットに提案する のどちらかになると思います。 中途半端なものはAIで淘汰されるか、全部AIで出したなと丸わかりで共感されずエンゲージメントが下がるという状況になりそうです。 AIと共存しながら、マーケットに新たな切り口の見せ方を提案していきたいですね。 グッドパッチのデザイナー栃尾が書いたブログもぜひ読んでください。 AIでデザインをつくれる時代に、私がデザインを手放さない理由|Goodpatch Blog グッドパッチブログAIの目覚ましい進化の裏でささやかれる「デザイナー不要論」。この記事では、グッドパッチで働くクリエイティブディレクターといgoodpatch.com 総括今回、佐久間さんHP作らせてください企画はまさかのグッドパッチがお金を払って、しかもエースデザイナーと色んなメンバーを巻き込み実質的な投資はまあまあ掛かった企画になってしまいましたが、それによって得られた認知と、一番大きいのはグッドパッチのメンバーの誇りに繋がった事ですね。 実は佐久間さんのサイトと採用サイトのリリースが続いたので、これは戦略的PRと言われましたが、全くそんな事なく偶然が重なった結果でした。笑 両方とも半年前から進めていて、たまたまリリース日が前後になったというラッキーでした。 最後に、一番の懸念を言っておくと、実は契約上はスポンサー案件なのでこの佐久間さんのHPは半年でクローズする可能性があります。我々としてはなんとかHPだけは継続して欲しいと切に願っています。(佐久間さんお願いします!) HPがなくなるとテレ東の佐久間さんの後輩の皆さんのストレスがまた増えてしまいます。笑 改めて、YouTubeの動画とHPを見ていただければと思います! また、こういう面白い企画を年に1回はやっていきたいな〜 佐久間宣行事務所オフィシャルサイト22年間テレビ東京で数々の番組を手がけ、現在はフリーとして活動する佐久間宣行。 本サイトでは、これまでに手がけてきた仕事やnob-sakuma.com 撮影終了後にパシャリグッドパッチは仲間を随時募集してます! 新しい採用サイトも見てね! Goodpatch グッドパッチ採用サイトグッドパッチの力の源は、なんといっても「人」。多種多様なスペシャリストが共に働いています。あなたが働く選択肢の一つにグッドcareers.goodpatch.com Goodpatch Advent Calendar 2025🎄🎁 📅Adventar https://adventar.org/calendars/11705 📅Qiita https://qiita.com/advent-calendar/2025/goodpatch adventar.org
Advent Calendar 2024
グッドパッチ恒例、12月のアドベントカレンダーでメンバーが執筆したnoteをまとめました。 テーマは真面目なものから柔らかいものまで、デザインやエンジニアリングに関するものなら何でも。メンバーの興味関心や普段考えていることが垣間見えるかも。

モネの《睡蓮》から学んだ4つの考え方
こちらのnoteは「Goodpatch Design Advent Calendar 2024」の1日目の記事として書きました。他の投稿もぜひご覧ください! デザインのこれまでと現在「デザイン」と聞いた時、あなたは何を連想しますか? 19世紀、産業革命の時代に誕生したと言われるこの言葉は、社会や経済の変化に伴ってその意味や対象を広げ続けています。 そして現在のビジネスシーンにおいては、例えばグラフィックデザイナー、空間デザイナー、UIデザイナー、UXデザイナー、Webデザイナー、コミュニケーションデザイナー…というように、数多くの「デザイナー」が活躍しています。 引用:「Designship 2024」私の在籍しているグッドパッチという会社では「デザインの力を証明する」というミッションを掲げ、2011年の創業以来、デザインやデザイナーの役割を広げ、その価値を高める活動を行ってきました。 現在約260名のメンバーが所属していますが、必ずしもデザイナーとしてのバッググラウンドがあるメンバーだけではなく、これまでコンサルタントや企画職など他職種として働いていたメンバーなどが「デザイナー」として活動しています。 作り手へのリスペクトそんなデザイン会社の中で、私自身はPRとHRの仕事を担当しています。直接的なデザイナーとして活動しているわけではありません。 ではなぜ、デザイナーではないのにデザイン会社で働いているのか。 それはやはりデザイン、もう少し広義で言うと美術が好きで、その作り手に対して尊敬の念のようなものがあるからだと思います。 もともと私は大学時代には「美術史」を専攻し、19世紀フランスの印象派絵画を中心に学んでいました。そのため美術や芸術に触れることは学生時代から機会としても多かったのですが、一方で自分自身で表現することや何かを作ることには苦手意識があり、大学卒業後に新卒で入社した会社はいわゆる一般企業の総合職でした。 美術史とは もともと、作品や時代のスタイルを分析する「様式論」と、テーマやその意味・内容を考察する「図像学( イコノグラフィー)」の2本柱で研究が進められてきました。しかし近年では、歴史学はもとより宗教学や文化人類学、社会学や考古学などの周辺諸学の学術的な成果を積極的に導入しつつ、新たな広がりと深まりを見せようとしています。また広告やデザイン、写真やアニメは当然のこと、漫画や落書きまでも美術史の射程に収めており、授業では伝統的なディシプリンを修得する一方で、先端的な題材や現代美術の趨勢にも目を向け、つねに「生きる学問」としての美術史を目標に掲げています。 https://www.waseda.jp/flas/hss/about/course/art_history/そこから巡りめぐってデザイン会社であるグッドパッチで働いています。美術史を学んでいたことが、私をこの会社に巡り合わせてくれたのだと思います。 ※定義によってはデザインと美術は別物とされてしまうかもしれませんが、私個人としては「作るという行為そのもの」や「作り手の存在」を重視しているため、その点は特に気になっていません。 美術史から学んだ考え方引用:クロード・モネ《睡蓮》1916年(国立西洋美術館所蔵)そして、美術史で学んだ知識や考え方は、社会人になった今、大切なビジネススタンス・ビジネススキルとなっていると感じます。 他の学問と比べて美術史は実務とは縁が無いと思っていたのですが、振り返ってみると実はこれまでの社会人生活を支えてくれていました。 言葉にすると恥ずかしさもあるのですが、せっかくの機会ですので、美術史を学んでいたからこそ個人的に大切にしている4つの考え方を抜粋して紹介します。 1:感覚と論理を掛け合わせる 美術史の最も面白いところは、美術作品や作家を軸とし、美という非常に個別的で感覚的なものを対象として、学問としての普遍性が成り立っているところだと思います。 一見すると矛盾しているようですが、それが成立しているところがとても面白いと感じます。 感覚と論理のどちらかだけではなく、そのどちらも重視することが大切。 2:よく観察する 美術史で絵画を観るときには次のような順序で分析をしていきます。 ・まず事実として何がどのように描かれているのか ・そして作者の人生や歴史的な背景を踏まえるとそこからどのような考察ができるのか 主題や筆致、画材、配色などに至るまで、まずは対象をしっかり観察することが美術史の基本的な研究アプローチ方法です。 さらに、そこに作家のパーソナリティ(どんな人生を歩んできたのか、何を信条としていたのかなど)を掛け合わせて考察をしていきます。 たとえ同じモチーフを描いていたとしても、人によってそれを選んだ理由は異なり、それぞれに込められた意味合いも変わってきます。 まずは対象をしっかり観察して事実を把握すること。そしてそこで得た情報と人を切り離さずに考えることが大切。 3:潮流を読む 印象派が誕生した背景には次のような出来事があったと言われています。 ・当時は「写実主義」が主流で、現実をそのまま見たままに描いていた ・ダゲレオタイプ、カロタイプと呼ばれる写真技術が誕生した ・写実に残すという点では、写真に絵画が代替される恐れがあった =芸術家として失職する恐れがあった このような時代背景において「今まで通りの画風では写真に自分たちの立場が代わってしまうかも。これまでと違う芸術のあり方を模索しなくては…」という葛藤のなかで生まれたのが、印象派と呼ばれる(その瞬間を見たままに描きとめる)新しい画風でした。 (釈迦に説法ですが)世の中は常に変化するので、潮流に合わせて自分自身も変化することが大切。 4.人にポジティブに向き合う モネの《睡蓮》の連作であれ、ミケランジェロの彫刻であれ、何よりも素晴らしいと思うのがその作品が現在も残り続けているということです。 数百年〜数千年にわたって作品を保護し残し続けるという人間の意志と営みが紡がれてきたからこそ、私たちが今日作品を鑑賞することができています。 そして、美術を介して「綺麗だな」と心から思うことは、その人にとってポジティブな影響があり、私たちが美術作品を鑑賞する大きな理由の一つではないかと思います。 先人たちのように何千年も残るような偉大な作品を作ることは難しいと思いますが、人にポジティブな影響を与えるというのが、美術の本質の一つだと思っており、自分のできる範囲でこのことは実践していきたいと思います。 例えばコミュニケーションひとつでも、人にポジティブな印象が残るような仕事をしたい。 最後にここまでご覧くださりありがとうございました! グッドパッチでは現在、さまざまな職種を募集しておりますので、ご興味がある方はキャリアサイトをぜひご覧ください。 Careers|Goodpatch グッドパッチGoodpatchの採用情報ページです。募集要項のほか、メンバーのインタビュー、働きやすさを支える制度などをご覧いただけまgoodpatch.com 他の記事もお楽しみに!それではありがとうございました。 adventar.org

事業が解像度高くユーザー体験を捉えることの意義
この記事は Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2024 1日目の記事です。 この記事はデザイナーに限った話題ではなく、UXに関わる様々な方に向けて提供する話題です。 ユーザーを解像度高く理解することは施策の成功率を上げることにつながるユーザーのことを知る前の施策よりユーザーのことを知ってから打ち出す施策の方が高いヒット率を生み出します。これはUX文脈でもマーケティング文脈でも同じです。 ユーザーを解像度高く理解し適切な施策を提案するために「理解 > 企画 > 実装 > 検証」のサイクルを回し、施策の成功率を上げるのが2024年現在のユーザー体験に関わる人の役割です。デザイナーだけがUXに関わる時代は終わっています。 UXを大事にしているがゆえにサービスやプロダクト界隈ではUXに関わる人たちが増え、カタログスペックだけではなくUXも大事にされるようになりました。「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」はデジタルプロダクトの正義として当然のものとして扱われています。 しかし、ユーザーを中心に据えて「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」を追いかけても、よいサービスやプロダクトから遠ざかってしまうことがあります。 例えば「シンプル」。 「わかりやすい」の実現に「シンプル」は有効な手段です。シンプルにすることはメッセージや導線のフォーカスポイントが明確になったり、ユーザーの認知負荷が下がって余裕を持ってサービスを利用できるようになったりと多くのメリットがあります。 ただし、シンプルさを追いかけすぎることがデメリットを生むことがあります。 「シンプルにするために一度に見せる情報を減らそう」 →ユーザーは複数の情報を見ながら作業したかった 「シンプルにするためにユースケースに合わせて1つの画面でできることを1つにしよう」 →ユーザーは自分の手順で作業したかった 「シンプルにするためにアイコンのラベルは省こう」 →何を示すアイコンなのか理解されなかった シンプルにするのは良いことですが、ユーザーの文脈や知識に寄り添わずシンプルを目指してしまうと、例のように「わかりやすい」「使いやすい」を実現できない場合があります。ユーザー体験への意識が高いにもかかわらずユーザー体験の解像度が低かったり知識が少ないと、ユーザーにとって適切なシンプルさを設計できません。 「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」とスケジュールや予算などのプロダクトマネジメントもしくはビジネスゴールが対立する現場もあります。理想 vs ヒト・モノ・カネ。デザインにかかわらずビジネスの現場でよく見る光景です。 理想の体験をユーザーに提供するために、機能・デザイン・パフォマーンスいずれにもこだわりたくなります。しかしヒト・モノ・カネは有限です。 プロダクトやサービスは社会実装して初めて価値がユーザーに届きます。ヒト・モノ・カネをどう活用し、ユーザーへ価値を最大限に提供する方法を考えることが重要です。 みなさまも以下のような判断が必要な現場に出会ったことがあるかと思います。 ■より優先的すべき課題がある 便利な機能を実装する → ユーザーが出会う頻度の高いバグを修正する ■ より磨き込むべき体験がある カスタマイズ性を高める → 動作速度を向上させる ■簡素でも事が足りる 可読性の高いヘルプページ →Notionを使ったヘルプページ 上の例は正解というわけではなく、あくまで判断の一例として捉えてください。「シンプル」と同じように、何に注力するか判断するためにはユーザー体験を解像度高く捉える必要があります。 何に注力するかの判断こそプロダクトマネージャーの腕の見せ所ではありますが、判断そのものではなく、ユーザーに関する情報をいかに集め、チームがユーザーを解像度高く捉えられる環境を作ることもプロダクトマネージャーの仕事かなと思います。 ユーザーを解像度高く捉えられると「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」が絶対的正義ではなくなります。 「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」というワードの厄介なところは、それぞれのワードが一定の正義性を持つので否定しにくい点です。「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」という解像度の荒い視点は、具体的な議論や改善点の特定を困難にします。適切な議論をするためにも、解像度高くユーザー体験を捉えることは重要です。 ユーザーの体験を作る仕事をしている人が目指す方向性である「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」。ユーザー体験を分解し、より解像度高く捉え、目指す方向性をより磨き込むことで施策のヒット率が上がっていくはずです。 瞬間と時間軸ユーザー体験は瞬間ではなく期間、点ではなく線で考えるべきものです。UX白書の「ユーザーエクスペリエンスの期間」で線の全体像が示されています。 ■公開資料UX白書とは 2010年9月15~18日にドイツのDagstulで行われたUXセミナーの成果をまとめたものです。 様々な解site.hcdvalue.org カスタマージャーニーマップは、ユーザー体験を時系列で捉えるための成果物です。カスタマージャーニーマップではユーザーの文脈に合わせて感情の変化や学習ステップが時間軸で見える化されている必要があります。 しかし、変化の流れや学習ステップのような「利用文脈」と「積み重ね」が見えない、作業のステップと「大変だった→簡単だった」というような背景の見えない感情曲線で作られる、いわば点の体験しか見えないカスタマージャーニーマップを稀に見かけます。 学習のステップ、感情の揺れ幅、習熟度、利用状況など前後の体験を捉えなければ適切な施策を検討できません。 ユーザー体験を「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」などの抽象度が高く点の状態しか表現できない言葉でコミュニケーションすると、体験を点で捉える癖がついてしまい、結果として前後の体験をないがしろにしやすくなります。 ただし、ユーザー体験の時間軸を言葉だけで表現するのは難しいです。図や表を積極的に活用しましょう。 不鮮明な検証対象ユーザー体験に関わる方なら、プロダクトのわかりにくさについて議論したご経験があるかと思います。当然議論の目的はわかりやすくすることです。 ここまで述べてきたように「わかりやすい」「わかりにくい」という捉え方だけではユーザー体験の解像度が低く適切な施策を考えることができません。 ユーザー体験の解像度はUXリサーチにも影響します。解像度が低いと「わかりやすかったですか?」「使いやすかったですか?」と直接的にインタビューをしてしまい、ただ成否の答え合わせするUXリサーチになりがちです。 UXリサーチはインタビューイーへの問いかけを工夫しながら「どんな前提なのか」「なぜそう行動したのか」「何を目指しているのか」を掘り下げ顧客がどんな文脈を持っているか見つけることを目指します。そうすることでユーザー体験の解像度も上がっていきます。 リサーチから適切な学びを得るためには、そもそもとしてユーザーを解像度高く捉える目が必要です。 ユーザー体験を解像度高く捉えるにはユーザー体験を解像度高く捉えるには知識と応用力が必要です。 知識が無いと解像度は上がりません。知識があるからこそ解像度高く物事を捉えられます。実践訓練だけで解像度が上がりません。 学んだ知識の応用力も必要です。今回の記事では解像度を高め具体化することの大切さを話題にしてきました。応用力は逆に具体的な事象から共通点を見つけ、他の事象に適用する能力です。 応用力は知識と相互関係があります。知識を得て、活用し、その経験が頭の引き出しを増やすことにつながります。 ここまでユーザー体験を解像度高く捉える重要性を話題にしてきましたが、UXのエキスパートはユーザーのあるあるをたくさん知っています。業務システムなら、ファンマーケティングなら、ECサイトなら、などドメインによっての基本体験をユーザーの文脈を複数知っているのでユーザーのパターンがなんとなく読めるのです。これが応用力です。 もちろんUXのエキスパートはそのパターンがバイアスであることも理解しているので、パターンを活用しつつファクトを確認するためのリサーチ設計やプロトタイプ検証を計画することになります。 リサーチの目的は評価や答え合わせではなく、発見であるユーザー体験を解像度高く捉えるためのリサーチの目的は答え合わせではありません。 ユーザー体験を解像度高く捉えると施策のヒット率が上がります。そのためには施策を考える前にユーザー体験を解像度高く捉える必要があります。 施策の答え合わせや評価として実施し、その結果が良かったのか悪かったのかを検証するタイプのユーザーリサーチでは、施策の良し悪しはわかってもユーザー体験を解像度高く捉えるには情報が足りないかもしれません。 UXのリサーチャーが、ユーザーの文脈や心の動きを把握しながら施策の反応を遠回りに聞くのは、施策の良し悪しではなくユーザー体験を解像度高く捉えることを目的としているからです。 施策の良し悪しではなく、ユーザーそのもののことを知ることができれば、それはサービスやプロダクトにとって示唆となり、ナレッジとして重要な資産となるはずです。 情報資産としてのユーザー体験と価値生産システムここまで話題にしたとおり、施策のヒット率を高めるにはユーザー体験を解像度高く捉える必要があります。ユーザー体験を解像度高く捉えているサービスやプロダクトほど成長が期待できます。 ユーザー体験を解像度高く把握することは、企業の価値生産システムの一要素です。 ユーザーを解像度高く理解し適切な施策を提案するために「理解 > 企画 > 実装 > 検証」のサイクルを回し、施策の成功率を上げるのが2024年現在のユーザー体験に関わる人の役割であると最初にお話しました。このサイクルは企業の価値生産システムそのものです。人的資産と同様に、ユーザーの情報は企業にとって重要な資産となります。 ユーザーの情報が企業にとって重要な資産ならば、デザイナーやエンジニアのようにコードやデザインデータで実際に資産を生産するスタッフと同様に、ユーザー体験を解像度高く把握し事業に還元する人材もユーザー情報資産を積み上げる生産系のスタッフであると捉えることができます。 誰がやるかすぐ思いつくのはUXデザイナーです。 しかし、価値生産システムに必要な資源としてユーザー情報を捉え、ユーザーを解像度高く把握し事業に還元する仕組みを考えられるUXデザイナーはそう多くはありません (もちろんいます)。 今回長くなるので取り上げることはできなかったのですが、コールセンターやお問い合わせの情報、アクセスログなどユーザー体験に関する情報資産は多様にあります。そのため専門家同士の連携が必須です。 一定の権限があり、かつプロダクト全体に影響を与えられる存在が適任です。プロダクトマネージャーや事業の責任者とUXデザイナーを中心に、マーケター、プロダクトを開発するエンジニアやデザイナー、カスタマーサクセスのスタッフと共に推進することが求められるでしょう。 もしあなたがプロダクトマネジメントやビジネスを推進する立場であれば、チームでユーザー体験を解像度高く捉え、その結果や取り組みを蓄積し、誰しもが学べる仕組みづくりが必要となるでしょう。そうすることで、事業がユーザーへ価値を届けるための価値生産システムがより強固になるはずです。 一度に大規模な仕組みを作るのは難しいので、UXリサーチから、お問い合わせからなど、できそうなことから小さく始めることをおすすめします。 事業が解像度高くユーザー体験を捉えることの意義事業としてユーザー体験を解像度高く捉え、蓄積し、活用できる仕組みが施策のヒット率を上げることにつながります。こうやって積み上げたユーザー体験の情報が資産となり、人材と共に価値生産システムに必要な資源となるはずです。 事業が解像度高くユーザー体験を捉えることは、その事業の価値生産システムをより強固にできることだと私は考えています。 Hello, We are Goodpatch Anywhere🎄 宣伝です。 この記事を書いたのはGoodpatchというデザインファームの専門家組織「Anywhere」の中にいる人です!興味を持ってくれた方は以下のリンクからどうぞ!! https://goodpatch.com/services デザイン経営のイベントでパートナーやったりもしています Design Dimension 2024 KYOTODesign Dimension 2024 KYOTOは、デザイン経営をテーマにしたカンファレンス。ここでしか話されない「www.dxdimension.jp

デザイン会社のPRパーソンからみた、パブリックリレーションズがデザインを知るべき理由
この記事はGoodpatch Design Advent Calendar 2024 2日目の記事です。 はじめまして、グッドパッチ広報の髙野です。 約12年間のパブリックリレーションズ(PR)会社でのキャリアを経て、現在はデザインカンパニーのグッドパッチでPRを担当しています。 グッドパッチというデザイン会社のPRに転職してもうすぐ2ヶ月。デザインとPR、考え方や境遇がすごく似ていて面白い。本質的なWhyを大事にするデザインの考え方はPRも同様で、本来の役割がまだまだ正しく認識されていない状況も既視感しかない。やっていこう。 — 髙野 祐樹 | TAKANO Yuki (@takanoyuki) February 27, 2022 入社当時こんなことをポストしていましたが(ちょっと恥ずかしい)、PRとデザインの親和性の高さは今も感じています。 もう語り尽くされていますが、昨今のテクノロジーの急速な発達に大きな影響を受け、PRを取り巻く環境も大きく変化しています。従来型のPR手法に強みを持つPRパーソンやPR会社は、時代に合わせたスキルやマインドのアップデートを求められています。特に個人のPRパーソンと話していると、これからのキャリア形成に悩む方も少なくない印象です。 このnoteでは、PRに掛け合わせる選択肢の一つとして「デザイン」に触れてみたいと思います。主にPR担当者向けですが、デザインに携わる方にもPRを理解してもらうきっかけになればと思います。主観によるところが多分にありますので、気楽にご覧ください。 パブリックリレーションズってなに? デザインはその言葉の印象からまだまだグラフィックやプロダクトデザインのイメージで一面的に捉えられることがありますが、パブリックリレーションズである「PR」も同様に誤解されがちな言葉です。デザイン同様さまざまな意味を内包しているため、世界中で異なる定義が存在するほどです。最近では日本広報学会が以下のような定義を発表していますが、ここでPRとあるときは、おおきく以下を指すものと思ってください。 組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である。 日本広報学会, 2023変化するPRの環境と、個の時代に必要な視点 私の在籍するグッドパッチが創業・成長するきっかけのひとつがスマートフォンの登場と普及でした。 PRもこれをきっかけに大きく変化してきました。 かつてのPRは、主にメディアを通じた情報発信により、大きな世論を形成することに主眼を置いていました。しかし、スマートフォンの普及・発達にともなうデジタル化の進展とソーシャルメディア(SNS)の登場により、情報の流通経路は多様化。SNSやオウンドメディアを通じた直接的なコミュニケーションの重要性が相対的に高まりました。 「PR漬け社会」の到来で起きた情報流通の主役交代「1年の節目を #ハワイ で過ごしませんか?」「ただいまライブ実施中です TikTokではプッシュバック車からみえる景色もtoyokeizai.net このような環境変化の中で、現代のPRに求められているのは、従来型のマスメディアへの情報発信だけではありません。多様なステークホルダーと直接的な関係を構築し、双方向のコミュニケーションを実現することが重要になってきています。企業や組織は、メディアを介した一方向の情報発信だけでなく、顧客、従業員、取引先、地域社会など、さまざまなステークホルダーとの継続的な対話と関係構築を求められています。 PRの伝統的な強みは、社会的な視点からメッセージを構築し、幅広い層に向けてアプローチしていける点にあります。PR会社などに在籍しさまざまな企業の支援をするプランナーやコンサルタントは、クライアントの当事者ではない第三者的なポジションを取れるが故に社会のトレンドや価値観の変化を読み取りやすく、それを踏まえたコミュニケーション戦略を立案することに長けています。 一方で、個々のステークホルダーと信頼関係を構築する上では、それぞれが持つニーズや課題を把握すること、そして彼らにとっての良い体験がなにかを理解することが大切になってきます。ここに、デザインの視点が生きるポイントがあると思います。 顧客体験を起点に課題解決を行うデザインとPRの接点 PR担当者の多くは「デザイン」という言葉を聞いて、ウェブサイトや広告などのビジュアル制作を連想するのではないでしょうか。しかし、デザインの本質は見た目の美しさだけではありません。 ユーザー(個人)の体験を起点にし、それをサービスやプロダクトをはじめとしたユーザーとの接点に落とし込んで表現できるのがデザインの特徴であり強みです。デザイナーは、定量定性両面からリサーチしてユーザーの行動や感情を深く観察・理解していき、得られた洞察をもとに、問題解決のための創造的なアプローチを探っていきます。 PRがデザインの視点を取り入れることで、コミュニケーション施策の設計においてユーザー体験を重視した効果的なアプローチを実現できます。例えば、イベントの開催といった施策においても、参加者の体験を重視した設計を行うことで、より深い印象と共感を得ることができるでしょう。 今年グッドパッチもDIAMONDスポンサーとして参加したデザインカンファレンス『Designship』では、デザインがテーマのイベントということもあり、各社趣向を凝らしたブースを展開していました。コンセプト設計からデザイナーが中心となって設計されたブースは、来場者を楽しませながら自社に好意的な印象を抱かせる仕組みになっていると感じるものがいくつもありました。 デザインでもPR視点を取り入れることで、より利用してもらえるサービスが生み出せる(かもしれない) 逆に、デザイナーが行うサービス開発にPRの視点を取り入れることも面白いと思います。デザイナーは、商品やサービスの開発をする上で、顧客体験を起点としながらそれがビジネスとして成立するかなど様々な要素を勘案して形にしていきます。一方で、一般的にデザインチームの中に社会性や話題性などのいわゆる「ニュース性」を専門に考える人はいないことが多いです。(業界や商材により異なりますが)多くはサービスや商品開発をした後に、それを広く伝えていくため広報・宣伝・マーケティング部門などと連携してコミュニケーションを考えていくことになると思います。 どのようなものであれ、工夫して話題化させていくのもPRの腕の見せどころではありますが、正直どうにもならないということもあります。本来はPRをする対象であるモノやサービスそのものが時代や社会の関心に沿っており、注目すべき要素を内包していれば、世の中で話題になりやすく、見つけてもらえる確率はぐっと高まります。 PRの観点を取り入れるというのは例えば、新規事業開発のコンセプト設計やその方向性が複数あるときに「社会や人々がこのサービスをどんな文脈で語るか」も選択のファクターとして加味することなどがあります。これにより、サービスやプロダクトそのものが話題性や社会性を内包したものになることで、製品やサービスの市場でのスムーズな展開に寄与する可能性が高まることが期待されます。 ■ 通常のプロセス プロダクトやサービスを作り込む →リリース段階で改めて注目してもらう方法・戦略を考える ■ PR視点を取り入れたプロセス プロダクトやサービス開発段階から社会性などの要素を入れ込む →商品自体が元々注目されやすい状態でリリースできる この他にも、企業や組織のリブランディング後の社内や社会への新ブランド浸透に向けたコミュニケーションやメッセージ設計や、危機管理対応後の企業イメージの回復という場面など、デザインとPRの連携が力を発揮できそうな場面は多そうです。 まずはお互いを知るところから PRの世界でもAIに代替される領域はありますが、ステークホルダーとの信頼関係の構築や、複雑な課題に対する創造的な解決策の提案、ターゲットに合わせた体験設計などは、依然として人間の知恵と感性が必要とされる領域です。 PRがデザイナーとの連携を深めたり、PRパーソンがユーザー体験を中心としたデザインの考え方を取り入れていくことは、PR業界としての展開や、PRパーソンのキャリア開発においても、有用な選択肢となり得るのではないでしょうか。 つらつらと書いてしまいましたが、PRパーソンもデザイナーの皆さんも、ぜひそれぞれの考え方に触れ、自身の実務に取り入れてみてはいかがでしょうか。 デザインやPRのことが気になってきたあなたへ デザインやPRについて少し気になってきた方へ、年末年始に向けてのおすすめの本など少しご紹介して終わりたいと思います。 デザインとは?サービスとは?という基本的なところから網羅されていて、全体像を掴むのに役立ちました。 サービスデザインの教科書:共創するビジネスのつくりかたamzn.asia 2,970円(2024年12月02日 19:14時点詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 少し前の記事ですが、デザインについて学んでみたいビジネスパーソン向けにはまずこちら 書籍、TED、Podcastまで。ビジネスパーソンがデザインを学ぶおすすめの方法|Goodpatch Blog グッドパッチブログ大企業によるデザインエージェンシーの買収や、金融機関とデザイン会社の提携により、ビジネスにおけるデザインの重要性が近年騒がgoodpatch.com ニュース性や社会性の有無を日々判断しているメディアがどのように情報を判断し、扱っているのかが分かる一冊。普段の情報の見方も変わります。 新聞の正しい読み方:情報のプロはこう読んでいる!amzn.asia 1,760円(2024年12月02日 18:35時点詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する PRに興味が出てきて、本質的なところをしっかり学びたい方はこちら。 パブリック・リレーションズ[第3版] マルチ・ステークホルダー・リレーションシップ・マネジメントamzn.asia 3,080円(2024年12月02日 18:35時点詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する おわりに グッドパッチでは、デザイナーだけでなくさまざまな職種で募集をおこなっています。ご興味のある方はぜひキャリアページをご覧ください。 Careers|Goodpatch グッドパッチGoodpatchの採用情報ページです。募集要項のほか、メンバーのインタビュー、働きやすさを支える制度などをご覧いただけまgoodpatch.com また、グッドパッチでは今年も複数のアドベントカレンダーが公開されています。デザイナーやエンジニアをはじめ、さまざまな職種の社員が発信していますので、こちらもぜひ楽しんでください! Goodpatch Design Advent Calendar 2024 - Adventar Goodpatch - Qiita Advent Calendar 2024 - Qiita Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2024 - Adventar

UXデザイン 初学者が上達するためのコツ
この記事は Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2024 2日目の記事です。 UXデザイナーとしてもうすぐ17年目を迎える私が、これまでの経験をもとに「初学者のあるある」と「上達のコツ」についてお話しします。 UXデザイン初学者あるあるUXデザインを学び始めたばかりの方が、ユーザーの価値を言語化する際、次のような言葉を使いがちです。 「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」 これらの言葉は、解釈の幅が広いため具体的な体験がはっきりしません。一方で熟達者は、もっと具体的な言葉を用いて価値を設計します。 なぜ具体的なワードを使う必要があるのか?「わかりやすい」を例に、初学者と熟達者の言語化の違いを見てみましょう。 初学者 「シンプルなほうがわかりやすい」 熟達者 「このステップでユーザーが覚えるべき情報量が多いので、情報を減らし、段階的に学べる構成にする。」 初学者 「写真のほうがわかりやすい」 熟達者 「この商品はスペックよりも見た目が重視されるため、写真が適切。」 初学者 「アイコンだけではなく文言があるほうがわかりやすい」 熟達者 「このアイコンは複数の意味を持つため、文言で補足する必要がある。」 このように「わかりやすい」という言葉を具体化することで、対象の体験を鮮明にイメージできます。抽象的な言葉では、本来フォーカスすべきユーザー体験がぼやけてしまうのです。 🧐 ぼやけてしまいます解像度を高める必要性初学者と熟達者の例を比較すると、具体性のある熟達者の方が効果的な施策を打ち出せることが明確です。 解像度の高い言語化は、以下のようなメリットをもたらします。 精度の高いUX成果物が作れる 仲間への具体的な共有が可能になる ユーザーリサーチや競合調査の観察眼を養える つまり、解像度高くユーザー体験を言語化することは、UXデザインにおける基礎スキルなのです。 上達のために提案:NGワードを設定する 「わかりやすい」「使いやすい」「うれしい」「便利」といった抽象的な言葉をNGワードにしてみてはどうでしょう? 😷 NGワードどうでしょう初学者が「わかりやすい」といった抽象的な言葉に頼りがちなのは、ユーザー体験を高い解像度で捉えられていないからです。一方、熟達者は具体的な言語化が可能で、図や表での補足も適切に行います。 NGワードを設定すると、説明が一言で済まなくなるため、具体的な価値を説明せざるを得なくなります。これが言語化能力のトレーニングに繋がります。 知識をつけるもし上手く言語化できない場合、それは語彙力ではなく知識不足が原因であることがほとんどです。知識を深めることで、自然と観察力や言語化能力が向上します。 知識を得る方法例: UXのセオリーやデザインパターンを学ぶ ユーザー調査を行う 自己エスノグラフィ(自分の体験を内省して言語化)を実践する 📘 知識を得ようこのとき、 熟達者に直接質問することは控えましょう。訓練なので、自分で考え、自分の言葉で表現する訓練が重要です。学びの成果をレビューしてもらう形で活用しましょう。 筋トレあるのみタイトルに「コツ」と書きましたが、実際には近道はありません。学びと実践の繰り返しこそが上達への鍵です。大変ですが、一緒に頑張りましょう!わいもやったるで! Hello, We are Goodpatch Anywhere🎄 宣伝です☃ この記事を書いたのはGoodpatchというデザインファームの専門家組織「Anywhere」の中にいる人です!興味を持ってくれた方は以下のリンクからどうぞ!! https://goodpatch.com/services デザイン経営のイベントでパートナーやったりもしています! Design Dimension 2024 KYOTODesign Dimension 2024 KYOTOは、デザイン経営をテーマにしたカンファレンス。ここでしか話されない「www.dxdimension.jp
Advent Calendar 2025
グッドパッチ恒例、12月のアドベントカレンダーでメンバーが執筆したnoteをまとめました。 テーマは真面目なものから柔らかいものまで、デザインやエンジニアリングに関するものなら何でも。メンバーの興味関心や普段考えていることが垣間見えるかも。 今年は「AI」「デザインキャリア」ウィークも開催しました!

発話から「認知構造」を抽出するという新しいリサーチ手法について
LLM時代のデザインリサーチは、どこから変わり始めているのか ──発話から「認知構造」を抽出するというアプローチについて 1.従来のリサーチ工程との違いいま、多くのプロダクトチームで使われているリサーチ手法は、だいたい次のような流れだと思います。 ・スクリーニング ・インタビュー ・書き起こし ・切片化(KJ法) ・グルーピング ・テーマ抽出 ・インサイト整理 ・課題定義 このプロセスは「きちんとやるほど正しい」構造になっていますが、その反面、人間の労力と時間に強く依存してしまうという側面もあります。切片化やグルーピングは、言い換えれば「発話の背後にある認知構造を、人間が後から拾い上げていく作業」なので、時間と経験が必要になっていきます。 ただ、LLM がここまで進化した現在、この工程自体の意味を一度問い直してみてもいいのでは、と思うようになりました。つまり、 「データを並べて整理する」ではなく、 「認知の、どのレイヤーを抽出するか」に視点を移す。 ここが大きな変化点なのかなと感じています。 2.発話をどう見るか(焦点・強調点・粒度)発話をどう読むかは、技術というより「視点の設定」の話だと考えています。個人的には、最低限この 3 つを明示するだけで、発話が「構造物」として扱えるようになる感覚があります。 ① 焦点(世界の切り取り方) ・目的 ・価値観 ・行動 ・感情 ・業務構造 ・判断基準 ② 強調点(どこを問題として扱うか) ・意図と行動のズレ ・矛盾 ・感情の跳ね ・判断バイアス ・価値観の衝突 ③ 粒度(どの階層で扱うか) ・価値観レベル ・意図レベル ・タスクレベル ・行動レベル ・状況レベル この3つを最初に置くと、「発話をどう読むべきか」という迷いがかなり減ります。従来リサーチが暗黙にやっていた領域を、明示的に操作変数として扱うのがこの手法の特徴です。発話という無構造なデータが操作可能な構造物に変わっていきます。 3.LLMが担うべき抽象レイヤーLLM は「作業の自動化・効率化」のためのツールではなく、抽象化レイヤーの一部を肩代わりしてもらう、認知構造の一次抽出という捉え方のほうがしっくりきています。従来の KJ 法やグルーピングのように、下から積み上げるのではなく、上から骨格を取り出すイメージです。 具体的には、 ・発話の背後にある目的 ・判断の基準 ・行動パターンの分類 ・価値観の傾向 ・バイアスの出現箇所 ・意図構造の推定 こういった 認知の骨格に近い部分を一度 LLM に出してもらう。 そこをベースに、人が「どこを採用するか」を判断する。つまり、 抽出はAI、妥当性の判断は人間という役割分担です。 この分業は、単純に効率化というより、プロダクトの理解速度を大きく変える可能性があると感じています。 4.人間にしか担えない揺らぎとは何かAI は構造を抽出できますが、その構造のどこに意味を見いだすかは 人間側の揺らぎとして残ります。 ・どこに違和感を覚えるか ・何を「問題」と捉えるか ・どの価値観に反応するか ・どういう構造を美しいと感じるか ・どの粒度で世界を区切るか こういった判断は、経験や思想の影響が強く、人それぞれ異なります。ただ、この揺らぎを「属人的なノイズ」と切り捨てるのではなく、「操作可能な変数」として扱うことが重要だと考えています。 揺らぎを変数にすることは、AI 時代のリサーチにおける人間の役割を定義し直すことにつながるとも考えています。 5.デモ事例(匿名化した仮想データ)シンプルな例を置いてみます。 発話(例):「請求業務って毎月同じはずなんですが、思い出しながらやるのでいつも不安が残るんですよね」 LLM が抽出した構造の例です。 (実際の出力データとは異なります。あくまでイメージです。実際は、もっと膨大な量の発話をインプットして、具体的なメンタルモデルが出力されています。) #発話から抽出されたメンタルモデル・人は“毎月同じ仕事”に対して、“記憶に頼って作業する”ことで不安を抱く。・人は作業の正確さより“安心できたか”を完成基準にする。・人は手順設計の欠陥を“自分の記憶力の問題”と解釈する。 ・ ・ ・ ここから先は人間の揺らぎが入ります。 不安の源は「手順を覚えていないこと」だと捉えるのか そもそも「仕組みとしてテンプレが存在しない」と捉えるのか 「責任の所在が曖昧だから不安になる」と読むのか 「判断基準が表現されていない」と見るのか どの視点を採用するかで、メンタルモデルの構造も、その後の 情報設計 もまったく変わります。AI が抽出を担当し、人間が揺らぎの選択を担当する、という二段構造です。 揺らぎの選択によって、課題構造も UI もまったく変わる。この解釈の自由度が、AI では代替できない領域であり、この方法論の核になる。と考えています。 6.SaaS業界に与えるインパクトSaaS 業界でよく聞く悩みの多くは、結局のところ 「業務理解のスピード」に集約されている気がしています。 ・職能間での理解差 ・新規メンバー立ち上がり ・ドメインが複雑すぎる ・設計判断に時間がかかる ・リサーチが属人化する こういった問題は、作業工程の多くが「人間の記憶と読解」に強く依存しているからではないでしょうか。もし発話から認知構造を抽出できるなら、業務理解は極端に速くなり、その結果として、上流下流といった縦方向の速度が出る可能性があります。 ・業務理解が 1/5 に圧縮される ・プロダクトの改善速度が上がる ・PM/デザイナー間のギャップが減る ・職能分断が少しずつ溶ける ・「経験差」に頼らない構造判断が可能になる ・PdM不足が解消される これは、従来の大量のインタビューの発話データの整理とは、全く異なる別レイヤーの手法です。とはいえ、従来の手法やプロセスを否定するものではなく、この2つが共存し、プロダクトの意思決定を多層的に支える未来のほうが、なんとなく健全な気がしています。 さいごにAI が「作業の自動化」だけでなく、「認知の抽象化」にまで踏み込めるようになった今、UXリサーチの役割そのものが書き換わりつつあると感じています。そのときに重要になるのは、AI ではなく揺らぎをどう扱うかという人間側の思想です。 揺らぎを単なる差異ではなく、変数化された操作できるレイヤーとして扱うことで、SaaS 業界の成長速度は、これまでとは違う方向から加速するのではないか。そんなことを考えています。 いま探していること最後に少しだけ、いま個人的に進めていることを書いておきます。最近、 リサーチからユースケース、そしてUIデザインの入口になるような構造まで一気通貫で出力できるプロンプト群 を試作していて、すでにその原型は出来上がっています。 発話セット(インタビューの発話から得られた生のテキストデータ)を入力すると、 メンタルモデル(インサイト) ペルソナ(価値観、認知のレイヤーを含む) 特異点(違和感) 行動構造 代表的なユースケース(及びデータモデルになりえるオブジェクト候補) シナリオ 必要になりそうな画面構造の芯 こういったものが、ひとつの「連なり」として出てくるような仕組みを持ったプロンプトです。まだ実験段階ですが、業務理解の速度が明らかに変わる感覚があって、この領域の体系化を探っているところです。 シンプルに1時間のインタビューに対して、人力で3時間程度かかっていた切片化が、AIツールによって1時間くらいになったところを、さらにこのプロンプトの手法では数10分くらいにまで縮めることができます。 ただ、この話ができる相手が正直ほとんどいません。LLMを使った発話分析や認知構造の抽出、それをプロダクト構造につなげるようなことに興味がある方がいれば、ゆるく意見交換ができると嬉しいです。 少し先の未来のリサーチやプロダクト設計が、どんな形になっていくのか。この領域を一緒に考えてくれる人を探しています。 2025/11/27

Goodpatch Anywhere カルチャーデック B面
この記事はGoodpatch Anywhere アドベントカレンダー15日目の記事です。 adventar.org 先日、Goodpatch Anywhereのカルチャーデックについてnoteを公開しました。 この記事はカルチャーデックの意義を紹介するもので、かつブランディングを意識した、ある種「外面の良い」文章です。嘘は書いてませんが、プロセスの生々しさや、私たちが何をどう考えたのかという思考の深さは伝えきれていなかったです。 あの記事を読んだとあるメンバーから「これはあなたの言葉じゃない」「ごかさんが言いたいことも聞きたい」と言われました。その言葉がこの記事を書くきっかけになっています。感謝。 今回はB面として、外面をあまり気にせず、カルチャーデックを作る過程で何を考え、何に悩み、何を大切にしたのかを、私の言葉で語っていきます (結果めちゃ長文です…)。 なぜカルチャーづくりに関わったのか2023年、Anywhereも5年が経ち、「最近のAnywhereはちょっとつまらない」という声をあちこちで聞くようになりました。メンバーの新陳代謝も進んでいて、私自身も正直寂しい気持ちを持っていました。 受託ビジネスの構造上、効率や売上が重視される。フリーランス専門家集団であるAnywhereは、他の組織とは異なる価値提供システムを持っていますが、価値を生み出す源である我々Anywhereが「何を目指しているか」「何を大事にしているか」を明確に言語化できていませんでした。メンバー自身へ「ここにいる理由」をAnywhereから提供できていなかったとも言えます。 メンバーそれぞれも「何を目指しているか」「何を大事にしているか」を同じ言葉で語れていませんでした。 私は、仲間につまらないと思って欲しくないし、仲間に充実した毎日を送って欲しかった。 そんな願いを込めて行動規範を言語化してみようと委員会を発足して取り組んだのがカルチャー言語化のはじまりでした。 根っこにあった価値観カルチャーデックは「新しく生み出した言葉」ではありません。仲間と共にこれまで育んできたAnywhereについて、仲間と対話を通じて言語化したものです。とはいえ私の価値観もやっぱり入ってしまっていると思います。 私の価値観はどんな経験から生まれたのか。 一つは、過去にソニーの子会社でソフトウェアのUI設計をしていた経験です。ソニーは会社設立の目的の一つとしてこう書いています。 「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」 https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.htmlソニーで共に働いた方々は、形はどうあれ、なんやかんや言いながらも、各自がソニーを愛しソニーとしての各自のプライドを持って価値を世の中に届けようとしていました。自分の所属組織にプライドを持つ方々と働いた経験が、専門家が自立自走し、かつ自己実現できる組織につながるという考えに繋がっていると思います。 もう一つは、Anywhereに入ったときの責任者、齋藤恵太が当時社内のScrapboxに散らかして書いていた「組織のありたい姿」に関するドキュメントです。それらは全然まとまっていませんでしたが、根幹となる考え方や仕組みへの示唆は今のカルチャーデックの種です。その種を、仲間と共に育み、少しずつ体現していった経験が、カルチャーデックに繋がっています。 始まりは、闇を見つめるところからカルチャーの言語化といえば、ビジョンやミッションといった理念から始めるのが一般的かもしれない。でも私たちはまず「闇」から始めました。 「最近ちょっとつまんない」という声があちこちから聞かれたならば、まず現場の声を聞いてみようと思いました。カルチャー委員会でリードチームに宿題として闇を吐き出してもらうワークショップを企画・実施したところ、闇がすごくいっぱい出てきました。 みんなしんどい思いをしていました。その頃私はAnywhereのマネージャーの一人だったので胸が苦しくなりました。私の責任もいっぱいあるなと落ち込みました。 ワークショップは、闇だけでなく「ありたい姿」も導き出すように設計していて、ポジティブな側面も見ることができました。 「リーダーをやってて嬉しいときは?」闇を集めた一方で、「リーダーをやっていて嬉しいとき」についても深掘りした。そこで見えてきたのは、リーダーが引っ張った話よりも、現場が自立自走している状態がいい感じだったという内容でした。 少しだけ意外でした。私はリーダーズの自己実現や闇からの解放について喜びが語られると思っていましたが、リーダーたちは現場の自立自走に喜びを感じていました。 私はリーダーが引っ張るのではなく、専門家が自分のパフォーマンスを最大化させる組織を意識してコミュニケーションしてきました。リーダー達も同じ思想を持ち、実際にありたい姿であり喜びを感じていることは、私にとってもうれしいことでした。 (もちろん違う思想のリーダーもいたと思います。主語デカくてごめんなさい。) 俺達はプリキュアだった現場の闇と喜びを持ち帰り、カルチャー委員会で議論を始めました。 委員会のメンバーは、沼野さん (ビジュアルファシリテーター、組織のカルチャーを作るワークショップのプロフェッショナル)、岡田さん(言葉のプロフェッショナル、コミュニケーションや組織についての知見が深い)、そして当時はうみちゃん(見立てが上手、図解が上手、悲観的な側面もごまかさない)でした。 Anywhereメンバーはこの組織が好きでかつポジティブなメンバーが多いです。ポジティブな側面だけでカルチャーを言語化すると、その言葉は軽いものになっていた可能性があります。悲観的な側面にも目を向けたからこそ、人の痛みや辛さを解決することをカルチャーに含めることができました。マイナスをゼロにする側面と、プラスを無限に増やす側面、その両方を入れられたのは委員会メンバーのおかげです。 議論の中で、私たちは様々な「見立て」を使いました。「Anywhereは自律的に動く現場と本部の関係、つまり戦隊だよね」という見立てをしたり、プリキュアの名言集を見ながら「俺達はプリキュアだった」という話で盛り上がったりしました。 ふざけてるかと思うでしょうが、実際まあふざけている側面はありつつ、プリキュアは良い見立ての材料になりました。プリキュアは現代的な道徳を作品に反映する作品で、例えばジェンダーフリーなど旧来の価値観ではなく現代的価値観を子供にインストールするようなストーリーを作っています。SNSでそんなストーリーを知っていたので、茶化すことなくプリキュアを見立てとして選びました。もちろんプリキュア以外にも様々な見立てが生まれました。 もちろん見立てだけに頼ったわけではありません。 組織やプロジェクトのあるあるは既に専門家や学者が現象を突き止めています。私たちだけで考えるのではなく、外の知識をどんどん使って自分たちを再解釈しつつカルチャーを組み立てました。 過去のログを見返すと、タックマンモデル、リゾーム組織、12の知的想像行動、暗黙知と形式知のサイクル….様々な法則やフレームワークを活用していました。 この委員会ではカルチャーをただ言語化するのではなく、確かな知見で見つめることができました。経験だけに基づく雰囲気での言語化ではなかったと思ってます。 カルチャーデック プロトタイプの誕生議論を重ね、行動規範のたたきを作りながら、「ネトフリのカルチャーデックってやっぱええな!」という話になり、アウトプットは行動規範ではなくカルチャーデックにすることとしました。 プロトタイプとして5つの行動規範を作りました。 あなたはそのままで大丈夫だし、変わっていっても大丈夫 自分:Anywhere = 1:1 決め合い、作り合い、認め合いながら進もう いつでも、だれにでも、思ったことを言えるチームを作ろう 知らないこととの出会いを祝福しよう 一旦この段階でカルチャーデックのプロトタイプとしてメンバーにお披露目しました。 伝わったこと、伝わらなかったことお披露目会でワークショップを実施し、様々なコメントをもらいました。共感がいっぱいあったし、「救われた」というコメントもありました。自己省察や過去の苦しみを反芻するコメントもありました。 コミュニケーション面の内容はよく伝わった。でも、サービスやプロダクトの品質への厳しさについては伝わってなかった気もします。 私が願う組織は、表面的な仲良しではなく、リスペクトを持ちつつも厳しくぶつかり合い、デザインに真摯に向き合い、高め合い認め合う組織です。その結果、個人が成長し、お互いのリスペクトが生まれ、本質的に良い組織になると思っています。 とはいえAnywhereにおいて体育会系やトップダウン組織には可能性を感じません。Anywhereはリーダーやマネージャーより優秀な人材が揃っているという組織特性があるから、体育会系だったりトップダウンの組織ではバリューを発揮しにくいです。今、デザインにはビジネスから心理学からクリエイティブから人間中心設計から、デザイン関係無いだろという範囲も含め何でも期待されています。個人がすべての期待に応える能力を持つのは不可能です。仕組みとして体育会系やトップダウン組織は無理ゲーです。 だから、専門家が専門家として、厳しく高め合いながらも、楽しく朗らかにノーストレスで働ける組織を作る必要があると考えています。そのために、「高める」も伝える必要がありました。 バイアスを解放するモンスターカードワークショップの結果をふまえ、より解像度高くカルチャーを伝えるために、まずはカルチャーに関する典型的なストーリーを作ることにしました。 典型的なストーリーを作る過程で、やはり出てくるアウトプットはトラブルシューティングになり、過去の闇をほじくり返さざるをえず、ワーク会場のFigjamには懺悔室やお焚き上げ会場が爆誕しました。 お焚き上げ会場といったおふざけは、おふざけでありつつもこのチームの見立て力の強さから生まれるものです。懺悔室やお焚き上げに関する会話の中から、「問題の原因はみんなの心の中に住んでるモンスターである」という話が生まれました。 心の中に住んでいるモンスターとは何なのかを深堀りした結果、それは「バイアス」ということになった。心のバイアスがモンスターになり、プロジェクトを悪い方向に導く、と。 ということで、カルチャーを浸透させるために「モンスターカード」を作って、心のバイアスに気づくサポートをすることにした。合わせてバイアスをぶっ壊すムーブを集めたナイスプレーカードも作成した。もちろんワークショップのプログラムもセットで作成した。 あらためて自分たちを見つめるここからは見立てではなく、ちょっと専門的なキーワードに注目して議論を進めた。知的謙虚さ、ネガティブケイパビリティとポジティブケイパビリティ、リゾーム組織とツリー組織の関係など様々なキーワードが挙がったし、ギャルのような身近なマインドセットにも目を向けたりした。 そうやって外の視点を使って自分たちを再解釈し、以下のことが見えてきた。 「専門家がその知見でバイアスから解放する組織がAnywhereである」 これは見えた感じがあった。自分たちの凝り固まったやり方や視点に専門性で切り込む私たちはバイアスの解放をしていることと同義でした。また、自分たち自身も仲間との共創で自分自身の「これまでのやり方」手放して新しい学びを得ることはバイアスの解放が大切でした。 カルチャーデックのアップデートこれまでの議論を踏まえ、カルチャーデックのプロトタイプを一つ一つ見直してアップデートしました。 元のカルチャーデックは言葉の強さはありつつ、覚えたり活用するのが大変だったため、今回は覚えやすさや活用しやすさを意識しました。また、その表現は感傷的すぎて強制性があった気がします。言葉からの宗教感を極力減らすことも意識しました。 最終的に4つの価値観に集約させました。 平場をつくろう みんなでやろう 知り続けよう 怖くても手放そう 序文に込めた魂カルチャーデックを作りつつ、やはりNetflixのように序文を通じて背景を伝えることの重要性も感じていました。カルチャーデックだけだと背景やコンテキストを読み取れず、ただの行動ルールになってしまう可能性があります。私たちも序文でカルチャーデックに込めた背景を言語化することにしました。 以下がカルチャーデックの序文です。 専門性から始まる、新しい価値創造の旅 私たちは、それぞれが異なる専門性を持つ専門家の集団です。デザイン、エンジニアリング、戦略、マーケティング——一人ひとりが培ってきた専門性は、私たちの誇りであり、価値創造の出発点です。 しかし、真の価値は、その専門性を個人の領域に留めておくことでは生まれません。異なる専門性を持つ仲間との共創の中で、お互いへのリスペクトを持ちながら、自分以外の視点を取り入れることで、初めて見えてくるものがあります。 バイアスからの解放と、新しい発見 専門家であるからこそ、私たちは自分の専門性が生み出すバイアスに気づく責任があります。「これが正解」「これが常識」という思い込みを、一度問い直してみる。そのアンラーニングのプロセスこそが、私たちを真の意味で成長させ、変化し続ける世界に適応する力を与えてくれます。 他の専門家の視点に触れることで、「なるほど、そういう見方もあるのか」という発見の連続が生まれます。その瞬間に、私たちの専門性はより豊かで、より深いものへと進化していきます。 個人の成長、チームの創造性、社会への貢献 私たちの組織は、3つの要素が相互に影響し合う循環システムとして機能しています。 個人の専門性発揮 → チームの創造性向上 → クライアントへの価値提供 → 個人の成長機会創出 このサイクルが回り続けることで、全体がスパイラルアップしていく。一人では到達できない価値を、チームで生み出す。その結果として、クライアントに真に価値のある提案を届け、社会にポジティブなインパクトを生み出していく。 専門家として働く私たちにとって、この循環システムは単なる仕事の仕組みではありません。専門家としての誇りを持ちながら、同時に成長し続けるための、持続可能な成長エンジンなのです。 このカルチャーデッキの位置づけ このカルチャーデッキは、私たちの価値創造の旅を支える「羅針盤」です。 新しく参加したメンバーにとっては、このチームのエネルギーの源泉を理解し、早期に力を発揮するためのガイドとなります。ベテランメンバーにとっては、初心を思い出し、さらなる高みを目指すためのリセットポイントとなります。 これは制約ではなく、可能性を広げるツールです。固定的なルールではなく、メンバーの実践と対話を通じて育っていく、生きた文書です。読むたびに新しい発見や気づきがあり、日々の仕事を通じて体現し、さらに価値を生み出していくもの。 専門性を武器に、未知の領域へ デザインシンキングが示すように、真のイノベーションは、専門性を持ちながらも境界を越えて共創する中で生まれます。私たちは、専門性を武器にして、未知の領域に挑む勇気を持っています。 変化や不確実性を恐れず、新しい可能性を発見する喜びを分かち合いながら、従来にない価値をクライアントに提供し、社会にポジティブな変化を生み出していく。 このカルチャーデッキに込められた「平場をつくろう」「みんなでやろう」「知り続けよう」「怖くても手放そう」という4つの価値観は、まさに専門性を持ちながら変化を受容し、共創を実現するための実践的な指針です。 一緒に価値創造の旅を続けよう 専門家として、チームとして、そして社会の一員として。私たちの旅は、一人ひとりの専門性から始まり、共創を通じて、より良い社会の実現へとつながっています。 このカルチャーデッキを通じて、私たちが共に歩む価値創造の旅を、より豊かで、より意味のあるものにしていきましょう。 カルチャーデックのプロトタイプである5つも、最終的な4つも、この序文に書かれていることを伝えるためのものでした。個人の専門性発揮 → チームの創造性向上 → クライアントへの価値提供 → 個人の成長機会創出。このサイクルが回り続けることで、全体がスパイラルアップしていくシステムの全体を、この序文で記載しています。 この序文で、私がこれまでAnywhereで実現したかったことをようやく言語化できた気持ちです。会社・チーム・個人・クライアントすべてがうまくいくようなシステムはこうであり、そのシステムに重要なのはマインドセットや姿勢であり、多様性であり、各自の成長です。Anywhereの仲間との笑って泣いて戦ったこれまでが言葉ひとつひとつの血肉になっています。 そして、仲間との対話による偶発的な発見を通して、カルチャーデックおよび序文を見出したこと、構造的に設計したのではなく、対話の中で言語化していったことも、血の通った、生きたカルチャーデックとして言語化された理由だと私は考えています。 また感情的な表現しやがって的なフィードバックが来そうですが、このカルチャーデックには魂がこもっています。 このカルチャーデックが絶対ではない理由カルチャーデックは完成しました。でも、これを絶対正義だとは思っていないです。 正直に言うと、今いるメンバーには、共感してほしい。ベテランには、エバンジェリストになってほしい。自発的に広めていってほしい。 新しく入ってくるメンバーには、まずは素直に受け止めてほしい。 …という都合のいい願いはもちろんあります。 ただ、合わないなと思ったら、合わないことを認めてもらいたいです。違うなと思ったことを認めてもらいたいです。 なぜなら、このカルチャーデックは「従うもの」ではなく「考えるきっかけ」だからです。 いつでも思い出し、内省し、振り返るきっかけになってもらうことが何より大事です。カルチャーデックが間違っていると気づくことだってカルチャーデックの大事な役割です。バイアスから自由になり、思考をリフレーミングし、新しい学びにつながる場こそ望ましいAnywhereのあり方です。 カルチャーデックを通じて違和感を認識できることは、カルチャーを言語化する良い側面です。水が合わなければ離れていくことも良いことだと思っています。 カルチャーデックは変わっていくべきだが、簡単に軸をぶらしてもいけないと思っています。変わりすぎるとそれこそ軸になりません。これからも、メンバーの実践と対話を通じて育っていく、生きた文書であってほしいなと願っています。 私の原動力はなにか?私はAnywhereで仲間に恵まれました。そんな仲間には、一緒にデザイナーとして高め合い、成長し、クライアントに価値を提供し、デザインしたサービスやプロダクトが社会に貢献できている、といった充実した毎日を送ってほしいです。そして、楽しく朗らかにノーストレスで自己実現できていてほしいです。 そのためにも経験だけでの言語化ではなく、我々ができる範囲で内ではなく外から得た知識や知見を用いた、筋肉質で簡単に崩れない言葉が必要でした。 プリキュアからタックマンモデルまで、あらゆる角度から組織を見つめました。見立てと知見、プロトタイプとフィードバック、それらがぐちゃぐちゃに組み合わさりながら、ある種偶発的に深まっていったのがこのカルチャーデックです。 これからのことカルチャーデックが完成して、実際にキックオフや振り返り会で活用し始めています。カルチャーデックを用いて組織学習を回す一歩目を踏み出したところです。 このカルチャーデックが、社会、Anywhereに関わるみんなバイアスを解放することをお手伝いし、それが充実した毎日につながりますように。 ここまで読んでくれてありがとうございます!以上、ここまで8000字強でお届けしました!読んでいただきありがとうございます!! 自分で事業をやってみたいなーという気持ちで今年2月にマネージャーから離任しつつも、こうやってAnywhereの大事なところに関わるお仕事ができて光栄です。 ※12/16追加) カルチャーデックづくりに関わった沼野さんのnoteはこちら \最後に宣伝/ Anywhereはお仕事大募集中です!地方にも強いです!! Goodpatch Anywhere | 越境するデザイン組織私たちは、専門性を武器に、越境しながら共創するチームです。 デザイン、エンジニアリング、戦略、リサーチ。異なる領域を持つ専anywhere.goodpatch.com それではみなさまよいクリスマスを!
AIでグッドパッチの新しい可能性を感じた話
こんにちは、グッドパッチで執行役員をしている石井(@kuniorock)です。デザインパートナー事業(クライアントワーク)のデリバリー領域で管掌役員をしており、社内のAIのことを色々と考えたりしています。 この記事は Goodpatch Advent Calendar 2025 25日目の記事です。 ツールは進化したけど、なんかおもしろくない「1000の会議よりひとつのプロトタイプ」 これは、かつてグッドパッチが提供していた『Prott』というプロダクトのコピーです。 紙に描いたUIをスマホで撮影し、デジタル上で繋いで操作体験をつくる。当時のこのアプローチは、「誰でも簡単にプロトタイプが作れる」という点でとても好きなプロダクトでした。 その後、Adobe XD、Sketch、Figmaなどのデザインツール自体にプロトタイプ機能が内包されるようになり、Prottはその役目を終えましたが、同時に失われた「チームの体験」もあったように思います。 プロダクトが進化し、機能が充実するにつれ、プロトタイプを作るのは「デザインツールを扱える人の仕事」になっていきました。結果として、「つくる人」と「見る人」の距離が少し開いてしまったように感じていました。「誰でも簡単にプロトタイプが作れる」というチームの体験が薄れてしまったのです。 StrapやFigJamなどのツールによってオンラインでチームが集まれる場所はできましたが、そこに置かれるアウトプットは、デザイナーがきれいに作り込んだUI画像だったり、こだわりのオートレイアウトで組まれたFrameだったりします。 いつの間にか「デザイナーのアウトプット待ち」が発生してしまうような状況に、少しつまらなさを感じていました。 私は元々、グッドパッチでiOSデベロッパーとして仕事をしていました。 当時は、デザイナーと席を並べて、紙に描いたイメージを見せ合いながら、デザインと実装が同時進行するようなプロセスが当たり前でした。 綺麗なデータができるのを待つのではなく、お互いの頭の中にあるイメージをその場で形にして、「あーでもない、こーでもない」と議論する。その「雑だけど熱量の高いやりとり」が好きでした。 ツールが進化するにつれ、自分が理想とする動きとは離れていく。チームとしては役割がはっきりして効率的なのかもしれませんが、どこか「おもしろくない」と感じる数年間だったと思います。 生成AIによって得た「自分で動かす力」にワクワクした最近、生成AIによってデザインとコードが出力されるのが当たり前になってきました。 この変化を、私はとても嬉しく思っています。 なぜなら、10年前のProttの時代のように、「誰でも簡単にプロトタイプが作れる」状態が戻ってきたと感じるからです。しかも自分で遷移とかつなげたりしなくていいし、マイクロインタラクションも簡単に実装できる。 PdMでも、エンジニアでも、営業でも関係ない。 「こんな機能があったらいいのに」と思ったら、AIを使って動くプロトタイプを作ってみる。 言葉だけで説明するより、実際に動くものを見せたほうが、議論の質は圧倒的に上がります。これはまさに「1000の会議よりひとつのプロトタイプ」への原点回帰だと考えています。 グッドパッチのPdMにビルさんというメンバーがいます。彼はエンジニア経験こそありませんが、最近はバイブコーディングを駆使して様々なプロダクトを自作しています。 先日、彼が作ったプロダクトを見て、私は久しぶりに心の底からワクワクしました。 「あ、これやばい。めっちゃいい。グッドパッチのデザインプロセスが変わる。クライアントに提供できる価値が変わる。」 そう感じました。生成AIによって、彼は「自分で動かす力」を手に入れたのです。 彼は、フロントエンド、バックエンド、API、DBまで自分で構築して、社内のGCP環境で自作のプロダクトを社内に公開しています。もちろん社内のエンジニアに助けてもらったりはしていますが、基本的には自走してプロダクトの改善、機能拡張を続けています。やばいです。 グッドパッチは「生成AI」で進化する一方で、これはデザイナーの仕事がなくなるという話ではありません。 むしろ、デザイナー自身もAIによって進化しています。 直近数カ月で、社内のAI活用状況は大きく変わってきました。 バイブコーディングしながらプロダクトを作っているのは、前述したビルさんだけではありません。デザイナーもリサーチャーも、自分たちの仕事のプロセスを変えるような自分たち専用のプロダクトやFigmaプラグインを作っていますし、グッドパッチが長年力を入れてきたナレッジマネジメントのあり方も変わってきました。 今までコードを書いてこなかったデザイナーたちが、AIと対話しながらコードを書いています。「デザイナーはコードを書くべきなのか否か」という論争は、もう昔の話になりました。 これまで「エンジニアにお願いしないと作れなかったもの」を、デザイナー自身がサクッと作って解決する。実際に使えるツールまで作れるというのは、大きな変化だと感じています。 職種の境界が溶けた先にある、組織の可能性私はグッドパッチの誰もがプロトタイプを作れる状態にしたいと考えています。 完成したモノを見せられると、人はどうしても粗を探す「評論家」になりがちです。 でも、自分で手を動かして作ったものには愛着が湧くし、責任も生まれます。全員が作れる、形にできるという前提になると、モノの見方が変わります。 グッドパッチという組織の可能性も、ここにあると感じています。 これまでは「UIを作る人」「コードを書く人」といった分業になりがちだった境界線が、テクノロジーによって良い意味で溶け始めています。 デザイナーがエンジニアリング領域に踏み込んでもいいし、PdMがデザイン領域に手を出してもいい。 「職種」という枠にとらわれず、全員が「モノづくり」に向き合える環境にしたい。 現在、デザインパートナー事業には約120人のメンバーが在籍しています。 この120人全員が自分でプロトタイプを作れる能力を持っている状態。これができればグッドパッチはもっとおもしろい組織になる。所属し続ける価値のある組織になれると思っています。 「モノづくり」に熱狂できる人と働きたい私はグッドパッチをモノづくりが好きな人、オタクが集まるような会社にしたいと思っています。 今のこの変化は、そんな人たちにとってとてもおもしろいタイミングではないでしょうか。 「AIで効率化してラクをしたい」、「AIを使ってもっと面白いものを作りたい」「自分の領域を拡張したい」。 そんな「つくること」への純粋な熱量を持った人と、これからのグッドパッチを作っていきたいと考えています。 もし、グッドパッチに興味を持っていただけたら、ぜひ一度お話ししましょう。 ▼ グッドパッチでは仲間を募集しています グッドパッチの新しい採用サイトもご覧ください。 Goodpatch グッドパッチ採用サイトグッドパッチの力の源は、なんといっても「人」。多種多様なスペシャリストが共に働いています。あなたが働く選択肢の一つにグッドcareers.goodpatch.com 本記事が参加しているアドベントカレンダー Goodpatch - Qiita Advent Calendar 2025 - QiitaCalendar page for Qiita Advent Calendar 2025 regarding Goodpaqiita.com 最終日に弊社土屋が佐久間さんHPについて書いているもうひとつのグッドパッチアドベントカレンダーもあります。 adventar.org

【対談】クリエイター就活生がクールに不安と付き合うための年末年始の過ごし方
今年のアドベントカレンダーはおやすみ🙏 でも過去の記事は古びていない───今年もこの季節がやってきましたね。 田口 ね。「もう冬か〜〜〜」みたいなの毎年同じテンションで言ってると、本当にジジイになったんだなと思いますね。あはは。一方で子どもたちは「なんや君ら、えらい大きなっとんな」という実感があるので、ベタですけど「なるほどこうやってジジイになるんだな」と思いますね。 ───今年はアドベントカレンダーがおやすみとのことで。 田口 すみません。本当はやりたかったのですが。色々な事情が重なりまして、お見送りになりました。ただ過去のものも古びていないと思います。まずは田口の全記事紹介テキストなどを読んでいただくと良いかなと。 田口 毎年この企画は、「就活に攻略法はない。あるのはそれぞれが働き始めるまでの固有のストーリーだけ。それをたくさん集めることで一般化/抽象化しよう」というのが根底のテーマにあるので、本当はちゃんと集めなきゃいけないんですよ、固有のストーリーを。 ───今年おやすみなのは、忙しかったというのもある? 田口 はい。お恥ずかしながら…個人的な予定を優先させてもらったこともあります。 ───ほう。と言うと? 田口 実は大学院受験をしまして。受験生だったんです。 田口、大学院受験をするの巻───おお。 田口 今の時点で入試は終わって、結果を待っている段階ですね。受かっていますようにと願っているところです。 すっごく久しぶりに「審査される」という立場になりました。この前で言うと、グッドパッチの選考を受けている時だから、7年ぶり?に個人として審問される立場になったというわけです。 ───就活生と同じだ。 田口 まあ僕は就活生と違って、落ちても後がないというわけではないので、同列に語っちゃいけないんですけどね。 とは言え、書類審査ではエントリーシートに当たると言って良いだろう業績書・研究計画書。そしてポートフォリオ。面接試験としては書類を土台にした口頭試問というのがあったので、やはり自分としては就職活動と重ねながら受験準備しましたね。 ポートフォリオの一ページ───大変でしたか? 田口 いや、それはもう。普段僕も「面接官って候補者を食おうとしているわけではないから気楽に!」とか「面接はジャムセッション。クイズではないから想定問答で対策しすぎないで!」とか偉そうに言っちゃってるわけですけど、試験一ヶ月前くらいから指導希望の先生の論文を読み漁り始めたらどんどん不安になってきちゃって。 今思えば入試の段階でそこまで読まなくてもいいであろう基礎研究本や先行研究の論文まで読み始めてしまって。そうなるともう終わりなんてないわけですよ。どんどん想定質問とか考えちゃったり、もしこういうこと聞かれたらあっちの文献も読んでないと答えらんないじゃんとか思い始めて不安が増大していってしまって。すごいピリピリしていました。 ───実際面接はどうだったんですか? 田口 もう思っていたのと全然違って。そもそも願書で指導希望を出した先生が面接にはいらっしゃらなくて。それで面接会場入った瞬間から汗だくになっちゃって。面接官の方々はとても柔らかい雰囲気で面接くださったんですけどね。 ───(笑) 田口 だからあくまで自分の構想している研究の話を中心に試問を受けて…自分が対策としてやっていたことの八割くらいは、その試験内では役に立たなかったですね。 "選考対策"はそもそもどこまで可能なのか田口 今後役に立つからいいんですけど、対策ってあくまで範囲的なもので、狙い落とすみたいなことではないんだよなという実感がありました。この辺は就活も同じだと思います。やっぱ何聞かれるかあらかじめ把握するのなんて無理ですよ。面接は効率主義的な勉強の仕方と相性めちゃくちゃ悪いなとも思いましたね。 ───内定が出る時はあっさりした感じで出るってみんなおっしゃいますもんね。 田口 そうそう。「あれ?なんかめっちゃするする選考進むんだが?」みたいなね。まあ僕は受かっているかどうかまだわからないんですけど! ───受かったら何を研究するんですか? 田口 あくまで計画なんですけど、デザイナーキャリアの研究をやるので、今やっている仕事をちゃんとアカデミックに転用していきたいなと思っています。 ───おお。じゃあ今やっている仕事の延長線上にある? 田口 自分的にはそう思っています。やっぱり問題含みだと思うんですよ、就職活動という通過儀礼は。情けないことに、毎年このアドベントカレンダーで「もっとこういうふうに変えていきたい」と書いていることを、大きく変えることが出来ない。 ReDesigner for Studentでやっていることはすごく重要だと思いますし、企業にも学校にも学生にも、それぞれ我々が考えているクリエイター就活観に共感してくださる人はたくさんいるんですが、やはり社会的なイノベーションにはなっていないなと。 ───地道にやっていくしかないですよね。 田口 その通り。でもやはりビジネスとしてサービスをやる以外のアプローチも、個人として試みてみてもいいんじゃないかなと思って。これまであくまでビジネスとしてやってきたわけですけど、切り口を変えればちゃんとアカデミックな研究にもなるんじゃないかなと思ったし、それがきちんと社会に認められれば、別の角度から就活という儀礼のよくない部分を切り崩す動きが自分たち以外からもたくさん立ち上がったりしないかなと思って。 ───なるほど。 田口 とはいえあくまで研究なので、最初からそういう明確な目的意識を持って研究しないように気をつけていくつもりではありますが。 問題の多い就活市場。"やりたいこと"と"個性"の呪い───就活を大きく変えることが出来ない、というのは特にどの辺の話なんですか?色々あるとは思うんですが。 田口 一番大きいのは、「やりたいことを見つけよう」というメンタルモデルですね。本当にこれは根深い問題だと思っています。 ───む。問題ですか。どの辺に問題が?やりたいこと、あった方が良いと思うのですがそんなことないですか? 田口 田口は「あっても、まあ良し」くらいの立場です。なんかこの国の「やりたいこと至上主義」って、本当に根深いと思っていて。うちのまだ小学生の子どもを見ていても「うーん」と思っちゃうんですけど、幼稚園の時から「将来の夢」を聞かれるわけですよ。 ───だめですか。 田口 幼稚園でそういう話をすること自体は別に悪いことではないと思うのですが、問題はそういう幼少期と変わらない解像度の問いが、大学を卒業するまで間断なく大人から発されて続けることだと考えています。 端的に言って、「将来どうなりたい?」としか聞いていないんですよ。そしてそういう質問も、進路相談シートの中で一問一答的に終わっていく。中学生くらいから「進路」という言葉が使われるようになるわけですが、「進路」と「夢」が癒着してしまったまま就職活動に突入している学生がとても多いと感じています。 ───つまり、学生が将来の解像度を上げてキャリアプランを練ることが出来ていないことが課題ではなく、「将来どうなりたいのか」という問いの解像度が低いと。 田口 はい。その通りです。社会経験に乏しい学生に「将来どうなりたいか」を本当に真正面から聞くのであれば、一問一答ではなく学生のそれまでのライフストーリーを聞きながら徐々に算出するべきだと思っています。学生の大半は現場での経験がないわけなので、壁打ちが必要なはずです。 現状はとにかく目標と目的だけがあって、足元や過去の話がないまま人生の未来の話をしているから、「夢」とキャリアプランが癒着してしまうのだと。時間をかけて学生と壁打ちすることが進路指導上難しいのであれば、「将来どうなりたいか」ではなく「現時点までに自分が何をしてきているのか」を徹底的に洗い出すようなワークを前提にしないといけないと思っています。 でも今の時代、もう正直これも難しいんですよ。学生は小さい時から「将来どうなりたいか」や「自分とはどういう人間か」を聞かれすぎていて、「自分の人生を洗い出してみてください」と言っても、学生が先回りしてあらかじめ「自分がありたい具体的な像」や「自身のキャラクター設定」から逆算してライフストーリーを洗い出してしまうきらいがあるなと感じています。学生たちの多くが、自分の過去をリテラルに語ることが出来ない。 ───リーマンショック後の就職氷河期世代としてもそれは何となくわかる気がしますね。 田口 ですよね。「個性」の呪いみたいなものだと思います。個性なんてなくても、それぞれ生まれた後のストーリーは誰とも完全には被らないはずなんですよ。強いて言うならそこから個性を見出せばいい話なのですが、そういう前提なしに「自ら自分の個性を語ることが出来ねばならない」というメンタルモデルが定着しすぎてしまっていると感じています。 ───どうすればいいんでしょうね。 ポートフォリオは正義田口 そこで、ポートフォリオなわけですよ。僕は7年くらいずっと、いきなり読み手を意識したり、自分のやりたいことがわかりやすく伝わることを目指すのではなく、「今までやってきたことの棚卸しとしてのポートフォリオ制作」を推奨しているわけですけど。先ほども言った通り、学生はやはり先回りして「わかりやすく、自分らしいポートフォリオでなければならない」という価値観で作り始めてしまう。 同じ課題をやっていても、最終的にアウトプットの形が似通ってしまうことがあったとしても、「何を」「「どんなふうに作ったのか」を丁寧に洗い出していくと、本当はプロセスを含めた制作物が誰かと完全に重なることはほぼないはずなんですよ。 学生に偉そうに言ってしまっている手前もあり、サブカル論に関する非常勤コマページも作成 (入試とかありたい姿とはそれほど関係がない)───なるほど。だからむしろやりたいことや読み手があらかじめ学生の中で定まってしまっていると、それまでの積み重ねを引き出しにしまったままの、主張だけがあるポートフォリオになる、と。 田口 はい。もちろん、クリエイティブのスキルが相当なレベルに達していて、やりたいことや主張をスマートにまとめることができる学生であれば、最終的に「ありたい自分像」によってプロデュースされたポートフォリオに編集しても良いと思います。 ただ、やはり特に一般教養も含めて学ぶような学部卒だと、そんないきなり就活を始めるまでの三年そこらの課題制作を「自分らしさ」によってまとめるなんて難しいと思うんですよね。 ───ある種、そういうポートフォリオにならないことで、作り手になれるかどうかのふるいにかけるみたいなこともあるんじゃないでしょうか? 田口 僕はそれはやはり大人とか社会の身勝手だと思うんですよ。学生に自己分析をさせたり、高校生の頃から基本的に自己責任でどんなことを学ぶか進路選択をさせているわけですから。 ───なるほど。でもどうすればいいんでしょうねえ。 田口 いや、もう全然シンプルで、もう就活生の話聞くしかないんですよ。とにかく聞くしかないなと思っています。 ───ほお。 田口 ガチガチに就活っぽく武装してきている学生は、一通り準備してきたものをしゃべってもらって、そのあとでゆっくりその奥にあるものを紐解いていけば良いと思います。 まだ準備が未完了な、たとえば「やりたいことわかんないんですよね」という学生においては、いいじゃんそれでも、と前置きしつつ「今まではどんなことやってきたの?」というところから棚卸しすればいいと思うんですよ。 ───ふむ。 田口 「企業も忙しくてそこまでは出来ない」は、僕も人事の方々が目まぐるしく忙しくされているのを見ているのでよくわかるんですけど、結局採用が上手い企業は学生を面談面接の中で紐解いたり、対話型の説明会の中で信頼関係を形成しているのがわかってきています。 ───というと? 田口 最近は最初に大手人気toC企業を目指している学生が、最終的に複数内定を取ったあと、学生知名度では一歩劣るtoB中小に内定承諾するケースもどんどん出てきています。 具体的な声としては、「(大手は)あくまで審査されるような印象で面接が進んだが、(最終的に内定承諾をした企業は)一緒に働くことになる先輩やデザインマネージャーが、”入社後どんなことをしたいか”と同時に”入社後どんな価値を発揮してほしいか”」を示してくれた」という理由の下、後者の企業に承諾をしているケースなどもあります。 ───なるほど。 田口 だから、学生もやはりビビらず、いきなり審査される立場として就活に参加するのではなく、対話してみるくらいの感覚で望んできてほしいなと思っています。少なくともReDesigner for Studentはそのような構えでいます。 いいんですよ、やりたいことも自分らしさも今すぐなくても。一緒に考えれば良いので。 ───その辺りが直近のイベントの設計だと。 ReDesigner for Student 合説イベントの設計思想田口 はい。一番来てほしいのはやっぱりDesiner Carrer Jamですね。 Designer Career Jam 「デザイナーとしてはたらく」に触れる日Designer Career Jamは、デザイナーを目指す学生とデザインの力を信じる企業が一同に会するイベントです。lp.redesigner.jp 田口 今年対面の方のイベントは、トークセッションのような一対多のものはなくしてしまって、就活がある程度進んでいる人は「企業のデザイナー」「人事」と。就活これから始めるよって人は「キャリアデザイナー」「内定済み先輩」と、出来るだけ象人数でコミュニケーションが取れるような設計で企画しています。 オンラインの方は、企業の皆さんに、「事業や理念は手短に。出来るだけ働いている人の人となりなどが見えると嬉しいです」と伝えて、説明会の準備をしていただいています。 ───なるほど。 田口 それに加えて、年末にふたつサブイベントっぽいものも準備しています。ひとつは「【年末年始がんばるぞ】クリエイター就活駆け込み寺」。 【年末年始がんばるぞ】クリエイター就活駆け込み寺 - ReDesigner for Student## 🎄開催概要 いよいよ本選考が始まる最後の長期休暇。 クリエイター就活はこの時期にポートフォリオと企業研究をざっと終わstudent.redesigner.jp ───年末っぽいクリエイティブですね。 田口 もうひとつが恒例の「年越しもくもく会」です。 キャリアデザイナー常駐!年越しオープン相談会 - ReDesigner for Student## 🎍開催概要 年末恒例!ReDesigner for Student 年越しイベントを今年も開催します! 終日キャリstudent.redesigner.jp ───日中ずっとZoom開いてやるやつですね。 田口 これで年越しです。毎年これは後半になってくると趣味とかゲームの話しながら作業する感じにもなるので楽しいんですよね。朝からずっといる人の人となりがやっぱり見えてくるという。 ───じゃあこの辺に来てくださいと。 田口 はい。もう何も準備してない、愚痴しかないですみたいな状態でもまずはいいので。お正月ゆっくりするにしても、「本当はやんなきゃな」と思いながらゆっくりなんて出来ないと思うんですよ。だから、出来るだけ短い時間で正しく不安を捉えるみたいなことを年末にかけてはやって、年始にDesigner Career Jamに来ていただけるといいかなと。 ───年末年始を迎える学生にメッセージがあればぜひ。 田口 27卒はしんどい時期だと思うんですよね…課題講評とか学会とか。ただもう本当に、この年末年始に小さくでも手を動かしてポートフォリオ作るとか選考企業のリストを作ってみるとかが出来ているかが分かれ道だよなとは大学職員時代から思っています。 あくまで小さくがポイントです。いきなり行きたい企業を絞り切るとか、完璧なポートフォリオじゃないといけないとかじゃなくて良いんです。ぶっちゃけ心構えも最悪なくて良い。身体でイベント飛び込むとか、とりあえずある作品だけReDesigner for Studentにアップしてみるとかでも良いので。 そういう意味で、過剰に恐れたりせず、まずは手を動かしてほしいなということを繰り返しておきたいなと…! 大晦日とか三が日ずっと机張り付かなくてももちろん良いと思うので、27日くらいから手が動けばお餅も美味しく食べれるはず、食べてくれ、という気持ちです。 ───毎度言ってることは同じですね。 田口 しつこくてすみません。でもしつこくやって就活市場なんとかしていきたいっすね。大学院も仕事も頑張ります。まずは受かってますように。
Advent Calendar 2023
メンバーが執筆した、2023年のアドベントカレンダー記事のまとめです。テーマは真面目なものから柔らかいものまで、デザインやエンジニアリングに関するものなら何でも。メンバーの興味関心や普段考えていることが垣間見えるかも。

経営に入り込むデザインリーダーになるための示唆を与えるかもしれないnote
2023年も残りわずか、今年も毎年恒例のGoodpatch Design Advent Calendar2023の最終日を担当しておりますグッドパッチ土屋です。(これで毎年クリスマスが嫌になっております) 今年は僕がこの1年の中でかなりのリソースを割いてお手伝いしたDesign Leader Impact Award(以下DLIA)にちなんだ話を書きたいと思います。 「経営にデザインが足りない」という業界の課題に対してNewsPicksとGoodpatchの共催で日本の創業10年未満のスタートアップで働くCDOやCXOなどのデザインリーダーにスポットを当てて表彰するというアワード形式のイベントを11月22日に開催しました。 第一回ファイナリストのデザインリーダー達イベントは新しくできた虎ノ門ヒルズ ステーションタワー TOKYO NODEというオシャレなイベント会場で行われ、セッションではマネーフォワードのCEO辻さんとCDOセルジオさんのCEO×CDOセッションや、Figma川延さん、ビジョナル田中さん、サイバーエージェント佐藤さん、アリオーラ金田・アンナさんのセッション、そしてAwardは5名のデザインリーダーの中からグランプリにスマートバンクCXOのtakejunさん、審査員特別賞にラブグラフCCOの村田さんが受賞し、多くの方々が参加し第1回にしては大盛況で幕を閉じました。 ✨🏆グランプリ🏆✨ DESIGN LEADER IMPACT AWARD グランプリ受賞 株式会社スマートバンク CXO takejuneさん(@takejune) おめでとうございます👏!!#DLIA pic.twitter.com/5QH1ObE0RI — DESIGN LEADER IMPACT AWARD 2023 (@DLIA2023) November 22, 2023 アーカイブが2024年1月31日まで見れるので、経営に興味のあるデザイナーはぜひご覧ください。 DESIGN LEADER IMPACT AWARD 2023|経営をドライブするデザイナーへ デザインリーダーのロールモデルの提示とデザインの新たな可能性の探索。経営をドライブするデザインの力に光をあてるべく、ビジネnp2023.designleader-impact.com そんなイベントを通じ、今後経営に入り込むデザイナーになりたい方に向けて示唆になればとブログを書きたいと思います。以下、個人的見解かつ全てのデザイナーが経営を目指す必要はないという前提で書いてます。 このイベントをやる意義今回、経営に関わるデザインリーダーを表彰するという、業界では賛否両論が出そうなイベントをなぜやるのか。別に表彰とかじゃなくても良いのでは、CDOの仕事は会社によってバラバラという声も上がりましたが、ここはあえてNewsPicksのメディアを使って、デザインリーダーを表彰する形式を選びました。 デザインリーダーのロールモデルが足りない これに尽きます。「デザイン経営」宣言が発表されてから5年が経ち、この5年でスタートアップを中心にCDOやCXOなどのタイトルを持つ人材は増えましたが、社員が少ない中、デザインができるからCDOになった、といった人材も多く、CDOタイトルを付けていてもそのレベル感はバラバラです。 今回のイベントではデザインリーダーの定義はCxOに限らず、経営ダイレクトレポートとはしましたが、本来的には経営陣の一部として名を連ね、戦略策定に関わり、予算の策定と執行権限を持ち、意思を持って経営におけるデザインへの投資を提案し、企業価値を上げることに貢献できるデザインリーダーをもっと増やしたいと思っています。 中にはマネーフォワードのセルジオさんやビジョナル田中さん、サイバーエージェントのシュガーさんなど、本当の意味で経営に入り込んでいるデザインリーダーも出てきていますが、そういった人たちがどんな視座・視界で物事を見てデザイナーとして経営に入り込んでいるのか、まだまだ情報も事例も少ないです。 日本のスタートアップの中にもまだ隠れた才能が沢山いると思っており、そういったリーダーを表に出し、もっと多くのデザインリーダーのロールモデルを提示することにこのイベントの意義があると期待していました。 結果、初めてのイベントで知名度はないながらも30社以上のデザインリーダーに応募いただくことができました。 デザインリーダーの評価軸今回のアワードを審査する上で、審査項目や評価軸を設定する必要があり、僕にボールが回ってきてしまったので、何名かの著名デザインリーダーの皆さんにヒアリングをしながら評価軸を作りました。もし良ければ何かで参考にしてください。 1. 事業成長への貢献ユーザーニーズを捉えたプロダクト実装と事業成長を考慮した優先順位マネジメント、デザイン主導のプロダクトマネジメントによって事業成長が実現できているか。 例:成果に紐づいた定量的成果、継続率、チャーン低下等 グッドパッチでもGood design equals good businessのバリューに当てはまる所ですが、やはり経営に関わるデザイナーは事業インパクトを求められます。これを定量的に測る事ができるかどうかですが、なかなか難しいかなと思いながら求めたい項目です。 SaaSであれば、YoYでのMRR向上、チャーンの低下、事業によってはCVR改善や、単価の向上などアピールできる部分はあるかなと思います。 2. 顧客体験価値向上の仕組み顧客やユーザーのニーズを理解し、市場へ新たな顧客体験の価値提案をプロダクトやサービスのデザインを通して提案できているか。 顧客体験価値向上の仕組みがあり、組織に浸透しているか。 例:Think N1インタビュー(スマートバンク)など プロダクトの尖ったクリエイティブや先進性も大事ですがCDOなどは継続的に組織のアウトプットクオリティを高められる仕組みの構築や顧客ニーズの変化に対応しながらユーザー体験をアップデートできる仕組みを作ることが求められます。クオリティのトップラインを上げるタレントも必要ですが組織で活動する上で組織全体での仕組みをつくる事がCDOには求められます。 3. ブランド価値への貢献デザイナー、デザイン組織の働きによってマーケットでのブランド価値が他社よりも高い、もしくは、独自性を持っている状況を築けているか。 例:ブランド価値向上のための取り組み事例、仕組み、◯◯等 ブランド価値への貢献は会社によってはマーケティングトップのCMOが担っている事も多いです。ただ、デザイントップも当然自社のブランドバリューをいかに上げていくかは考えるべきで、スタートアップにおいてはブランド構築がその後の資金調達額やバリュエーション、採用などに関わってきます。同じ市場を攻めているスタートアップでも消費者や投資家が感じるブランド価値によって時価総額が変わったりする事例は大いにあります。 4. リーダーシップ社内はもちろん社外に対しても発信力を持っているか。 デザイン主導でビジネスプロセスをリードできる巻き込み力があるか。 例:候補者の方の社内での取り組み方の具体事例、エピソード等 デザインリーダーのリーダーシップ力があるかどうかで、社内でのデザイン組織のプレゼンスや外への見え方も変わってきます。特にデザイナーの採用においては、デザイナーの働きやすさはその会社のデザインリーダーのリーダーシップ力に依存することが多いです。 5. 組織開発力チームマネジメントや採用、育成の他、 組織横断的な課題解決に貢献しているか。 デザイナー育成や評価などの具体的な仕組みがあるか。 例:デザイナーの評価システム、育成方法 これも経営に関わるデザインリーダーは組織開発に関わることは必須になります。昔はCTOも社内で圧倒的な開発の実装力やCDOも圧倒的なクオリティの高さを求められ、CTOやCDOになるケースもあったかもしれませんが、今の時代においては多くの会社で求められるのは組織を作れるリーダーかどうかです。採用、育成、マネージャーを配置しながら組織開発でチームの力を底上げできるリーダーじゃないと経営陣には認められません。 6. カルチャー貢献企業文化の構築・浸透に対してデザインチームが 貢献している具体的な事例や仕組みがあるか カルチャー貢献はデザイン組織が関わるかどうかは会社によるかもしれませんがあえて、入れました。特にカルチャー構築に必要なVMVなどの設計にはデザインリーダーが関わっていて欲しいですし、その浸透にもコミットできるデザインリーダーがいるスタートアップは強いと思います。マネーフォワードは創業期からデザイナー達がカルチャー構築に積極的に関わってきて、今のカルチャー的にも強いマネーフォワードがあります。 デザインリーダーはどんな経歴を持っている?今回、審査を通じて様々なデザインリーダーの皆さんと対話をさせていただきましたが、皆さんキャリアは違えど、共通点のようなキャリアは見えて来ました。 ○共同創業者として起業に関わった経験 今回のグランプリtakejunさん、審査員特別賞の村田さんはまさに起業に関わりそのままデザインリーダーになったパターンですね。最初から経営に関わるなら起業ですが、初期は経営なんて言えるものではなく、ただ生きるのに必死なパターンも多く、IPOやM&Aまで行ければ経営に関わるデザインリーダーと呼べますが、ほとんどのケースは死の谷に落ち、経営の経験として求められる所まで行けないケースも多いです。 ○事業責任者・PdMになった経験 デザイナーだったが、その後キャリアとしてPdMや事業そのものをマネジメントするケースも一つのパターンだと思います。今後、このパターンは増えると思います。UI/UXデザインはPdMが持っておきたい一つの専門性ですからね。delyの坪田さんはCXOを名乗っていますが、実質プロダクトトップCPOと言える役割を持っていたりします。 ○組織マネジメント経験 デザインマネージャーとして組織マネジメントの経験は非常に重要です。ただ、マネージャーからCDO・CXOの経営に関わる所にまで上がっていくには意識を変えないと上がれないパターンも多いと思います。マネージャーの意識と経営の一部として意思決定をし執行していく意識の差分はそれなりにあり、マネージャーから抜け出せないケースも一定存在していると思います。大手のメーカーはデザインセンターでも経営に上げる前に必ず事業経験を積ませるという話も聞いたことがあります。 ○社長室・経営企画室などの組織横断で事業に関わる経験 意外だったのが、キャリアの初期に社長室や経営企画室などの経営者に近い部署に配属されたケースもあり、そのお陰で経営者との対話から視座が上がったケースがありました。マネーフォワードのセルジオさんや今回のファイナリストのFake 岡崎くんなどがそのパターンでした。 ○クライアントワークの経験 ちなみにクライアントワークをキャリアで経験している人は2次審査に通過した13名のうち7名がクライアントワーク経験者でした。色んなビジネスに関わり、引き出しを増やす経験と言語化力やクライアントや経営者へのプレゼンテーションスキルは磨ける部分はありますね。ポジショントークですがw 経営者目線で身につけておきたいケイパビリティとマインドセット上のデザインリーダーの評価軸で網羅されている面もありますが、僕個人の意見でもう少し挙げてみます。 ○具現化・形にする力 経営者にとって、自らのビジョンを素早く見えるアウトプットにしてくれるデザイナーの存在は本当に助かります。素早く作り上げる速さと、ユーザーに渡る時の細部へのこだわりを両方持つデザインリーダーは本当に貴重です。 ○対話力 経営者の視座・視界を理解し、当事者意識も持ちながらも客観的な別の角度の問いを投げかけてくれるデザイナーが欲しいです。対話スキルを磨くには幅広い領域の知識のインプットと問いから内なる声を引き出すコーチングのようなスキルが必要ですね。あと、基本的な経営リテラシーに当たるような情報インプットはしておいた方が良いです。 ○P/Lに効くデザインとB/Sに効くデザインの理解 デザインの施策には、短期的な足元の事業課題に効くP/L的な施策と、中長期で効いてくる資産性のあるB/S的な施策があります。事業フェーズごとに何のデザイン施策が今重要かという判断軸を持っているデザインリーダーは本当に貴重です。 ○多角的な情報から本質を掴む力 事業や組織は常に複雑性の高い課題にまみれています。そんな課題を整理・構造化し、本質的な課題を読み取ること、これは経営者にも必要な能力ですが、整理構造化が得意なデザインリーダーがいてくれると本当に助かります。 ○会社イチ、ユーザーに向き合う姿勢 やはり、デザインリーダーは会社の中で最もユーザーがどう感じるか、ユーザーの課題やインサイトに対して一番当事者意識を持つ存在であって欲しいと思っています。議論がビジネスなどに偏りそうな場面でユーザー価値に目を向けさせる存在、ユーザー体験の守り神であって欲しいですね。 こんなのを求めるとそんな人材いないんですよねw あくまで希望ですw マネーフォワード辻さんが語った経営に入り込むデザインリーダーの条件イベントの中でマネーフォワードCEOの辻さんが経営層に入れるデザインリーダー(≒CDO)の条件は何かという問いにこう答えてました。 まずは経営層の中でCxOとして、特定領域(デザイン領域)に対する深い専門性がまず必要、大きくなってくるとその組織を横串でマネジメントできないといけないので組織マネジメントができないといけない、そうなるとパーソナリティ(人間力)が必要になってくる、そして経営への理解、会社の事業環境、競争優位の理解、そこから経営陣の一人として未来をどう作っていくかを考えれないといけないので、その未来に対しての意思やパッションが必要でと、、まあ難しいですよねw まあ、上にも書いてあるようにそんな完璧な人材は現れないんですよ。ただ、全てができていなくても、勉強しながら成長していく意志のある人材だと感じられるかどうかですよね。おそらくセルジオさんには辻さんは「必要なことを理解し、自分を柔軟にアップデートしていくことができる能力」を感じ取れたから、CDOを任せられたんだと思います。 任せられそうと思わせれる雰囲気を持っているのが人間力と呼ばれる部分なのかもしれないですね。 ちょうど今日更新されたセルジオさんのnoteも見てください。とても勉強になります。Awardも沢山手伝ってくれた戦友ですw 重要なのは経営に入り込むデザインリーダーになる意識を持っていること色々、書いてきましたが、求められる事がハードル高すぎて無理だわと思う人が多いかも知れません。ただ、全てのスキルや経験が揃っている人なんて存在しません。 僕が思う最も重要なことは「将来、経営に入り込むデザインリーダーになる意識を持っている」ということです。 経営に入り込むデザイナーになんて、なろうと思っていない人が圧倒的大多数なのです。 その姿を将来目指したい、興味を持っているだけでも、もはやその資格を持っていますし、なれる可能性はかなり高いと思っています。 若いうちにその意識を持っているだけで、入ってくる情報の広さが変わります。自分には経営なんて関係ないと思わないで、若いうちから意識すべきです。 アンテナを広げた事による情報インプットは、後々複利で効いてきます。 キャリアの選択肢として、デザインリーダーとして経営陣の一人になるという事をデザイナーの皆さんはぜひ入れてみてください。 Design Leader Impact Awardは来年もできるか、まだ分かりませんがデザインリーダーのロールモデルを沢山作るというのは意義があることだと思っているので、個人的には継続したいイベントです。 アーカイブは1月31日まで見れるのでぜひ。 DESIGN LEADER IMPACT AWARD 2023|経営をドライブするデザイナーへ デザインリーダーのロールモデルの提示とデザインの新たな可能性の探索。経営をドライブするデザインの力に光をあてるべく、ビジネnp2023.designleader-impact.com Goodpatch Design Advent Calendar 2023もぜひ! adventar.org

現場から見た国内UXデザインの景色とUXデザイナーの生きる道
この記事は Goodpatch Anywhere Advent Calendar 2023 17日目の記事です。 UXデザイン界隈のみなさま、今年1年お疲れ様でした! プレーリーカードを作ったけど人と会う機会が無いUXデザイナー15年生の五ヶ市です。近年はデザインマネージャーもやってます。 今回は私の観測範囲で、国内UXデザインの景色を現場から主観全開でお届けします。 UXデザイナー風前の灯火説が浮上中IDEO事業縮小 IDEOが事業縮小をするというニュース、みなさまもご覧になりましたよね。公式発表だとこちら。 Thank Youjp.ideo.com UX業界の成熟と飽和? ヤスヒサさんのツイートで触れられているThe State of UX の2024年度版では冒頭にこんなことが書かれています。 Much like late-stage capitalism, late-stage UX is characterized by its market saturation, heavy focus on financial growth, commoditization, automation, and increased financialization. https://trends.uxdesign.cc/2024超ざっくりいうと「 UX界隈は成熟業界で飽和してるし、より明確な費用対効果が求められてるよね」とのこと。まあそういう批判的に書くレポートだとしても、一定の成熟や飽和に近い感覚は私もあります。 ※The State of UX 2024はヤスヒサさんが要約してくれています https://twitter.com/yhassy/status/1730256589230379511?s=20 Hello, AI ソースを持ってくる必要が無いぐらい現場のみなさまはAI関連ツールを仕事で使ってますよね。この記事もChatGPTさんに添削してもらってます。体験設計はともかく、特にリサーチ分野ではAIの進出によりリサーチ専門家の経済的説得力が減少する可能性があります。 AIを用いたUXリサーチに関する懸念はAlertboxに書いてあるので割愛 AIを利用したUX調査ツール:課題と限界UXリサーチャーのためにデザインされたAIツールの宣伝文句には懐疑的になろう。そうしたシステムの多くは、宣伝文句にあるすべu-site.jp UXという考え方は依然として重要日本特有の職種「企画職」 日本には企画職として知られる独特の職種があります。大企業においては、これを「企画部門」と呼びますが、外資系企業では見受けられません。 この部署はプロダクトやサービスの企画をする組織です。企画からカスタマーサクセスまで何でもやります。2000年代前半にUXという言葉が日本の現場に入ってきてから約20年、プロダクトやサービスの現場でUXの大切さを語っていたUXer達の戦いが実を結び、今は「UXが大事?当たり前じゃん」と常識扱いされるようになりました。やったぜ。俺たちは本当に頑張った。 UXの大切さが企画職に浸透したことで、一部の現場では「おれたちに必要だったのはUXデザインだったのでは?」と気づき、当然のようにUXデザインアプローチを自ら推進する企業も増えています。 私はGoodpatchというデジタルデザインエージェンシーに所属しているのですが、そこでいただくRFPにペルソナやカスタマージャーニーマップが入っていることも増えてきました。 私も企画職の基本スキルにUXデザインはぴったりだと思っており、この流れは大歓迎すべきものだと考えています。 今後、UXデザインはUXデザイナーのものではなくなるはずです。AIもあるし参入障壁もスキルの障壁もどんどん下がります。UXデザインの民主化は今後も止められないでしょう (そもそもコトラー大先生だって90年代後半には「顧客を観察せよ」って言ってるし多少のやっとかよ感はありますよね)。 資源配分の転換はまだ続く ということでUXデザイナーは風前の灯火かもしれないけどUXデザイン自体は重宝され続ける話をしました。 こちらはちょうど1年前ぐらいの電通報です。インターネット広告費はやはり成長し続けています。 「2022年 日本の広告費」解説――過去最高を15年ぶりに更新する7兆円超え。インターネット広告は3兆円を突破 | ウェブ電通報2023年2月24日、「2022年 日本の広告費」が発表されました。マスコミ四媒体、インターネット、プロモーションメディアdentsu-ho.com サブスクモデル転換も進んでいて、ロイヤルカスタマー育成が鍵だという話は現在も当然のこととして言われ続けています。データもあちこちにありますね。 1兆円超えのサブスク市場 「利用者、企業の目指す着地点は」|コラム|中京大学 サブスク(サブスクリプション:商品・サービスの利用に対しての定額料金制...www.chukyo-u.ac.jp サブスクモデルで大事な「継続」はデジタルマーケティングだけでは達成できず、むしろUXデザイン領域のアクションが必要になります。 合わせてUXデザインの手法はデジタルマーケティングと違ってサービスやプロダクト開発プロセスの起点となる手法だからです。 デジタル領域で顧客が獲得できること、サブスクモデル転換によりデジタルシフトを止められないことを考えると、企業は開発費用と広告費用のうちデジタル領域の割合を増やさざるをえないわけですよね。 なのでもうしばらくUXデザインのお仕事は残るんじゃないかなと思います。 UXデザイン成果物の多様化UXデザインのお仕事は何をすることだと思われているか ペルソナとカスタマージャーニーを作る そのためにリサーチする できあがったプロトタイプを検証する 上記一連のプロセスおよびスケジュールを計画する 私の観測範囲だとこんなイメージです。かつUXデザインだけで正解を導き出せると思われることも多い気がします。 乱暴に言っちゃうと、一定の訓練でこれらの成果は出せるようになります。みんな今すぐ訓練すればいい。 UXデザイナーが実際にやっていること 実際の現場では作られる成果物が多様化しています。ペルソナはユーザーのペインやゲインを明確にする成果物ですが、ユーザーを整理するにはJTBDやフォッグ式消費者行動モデルもあります。ユーザーストーリーは4コマの簡易なものからアクティビティシナリオをすべて網羅するマイクロストーリーまで様々な粒度があります。 以下は私が個人的に作ったUXデザイン計画で必要になる成果物を説明するためのチートシートです。成果物をざっくりと以下の5つに分けています。 想い 事業 ユーザー 企画 サービス/プロダクト UXデザイン計画のチートシート (最近作り始めた)このようにUXに関わる成果物は多様であり、かつ実際の現場ではそれぞれの成果物を目的や制約に応じてプロセスを捻じ曲げたり成果物を魔改造や合成してアウトプットすることが多いです。 現場のUXデザインはプロジェクトの状況に応じた柔軟性を求められており、難易度は日々高くなっていくばかりです。 また、チートシートに挙げていた成果物を丹念に作っていくとプロダクト開発の現場からは「遅い」という声が聞こえてくるのは必至です。でも体験価値を首尾一貫してユーザーへ届けるためにはそれぞれ必要な成果物はアウトプットしなければなりません。投資対効果はサービスのマイルストーンによって一概に言えず、いつだって悩ましいです。 また、このように成果物が多様であるがゆえに出したアウトプットに対し「あれ、ペルソナは?」「カスタマージャーニーは無いの?」と疑問を持たれ、場合によっては真っ当なことをやっているはずなのに不信感を持たれることもあります。 イメージと現場のギャップ ということでUXデザインが浸透したからこそUXデザイナーのイメージと現場のギャップは大きくなっている気がします。インハウスも含めUXデザイナーへの期待値はどこも違うなあという印象です。UXデザイナーってなんなんだ? UXデザイナーの生きる道UXデザイナーだからできること それはやはり良いサービスを作ることだと思います。 世の中まだ課題いっぱいのプロダクトだらけです。課題いっぱいのプロダクトが良くなると世の中も良くなります。シンプルにこれ。これだけ。UXデザイナーが貢献できることはこれだけです。 だけどUXデザイナーじゃなくても良いサービスを作ることができる時代は近づいています。 UXデザイナーというジョブにこだわるのをやめよう 最初に述べたとおりUXデザイン、というかユーザーを観察して価値を提供し良いサービスを運営できる人材が増えたことは本当に望ましいことです。 UXデザイナーはそんな人材を引っ張る存在になる必要があります。顧客とっての価値やその価値を届けるやり方を一番知ってるのがUXデザイナーだからです。 コストとクオリティのバランスを見ながら、どんな価値をどのタイミングで提供するかをマネジメントしつつ、最終的にユーザーを第一にするポジションがUXデザイナー、そんなイメージでしょうか。 UXデザイナーもビジネスにコミットせよという話かもしれないし、組織のビジョンを見つめ直すことかもしれないし、チームビルディングかもしれないし、ユーザーのためのなんでも屋かもしれません。「UXデザイナーなのに◯◯もやってるんだよね〜」というあなたの愚痴は多分すごく良いことです。 UXデザイナーというジョブやUXデザインというフレームをとっぱらい視界を広げて、自分たちができることを整理し、その専門性を組織の中でどう活用するとユーザーに価値を届けられるのかを考えると変化や越境のポイントが見えてくるかなと思ってます。 ユーザーのためなら喜んでUXデザイナーを卒業しましょう。 結びに持論: UXデザイナーだからやるべきことUXデザイナーはチームを鼓舞し奮い立たせることができる UXデザイナーの役割はもっと内側に向いてよいかなと思います。UXデザイナーの打ち立てるコンセプトやユーザーストーリーは「いける!」「これを作りたい!」と思わせたり、決済者がGOを出す勇気を奮い立たせるものだったりします。 価値と体験とプロダクトのロジックをつなげるのは当然として、チームを奮い立たせられるようなふるまい、アウトプット、プレゼンテーションもまた重要です。 UXデザイナーの醸し出すチームのテンションが首尾一貫とした体験を作り、プロダクトへのプライドをチームを持たせることにつながります。だってさ、やりたいことやりたいでしょ。作りたいものを作りたいでしょ。 UXデザイナーのみなさま、2024年はユーザーに価値を届けることだけではなく、チームを鼓舞し奮い立たせるようなアウトプットを出し続ける、そんなUXデザイナーを目指すのはいかがでしょう。 [PR] Goodpatch Anywhere は仲間とお仕事どちらも募集しています! Goodpatch Anywhere | フルリモートデザインチームGoodpatch Anywhereは日本や世界各地から集まるデザインチームです。UI/UXデザイナーをはじめ様々なスペシanywhere.goodpatch.com

1on1のつくり方
Goodpatch Design Advent Calendar 2023 の21日目の記事です 今年の9月からUXデザインチームのマネージャーをしている神谷(そま)と申します。 このnoteでは、マネージャーとなり試行錯誤しながら進めてきたメンバーとの1on1の体験のつくり方について書いてみようと思います。 通常1on1は閉じた環境で実施されるため、周りからたくさんの事例を見て学ぶというのが難しいものだと思います。そのため自分が実際におこなった事前準備から実施にいたる工夫、改善したことまでできるだけ具体的に書くことで、今後マネージャーになる方など誰かの参考になればうれしいです。 事前準備編1. 目的を定める 毎週やるからこそ、マネージャーとメンバーそれぞれにとって何のための時間か明確にしておく必要があります。そのためメンバーとの初回1on1の前に、まず自分のこれまでの経験をもとにメンバー視点で1on1の目的を洗い出してみました。 ・業務進捗を報告する ・悩みや課題を相談する ・成果をアピールする ・相手のことを知る 結構でました。いずれも大事な要素ではありますが、評価につなげるための「成果をアピールする」は他の目的の達成を一部阻害する可能性がありそうなので、1on1の目的からは除外し別の機会を設けることにしました。 この成果をアピールする場、通称、10等級の会(みんなで高め合って成長していこうということでノリで名付けました。ちなみに弊社の等級要件は7まで)の詳細は割愛しますが、月に1度、各自の目標をもとに取り組んだことや成果をまとめ、グループ間で共有し合う場を設けています。半年に一度の評価期間で思い出す負荷を減らしたり、他のメンバーの頑張りが見えたりと、やってみると成果をアピール(把握)すること以外にも良い効果が実感できているので、またどこかでお伝えできればと。 少し話が逸れましたが、いったんメンバー視点の目的は洗い出せたので、次にマネージャー視点で必要なことも整理します。 ・メンバーの状態(体調)を知る ・メンバーの悩みや課題を知る(解決に向けたアクションプランを一緒に作る) ・メンバーの頑張りを知る ・組織運営に必要な相談をメンバーにする ・さらなる成長を促す ・相手のことを知る 多い。。。毎週30分程度の限られた時間の中ですべての目的を達成することは難しいと考え、以下のように絞りました。 2. 流れの仮組み 目的が整理できたので、その目的達成ができ、話しやすい流れを仮組みします。 目的にあった「相手のことを知る」が抜けていますが、既に一定関係値のできあがっていたメンバーであること、また上記アジェダをもとに深ぼっていくことや自分からも悩みや相談をすることで一定達成できるのではないかと考え、アジェンダには加えませんでした。 また「さらなる成長を促す」も抜けていますが、ここは後述します。 3. メンバーと期待値をすり合わせる ここまで整理できた段階でメンバーと初回の1on1をおこない、期待値をすり合わせました。以下、実際に使った資料(ホワイトボードツールのスクショ)です。 これを見せながら目的、流れをすり合わせ、メンバーからもどんな場にしたいかの意見をもらいました。 またあわせて希望する頻度や時間帯も選んでもらい、次回以降の日程を決めました。 実施編期待値のすり合わせが終わったので、次は実施です。この章では1on1をスムーズかつ効果的に進めるためにおこなった工夫をあげていきます。 今週の状態をスコアリングしてもらう 自分自身の経験になりますが、「今週どう?」というふわっとした問いかけをもらうと、だいたい「まぁまぁです」とふわっとした返しをしがちです。 そのため1on1の冒頭で今週の状態をきくときには、100点満点の点数で答えてもらうようにしました。 スコアリングしてもらうことで今の自分の状態を客観的に見つめることができるので、その後、本質的にききたいなぜその状態なのか(前週と比べてどう違うのか)の話まで進みやすくなります。メンバーからは「二日酔いがひどいっす」というものから「業務負荷があがっていて…」といういろんな回答をもらうことができ、深掘りしやすいです。 (一方で、スコアリングは一定心理的負荷のかかることでもあると思うので、答えづらそうであれば強制することは避けます) この辺は以下のtalosさんの記事を参考にさせていただきました。(ありがとうございございます!) 相談したいことはいつでも自由に書き込めるように 自分もそうですが、いざ1on1の場になると相談したいと思っていたことがでてこなかったり、忘れてしまうことがあります。それを防ぐために、strap(ホワイトボードツール)に1on1用のフォーマットを用意しておき、いつでも書き込めるようにしておきます。青付箋の部分です。 自分もマネジメントミーティングで決まったことなどさっと書いておくことで、頭の余白を埋めないよう意識しています。 また少し話は逸れますが、書いてもらった相談付箋が完了すればグレーにする。解決に向けたアクションプランの付箋は色変えておくことで、ビジュアル的にわかりやすいというメリットもあります。以上strapの宣伝です。(笑) メンバーのフィードバックを集める 記事の前半で「さらなる成長を促す」という目的に沿ったアジェンダは入れていないことを伝えました。ここは週次の定期アジェンダとして組むことはせず、人材開発会議の結果や気になる言動等の発生ベースでフィードバックしていくことが多いです。 また、グッドパッチはクライアントワークが主体で案件にどっぷり入って仕事しているため、マネージャーといえど各メンバーの仕事ぶりが見えづらいという課題があります。 そのため成長を促すフィードバックの種を見つけるため、各案件統括の方々に月1で状況ヒアリングをさせてもらっています。そこで得た気づきをメンバーにフィードバックしたりすることで、問題解決だけでない成長への気づきを提供できるよう努めています。 1on1のカレンダーは出来る限り動かさない 最後にこれはスタンス的なことですが、これは他社でマネジメント経験のあるメンバーに教えてもらったことです。 1on1は毎週やることからこそ、どうしても形骸化してしまうことも多いです。ただメンバーとのコミュニケーションの場としてとても重要なもので、その重要性を伝えるためにもできる限り1on1の予定は動かさないように心がけています。 とはいえ、どうしてもという時もあるので、その時はDMで丁寧に伝え動かすようにしています。あくまでスタンスです。 実践編(改善)ここまで設計、工夫したことで、メンバーとの1on1も今のところスムーズに進むようになってきました。ただやはりメンバーによってはやりづらそうにしていることもあるので、個別最適で改善に取り組んだ事柄も載せておきます。 1. 今週のゴールから課題を確認する 多忙につき課題や相談事がうまく言語化できないとなった時は、課題があるかないか確かめるところから始めるようにしています。課題は現状と理想(ゴール)とのギャップであるため、今週のゴール状態をきき、その上で達成までのプロセスと1on1の後にすぐとれるアクションを確認することで、解像度をあげています。 2. テーマカードをおいておく 弊社にはDesign Opsチームが月1で開いてくれている新人マネージャー向けのよもやま相談会があります。そこで「1on1で話す内容がない」といった話題が上がり、その時に共有してもらった資料がこれです。 出典:https://kanki-pub.co.jp/edu/report/?p=2245自分からもメンバーからも特段悩みや相談事がない時など、この図をもとに話の種を探すのに役立っています。 3. マネジメントの悩みを相談してみる 個人的に特にいいなと思っているのが、自分がマネージャーとして担当している組織課題の壁打ちをしてもらうことです。メンバーにマネジメントの仕事に触れてもらうこともそうですし、このレベルでも相談していいんだと思ってもらうこともこっそり狙いとしています。 4. テーマがない日があってもいい 最後は元も子もないですが、タイトルの通りです。メンバーのコンデイションに不安がなく、一定の関係値が出来あがってきた場合は無理せず、雑談したり、早めに切り上げてしまうのもありだと思っています。 おわりにマネージャーになって約4ヶ月、まだ4名のメンバーとしか1on1していない自分がこのような大それたタイトルで記事を書くのはどうかと思いましが、ここまでやってきたことの整理として書いてみました。誰かがまた1on1の体験作りをする際の1サンプルとして、土台にしてもらえたら嬉しいです。 今後もいろんなメンバーと関わることによって1on1のやり方の幅も増えていくと思うので、実践知が溜まってきたらまた更新できたらと思います。

UIのビジュアル(見た目)にブランドパーソナリティを落とし込む
こんにちは。GoodpatchのUIデザイナーの平尾です。 今回は自分が普段の業務の中で「どのようにUIのビジュアル(見た目)にブランドパーソナリティを落とし込んでいるか」をまとめてみました🎨 🎄この記事はGoodpatch Design Advent Calendar 2023 20日目の記事です。 1. ブランドパーソナリティにおける印象を定義するまず、ブランドパーソナリティ(そのブランドを人に例えたときにどのような人格を持っているのか)において、そのブランドと接したときにユーザーがどのような印象を感じてもらいたいか、を定義していきます。 ブランドパーソナリティとは、企業の属性や性格を示すブランド構築には欠かせない要素である。ブランドのロゴやヴィジュアルといった視覚的要素のクリエイティブ資産とは異なり、顧客の企業に対する感じ方や捉え方という抽象的なものを指す。 簡単に言うと、ブランドを擬人化してみたときに顧客が感じる人柄ならぬ「企業柄」「ブランド柄」である。また、顧客は共感したパーソナリティのブランドの製品を持つことでそのイメージと自らを繋げている。 ブランドの個性を定める – ブランドパーソナリティー【ブランディング入門#5】よりこの時、パーソナリティは人格であるため、ただ「印象」を定義するのではなく、「マインド」、そこから生まれる「行動」を言語化していくことが重要だと思っています。 価値観や信念といった「マインド」は、その会社の「ビジョン・ミッション・バリュー(VMV)」や会社の組織文化から反映され、それはどのような振る舞いをするのかという「行動」に結びついていきます。その「行動」をユーザーが認識した結果の「印象」となるからです。 GoodpatchのBXデザインチームによるフレームワーク 「BXD Foundations」。コアとなるビジョン・ミッション・バリューといったアイデンティティがブランドパーソナリティに繋がっていく2. ムードボードを作成し、メンバーと認識を擦り合わせるもちろん、印象を定義する際にどのような印象なのかを文章ベースで擦り合わせることも大事ですが、同じ文章でも想像しているイメージが擦りあっていないことが多いです。 例えば、「洗練」という言葉を元に、イメージする画像を持ってきたときに、人によって「洗練」という印象を受ける画像が全く異なることがあります。 Aさんの「洗練」のイメージBさんの「洗練」のイメージUIに落とし込んだときに、なんか思っているイメージと違う…。とメンバーの中で齟齬が起こらないように、ムードボードを作成していきます。 このときに画像のジャンルに偏りが出ないように決めておき、それぞれの画像を出し合い擦り合わせていくと、その後のアウトプット(UIのビジュアルはもちろん、LP・バナーなどにも)に活用しやすいです。 画像のジャンル例としては、 ・写真 ・人 ・環境 ・図形的なグラフィック ・フォント ・カラー ・イラスト ・UI などが挙げられます。 ジャンルごとに画像を集めるムードボードシート3. UIの見た目の要素を分解し、1つ1つ定義していく2で作成したムードボードから直接手を動かしながら画面をデザインしてビジュアルを検討するのも手です。 もう少しPJメンバー間でUIの見た目の方針に関して認識を揃えてから手を動かしたい場合、UIの見た目の要素を分解し、それぞれイメージに近いUIの画像を集めていき、方針を言語化して擦り合わせて決めていきます。 例えば、ボタンコンポーネント1つとっても「カラー・コントラスト」「タイポグラフィ」「テクスチャ」「余白」「線の有無・太さ」「シェイプ」「シャドウ」という要素に分解されます。 ボタンコンポーネントを構成するビジュアル要素UIの見た目の分解例としては、 ・カラー・コントラスト ・タイポグラフィ ・テクスチャ ・余白 ・レイアウト ・線の有無・太さ ・シェイプ ・シャドウ ・アイコン ・イラスト ・情報量 などが挙げられます。 UIのビジュアル方針のイメージシートそしてそれぞれの分解された要素が規定され組み合わさることで印象に繋がっていきます。この時点ではあまり厳密に何pxなどを定義するというよりは、大まかな方針を決めるイメージです。 音楽アプリのUIにおけるビジュアル要素の例 各音楽アプリのホーム画面音楽アプリの「Apple Music」「Spotify」「YouTube Music」「LINE MUSIC」を比較してみます。 各音楽アプリの見た目の要素の違いカラーの印象に与える影響度ももちろん強いですが、アイコンの形状、余白の使い方や角丸に違いがあり、その積み重ねにより、それぞれのアプリ「らしさ」が印象として感じられるんじゃないでしょうか。 この作業をしておくことで、分解された要素に対して、なぜその見た目にするのか?という認識が合わさる・言語化されるので、メンバー間での納得感を高めることはもちろん、そして今後新しい要素を追加したり、ビジュアルを改善したりする際にも有効な方法なんじゃないかなと思います。 カラーの選定・タイポグラフィの検討に関しては同じGoodpatch Design Advent Calendar 2023にて投稿されたこちらの記事がおすすめです🤶 4. 画面に適用しながら全体のバランスを見て調整していく3で分解したUIのビジュアル方針である見た目の要素を画面に全て適用していきます。 3だけをそのまま適用してしまうと、どうしても個別最適な見た目になってしまうため、全体のバランスを見て、1のブランドパーソナリティや2のムードボードで決めた方針に立ち戻りながら調整をしていきます。 また、3ではあまり細かい方針は決めていなかったので、画面に適用して大まかな方針が定まった段階で具体的にデザイントークンを詰めていきます。 さいごにここまで読んでいただき、ありがとうございました!今回はGoodpatchの先輩方のナレッジやプロセスを参考にし、普段の業務内で私がおこなっている「UIのビジュアル(見た目)にブランドパーソナリティを落とし込む」方法をご紹介しました。 もしうちの会社ではこんなプロセスを踏んでいるよ、私はこうやってやってる、というようなお話があれば是非是非聞かせてください👂 この記事はGoodpatch Design Advent Calendar 2023 20日目の記事です。 他にもデザインに関するためになる記事が投稿されているので、是非ご覧ください!メリークリスマス🎄 adventar.org
UXデザイナーの自由帳
UXデザインが切り開く新しい可能性を発信していきます。 UXデザインって面白い! サービスやプロダクトだけではなくユーザーと向き合うことで困っている時、是非読んでみてください。

ユーザーフレンドリーを実現する業務フローの可視化の方法
こんにちは!グッドパッチでインターンをしています、いくしーです! 現在は、記事の執筆や実際のプロジェクトのサポートに携わっています! グッドパッチでは定期的に、UXデザイナーのノウハウを共有する社内勉強会を開催しています。今回の記事では、先日の勉強会で学んだナレッジを、2つの実際の事例と共に紹介します。※インターンでは適切な秘密保持契約を結び、厳密な情報管理のもとで情報共有を行っています。 グッドパッチでは、ユーザーの業務を可視化・比較することでユーザーへの解像度を上げたり、可視化した図を議論の基盤にユーザビリティテストの実施範囲を決めたりと、必要に応じてさまざまな工夫を凝らして、日々のサービス開発につなげています。 今回は実際に業務フローの可視化を行ったプロジェクトの事例を見ながら、その使い方やポイントについてご紹介します。 こんな方に読んでほしい: 普段の業務を可視化したいが、やり方が分からない方 業務システムにおける改善に取り組みたいが、合意形成がうまくいかない方 業務フローはどんなときに可視化すべき?請求処理を例とした業務フロー可視化の例業務に関わる関係者や業務ステップが複雑な場合、業務フローを図に書き起こすことで業務の流れを分かりやすく視覚的に表現できます。作業の流れや条件分岐、担当者など、作業に関する情報を図形や矢印を用いて簡潔に示すことで、業務の全体像を分かりやすく可視化することができます。 業務やサービスの全体像が分かりやすく可視化されることで、改善点の発見や情報共有の効率化につながるほか、サービス開発の場面でも、さまざまなメリットをもたらしてくれます。 例えば、サービス開発のシーンでは、主に以下の目的で活用されます。 コミュニケーションの促進: 業務の関連性やフローが整理され、異なる部門や役職間でも業務に対する共通認識を持ちやすくなります。 要件定義の支援: サービスの全体像を俯瞰することができるようになり、サービス開発に必要な機能を洗い出しやすくなります。 課題の洗い出し: 現在業務が抱えている課題や非効率な部分を特定して、改善・最適のきっかけを見つけやすくなります。 リスク管理とトラブルシューティング: 潜在的なリスクや問題点を見つけやすくなり、トラブルが発生した場合も迅速に対応できるようになります。 では、具体的な業務フローの可視化事例を見てみましょう。 プロジェクト①:業務フローを比較して、ユーザーに対する解像度を飛躍的に向上させるまずは、ネットワーク管理に関わる業務システムの導線改善において、業務フローの可視化によってプロジェクトの進行をスムーズにした事例を紹介します。 この事例では、ペルソナを軸とした業務フローの可視化・比較を通して、システム利用者の利用目的の核を明らかにし、サービスの改善につなげました。 このプロジェクトでは、業務システムの導線設計に課題があることが判明していました。一方で、利用者がシステムを通して達成したい目的が整理されておらず、「どんな目的達成のための導線設計の改善が必要なのか」という改善指針を失っている状態でした。 今回は業務システムの改善であることから、改善指針となる利用者の目的は、実際の業務の中から見つけることができると考えました。そこで、業務の内容や繋がり、担当者などの整理から取り掛かることにしました。 情報を整理するため、最初に過去のインタビュー記事や行動ログから業務に関する情報を集め、すでに作られていた複数のペルソナをもとにそれぞれの業務フローを可視化しました。このとき、利用者の業務の実態に近づけるため、サービスがすでにサポートしているタスクから、そうではないサービスの裏側で発生するタスクまで、幅広く盛り込みました。 業務フローを整理した図、実際には想定したペルソナの人数分作成しています業務フローを可視化したところで、複数のペルソナ間に共通する利用目的がいくつかあると判明し、それがサービスの利用目的の核となることが分かりました。そこで、その共通する利用目的を核と捉え、システム内でその利用目的を達成するための流れを示した図表をそれぞれ作成しました。その過程で利用者の心理や提供価値の情報を書き加え、最終的にエクスペリエンスマップ(※)の形にまとめました。 ※ユーザーが目的を達成するまでのプロセス全体を可視化したもの。サービスに関連しないプロセスも可視化するため、カスタマージャーニーマップに比べて、マップが広範で網羅的になるという特徴があります。 これにより利用目的の核が明らかになり、目的達成までの利用者の包括的なプロセスがエクスペリエンスマップという形でさらに網羅的に可視化されました。 その結果、メンバーは「核となる利用目的を適切かつ効率的に達成できる」を基準としてフローの削減や最適化に取り組むことができるようになりました。そのほかにも、エクスペリエンスマップという形に落とし込んだことで、メンバーの取得できる情報の差を埋めることができ、全員がサービス全体を同じように俯瞰できるようになりました。 今回のポイント この事例では、複数のペルソナを軸に業務フローを可視化・比較する中で、利用者のシステムの主要な利用目的をいくつかに整理できました。 これによってプロジェクトメンバーは、これまでのような利用者の声に合わせた、個別最適的な開発ではなく、「核となる利用目的を適切かつ効率的に達成できるようになる」という明確な方針をもって改善に取り組むことができるようになったといいます。 また、エクスペリエンスマップによって、プロジェクトメンバー全体で共通認識が作られ、全員が同じ理解度でプロジェクトに臨むことが可能になりました。 プロジェクト②:議論の基盤にユーザビリティテストを設計する次に、バックオフィスの業務システムのユーザビリティ改善において、業務フローを図にすることで、議論の進行をスムーズにした事例を紹介します。 この事例では、利用者の初回登録作業を図の形に落とし込み、合わせてワイヤーフレームも作成し、サービスのユーザビリティ改善につなげました。 このプロジェクトは、バックオフィス業務に関する業務システムのユーザビリティ改善を目指していました。特に、導入時の初回登録フローに大きなユーザビリティ課題があると考えていましたが、初回登録フローの全てのページに対してユーザビリティテストを実施することは難しく、ユーザビリティテストの実施範囲を絞るための議論をすることになりました。 議論の前に、初回登録作業の流れ(利用者本人や関連する担当者の作業、それに対してシステムが返すレスポンスなど)を整理する必要がありました。加えて、登録作業に対するプロジェクトチームの共通認識を作る必要もあったことから、業務フローを可視化して整理することにしました。 実際に使われているWebページやオンボーディング時の説明動画を参考に、足りない情報は現場のメンバーにヒアリングを行い、登録作業のAs-isを図に書き起こしました。その後、それに加えて、登録作業のTo-beとワイヤーフレームも作成しました。 業務フローを整理した図、同作業に対してAs-isとTo-beの2種類を作りました初回登録作業のAs-isとTo-beが図表に可視化されたことで、比較が容易になり、「どの作業が最適化できるのか」、ひいては「どの作業に対してユーザビリティテストを実施する必要があるのか」について全体や改善の前後を見据えて議論できるようになりました。 加えてワイヤーフレームも作成したことで、フロー全体の最適化だけでなく言葉の表現やUIデザインなど、細かい部分まで検討することができました。 今回のポイント この事例では、業務システムのAs-isとTo-beを可視化したことで、議論の際に、フローの全体やユーザビリティ改善の前後を視覚的に把握できるようになりました。 システムの改善の前後の姿を比較できる状態をつくったことで、「どの作業を最適化することができるのか」、「そのためにはどのページに対してユーザビリティテストを実施する必要があるのか」を解像度が高い状態で議論することができました。 また、To-beの図表に合わせてワイヤーフレームも作成したことで、言葉の表現やゴールに到達するまでのスムーズな動線等、ユーザー視点に立って課題となりうる点についても話し合うことができました。 業務フローを可視化する時のポイントこれまで見てきたように、業務フローの可視化は業務理解を促し、ユーザー理解やユーザビリティ改善につなげることもできます。 業務フローを図に可視化する際の押さえておきたいポイントを3つ紹介します。 さまざまな場所から情報を集める 業務フローを俯瞰できるような資料がない場合、業務に関連するさまざまな場所から情報を拾い集めて、一つひとつ業務を整理していく必要があります。媒体にとらわれずに情報収集することで、網羅性の高い業務の可視化を行うことができます。 最初の事例で紹介したような過去のインタビューや行動ログのほか、実際にサービスが利用されている現場に行って観察をしたり、業務を自分が体験したりするなど、情報収集の手段はさまざまです。 あらゆるステークホルダーと協力して整理する 1人で業務フローを可視化しようとすると、どうしても抜け漏れや偏りのある図表になってしまいます。 さまざまなステークホルダーを巻き込みながら複数人で取り掛かることで、情報の偏りが生まれなくなるだけでなく、情報収集の時間を短縮できる、業務に対する共通認識を形成しやすくなるなどのメリットが得られます。 共通認識を持てる言葉で書く 業務フローを整理する際、誰が読んでも同じ理解を持てる言葉で表現することを心掛けることで、さまざまなシーンで活用が可能な図表にすることができます。 専門用語は複雑な状況や概念を簡潔に表現することができますが、場合によっては異なる解釈や理解できなくなる人が発生してしまいます。そのため、必要に応じて平易な表現への言い換えや、注釈や用語集を作成するといった工夫が必要です。 さいごに業務フローを可視化してプロジェクトに貢献した事例を2つ紹介しました。 業務フローを可視化すると、複雑な作業の流れを分かりやすく表現でき、業務の課題や改善点を浮き彫りにすることができます。それだけでなく、議論の際の基盤にしたり、サービス改善の指針にしたりとさまざまな活用が可能です。 グッドパッチには、こういった専門性の高い強みとこだわりを持つメンバーが数多く在籍しています。 ご興味のある方はぜひ、こちらのフォームからご連絡ください!

受容性検証からプロジェクトを前進させるユーザビリティテストの進め方
本記事は「グッドパッチ式UXデザイナーの実践知」という連載の第3弾です。 こんにちは!グッドパッチでインターンをしている生島と申します。現在は内定者インターンとしてクライアントワークや社内勉強会、情報発信に携わっています。 先日社内で行われた「ユーザビリティテスト」に関する勉強会に参加してきました。今回の記事ではその勉強会の中で得られた学びを2つの事例と一緒にお話ししようと思います。 ※適切な秘密保持契約を結んで厳密な情報管理のもと情報共有を行なっています。 皆さんはユーザビリティに関してどれくらい理解していますか? ユーザビリティとはユーザーにとっての使いやすさを示す指標の1つで、サービスやプロダクトをデザインする上で欠かせない要素です。サービス提供者は自身のサービスのユーザビリティについての正確な評価を理解しておく必要がありますが、提供者と消費者ではプロダクトに対する理解度や評価基準も異なり、自分たちだけで評価することは難しいのが実情です。 そこでUXデザイナーは「ユーザビリティテスト」と呼ばれるプロトタイプを用いた検証を行います。どのくらい使いやすいのか、ユーザビリティ上の問題はないか、改善できる部分はないのかなど、さまざまな工夫を凝らしてユーザビリティ向上のための手がかりを集めるのです。 今回は実際のプロジェクトで実施されたユーザビリティテストの事例をもとに、使いやすさの確度の上げ方についてご紹介します。 <こんな方におすすめ> 企業内で既存のデジタルプロダクトを改善しようとしている方 プロダクトの初期段階で市場投入を控えているが、その前にユーザビリティを担保したい方 多様なステークホルダーで成るプロダクトチームの中で共通の改善指針が欲しい方 「UXデザイナーの実践知」過去の記事はこちらから! ユーザビリティテストとはユーザビリティテストとは、ユーザーにそのユーザーが達成しなくてはならないタスクを提示し、実際にサービスを使ってもらう過程や結果を分析しながら、ユーザビリティ上の問題点を発見・測定する手法です。 検証する項目はさまざまですが、一例として有効さ(ユーザーのタスクを正確に、完全に達成することができたか?)、効率(ユーザーはより効率よくゴールを達成できたか?)、満足度(プロダクト・サービスはユーザーの期待に答えられたか?ユーザーは満足できたか?)などが挙げられます。 ケース①:ステークホルダーにもデザインを納得いただくためのユーザビリティテスト最初に紹介されたのは、外部開発に依頼していたシステム開発を内製化するにあたって、デザイン面での支援を実施したプロジェクトのケースです。 加えて、クライアントがデザインプロセスにまだなじみがなかったことや、デザイナーの視点も据えて今後自走できるようになってもらいたいという期待から、納得感を持ちやすい定量的な根拠と一緒にデザインを提案することにしました。そこでそのデザインの根拠となるユーザーの声を集めるため、ユーザビリティテストを実施したと言います。 このプロジェクトでは「ユーザーの体験に関する課題特定と改善」を目的に、2回のユーザビリティテストを実施しました。当検証では「ユーザビリティ」「タスク達成率」「タスク達成時間」の3観点からアンケートを作成し、ユーザーに各観点の点数とその点数をつけた理由を回答していただきました。その上で更にインタビューを行うことで、定量と定性の両観点からユーザビリティに関する評価を得ることができました。 この事例では、結果として好意的な反応が多く見られ、狙いであった1回目の検証結果を基にした改善が正しく達成されていることが分かりました。デザインが改善されたことを示す定量的な結果も添えて、デザインプロセスやUIの設計方針に関する資料を作成することで、UXになじみのない人でも納得しやすい資料を作ることができます。 このプロセスによるメリット ユーザビリティテストは、直感的に判断しがちなユーザビリティに対して定性・定量的な評価を行うことができます。得られたデータはデザインの明確な根拠という形でUI/UXの改善に繋げられるだけでなく、クライアントや直接の関わりがない方々へ向けた説明の際にも大きな助けとなってくれます。 プロジェクト②:フィジカル的認識の考慮が必要な複雑な体験の確度を上げるプロトタイプ検証2つ目の事例は、アナログ、つまりハードウェアが絡むユーザビリティテストです。これはスマートフォンアプリに関するプロジェクトで、アプリと接続するハードウェアが刷新されることがテスト実施の契機となりました。 新旧のハードウェアでは、スマートフォンとの接続方式や一部の機能が異なるものの、ユーザーにはどちらか1つしか手に入れられません。そこで、移行期間の措置としてユーザー自身がスマートフォンアプリ内で、自分がどちらのハードウェアを使っているのか選択してもらった上で使う形になりました。 アプリケーション内にハードウェアの選択画面を作成したものの、想定通り使ってもらえるかは分かりません。そこでユーザビリティテストを実施する運びとなりました。 ユーザビリティテストは、実際のハードウェアの使用シーンを模した状況をつくり実施されました。Figmaで作成したUIプロトタイプに加えて、実機の一部を紙に印刷して貼り付けたり、ユーザーが正しい操作をしたときに正しい操作をしたことを知らせる音(例えばボタンを押したことに対して正解音を返すなど)を準備するなど、さまざまな工夫がされました。 しかしテストの結果、選択画面を見たユーザーが「どちらかを自由に選んでよい」と勘違いしてしまい、自分が所持しているスマートフォンに対応したハードウェアを選ぶのではなく、自分が使いたいハードウェアを選択してしまうという誤操作が頻発。検証したかった要素とはまた別の落とし穴が見つかりました。 この結果から分かったのは、「ユーザーはハードウェアの種類(違い)や自身の持つスマートフォンの機能について、興味関心が高いわけではない」ということ。そこでハードウェアの差を理解しやすくするため、アプリ内の選択画面では機能の差ではなく、形や色といった視覚情報を全面に押し出して両者の違いを表現することにし、課題は改善されたそうです。 このプロセスによるメリット サービスの開発において、関係者であればあるほどサービスと触れている時間が長くなり、自然とそのサービスに対するリテラシーが高まってしまい、一般的なユーザーの認識を見誤ってしまったり、引っかかってしまう障壁を見落としたりします。ユーザビリティテストでは、想定されるユーザーに近い人に参加してもらうことで、体験性のフィードバックが得られるだけでなく、関係者であるほど見落としがちなミスを未然に防ぐことができるでしょう。 テストの精度を高めるtipsこのように、サービスやプロダクトをデザインする際にユーザビリティテストを行うことで現状の使いやすさを評価したり、より使いやすいものをデザインするための手がかりを得ることができます。ユーザビリティテストはさまざまな形態のサービス・プロダクトに対して実施できることから、方法は多岐にわたりますが、ユーザビリティテストの精度を高めるtipsがあります。 複数回の実施 ユーザビリティは1人の人間を対象に考慮しても、その人の極めて個人的な評価しか得られず、客観的なデータとしての根拠としては弱いものになってしまいます。 ユーザビリティテストは「5人に対して実施することで、3人に1人が影響を受けるユーザビリティ上の問題の85%が見つかる」と言われています、つまり一般的なユーザーが受ける可能性の高い問題は洗い出すことができるということです。 ユーザビリティテストを実施する場合には、検証シーンやペルソナを考慮した上で5人を目安に実施するよう心がけましょう。また、公共サービスのようなエクストリームユーザーも考慮する必要があるような場合には、デジタルリテラシーやドメイン理解の低い人を対象者に含めることが有効とも考えられています。 加えて、開発初期からペーパープロトタイプを用いた反復的なテスト、ユーザビリティガイドラインを用いたヒューリスティック評価を行うことも重要とされています。 検証の公平性 例えばUIの異なるデジタルサービスAとデジタルサービスBのユーザビリティについて比較を行いたいとします。この場合AとBはUIこそ異なりますが、根本的なサービスの機能は同じであるため、参加者は「2個目のサービスを体験するときには、1個目のサービスを使用する前よりこのサービスに慣れてしまっている」ことになります。そのため参加者全員にA→Bの順序で体験してもらった場合、Bの方がユーザビリティが高く評価される可能性があります。 検証時にはこういったバイアスがかからないように、参加者を2グループに分け、検証順序を異なるものにする(A→BグループとB→Aグループに分ける)といった工夫が必要になります。 状況の再現性 プロジェクト②を振り返ってみましょう。プロジェクト②では検証時に「ユーザーが正しい操作をした際には正しい操作をしたことを知らせる音を返す」工夫をしていました。 もしこの音がなければ、ユーザーは操作を間違えたのだと認識して、本来とは異なるアクションをとっていたかもしれません。これではユーザビリティテストが正しく行われているとはいえません。駅のホームや役所など、そのサービスやプロダクトが使われるシーンを適切に再現することで、実際の使用シーンでユーザーがどのようなユーザービリティ上の困難に遭遇するのかを検証できます。 さいごに以上、2つのプロジェクト事例をもとにしたユーザビリティテストの紹介でした。ユーザビリティテストはさまざまな工夫を凝らすことで多種多様なサービス・プロダクトのユーザビリティ改善に繋げることができます。 グッドパッチには、こういった専門性の高い強みとこだわりを持つメンバーが数多く在籍しています。 ご興味のある方はぜひ、こちらのフォームからご連絡ください!

グッドパッチUXメンバーインタビュー-美容師からクリエイティブ、そしてUXデザイナーへ-
美容師からグラフィックデザイン、ブランディング、そしてUXデザイナーへ こんにちは!グッドパッチのヌマです。グッドパッチでは中途採用の方の紹介インタビューを持ち回りでやっています。 前回の記事はこちら 今回の記事では、2024年7月にUXデザイナーとして入社したモロさんをご紹介します。 美容師というキャリアからスタートし、欧州滞在中に友人のグラフィックデザインを手伝ったのをきっかけにして、クリエイティブ・デザイン領域の仕事に携わり、その後はブランディングを起点に活躍されてきたモロさん。グッドパッチを選んだ理由や、入社後の印象などもお話しいただきました。 これからUXデザイナーになりたい方、グッドパッチへの転職を考えられている方にとって参考になる内容になっていますのでぜひご覧ください。 ーモロさん、よろしくお願いします!まずは前職でされていたお仕事について教えてください。 前職では、BtoBおよびBtoC向けにクライアントワークでブランディング支援を行っていました。主にブランドアイデンティティの確立やコンセプト開発、新規事業の開発に携わり、2050年に向けたビジョン開発をテーマにした未来構想ワークショップの実施なども行ってきました。また、タッチポイント開発や店舗デザイン、Webアプリケーションのクリエイティブワークも手がけ、具体的な形に落とし込む力を養いました。 ーブランディングから具体のクリエイティブワークまで幅広いですね。元々は何をされていましたか? 私のキャリアは、美容師からスタートしました。しかし、その当時から海外意欲が高く、美容師をやめて、飲食店で働きながらお金を貯めて海外に行きました。当時はマルタやアイルランドといった国に拠点をおき、語学学校に通いながらヨーロッパを旅していました。そのときにブラジル出身のイアンというグラフィックデザイナーの友人に出会い、「髪を切るから仕事を教えて」と言って、デザインのお手伝いをする機会に恵まれました。それがクリエイティブワークの入口です。 ー髪を切る代わりに仕事を教えてもらうのは強いですね笑。そのあとはどのようなキャリアを歩んだのですか? 日本に帰国後は元いた飲食店で働きながらデザインを学び、サイト作りなどをしていました。その後はクリエイティブ・プロダクションに入社し、アパレル企業のコンテンツ制作やファッションカタログの企画・編集を担当しました。次に編集プロダクションに移り、ウェブサイト、オウンドメディアの企画・開発や記事コンテンツの企画・執筆を行う中で、ファッション業界との繋がりを築きました。しかし、当時のクライアントから「顧客の高齢化に伴う中長期的なブランド継続への危機」という事業課題の相談を受けた時に、的確に打ち返すことができませんでした。そこからブランディングの課題意識が明確になり、今の自分のままでは解が出せないと思って転職を決意しました。 ーブランディングって事業の成長と結びつけにくいイメージがあります。 次の転職では、ブランディングファームを選びました。その会社はブランドのありたい姿から、企業やサービスの戦略からクリエイティブまでをクライアントと一緒に考えることができました。フィールドワーク(調査)で課題感を捉え、プロトタイプを作ったり、事業性を見ながらデザインしていくなど、ブランドとビジネスの両面からアプローチするスキルを磨きました。ホテルブランド、家具ブランドや交通インフラ会社などのブランディングサポートをしていましたね。 ー得意領域を軸に、少しずつピボットされていますね。そのような中、グッドパッチへ転職しようと思ったきっかけは何だったのですか? 次に色々なご縁があって、コンサルティングファームに行きました。ビジネス色が強い環境で、次第にコンセプトやブランド戦略を考えることに注力するようになり、ものから少し離れることになりました。しかし、もの作りから離れてブランド戦略だけに注力してしまうと、絵に描いた餅で終わってしまいそうな気がしていて、戦略からものづくりまで一気通貫で支援することに価値があるのだと考え始めたんです。そこで、グッドパッチへの転職を決意しました。グッドパッチはUI/UXデザインに強みを持つ企業であり、サービスの川上から川下まで一貫してサポートできる環境が魅力的でした。 ー改めて上流のブランディング領域だけでなく、川上から川下まで一貫して実施したいと思うようになったのですね。実際にグッドパッチに入社されていかがですか? 良いと思ったのは、ナレッジの見える化が進んでおり、非常にフレンドリーで相談しやすい雰囲気があることです。特にUXカフェのような場で、仲間とカジュアルにアイデアを共有できるのは毎回、学びがあり、非常に有意義です。 Goodpatch UX Cafeとは、フィードバックする/される場を増やすため、特定の時間にUXデザイナーたちがオンラインで集う場です。 詳細はこちらのnoteの記事をご覧ください。 ーUXカフェは本当にいい取り組みですよね!私も入社したばかりの頃、ユーザビリティテストの進め方でカジュアルに相談してました。 ところで、モロさんがUXデザイナーとして大事にしていることは何ですか? UXデザイナーとして俯瞰とディテールを行き来することを大切にしています。ビジネスの文脈に沿っているか、またブランドのタッチポイントがユーザーに響いているかどうか、これらの視点を常に意識しながら仕事に取り組んでいます。 これからも、UXデザインの領域を広げ、アプリ開発だけでなくものづくりや空間デザインなど、より多様なプロジェクトに挑戦していきたいと考えています。これまでの経験を活かしながら、さらなる成長を目指していきたいです。 ー抽象と具体の行き来ですね。これはUXデザイナーである限り毎日向き合うテーマですね。実際に私も入社してからこの行き来で頭を使いすぎて、とてもお腹が空くようになりました笑。最後に、これからグッドパッチで取り組みたいことをぜひ教えてください。 UXデザインの領域をさらに広げたいと考えています。UI/UXの枠にとどまらず、顧客体験全体に焦点を当て、アプリだけでなくものづくりや空間デザインにも展開していきたいです。例えば、展示会の企画やブランド全体の統合デザインにも取り組むなど、より広範な領域で価値を創造していきたいと考えています。 ー終わりに 美容師というキャリアから始まり、なぜUXデザイナーに至ったのか。モロさんのお話は全てがつながっていて、まるで1つの物語を聞いているようでした。これまで幅広いキャリアをご経験されているモロさん。既にプロジェクトでご一緒させてもらっていますが、私には見えない視点をたくさんお持ちで、早々にリーダーシップを発揮いただいています。今後はぜひグッドパッチの得意領域を起点に空間デザインなどに拡張していってほしいと思います! グッドパッチのUXチームには、UXリサーチやサービスデザイン、プロジェクトマネジメントなど、様々な志向性とバックボーンを持つメンバーが多く在籍しています。ご興味のある方はぜひ、こちらのリンクよりカジュアル面談にご参加ください!

グッドパッチUXメンバーインタビュー - 顧客理解を深めるために選んだ転職と情熱 -
こんにちは! グッドパッチでUXデザイナーをしているうらけんです。 グッドパッチでは中途採用の方の紹介インタビューを持ち回りでやっており、前回はこれまで大手IT企業2社で営業やUXデザイナーをされてきたしょうちゃんさんに私の紹介記事を書いてもらいました。まだ見ていない方は是非そちらもご覧ください。 うらけんの紹介記事 グッドパッチUXメンバーインタビュー-入社の決め手はクライアントへの向き合い方- 今回の記事では新卒で大手製造業の企画職、直近は某経済メディアのグロース担当に携わり、グッドパッチにはUXデザイナーとして入社した、ぬまさんをご紹介します。 企画職に携わる中で出会ったUXデザインへの思いや、転職するにあたりグッドパッチを選んだ理由など、ざっくばらんに伺いました。 これからUXデザイナーになりたい方、グッドパッチへの転職を考えられている方は是非ご覧ください! ーまずはじめに、これまでの経歴を教えてください。 1社目では、大手製造業の企画職、2社目では某経済メディアのサブスク事業にビジネス職として携わっていました。 1社目では、パーソナライズドに動画を生成する仕組みや、アプリ、WEBサイトリニューアルなど様々なソリューションを提供していました。基本的にはクライアントの課題整理及び企画提案・プロジェクト進行管理の役割を担っていました。 2社目では、BtoC向けのサブスクリプションサービスで、有料会員を増やすための施策を実施していました。具体的には、デザイナーやプロダクトマネージャーとワンチームとなって、事業数字やインタビュー結果から課題を特定し、それを解決するための施策の検討をしたり、そこからPDCAを回していました。また、売上の山を作るために不定期でキャンペーンを企画し、実行していました。 ーずっと企画職としてキャリアを進めてきたんですね。これまでの仕事の中で、特に印象に残っていることはありますか? 生命保険業界の顧客体験について、米国のフレームワークを活用し、行動と顧客体験、体験による損失インパクトの全てを紐付けし、全体像を明らかにするプロジェクトを3社共同で取り組んでいたことがとても印象深いですね。 このプロジェクトには、私自身が長年温めていたアイデアを実現できたこともあり、非常に熱心に取り組みました。 また、このプロジェクトで行った調査結果が「クライアンへの提案に活用できるよね」と評価されました。その結果、事業部の企画・営業の全管理職に対して説明会を行ったり、新卒研修プログラムにも取り入れることができたり、全社員向けに発表を行う機会を得ることができ、とても嬉しかったです。 ーすごい活躍ですね!その中で、なぜ転職しようと思ったんですか?? 転職のきっかけは、育児休暇中にこれからのキャリアについて考えたことにあります。 キャリアについて考える中で「より顧客の声を直接聞ける環境に身を移したい」という思いが強くなったんです。1社目はクライアントにモノやソフトを納品して完遂することが多く、エンドユーザーの反応が非常に得づらかったんです。 また、自分が楽しみながら考え行動し、その結果を評価してもらえる環境に身を置きたいと考えるようになり、自分のアイデアを具体的に形にする仕事をしたいという思いが強くなったことも、転職を決意した理由です。 ー2社目ではどんな仕事をされていて、どんなやりがいがあったんですか?? 2社目では、サブスクリプション事業のグロース担当をしていたんですが、やりがいと感じたことは大きく2つあります。 1つ目はカルチャーフィットしていたことですね。自分で考えて行動できる環境に集中できるのは楽しかったです。1社目は稟議書を書いて課長→部長→本部長→センター長→専務まで承認もらわないといけなくて、その間に2ヶ月経過することもありました。 2社目では稟議書なんて作ったこともハンコを押したこともなかったです。(笑) 2つ目は仕事面で、特に、定量部分を見ながら仮説を考え実行までできたことは良い経験でした。当時、本を読んで知っているつもりで仕事をしていたのですが、実際にやってみると何もできず、「私って全然使い物になっていない」と思っていました。実際にやってみると難しく、最初はなかなかできなかったんですが、徐々にできるようになり、楽しいなと思えるようになりました。 ーやりたいことはできている印象があるのですが、グッドパッチへの転職のきっかけは何かあったんですか? グッドパッチへの転職のきっかけは、カジュアル面談でUXデザインやUIデザインの専門性を深められる環境があると感じたことです。これまでユーザーインタビューは片手間的にやっていたのですが、「本当にこのやり方でいいのかな」「もっといいやり方はないかな」とモヤモヤしていたんです。 グッドパッチではノウハウが蓄積されていて、色々な知見にアクセスができ、お互いにスキルを高め合える環境があることを知ることができました。 また、カジュアル面談で会社の雰囲気を聞く中で、カルチャーフィットするだろうと思えたことも、転職を決めた要因でした。 なるほど!ちなみに、グッドパッチの第一印象はどうでしたか? 正直なところ、最初は敷居が高そうだと感じました(笑) UXデザイナーのバックグラウンドはないけど大丈夫かなぁと不安しかありませんでした。 わかります(笑)。その不安はどのように解消されたんですか? 最初の不安を解消するために、もう一度カジュアル面談をお願いしました。 1回目のカジュアル面談はUXユニットディレクターのちょこさんと行いましたが、2回目のカジュアル面談ではUXデザインのバックグラウンドがないけどグッドパッチで活躍しているUXデザイナー2名の方、そまさんとたぐさんとお話をさせてもらいました。 この面談で、専門的なスキルはなくてもBtoB、BtoCのこれまでの経験があれば何とかなるだろういう感覚を得られ、不安を払拭することができました。 実際に入社してから5日目でクライアントへの提案案件を担当しましたが、UXデザイナーという立場で何とか提案をすることができ、初受注に繋がったのは本当に自信に繋がりました。 カジュアル面談が2回できるのは嬉しいところですね!最後になりますが、これからグッドパッチでどのようなことに取り組みたいですか? 私が常に意識しているのは、定量的な視点を持ちながら、クライアントのビジネスにどのようなインパクトを与えられるかを整理することです。 これは前職での経験から生まれたものです。 かつて一生懸命に取り組んでローンチしたプロジェクトが、期待した成果を出せなかったことがあります。その原因は、インパクトが弱い部分に対して改善策を講じたことだったと気づきました。 この経験があり、UXデザイナーとしての視点はもちろんですが、そもそも事業インパクトはあるのかなぁととても気になるんです。 なので、クライアントからお仕事をいただく以上、ビジネス成果に繋げられるような支援をしていきたいです。 ちなみに余談ですが、2社目の最終面接でCHROから「長沼さんは事業数字見ることできますか?」って聞かれたことがあって、「全然できないです、数字見るの苦手です」って答えていたのを今でも鮮明に覚えています(笑) ある程度そういう環境にいれば、苦手なものも克服できるんだなぁと思いました。 ー終わりに 「本質的な課題を特定し、自ら思考し、行動したい」と想いが溢れているぬまさん。クライアントやその先にいるユーザーのことはもちろん、会社やチームが前進することを常に考えられていて、これから多方面で活躍されること間違いなしです! グッドパッチのUXチームには、UXリサーチやサービスデザイン、プロジェクトマネジメントなど、様々な志向性とバックボーンを持つメンバーが多く在籍しています。 ご興味のある方はぜひ、以下のリンクよりカジュアル面談にご参加ください! youtrust.jp









