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社内を歩けば「発明」に当たる? Ai Workforce事業部で新技術が生まれ続ける理由【LayerX】

エンタープライズ企業のお客さまの課題解決に取り組む中で、Ai Workforce事業部では特許の取得・出願につながる新技術の発明が続々と生まれています。

そこで今回のX Talkでは、Ai Workforce事業部 FDEグループの恩田(cipe)とR&Dグループの澁井(shibui)、法務部で知財を担当する鬼鞍(onikura)にインタビュー。

Ai Workforce事業部の“発明の源泉”とは何なのかーー。社内で生まれる発明を知財として守り、事業成長に活かす法務部の取り組みとあわせて聞きました。

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写真左から
Ai Workforce事業部 FDEグループ 
恩田壮恭(cipe)

大手証券会社で機関投資家および一般投資家向けの証券システムの開発や、暗号資産分野で新規事業の立ち上げに従事。LayerX入社後は、エンジニアとして秘密計算や差分プライバシーを用いたAnonifyの開発に貢献。Ai Workforce事業部では「Ai Workforce」の開発・デリバリーを行い、2025年にFDE組織を立ち上げる。趣味はライブで全国を回ることだったが最近はご無沙汰
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コーポレート本部 法務部 法務グループ  知財担当 
鬼鞍 信太郎 (onikura)

大手SIerにて金融システムの設計開発に携わった後に未経験で特許事務所に転職し、弁理士に転身。その後、スタートアップ2社で1人目の知財担当として参画し、知財部門の立ち上げを経験。2025年6月にLayerXに入社し、現在に至る。趣味は山登り、全国仏閣巡り。昨年は関西・九州・四国などを巡りながら山伏の修行にも参加
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Ai Workforce事業部 R&D(データ検索基盤)グループ
澁井雄介(shibui)
MLOps、データ、検索、インフラ、バックエンド、リサーチエンジニア。LayerXでは、生成AIの実用化を中心に研究からプロダクト開発まで幅広く担当。著書に『機械学習システムデザインパターン』、『機械学習システム構築実践ガイド』、共著に『事例でわかるMLOps』がある。趣味は飼い猫と自転車と旅行。船と自転車縛りで世界一周したい
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新たな技術が生まれる場所で、知財担当もBet AI

ーーAi Workforce事業部では次々と新しい発明が生まれ、特許出願につながっています。これまでにどのような発明がありましたか?

cipe:一つは、「自動マスキングに関連する機能」ですね。これは、機密性の高い情報が含まれるドキュメントに対して、AIがマスキング(黒塗り・秘匿処理)すべき箇所を判断・処理する機能です。

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「自動マスキングに関連する機能」のイメージ

例えば、三菱UFJ銀行さまでは、2024年から「提案書ナレッジシェアプラットフォーム」(※)として「Ai Workforce」が活用されています。

(※)法人営業を担当する約500名が過去の提案資料や行内ナレッジを検索・抽出するためのプラットフォーム

https://getaiworkforce.com/news/20260219

金融機関のような環境では、社内の機密情報を厳格に管理することが欠かせません。ですが、行内に蓄積されたナレッジを効率的に共有できるようにする必要がありました。

そこでこの「自動マスキング機能」が、セキュリティーと利便性の両立を叶える上で活用されています。

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cipe:もう一つご紹介したいのは、今まさに特許出願中の「参照元ハイライト機能」です。

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「参照元ハイライト機能」のイメージ

これは、契約書や見積書から情報を抽出するユースケースで、元の資料のどこを参照したかをハイライトして示してくれる機能です。

どうしても確率的な挙動を取る生成AIが出力するアウトプットを人間が確認する際に、レビューしやすくすることを目的に作られています。

ーーshibuiさんも、特許を出願中のものがあるそうですね。

shibui: はい。「Ai Workforce」のR&Dチームでは、プロンプトとワークフロー構造を同時に自動生成する技術の開発に取り組んでいて、特許を出願中です。

今までは、「Ai Workforce」をお客さまの業務に合わせてセットアップするとき、ワークフローとプロンプトを手作業で設計していました。

例えば、「300ページの報告書から必要な情報を集める」という仕事があるとします。それを人間だったらどういう手順でやるのか、各プロセスでどういうプロンプトを使うのかを人力で整理していく作業が必要だったんです。

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shibui:でも、プロンプト・ワークフロー自動生成技術の発明によって、サンプルデータをいくつか用意すればお客さまの業務に合ったワークフローとプロンプトをAIが設計してくれるようになりました。

お客さまにとっても「Ai Workforce」を導入するハードルが下がり、以前よりもスピーディーに現場で活用いただけるようになっています。

ーー現在は、月に何件くらい技術的な発明が生まれているんですか?

onikura: 大体、月に数件程度、特許出願につながるような発明が生まれていています。

一方で、社内の知財担当は今のところ私一人なので、手が足りていないのが現状です。

自分自身もAIを活用しながら、業務効率化できるように色々と模索しながらやっています。

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ーー知財担当として、どんなふうにAIを活用しているのでしょうか?

onikura:特に活用しているのは、エンジニアへのヒアリングから発明提案書を作るところですね。

技術課題とその解決方法、先行文献調査をNotionにまとめているのですが、ヒアリング内容の議事録をAIに読み込ませて提案書を作っています。

あとは、クリアランス調査(※)でも活用しています。

(※)新製品の製造・販売前に、他社の有効な特許権(技術、意匠、商標)を侵害していないか確認する「侵害予防調査」

これまでは何百件という資料を目視で確認していましたが、今はAIに精査してもらってから自分でレビューできるようになったので、だいぶ効率化されていますね。

LayerXには「Bet AI」という行動指針がありますが、私だけでなく法務部の全てのメンバーが日々AIに触れて、業務改善に活かしています。

「特許の種」を拾い、事業を守る

ーーcipeさん、shibuiさんは、普段どうやって「発明」を生み出しているんですか?

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cipe:「Ai Workforce」でお客さまの業務課題を解決しようとする中で、自然と生まれることが多いです。

最新のAI技術によってできることが広がっている一方で、まだ実用的に使いこなすことが難しいものも少なくありません。

そこで「どうすればうまく動かせるか」「課題解決に活かせるのか」を考え続けていくと、いつの間にか発明につながっていた……という感じです。

shibui: 「Ai Workforce」を導入していただいているエンタープライズ企業のお客さまが抱えている課題は、同じ会社の中でも事業部ごとに全然違うし、種類も様々です。

目の前に多種多様な課題があるからこそ、その数だけ解決手段が求められるし、そこで新たな発明が生まれる可能性があります。

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cipe:そして、onikuraさんのような知財の専門家が身近にいてくれることも、発明を世に出し続けていく上で非常にありがたいです。

onikuraさんがLayerXで知財を担当してくれるようになってから、「これも特許を取得できるのか」ということに気付く機会が明らかに増えました。

ーーこれまでは、新しいものを生み出しても「発明」だと気づかないこともあったんですか?

cipe:そうですね。onikuraさんに話を聞いてもらえなかったら、見過ごしてしまっていたものもたくさんあったと思います。

onikura: 実際のところ、どんな会社でもエンジニアの皆さんは「発明」を生み出していることに気づいていないのが普通です。目の前に課題があって、それを解いているだけなので。

ですから、社内にある特許の種を見つけて拾い、事業を守ることに役立てていくのが私の役目だと思っています。

ーー特許で「事業を守る」というのは?

onikura:例えば、AI技術が進化するスピードがますます速くなっていく中で、意図せず他社の特許を侵害してしまうリスクが高まっています。

逆もまた然りで、自分たちが生み出したアルゴリズムやデータ処理の方法などの新しい技術が、あっという間に模倣されてしまう環境でもあります。

特に、Ai Workforceは新しい取り組みなので、先駆的な発明が生まれやすい。だからこそ、事業を守るためにも特許を積極的に取っていくことが重要です。

そして、安定した事業の推進に貢献することで、継続的にお客様に価値を提供できるようにすること。今後の資金調達なども見据え、企業価値につながる資産として知財を増やしていくこと。攻めと守りの両方のバランスが重要だと考えています。

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ーーonikuraさんは、エンジニア自身も気づかないような「発明の種」をどうやって見つけているんですか?

onikura: エンジニアの皆さんとお話しする機会を持つことで、会話の中から特許に繋がりそうなものを見つけることが多いですね。

例えば、ランチに一緒に行ったり、社内ですれ違ったときに雑談させてもらったり。割と地道な方法でヒアリングをしています。

今後、知財チームを拡大するにあたって、情報の吸い上げはもっと仕組み化していきたいところでもあります。

ーー特許の出願において重視していることは?

onikura:会社として保有する特許の全体像を、バランスを見ながら整理していくことです。

「 Ai Workforce」では、先ほどcipeさんやshibuiさんの話にもあった通り、大きく2種類の発明が生まれています。

一つは、特定のお客さまの課題から生まれる発明。もう一つは、ワークフローの自動生成のような、幅広い業務に使えるプラットフォーム全体を強化する発明です。 

この二つをバランスよく組み合わせながら、特許のポートフォリオを戦略的に構築していくことを意識しています。 

「社内を歩けば発明に当たる」というくらい新しい技術が次々と生まれてくる環境なので、知財担当としては「生まれた発明を全部出す」のではなく、戦略的に特許出願をマネジメントすることに力を入れていきたいです。

「業務の自動運転」に向けて、前人未踏の領域に挑む

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ーーAI領域はまだ「正解」がないことも多い新しい領域です。その領域で知財を担当するからこその難しさはありますか?

onikura:先ほどの話にも通じるのですが、AIにはブラックボックスな面があって、何でも特許を出願すればいいというわけではないんですよね。

例えば、自分たちのプロダクトにとって大事なプロンプトやアルゴリズムを特許に出すメリットもあるけれど、特許を取得すると全体に公開されてしまうリスクもあります。

それによって他社が同じプロンプトを使うようになっても、実際には「特許侵害である」ということがAI領域では発見しづらい面もあるからです。

だから、事業を守るために特許を出願すべきか、公にせずにノウハウとして社内で持っておく方がいいのかは冷静に判断する必要があります。

そこが難しさでもあり、知財担当の手腕が問われる部分ですね。

ーー今後は知財チームを拡大していきたいとのことですが、どんな仲間を必要としていますか?

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onikura:AIに詳しい必要はないのですが、新しい技術に興味があり、学び続けることが好きな方にとっては、この上ない環境だと思います。

また、知財担当の裁量が大きく、今後ますます成長していく事業の知財戦略に設計から関われるフェーズです。

各事業部の皆さんと一緒にプロダクトを育てていきたい、事業成長に貢献していきたいという気持ちがある方にチームに参加してほしいですね。

shibui: R&Dの立場からすると、「Ai Workforce」を今あるプロダクトの延長線で改善するだけではなく、ジャンプしないと届かないところにまで非連続に成長させていきたいという思いがあります。

そのためには、将来ぶつかるであろう課題を予想して、先回りしながら新しい技術を模索していく必要がある。

そんな中で、まだ世の中にないものを一緒に「価値」に繋げてくれる方が来てくれたら嬉しいです。

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cipe:未踏の領域にワクワクしながら一緒に飛び込んでくれる方が増えたらいいですね。

我々が目指すのは、企業の生産性を根本から変革していくこと。そして、AIが業務を自律的に遂行する「業務の自動運転」を実現することです。

ただ、これだけAIが進化しているのに、仕事に割く時間が極端に短くなった人はまだまだ少ないのではないでしょうか。

むしろ、より多くのことができるようになった分、以前にも増して仕事をしている人もいるかもしれません。かく言う私も、AIに任せられない仕事を山ほど抱えています(笑)

例えば、数週間から数ヶ月にわたる長期のプロジェクトをAIにまるごと任せることはまだできません。

一度間違った方向に進むと誤差が積み重なっていき、正しいゴールにたどり着けなくなってしまうからです。 

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cipe:だから今後は、長期の仕事を任せてもAIが正しい道筋を外れずに進むための「ガードレール」を作っていきたい。

このような前人未踏の取り組みの中で、今後もたくさんの発明が生まれるはずです。

その発明を守り、活かし、事業の競争力へと転換していく――。AIという前例の少ない領域で、プロダクトと事業の未来を知財という武器で共につくっていける方に、ぜひ仲間になっていただけたら嬉しいです。

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